自交労働者No.684、2007年2月15日

かちとれ!賃上げ 組織の拡大


07春闘は反転攻勢のチャンス

第29回中央委員会ひらく


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春闘勝利にむけ団結がんばろうをする参加者=1月30〜31日、東京・全労連会館
 自交総連は1月30、31日、東京・全労連会館で第29回中央委員会をひらき、2007年春闘方針を決めました。中央委員会では16人が発言、各地の厳しい労働実態や組織拡大の経験などを報告しました。決定した春闘方針では、全組合が春闘要求を提出すること、実効ある運転者登録制度の実現や運賃改定での労働条件改善の確保、3・6中央行動、組織拡大――などにとりくむことにしました。

飯沼委員長のあいさつ

 07春闘は、反転攻勢の絶好のチャンスでもあります。

 まずは、すべての組合が、要求を確立し、必ず要求書を提出することが重要です。

 ハイヤー、自教、観光バスでは、企業の社会的責任や経営者モラルを問う政策要求の実現を迫る闘いとの結合によって、賃上げと底上げ闘争の強化をはかる必要があります。

 タクシーでは、全国的な広がりを見せている運賃改定に対するとりくみを重視しなければなりません。

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飯沼委員長

 運転者登録制度の骨抜きを許さず、タクシー運転免許の実現へ近づけるためにも、今後、実効性のあるものとするために全国的な運動を展開しなければなりません。

 私たちは、歴史的な闘いの第2ラウンドに対し総力をあげて臨まなくてはいけないと考えています。

 賃金・労働条件を改善するために、自交総連に結集している組合員一人ひとりが、強い意思と決意を持ち、闘いに参加すること。私たち自交総連が闘い続けてきたからこそ、国交省は事実上、規制緩和見直しに着手し、運賃改定の動きが本格化したことに、確信を持っています。

 今こそ、その運動の歴史に学び、原点に立ち返り、闘うときだと考えています。

 そしてすべての闘いが組織拡大につながるよう奮闘しましょう。

 今年は、一斉地方選挙、参院選挙も行われます。国民本位の政治に転換させるために政治戦とも結合し、春闘を前進させることを訴えるものです。



政府と企業追い詰める闘いを

来賓3氏があいさつ


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小田川事務局長
成果かちとるために闘おう

 全労連・小田川義和事務局長 労働法制改悪、規制緩和の攻撃への対抗軸は、まともな雇用、まともな賃金での働きかたの確立を求め、職場と地域の双方で企業と政府を追い詰めることだ。07年春闘ではそのチャンスが訪れているので具体的な成果をかちとるためにともに闘おう。

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須藤弁護士

闘えば必ず前進する時代だ

 顧問弁護団・須藤正樹弁護士 いま日本の社会は大きくきしみだしている。闘えば必ず前進する時代なので闘うことは必要だ。運賃値上げの闘いや、運転者登録制度の実施とともに、弁護団としては憲法改悪と労働法制改悪の2つの改悪についてみなさんと一緒に闘っていきたい。



増車・運賃値下げ競争に歯止めを

中央委員会討論

仲間を増やし政策要求実現

13地方から16人が発言


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全組合が要求を提出して闘うことなど07春闘方針を決めた第29回中央委員会
要求を一つでも多くかちとる

 福島・大和金一さん 前年度に比べ、運送収入が大きく低下し、数社で給与遅配などが起きている厳しい経営状態の中、生き残り策の近道として賃下げ攻撃がされることは十分予測できるが、労働者犠牲の生き残り策ではない真剣な議論をしなくてはならない。要求を一つでも多くをかちとる闘いをする覚悟だ。

第2ラウンドを歴史的な闘いに

 東京・舞弓義隆さん 春闘では、交政審報告を実効性あるものにするために、行政に向けた行動や世論喚起に向けた運動を頂点へと盛り上げていかなければならない。今組合員が最も自交総連に期待していることは、タクシー運転免許の実現と労働者が主人公になることだ、そのために第2ラウンドを歴史的な闘いにしよう。

