自交労働者No.619、2004年3月1日

04春闘 一職場一重点要求実現を

各地で学習会など議論活発に

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他産業労働者との賃金格差や春闘要求などを討議した東京地連春闘討論集会=2月11〜13日、鬼怒川・あさや

 労働組合の存在意義をかけて、賃上げ・一職場一重点要求の実現を――04春闘のスタートを切る『3月5日までの要求提出』にむけて、各地では学習会、討論集会、中央委員会などでたたかう意思固めを行いつつ、すべての職場組織での要求提出≠めざしています。



賃上げ足切り
減額重視する

 【東京】東京地連は2月11〜13日、鬼怒川・あさやで春闘討論集会をひらき64単組340人が参加しました。
 春闘方針案では、ひらく一方の他産業労働者との賃金格差問題で、経営者自らが認めている多すぎるタクシーを減車するとともに適正な運賃・料金こそが社会的水準の賃金・労働条件に接近する方策であることを提起。方針提起後分散会にわかれて春闘に向けた議論が行われました。
 各分散会では、今春闘では賃上げ、足切り減額を重視して要求する。組織拡大については、目標と計画を必ず実践する(タクシー)、要求では会社間の問題もあるが、共通認識として会社の経営全般に対しチェック機能を強化する(ハイヤー)、ここでの話を職場に持ち帰り、2次討論への力とする(技職)、賃上げ1万5000円、一時金は年間200万円を要求する(自教)などさまざま議論が行われました。

地連に団結し
統一的に闘う

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04春闘方針を決めたたかう体制を確立した第61回中央委員会=2月20日、大阪・アピオ大阪

 【大阪】大阪地連は2月20日、アピオ大阪で第61回中央委員会をひらき04春闘方針を決め、たたかう体制を確立しました。
 あいさつをした権田委員長は「大阪は規制緩和後事故が増加し、全国一危険なタクシーになりつつある。大阪の安全・安心を破壊した規制緩和失敗の責任追及について3月4日、全国のなかまが国交省を包囲する、抗議決起集会に大阪も持てる力を使い奮闘する」と闘う決意を述べました。
 04春闘では(1)全組合が要求を確立し、要求書を提出すること(2)大阪地連に団結し力を集中して産業別統一闘争を軸に統一的に闘うこと(3)なかまを増やしながら闘うこと(4)政治転換をめざして闘うこと――を課題として全力を上げて奮闘することが決められました。



第一は55人の解雇を撤回しろ

2・24東京行動

359人が怒りの宣伝・抗議

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「田中亮一郎社長は団体交渉に出てこい」などのシュプレヒコールを行いデモ行進を行う行動参加者=2月24日、東京・世田谷
 第一交通産業は、55人の解雇を撤回しろ!――2月24日、大阪地連の主催で、「04春闘勝利、争議全面解決、2・24東京行動」が行われ、大阪地連と呼びかけに集まった東京地連の仲間359人で抗議行動を行いました。
 この行動は第一交通に不当解雇された佐野南海労組55人の解雇撤回と争議の早期解決を目的に行われ、早朝から田中亮一郎社長宅がある尾山台駅周辺で宣伝行動を行い、駅に向かう市民に第一交通の無法ぶりを訴えました。
 玉川区民会館では決起集会が行われ、堀川委員長は「私たちは佐野第一を再開させることを目標にこれからも全力でがんばりますので引き続き支援をお願いします」と決意表明。その後東京本社前で抗議行動を行い、要請書を手渡しました。



乗務日報から加重労働判明

茨城地連 審査請求

労災不支給の取り消し求める

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労働局に対して審査請求する茨城地連の仲間=2月4日、茨城労働局
 【茨城】茨城地連は2月4日、茨城労働局を4人で訪ね菅谷茂穂さんの「労災申請不支給決定の取り消し」を求める審査請求を行いました。
 昨年8月、茨交大洗労組の菅谷さんが帰宅後に脳出血で倒れ、労災申請をしたところ、労基署から1月16日、労基法施行規則の「業務に起因して発症したもの」には該当しないとして、不支給決定書が届けられました。
 不支給決定の判断として労基署は「残業時間が足りない」「家族や従業員からも事情は聞いた」としていますが、乗務日報などを調査したところ、終業時を過ぎての実車や、16時間を超えて就業していたなどの事実が判明。そこで不支給の取り消しを求めることになりましたが、家族と単組から裁判では費用が心配との申し出があり、今回審査請求をすることにしたものです。
 家族を代理人として照沼委員長や地連が支援して請求書を提出しました。



無許可営業ミナトタクを告発

運賃値下げ競争にストップ

宮 城

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ミナトタクシーの無許可営業はマスコミでも大きく報じられた。=河北新報
 【宮城】東北運輸局は1月14日、宮城地連の指摘により29年間無許可営業をしていたミナトタクシーを道運法違反の容疑で宮城県警に告発。また同関連会社に対し、14台を20日間使用停止にする行政処分を行いました。
 同社は昨年夏、東北では初めて初乗り運賃を340円(小型)に値下げする申請を行い、運輸局もこれを認可。しかし同社がタクシー営業の許可を受けずに29年間も無許可で営業していたことが発覚しました。
 この事実が明るみになったのは、昨年9月の運輸局交渉で地連が領収証の会社名が許可事業者と異なることを運輸局に指摘。座り込みなどの抗議の結果、運輸局が監査を行ったところ無許可営業であることが発覚し今回の告発となりました。
 今回の宮城地連のとりくみが、仙台市を中心にした運賃値下げ競争の動きを止め、タクシー経営者団体からは地連に「規制緩和の弊害を労使で共に正していこう」と組合に対する信頼が高まっています。宮城地連では今後も運賃値下げ競争を許さない方針です。



