自交労働者No.683、2007年2月1日

運転者登録制の骨抜き許すな


国交省旅客課

事業者の意向で地理試験やらない


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実効性ある登録制度とするよう強く求める自交総連の代表
 タクシー運転者登録制度の実施をめぐって国交省がその内容を骨抜きにする動きを強めていることから、自交総連本部では1月19日に緊急に抗議し、実効ある登録制度とするように求めました。

 運転者登録制度は、交通政策審議会タクシー小委員会がまとめた昨年7月の報告で、政令指定都市への導入や地理試験の合格を登録の要件することが明記された制度です。

 ところが、その制度の実施のための法案作成作業をすすめている国交省は、昨年末に政令指定都市の静岡と指定が決まっている浜松・新潟は対象地域から除外することにしたうえ、今年に入って、制度の根幹である地理試験でさえ行わないという、はなはだしい制度の歪曲、骨抜きの方針を打ち出しました。

国交省の登録制「骨抜き」構想
交政審タクシー小委員会報告(06年7月)
「少なくとも政令指定都市について導入することを基本として、対象地域の拡大を図る」
「地理試験の合格を運転者登録の要件とすることが必要である」
国交省の構想(07年1月)
政令指定都市(予定)の静岡市・新潟市・浜松市は当面除外する方向
地理試験は、既に実施している東京、大阪に限定、その他の地域では義務付けない方向

 いずれも事業者団体の説明会で旅客課長らが意見交換した後に変更されたもので、「資格を厳しくされると困る」という経営者の身勝手な意向に迎合したものです。

 今村書記長ら3人が参加した抗議・要請に、旅客課の蔵持課長補佐(総括)らは、実効性は守りたいなどといいながら、変更が一部の事業者の意向によるものであることを認めました。

 【抗議先】〒100-8918 東京都千代田区霞ヶ関2−1−3 国土交通大臣 冬柴鉄三殿
 Fax 03−5253−4192
 【抗議文例】交政審タクシー小委員会報告の歪曲・骨抜きは許されない。地理試験の実施など実効性のある制度構築を行え。

 自交総連では、緊急に各地方、単組・支部に指示して、国交省への抗議・要請の集中を行い、実効性のある登録制度となるよう再検討することを強く求めています。



東京地連

局は運賃認可の責任果たせ

新春宣伝行動を展開


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通行人にビラを配る東京地連の仲間=1月10日、東京・霞ヶ関
 「国土交通省・関東運輸局は、運賃認可の行政責任を果たせ」をビラの見出しに掲げた宣伝行動が新年早々の1月10日に東京・霞ヶ関で行われました。

 これは、東京地連が12年ぶりの運賃改定にむけて国土交通省の姿勢をただすことを目的に、立ち上がり早い行動としてとりくんだものです。行動には93人の組合員が参加。午前11時から地下鉄の出入り口を中心に1時間にわたり2000枚のビラを配布しました。

 宣伝カーからは、東京地連の高、徳永、早川副委員長が「運賃改定問題で、休車したタクシーの経費を利用者に負担させるのではなく減車で適正車両数にすること。申請理由に基づく労働者の労働条件改善を」などを訴えました。

 さらに、本部から緒方(福岡)、石垣(宮城)副委員長と大阪の久保書記長が、各地方の実情を訴えました。

 この行動を、2・1全国宣伝につなげることが重要です。



宮城地連

本省へ強く要請しろ

「再度意見をあげる」


 【宮城】宮城地連は12月18日、運転者登録制度の導入について東北運輸局と交渉を行い、地連から8人が参加しました。

 対応した熊沢旅客二課長は、運転者登録制度について局は、「登録事務は任意団体も含め、信頼性のある団体に委託し、そこが行う一定の講習をもって要件とする。地理試験合格は登録の要件にしない」と答えました。

 また、運賃値上げについては、「事後チェック強化はするが、労働条件はあくまで労使間の問題」と回答。前回運賃値上時の要件として経営に課した労働条件への反映を約束させる「賛同書」からも大きく後退するものとなりました。新規参入、増車業者への対応については、「事業計画に合致しない運転者数では許可していない」と回答しました。

 交渉に参加した組合員からは「骨抜きだ。本省へ我々の声をもっと強く要請しろ」と批判の声が次々にあがり、熊沢旅客二課長は「今日の要請を真摯に受け止め、再度本省に意見をあげる」と約束を交わしました。



はたらくみんなの要求アンケート

仕事に将来性感じない67%

「生活苦しい」もあいかわらずの高水準


 「はたらくみんなの要求アンケート」の集計結果がまとまりました。回収枚数は23地方、9102枚、回収率は40・4%でした。
●回収率、平均勤続、経験、年齢
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全体の4分の3が50歳以上

 平均年齢は前年より0・7歳伸びて53・6歳、勤続は0・4年伸びて10・6年、経験は0・3年伸びて13・9年でした。また、年齢構成では、60歳以上が前年よりも増え、27・3%と3割に迫り、50歳以上が74・6%と4分の3を占めています。40歳未満はわずか8・6%しかいませんでした。

●年齢構成の推移
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あいかわらず苦しい生活実感

 生活実感では、「かなり苦しい」と「やや苦しい」を合わせて81・7%となり、昨年(84・0%)よりは減りましたが苦しい生活を余儀なくされているのはあいかわらずです。