要求取り上げる政党の躍進を

 大阪・松原伸一さん この5年間規制緩和の流れを断ち切るためにさまざまな運動を展開し、交政審報告で、タクシーの規制緩和が当初の目的を達していないことを事実上認めさせたことは記憶に新しいが、将来的にもタクシーを魅力ある産業にするためには、私たちの要求を取り上げてくれる政党を躍進させることが必要だ。

自教支部再構築へ3点を提案

 神奈川・小原淳一さん 自交総連の自教支部再構築について、(1)現存する自教支部の相互の交流を図る受け皿を作ってほしい、(2)東京・神奈川の仲間について、強力な復帰の働きかけを行う、(3)他の全労連内にある自教組織との協議または、合同の交流の場として新しい自教共同センターをつくる――の3点を提案したい。

実勢1000人の地連をめざす

 静岡・青島孝吉さん 昨年の役員改選で選出され、全労連の会議にも参加し、青年部の人たちと交流して、非常に勉強になった。地連の組織拡大も、本部、関東ブロックの協力を得て、初めて伊豆地区及び県東部に組織拡大のキャラバンを組んで宣伝行動をして、早期に実勢1000人の地連に到達するようがんばりたい。

集団の知恵でとらえる能力を

 石川・奥護さん 新規参入の事業所で新しく組合が作られたが、結成大会の場ではタクシー会社では考えられないような初歩的な要求が出された。これらは、規制緩和で、事業の疲弊化など、さまざまな問題が複合的に現れたもので、このような事態には集団の知恵で職場を丸ごと、複眼でとらえる能力を高めたいと思う。

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提案された議案を採択する参加者

運賃値上げ闘争にむけて学習会

 京都・安井暁さん 運転者登録制については後退するものとなったが、あきらめるのではなく、まくりかえす闘いをすればいい。運賃問題では、値上げされても増収に結びつく実感がないのと、ノースライドの闘いについて教訓がないので、輸送実績などの資料を使い、運賃値上げが増収に結びつくという学習会をひらいた。

組織拡大の宣伝行動に全力を

 大分・衛藤和範さん 運賃改定では運輸局交渉や一部の経営者とノースライドの確約を取ってはいるが、さらなる運動の強化が求めれている。また、運賃ダンピングも横行しているので、この問題にもとりくまなければならない。運賃問題での自交総連の態度は表明されているので、組織拡大の宣伝行動に全力をあげた。

労使での政策懇談会で話し合い

 東京・芳賀善之さん ハイヤーでは、料金は下げ止まっている状況であるが、顧客から値下げ圧力があり、実際はタクシー運賃より安い場合もある。賃金については、昨年からブロック加盟単組の労使による経営政策懇談会を立ち上げて、各企業規模ではなく、業界としての今後のあり方などを話し合うという試みを始めた。

組合の持つ意義重大さを実感

 福岡・宇野誠二さん 幹部請負主義による幹部育成の遅れへの対策として、各単組での学習の強化及び、幹部の活性化、組織拡大の重要性を説き、今後重点的にとりくんでいきたい。また、宣伝行動では、あきらめの声を聞いた。組合のない労働者は、労働条件を何も知らず、組合の持つ意義、重大さがよく勉強になった。

学びたいという意欲が重要だ

 鹿児島・師岡満さん 鹿児島地連では、新春旗開きで、鶴丸交通労組の西原委員長らから単なるセレモニーに終わらせるのではなく有効に活用したいとの要望があり、学習会を行ったが、このことは、明るく、画期的なことだ。知らないことを知らないと言える勇気、知らないことを学びたいという意欲が重要だ。

解雇撤回にむけ全力で奮闘する

 山口・守重正一さん いま組合員の解雇撤回にとりくみ、会社に団交を申し入れている。この解雇を許せば次々と労働条件の悪化を招くおそれがあるので、なんとしても阻止しなければならない。もし団交でも会社が解雇を撤回しなければ裁判闘争ということになるが、そのときはみなさんのご支援をお願いしたい。

