自交労働者No.647、2005年6月1日

賃金は生活保護基準以下

「もう生活できないよ」

九州ブロック宣伝行動 現場からは生活苦の声

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乗務員にビラを渡し、対話を行う行動参加者=5月16〜17日、長崎・佐世保市
 【福岡】九州ブロックは5月16〜22日、九州地方での組織拡大宣伝行動にとりくみ、長崎、佐賀、鹿児島、大分の各駅頭で、ビラ宣伝を行い、1400kmの行程に、総勢23人が参加しました。

 宣伝行動の対話では、「足切りに到達できず賃金が減っている。このビラに書いてあるとおり生活保護基準以下でもう生活できないよ」(長崎)と、数字的な話でなく、現場の実態からも、賃金が生活保護基準以下である話が聞かれました。

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客待ちをするタクシーへのビラ配布=5月17〜18日、佐賀駅

 タクシー運転免許制度については、ほとんどの乗務員が知らないようすでしたが、説明すると、「それはすばらしい制度だ。一日も早く実現してほしい」と賛成する声が多数寄せられました。また、大分での宣伝では、乗務員が車を降りて近づいてきて、「自交総連のことは知っている。これからもタクシー運転手のためにがんばってほしい」などの激励も受けました。(岩野直文) 



05春闘

ハイタク、56組合が妥結

現行維持+αの回答で決着

 第3回中闘で決めた5月中の最終決着をめざす統一行動などのとりくみの結果、現在(5月23日)までに、ハイタク56組合、自教18組合、バス・トラック他6組合で妥結となっています。

 妥結内容(了解含む)を見てみると、現行維持で妥結する組合が大半ですが、現行維持プラス解決金2万5000円(大阪・豊中)と、現行維持プラス解決金での解決も多く見られます。また、その他として、足切りの引き下げや、有休の改善、年金受給年齢の引き下げにともなう定年の延長、帰路高速料金の会社負担など、何らかの職場要求をかちとっての解決も見られます。

 一方の自教では、東自教6労使集交が2600円で妥結。支部交渉でも、争議状態の所沢中央自教支部を除きほぼ妥結しています。

 また、バス・トラック・その他関係では、大阪・アクロス(バス)=一時金現行年間18万円に月額5000円(年6万円)プラス、定年延長合意、奈良=ランド&プラザ=1900円などの回答がでています。



解決基準ふまえ最終決着を

第3回中闘 春闘状況、政策問題など論議

 自交総連は5月11日、東京・自交共済事務所で第3回中央闘争委員会(第5回常執)をひらき、春闘の最終決着にむけた対策などを論議しました。

 会議では、各地の春闘状況が報告され、東京・大阪などで現行賃金体系を維持したうえで一時金や解決金などを獲得して解決している例や足切りの引き下げ、定年の延長など諸要求でも前進している例が報告されました。依然として未決着の職場も多数あることから、各地方では解決基準((1)現行+α(2)1職場1重点要求(3)政策合意)をふまえて5月中最終決着をめざすこととしました。

 政策問題では、仙台での協議会設置や国交省での「あり方研究会」での議論、国会質問などの状況を分析、タクシー規制緩和と労働者の異常な低賃金について世論の関心が高まり、行政もそれを無視できなくなっていることをふまえ、各地方で労働局交渉を行い地域的に最賃違反や累進歩合を是正させる、事業者・労働団体との共同の前進をはかることなどを決めました。



宮城地連

6年ぶりに集交が成立

政策要求の実効に期待

 【宮城】宮城地連では、05年春闘統一要求事項の一つとして、集団交渉の実現をめざしてきましたが、制度政策要求についての集団交渉を実施することで、4月22日に、経営側と合意しました。(名称は、制度政策懇談会)

 99年に、集団交渉が崩れてから6年ぶりとなるこの交渉には、仙都、仙台、日交、昭和の各労使が参加を表明。他にも参加を予定しているところもあります。

 今、仙台市では、多すぎるタクシーによる問題の解決をめざして、「仙台圏におけるタクシー問題協議会」が開催されていますが、この集団交渉では、減車の方法や、運賃問題、タクシードライバー法などについて、話し合いを行い、実効を上げることを目的としています。

 また、この間、宮城地連では、仙台市におけるタクシー政策を提案し、追求してきましたが、仙台市に対し、その実現を労使で迫るものになります。

 5月中の第1回目の開催をめざし調整中です。




タク労働の環境の連絡会議を設置

国交省  最賃法遵守に自主点検実施
厚労省

 国土交通省と厚生労働省は5月11日、「タクシー運転者の適切な労働環境の確保に関する連絡調整会議」を設置。労働者の労働条件を中心に、調査や合同監査などを検討していくとしています。

 検討課題の内容は、実態把握と法令遵守など事業者指導についてで、具体的な方策として、地方運輸局・労働局による合同監督・監査による事業所への立ち入りや、既存の「相互通報制度」の拡充・強化など。また、従来の過労防止の視点だけでなく、賃金に踏み込んだチェック体制を模索するとしています。

