2012年秋から2013年春闘にむけた闘争方針

1.減車の推進、政策要求の前進で将来展望を

 (1)特定地域に指定された157の地域のなかで、地方運輸局が算出した適正車両数に到達した地域は27地域(12年7月現在)にとどまっている。この背景には、企業の社会的責任を放棄し、自らの利益だけを追求する身勝手な事業者の存在があることは明らかである。減車効果によってわずかながらも売上げが増加していることは統計でも明らかであり、減車を拒む悪質事業者の実態や、労働者の過酷な労働実態を宣伝し、確実な減車を求めていく。また、適正車両数に到達していても、タクシー活性化法の所期の目的である労働条件改善が達成されない限り更なる減車を求めていく。

 (2)運輸局・支局に対しては、特定地域の再指定、地域計画の達成状況の検証と新たな計画の策定を求めていく。減車未達成事業者には、国交省通達「特定地域におけるタクシー事業者の経営状況等に関する調査・監査の実施について」(平成23・4・13付)の厳格な運用や最低賃金法違反の一掃を求めていく。

 労働局に対しては、最低労働条件確保の要請を行うなかで、法律違反を繰り返す悪質事業者について労働条件等の実態を調査し、運輸当局と連携して是正していくことを求めていく。

 (3)タクシー運転免許への接近を展望して世論の構築にむけ運動を進めるとともに、良質な運転者確保の観点から、運転者登録制度の指定地域の拡大、適正な講習と効果測定・修了基準の高度化などを求めていく。

 地域協議会については、機能強化、権威ある機関としての役割発揮を求めていく。

 (4)地方自治体に、タクシーを公共交通機関として位置付けさせ、タクシー問題を担当する部局を設けさせる。また、乗り場の増設やバスレーンへの乗り入れ、乗合タクシーの活用、移動制約者のタクシー利用に対する補助制度の確立や増額など、福祉・介護政策とタクシーの役割及び労働者の関与のあり方について検討・具体化を要請する。

 (5)減車や低額運賃是正などの課題は、健全な事業の発展を希望する事業者とも共通する課題となっている。一致する点については協力・共同を進め、その実現をめざす。また、消費税増税は自交労働者と関連事業に取り返しのつかない被害を与えるものであり、各地連(本)は、本部の見解にもとづき、対応する各経営者団体に対し協力、共同の申し入れを展開する。

2.職場権利を確保し、賃金底上げなど諸要求の実現を

 (1)秋闘では重点要求を設定し実利・実益の獲得をめざす。要求設定では、組合員との総対話での要求討議とともに、無権利状態に置かれている定時制労働者や未組織労働者も視野に権利確保を重視し、要求をまとめていく。要求提出は10月31日(水)まで、回答指定日を 11月13日(火)までとし11月中決着をめざす。

 (2)地域全体での賃金底上げ、最低賃金法違反の地域的一掃、累進歩合制度の廃止、足切りの引下げ、年次有給休暇の不利益取り扱いの是正、割増賃金の適正かつ確実な支払い、交通事故負担金、罰科金、運転者負担制度等の廃止を求めていく。名義貸し等への対策については、地連(本)毎に情報収集や調査を行い、運輸局・労働局交渉等を通じて根絶をめざす。

 (3)最賃法違反の原因となっているオール歩合給・累進歩合制賃金の改善にむけては、最低賃金を固定給で保障する賃金制度確立を重視したとりくみを進める。

 さらに、1車1人・2車3人制から1車2人制へ≠ネど「車両における勤務形態」を地域的に改善し、長時間労働の是正、労働時間の適正化と経営の効率化をはかる。

 (4)自動車教習所は、年末一時金要求をはじめ、賃下げ、パート・契約指導員の導入による人件費削減、料金値引き、営業時間の延長などの「合理化」反対、非正規社員の正規化や権利確保を重視し、職場ごとに重点要求を決めて、その実現をはかる。