多くの職場で闘いがおきている

 埼玉・吉田貴一さん 賃金は10年以上減少を続け、低賃金を補うための長時間労働による健康破壊も進むなど、タクシー労働者には厳しい現状だが、事態は大きく変わろうとしている。規制緩和失敗が明らかになっていく中、地連加盟の多くの職場で、賃上げ、増車反対にむけた闘いがおきている。



総括討論


すべての課題を組織拡大と連動

 宮城・青野邦彦さん 未組織乗務員への労働実態アンケートでは、家庭崩壊など深刻な回答があり、自交総連に対する期待も大きいものがあった。春闘では、全国的な課題、各職場での獲得目標とさまざまな問題にとりくんでいかなければならないが、運動を構築し、すべての課題を組織拡大へ連動させて臨む。

春闘の必要性が高まっている

 東京・川崎一則さん 貧困化の急速な進行によって、格差が社会問題化し、憲法問題も重大な局面を迎えているいま、命とくらしを守るには闘わざるを得ないと多くの労働者・国民が気づき、春闘の必要性は高まっている。そういう情勢の中、12年ぶりの運賃改定という局面を迎え、増収分を労働条件改善へ確実に充当するとりくみは重要だ。

政策要求では集交の形成めざす

 大阪・庭和田裕之さん 大阪地連は春闘では、政策要求での集団交渉の形成をめざす。これは、増車、運賃競争などの問題に、労使の協力・共同で解決への道を作りたいとの思いと、嘱託・定時制労働者の労働条件向上が目的で、これらの問題を真正面に掲げ、魅力ある業界への改善とすべての労働者の労働条件向上に奮闘する。



春闘は情勢に対する
認識が試される場

執行部まとめ

運動前進への確信重要


 執行部答弁に立った今村書記長は、冒頭、司馬遼太郎の短編から、『見える目と見えない目』という言葉を引用し、07春闘では、情勢に対するわれわれの認識度が試される場面であると指摘。見える目を持って職場に帰り、有利な条件を生かして春闘を大きく前進させなければならないと述べました。

 そして、「高い位置から見えたもの、それはまさしく中央委員会討論そのものの中にあった。様々な苦労、困難、地域実情の違いがあるとは思うが、高い視点から全国情勢をとらえ、運動前進への確信を持って臨むことが重要」と強調しました。

 さらに同書記長は、07春闘における労働組合の任務について言及し、本業主義に徹した要求闘争の重要性をふまえ、すべての職場組織が賃上げなど実利・実益を実現させるため、要求書を提出し闘いのスタートを切るように呼びかけました。

 また、ゆがんでしまった日本を正す“もうひとつの日本”をめざす大運動の先頭に立ち、来る二大選挙戦では、悪政ノーの審判を明確に示す結果をかちとろうと政治革新への奮起を促しました。



2007年春闘アピール

2007年1月31日

自交総連第29回中央委員会


 自交総連は本日、『有利な条件生かし、かちとれ! 賃上げ、組織の拡大 07春闘』をスローガンとする07春闘方針を決定しました。

 自交労働者は、規制緩和政策により、くらしも権利も悪化の一途をたどっています。さらに安倍内閣が進める大増税、憲法改悪に加え、労働法制や社会保障の改悪などによって、さらなる状態悪化が予想され、この国の社会は、弱者が切り捨てられ、強者に富と力が集中する姿へとますます変貌しようとしています。

 その半面、私たちの闘いによっては、いま≠正し、明日を拓くことができる時代でもあります。

 その第1が、新道路運送法施行以来の実態告発、規制緩和の失敗に対する責任追及の闘いにより、タクシー労働者の労働条件改善や誇りと働きがいを確保する課題において運転者登録制度の導入が検討されるなど有利な条件が生まれていることです。