読まれる機関紙めざして

東北ブロック・第19回教宣学校

内外から25人が参加

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パソコンを使って機関紙作りに挑戦する教宣学校参加者=2月7〜8日、宮城・松島
 【宮城】自交総連東北ブロックは宮城県機関紙協会と共催で第19回教宣学校をひらきました。山形地連の仲間が大雪の中、車が故障して参加できないハプニングもありましたが、宮城・福島地連の他、医療や地域からの参加者も含め25人が参加しました。
 学校では、「読まれる機関紙づくりをめざして」の学習ののち、手書き・パソコン・レタリング・見出し研究の分科会に分かれて実践。手書きでは、2班に分かれて新聞をつくり、パソコンでは、初めてパソコンを触ったという人も含めて編集ソフトを使って一人1紙面をつくりました。
 宮城の大島さんは、機関紙が働く仲間に対しいかに大切かを学ぶことができた、と話していました。



警察庁

防犯に対する指導・訓練徹底を

タク強盗防犯対策会議ひらく

 2月16日、警察庁の呼びかけで第2回タクシー強盗防犯対策会議がひらかれました。
 警察庁生活安全企画課吉田課長はじめ、国交省自交局旅客課関口課長ほか2人、全乗連、東旅協、個人タクほか、タクシー強盗事件の多い東京、大阪、埼玉、千葉、福岡の各ハイタク協会の代表、同府県警本部の代表、労働者側から自交総連久賀書記次長、全自交待鳥書記長が出席しました。
 今回は、警察庁として防犯責任者を1人指定する、乗務員の平素の心構え、防犯設備などの「タクシーの防犯基準」が示されました。
 自交総連から、新人や女性ドライバーには必ず防犯に対する指導教育・訓練を行ってほしい▽春・秋に行われる交通安全期間中に地域の警察署から担当を呼んで必ず開かれる職場講習に、必ず防犯指導・訓練を盛り込んでほしい▽大きめの防犯ガラス・100%設置・声が通るように助手席側に小さな穴を開ける▽シートベルトを引っ張られない構造的な改善に加え、シートベルトを引っ張られ身動きできなくても防犯装置の操作ができること▽「防犯カメラ設置車」のステッカーを貼ることとイミテーションでもいいから助手席前方上にカメラのレンズと分かるものを備え付けてほしい、などの要望意見を述べました。
 警察庁として今週中に、さらに意見を取りまとめ基準を策定することになりました。



許すな!年金大改悪

財源あるのに負担増、給付減押し付け

 政府自民党・公明党は年金制度の改悪法案をまとめ、今国会に提出して、今年10月実施をねらっています。

負担増と給付減

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
 この改悪案は、一旦決まれば、いちいち国会を通さなくても、今後十数年間自動的に保険料が上げられ、給付も下げられる構造的な大改悪です。最終的に保険料は35%アップ、年金額は15%ダウンとなります(図1)。
 政府・厚労省は、少子高齢化を改悪の口実としています。世代構成が変化するのは事実ですが、負担を増やさず年金制度を維持することは可能です。

雇用改善で年金の
支え手を増やす


 リストラで労働者の賃金が減り、正社員の減少や失業者の増大で本来厚生年金に加入しているべき人が加入しなくなっているため、年金の保険料収入が減っています(図2)。
 労働条件を改善して、失業を減らせば、保険料を値上げしなくても年金財源を増やすことができます。
 しかも、日本の場合は、社会保障の使用者負担が少なすぎます。莫大な利益をあげている大企業にも応分の負担を求めていくことが必要です(図3)。

国庫負担引き上げ

 基礎年金に対する国庫負担は、直ちに2分の1に引き上げることが必要です。国会で決議されているのに政府はサボってきました。
 必要な財源は年間約2・7兆円ですが、この間の大企業減税(減税分3兆円)の見直しなどで十分手当できます(図4)。

巨額な年金積立金
の計画的活用


 公的年金全体での積立金(貯金)は約200兆円にもなっています。この額は諸外国と比べても異常に突出しています(図5)。
 しかも厚労省は、今後50年間で積立金をさらに積み増す計画を立てています(図6)。
 運用収入で年金財政に貢献するというのがその理由ですが、実際には株式投資などで累計6兆円もの損失を出し、グリーンピア事業(ホテルや保養施設)では4000億円もの無駄遣いをしています(図7、8)。
 これらの資金運用を行っているのが年金資金運用基金ですが、その理事長は厚労省事務次官の天下り、理事には金融資本の代表が座っています(図9)。
 高齢化社会のピークに合わせて積立金を計画的に取り崩していけば、年間4〜5兆円もの原資が生まれます。

税金の取り方、
使い方を変える


 政府は、年金財政の財源として、消費税の増税をねらっていますが、この間、庶民には消費税増税が押し付けられる一方で、大企業や大金持ちには大幅な減税が行われてきました(図10)。
 税金の取り方、使い方を変えれば、消費税を上げなくても、社会保障を充実させることはできます。
 このひどい年金改悪に、4・15ストでストップをかけましょう。



自 交 総 連