 (5)観光バスは、運賃単価の切り下げ、長時間労働の押し付け、正規からアルバイト・派遣労働者への配置替えなど、安全運行に重大な影響を与える「合理化」を許さず、不当な雇い止め禁止、正社員化、有休などの権利確保や改善基準告示の改正、長距離運行の規制、夜行運転者完全2人制義務付けの要求を掲げてたたかう。

 (6)回復されない景気状況や地方の過疎化から、タクシー、観光バス事業などの倒産・廃業が頻発するおそれがある。すべての地連(本)、単組・支部では、警戒心をもって、経営実態等を把握し、事前防止、経営改善対策にとりくむ。

3.格差と貧困をなくし、平和擁護・社会保障拡充を

 (1)混迷を深める民主党政権は、自民・公明との密室談合を続け、構造改革路線の強行や庶民増税、社会保障制度改悪などの悪政をさらに進めようとしている。特に消費税増税は、タクシー労働者にとって、消費を冷やし営収低下につながるばかりか、運賃の法人・個人間の格差問題を再燃させる問題である。法案は強行可決されたが、実施は14年4月であり、その間には、解散総選挙も予想される。消費税増税を阻止し、景気を好転させることがタクシー需要の回復につながることなどを明らかにし、増税実施阻止にむけた運動を重視していく。

 (2)原発再稼動や消費税増税、社会保障切り捨て、TPP(環太平洋経済連携協定)参加、オスプレイ配備や普天間基地県内移設・新基地建設、衆参の選挙制度改悪など反動政治や、公務員人件費削減など公務労働者への攻撃に反対するとともに、住民本位の震災復興などの課題については、全労連の提起にもとづき、各地方での行動、集会などに積極的にとりくむ。

4.全員参加の運動で、すべての組織が10%以上の純増を

 (1)すべての組織が「10%以上の純増」をめざし組織拡大運動を推進する。各地連(本)は、今秋開催する定期大会では、必ず年間を通した拡大目標を設定する。目標達成にむけ毎月1回以上の定期的な宣伝行動の実施など具体的な計画を策定し、全組合員の意志統一をはかり拡大の実現をめざす。

 本部では各地方の宣伝計画を把握し、実践例や経験を全国に伝えていく。宣伝物は、本部が適宜発行する。

 (2)秋の拡大月間は全労連の設定(10月〜12月)に合わせて運動を集中し、2013年1月の中央委員会までに、未加盟・未組織労働者との総対話をもとに、各地連(本)に新規加盟を1組合以上拡大することとあわせ、各職場が複数以上の組合員拡大を達成する。各地連(本)は拡大にあたっては、個人加盟方式の「地域タクシー労働組合」設置も視野に実施する。

 (3)各地連(本)は、次代を担う幹部・活動家の育成を重視し、学習会・幹部学校等の計画を立て、教育活動を強化する。講師は、調整した上で本部三役・専従者を中心に派遣する。学習には、本部で作成した『職場権利と自交労働者』『基本政策集』などを積極的に活用する。

5.統一行動の設定と主な日程

 (1)中央行動は、全労連が設定している11月15日に合わせて、交運共闘の仲間とともに、自交労働者の要求実現を求める行動を配置する。具体的な内容は交運共闘と調整の上、提起する。

 (2)2013年春闘準備の前段として春闘要求の具体的な根拠となる「はたらくみんなの要求アンケート」にとりくむ。アンケートは組合員に限らず未組織労働者とも対話しながら行い、必ず前年の回収数を上回るようにする。

 (3)春闘方針は11月中に執行部案をつくり、来年1月の第35回中央委員会で決定する。春闘方針の職場討議は1月から執行部案にもとづき行う。

(4)主な日程

2012年10〜11月 地方自治体、運輸局・支局、労働局交渉

   10月15日(月) 第5回中執

   10月16(火)〜17日(水) 第35回定期大会

   10月31日(水)まで 要求提出

   11月13日(火)まで 回答指定日

   11月15日(木) 自交総連中央行動・全労連全国統一行動

2013年1月15日(火)〜16日(水)第35回関係弁護士交流会

   1月16日(水)〜17日(木)第35回中央委員会(春闘方針決定)



自 交 総 連