 また、最賃法の遵守については、厚労省がリーフレットと点検表を作成し、事業者の自主的な協力を求めていくとしています。

 今回の調整会議設置について自交総連本部の今村書記長は「自交総連が粘り強く要求してきたことが一歩前進したといえるが、実態調査については、点検表を作成して、事業者の自主的な協力ということで、それでは、実態と異なる報告をされたらどうするのかとの疑問も残るが、今後の運営については、労働組合のチェックが強く求められている」との見解を指摘しました。



魅力ある自交総連をめざして

山口地連 組織拡大宣伝行動を展開

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乗務員にビラと機関紙を渡し対話する山口地連の仲間=5月12日、山口・宇部空港駐車場
 【山口】山口地連は5月12日、県下で組織拡大宣伝行動を行い、「タクシー運転免許の法制化」を求める署名も集めました。

 この行動は組織拡大3か年計画に基づき、組織の減退に歯止めをかけ「仲間を増やし、組織の力をつけ、魅力ある自交総連の確立を」の課題達成をめざすために行われました。

 宇部地域では、空港待機の乗務員を対象に宣伝、乗務員からは、「このままではあと10年も経ったら若い運転手が居らんようになる」「大きな企業しか残らんようなるやろ。大きな企業が残っても労働条件は下げられるだけでもう魅力もない」との声がありました。また「タクシー運転免許」については、「台数制限につながるならそれはいいこと。署名なら何ぼでもしちゃる」と自交総連に対する期待もありました。

 新山口駅や小野田駅では第一交通の乗務員も待機しており、いま大阪で係争中の事件をビラで読み驚いていました。

 今後山口地連では、組織拡大月間だけの行動でなく、本部の大型宣伝カーを活用し、引き続き県内街宣を展開していく方針です。(浜村政幸)



どうなる 日本の憲法

海外での自衛隊の武力行使が可能に

くらしの予算は削られ、人権抑圧も

(3)憲法が改悪されるとどうなるの

 今回は、憲法が変わったらどうなるのかです。いよいよ本格的になってきた憲法改悪の策動、はたして今の憲法が変わったら日本はどのように変化してしまうのでしょうか?

社会のしくみが戦争をする国に

 自民党の改憲案でも「まずは9条を変えて、自衛隊を軍隊として位置付け、そして集団的自衛権の行使も可能となるようにする必要がある」と改憲の最大のねらいをはっきりと指摘しています。また、民主党案でも国連協力による海外での武力行使を憲法上位置付ける構想になっていますが、現在は9条により、自衛隊が海外で武力行使をすることはできません。しかし憲法に軍隊設置が明記されれば、社会のしくみも戦争をする国へと大きく変えられることになります。

攻撃的兵器が増え軍事費も増大

 憲法に軍隊の設置が盛り込まれ、戦争に参加することになれば、軍事費の増大は必至です。現在、日本の軍事費は国内総生産の1%の大枠で押さえられていますが、これも憲法9条があるからこそ歴代政府が破ることができなかった枠です。それも取り払われ、攻撃的兵器が増やされることになります。

くらしを圧迫、消費税も大幅増

今回の関連条文
 【第25条】(1)すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
 (2)国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 軍備が増強されれば、社会保障や、教育、くらしの予算は大きく圧迫されることになります。この間、政府与党は、憲法25条で定める社会保障における国の責任を薄め、連続して年金や医療、福祉などの国民の負担を増やし、給付を削ってきました。憲法が改悪されれば国民の負担増は必至です。消費税も大幅に増税(政府、財界とも10%台への引き上げを検討)されることになります。

国民の人権が抑圧されることに

 憲法を変え、「戦争する国」になれば、戦争遂行のために機密保護法などが制定され、表現の自由や「知る権利」、思想・良心の自由などの国民の人権が抑圧されることにもつながります。

 また、先に成立した武力攻撃事態法により、企業も戦争に協力させられることになり、従わない場合は罰則を受けることになります。

自衛隊の憲法明記は必要?

 これまで政府や自民党は、憲法は自衛の軍隊まで禁止していないと拡大解釈し、自衛隊は憲法違反ではないとしてきました。ここにきて、自衛隊を憲法上も位置付けるべきだと主張するのは憲法を変えることを国民に納得させる口実のひとつです。

 また、北朝鮮の脅威も叫ばれていますが、日本(防衛関係費世界第2位)を攻めることはありえません、戦争を起こせば自滅することは充分知っています。



新加盟のなかま  (714)東京・平和交通労組

みんなのために闘いたい

 【東京】大田区にある平和交通で働く仲間は4月1日、平和交通労働組合(小久保勉委員長代行、7人)を結成、自交総連に加盟しました。

 同社には全自交労組がありましたが、春闘要求での対立から役員をリコールされたため、みんなのために闘いたいとして結成、加盟することになりました。

 これまでに2回の団交を行い、(1)組合事務所、(2)チェックオフ、(3)掲示板の設置を要求し闘っています。



新加盟のなかま  (715)大阪・自交総連岸和田交通労組

働きやすい職場にしたい

 【大阪】岸和田市にある岸和田交通で働く仲間は5月10日、自交総連岸和田交通労働組合(市原知博委員長、5人)を結成、自交総連に加盟しました。

 以前は別の単産に加盟し活動していましたが、労働者の利益を守り働きやすい職場にするには自交総連が必要として今回加盟することになりました。

 結成大会後、午後から会社に行き同日付けで組合結成を通告しました。



自 交 総 連