●生活実感
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賃上げ要求3万円以上は52・8%

 賃上げ要求では、平均要求額は3万6836円と前年より459円減っていますが、5万円以上と答えた人が34・7%、3万円以上が52・8%と半分を超え、賃上げを求める声自体は切実です。

●職種別の賃金引上げ要求
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職場不満、多数が賃金安いと回答

 政府に対する要求では、(1)年金改善55・4%、(2)増税反対46・3%、(3)最低賃金引き上げ43・5%が上位となりました。

 また、「いまの職場でとくに不満に感じること」を聞いたところ、全体では、(1)賃金が安い74・0%、(2)労働時間が長い35・3%、(3)有休とれない28・6%の順でした。賃金、労働時間の点での不満が多いということで、このことについて少しでも改善されることが求められています。

●政府に対する要求(複数回答)
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●いまの職場でとくに不満に感じること(複数回答)
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仕事は好きだが、将来性は感じない

 タクシー乗務員に限って聞いた仕事に対する意識では、乗務員という仕事が好きかどうかでは、好き32・9%、嫌い14・8%で好きというプラスのイメージが上回っています。

 しかし仕事にやりがい、誇りを感じるかどうかでは、感じる24・3%、感じない45・1%とマイナスのイメージが逆転、将来性を感じるかどうかでは、感じる8・0%に対して感じないが67・3%と圧倒的多数です。

 アンケートからは、「タクシーという仕事は好きだが、誇りは持てず、将来性は到底感じることができない」というタクシー乗務員の意識が浮かび上がってきます。自交総連が追求している、タクシーを誇りが持てる職業とするためのタクシー運転免許の実現は、労働者の意識の上でも重要な課題だということがわかります。

●仕事に対する意識(タクシー乗務員のみ)
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議員団と自交総連の共同強化を

運転者登録制度で議員と懇談


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穀田(正面左)、小林(正面右)両議員と懇談する自交総連の代表=1月16日
 通常国会が1月25日に開会されることが明らかになったもとで、自交総連は1月16日に日本共産党の穀田恵二衆議院議員と小林みえこ参議院議員(いずれも国土交通委員会の委員)との懇談を行いました。自交総連からは、飯沼委員長をはじめ小林・菊池書記次長、東京地連の石毛書記次長が参加しました。

 懇談の目的は、交政審・タクシー小委員会報告に基づく「運転者登録制度」の導入に関わる法改正(タクシー業務適正化特別措置法)問題と運賃改定問題について、議員団と自交総連との共同の闘いをいっそう強化するためです。

 とくに、07年に入り国土交通省が、運転者登録制度について「地理試験の合格は適正化事業を実施している地域に限定」することを示したことは、交政審小委員会報告に逆行するもので、国民を欺くものとして、国会で徹底審議を求めました。

 労働条件の改善を理由とした運賃改定では政府・国土交通省が認可する制度なのに「賃金問題は労使で」として、運輸局を含め省は「一切関知しない」と認可責任を放棄する姿勢を明らかにしていることから、タクシーの「安心・安全」を向上するために徹底追及し、政府責任を果たさせるためにお互いに奮闘することを確認。今後、利用者の声など幅広い情報を交換することを約束しました。



3月6日に中央行動実施

第2回常執

春闘方針案を補強、確認


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3・6中央行動の実施などを確認した第2回常執=1月10日、自交共済会議室
 自交総連は1月10日、第2回常任中央執行委員会(於東京・自交共済会議室)をひらき、2007年春闘方針案について、各地方からの意見を踏まえ補強し確認しました。

 同時に、運賃改定問題が全国的になっているもとで、自交総連中央行動として3月6日に「労働条件の改善と実効ある運転者登録制度の実現 タクシー輸送の安心・安全、労働者に誇りと働きがいを3・6中央行動」を交運共闘の仲間とともに東京・霞ヶ関と国土交通省にむけて実施することを確認しました。

 各地連(本)に対しては、中央行動の事前行動として(1)学習会、討論集会の開催と意思統一、(2)春闘スタート2・1宣伝行動の実施、(3)行政当局・経営者団体へのいっせい申し入れ行動を必ず実施することを求めています。

 2007年春闘方針案を含め統一行動などは第29回中央委員会で提案され討議されます。



新加盟のなかま  (730)北海道・函館オーシャンタクシー労組

労働条件改善めざして

 【北海道】函館市にある函館オーシャンタクシーで働く仲間は12月10日、函館オーシャンタクシー労組(菊地敏彦委員長、22人)を結成、自交総連に加盟しました。

 最低賃金不払いなどの労働条件改善をめざして、全労連函館地区労連、相互交通労組や執行部からの指導、地連発行のニュースなどを見て結成しました。

 昨年の12月22日には第1回目の団交をひらきました。



新加盟のなかま  (*)石川・コスモ交通労組

安心して働ける会社に

 【石川】金沢市にあるコスモ交通で働く仲間は1月8日、自交総連コスモ交通労組(中川勤委員長、20人)を結成、自交総連にオブザーバー加盟しました。

 会社では、交通事故などを理由とする一方的な解雇や、「いやならやめていけ」「会社をいつたたんでもいい」などの社長の横暴があり、安心して働ける会社にしたいとして地連に相談し結成しました。加盟後、結成通告と要求書を提出しました。



自 交 総 連