 第2は、労働条件改善を主要な理由とする運賃改定の流れが顕著になっていることです。今回の運賃改定では、その結果を必ず賃上げ、実収入増に結実させることが重要です。

 自交総連は07春闘で、これらの有利な条件を生かすためにも労働組合の原点に立ち返り、職場での本音の要求討議を行い、確認された方針を全組合員で実践し、権利破壊を許さず、職場改善の闘いを大切に、みんなの要求、みんなで実現≠フ立場で全力をあげる決意です。

 そのためにも地連・地本、職場組織が具体的な拡大目標を持ち、組織の強化拡大を必ず達成していきます。

 全国の自交労働者のみなさん

 すべての職場で総決起し、全面的な状態悪化の改善にむけて、要求闘争を行い、実利・実益の獲得を追求しましょう。

 私たち自交総連は、すべての労働者とともに国民的諸要求の実現にむけて、職場で、地域で、一丸となって、意気高くたたかい、労働者の将来展望をかけての春闘勝利にむけて全力で奮闘します。

 一緒に立ち上がり、ともにたたかいましょう。



2・1宣伝行動

実効ある運転者登録制度を

労働者の悲惨な実態訴える


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デモを行いアピールする大阪地連の仲間
 実効ある運転者登録制度の導入を――自交総連は2月1日、全国いっせいに規制緩和失敗の責任を問う2・1宣伝行動を行い、利用者・市民に、タクシー労働者の年収や労働条件が悲惨な実態におちいっていることなどを訴えました。

規制緩和失敗は明らか

 宮城では仙台駅西口のタクシープールで、宣伝カーから訴えを行い、客待ちをするタクシーにビラを配布しました。

 関東では関東ブロックの仲間が運輸局前で運賃改定後の増収分の労働条件への還元などを求めて請願行動を展開し、812人の仲間が、6000通を超える請願書を提出し、「大幅な減車指導を行え」「運賃改定による増収分は労働条件に」などと訴えました。

 三重では主要駅9か所で170枚のビラを配布し、タクシー労働者に訴えました。

 大阪では早朝から40人の仲間がビラ宣伝を展開。その後260人の仲間が御堂筋デモを行い、「規制緩和はあきまへん」「値下げ競争あきまへん」などとシュプレヒコールを行いながら、市民に訴えました。

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乗務員にビラを渡す宮城地連の仲間
横断幕を掲げ運輸局に訴える東京地連の仲間



第29回関係弁護士交流会

各地の闘いを活発に討論

21人の弁護士が参加


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交流を深めた第29回弁護士交流会=1月29〜30日、東京・全労連会館
 中央委員会前の1月29、30日に第29回関係弁護士交流会がひらかれ、修習生含めて21人の弁護士が参加、中執も傍聴しました。

 飯沼委員のあいさつに続き、本部の小部弁護士が、労働法制改悪の現状などについて基調報告。特別報告は、(1)国家賠償請求訴訟の現状と課題(東京・宮川、宮城・菊地弁護士)、(2)佐野南海争議の現状(大阪・藤木弁護士)、(3)三重近鉄労組の割増賃金請求事件(奈良・増田弁護士=きづがわ法律事務所)について行われ、国交省官僚の証人採用にむけて前進(宮城)、勝利和解が近隣にも影響を与え組合員も増えた(奈良)など、裁判と運動が連携して進んでいる状況が報告されました。



新加盟のなかま  (731)千葉・飛鳥交通八千代労組

事故負担金で不満

 【千葉】八千代市にある飛鳥交通千葉KKで働く仲間は12月21日、飛鳥交通八千代労組(55人)を結成、自交総連に加盟しました。

 以前は他産別組合で活動していましたが、事故賠償金協定を会社と結ぶさいに、組合員には何の説明もなかったため、不満がつのり、自交総連への加盟を決めました。当面の目標として、事故賠償金協定などのルール合意を白紙に戻したいとしています。



自 交 総 連