自交労働者No.696、2007年9月1日

一定の条件満たせば適用除外

減車問題で公取委が回答

 自交総連は、減車や運賃競争抑制の問題に関して公正取引委員会と8月10日に再交渉を行い、7月10日の交渉で「検討させてほしい」としていた問題についての回答を求めました。対応した官房総務課渡辺啓一広報係長らは、一定の条件を満たせば独占禁止法の適用除外がありうることを明らかにしました。

 地方自治体や議会が決議などで多すぎるタクシーへの対応を各事業者に求める場合について、「カルテルの土壌になる場合があるので望ましくない場合がある」「ケースバイケースで判断することになる」と慎重な言い回しながら、「公共の秩序が優先する場合、独禁法の適用除外となる可能性もありうる」との見解を示しました。

 それは、最高裁の判例でも示されている(1)(カルテルを)必要とする事情があり、他に代わりうる手段がなく、(2)社会通念上相当の方法で、(3)独占禁止法の究極の目的(国民経済の民主的発展等)に反しない場合――という条件をクリアした場合との説明でした。

 労使の交渉で減車等を決める場合、個別の労使間では問題ないが、集団交渉の合意を事業者が実行した場合には問題となりうるとの見解を示しました。


非核日本宣言を地方議会で決議を

原水禁07年世界大会

自交総連から7地方42人が参加

写真
原水禁2007年世界大会・長崎の開会
総会=8月7日、長崎市民会館

 原水爆禁止2007年世界大会が8月3日から9日まで広島・長崎でひらかれました。

 国際会議・世界大会広島に続いて主要な会場となった長崎では世界大会・長崎が8月7日に開会、海外代表、全国からの代表を含め7000人が参加して各地の核兵器廃絶運動を交流しました。8日は分科会が行われました。

写真
産別交流会で平和運動について交流する
自交総連の仲間=8月7日、長崎・慶華園

 9日に、◇核兵器廃絶署名の推進◇非核日本宣言を地方議会で決議を◇憲法九条守れの国民的な共同を◇米軍基地再編強化反対、イラク・インド洋からの自衛隊の撤退を――などの行動を提起した「長崎からのよびかけ」を採択し、閉幕しました。

 7日夜には自交総連の産別交流会がひらかれ宮城・東京・神奈川・京都・大阪・福岡・長崎の7地方から42人が参加して、平和運動や組合活動について交流しました。参加者は、長崎に来て改めて平和の大切さを感じたなど、感想を語り合いました。


運賃、新たに4地区認可

国交省

約8―12%の値上げ

 国土交通省は8月24日、運賃値上げ申請がされていた、秋田A、B、長崎A、沖縄本島地区の計4地区の運賃について、約8〜12%の値上げを認可しました。

 これまで、国交省では東京より後に申請が出てきた地区については、東京の認可後に判断することを決めていましたが、東京の調整が難航(都内の値上げは全国の物価に影響を与えるなど、今年4月の物価安定政策会議で慎重論がでたため)するなかで、方針を転換し、東京以外の地区の値上げを先行させることにしました。

 今後も東京の行方にかかわらず、順次値上げを認め、一気に値上げされる地域が全国に広がる見込みです。

 今回の査定について国交省では、(1)運賃改定申請は運転者の労働条件改善が主要な理由のひとつとしてあげられていることを踏まえ、運転者の労働条件につき一定の水準を確保することが必要であるとの認識のもとで査定を行っている、(2)このため、今回の改定実施により、確実に労働条件の改善が図られるように、各事業者に運転者の労働条件改善の措置を講じること、また、運賃改定認可後に、労働条件改善についての考え方を利用者に表明するとともに、自主的にその実績を公表することを指導する、(3)また、事業者団体による労働条件改善状況の公表の結果、運賃改定の趣旨を逸脱すると認められるときには必要な指導等を行う――としています。

表


労基法違反率は84%

改善基準違反も5割超す

 06年の自動車運転者を使用する事業場の監督結果がまとまりました。各地の労基署が監督指導に入って発覚した労働基準関係法令違反、労働時間等の改善基準(告示)違反をまとめたものです。

 ハイヤー・タクシー業では84%で法令違反、53%で改善基準違反が見つかりました。バスでは63%が法令違反、55%が改善基準違反でした。

 この違反率の高さに示されるように、自動車交通企業では監督に入りさえすれば違反が見つかる状況です。自交総連では従来からは監督数自体を大幅に増やして可能な限り違反を摘発すべきだと要求してきました。

 規制緩和後の事故の増加や企業モラルの低下から、厚労省でも監督強化にとりくみ、一昨年から監督数は増加していますが、それでも法人だけで1万社を超えるタクシー事業者の1割に達していません。

グラフ

表


最賃6―19円引き上げ

中央最賃審が目安答申

 中央最低賃金審議会は8月10日、今年度の地域別最低賃金を6〜19円引上げるという目安を答申しました。

 答申された金額はAランク=19円、Bランク=14円、Cランク=9〜10円、Dランク=6〜7円です。

 しかし、この低額の引上げさえ反対だとして各地のタクシー協会は組織的に地方最低賃金審議会に意見書を提出し「賃金支払い能力を無視したもの」などと主張しています。

 自交総連では、増車で労働者の賃金を低下させてきた経営者が最低賃金引き上げに反対するのは身勝手で、最低賃金を大幅に引き上げても、各事業者が需要に合わせた減車措置をとれば支払いは可能、という意見書を各地方ごとに審議会に提出しました。

表

地域別最低賃金の大幅引き上げを求める要請書(全文)

 8月10日、中央最低賃金審議会は、2007年度地域別最低賃金額を19〜6円引き上げを求めるという改定の目安を答申しました。これは、昨年までの目安額から比べれば高額ですが、ワーキング・プアの解消、低賃金労働者の底上げという課題からすると低額で不十分なものといわざるを得ません。

 ところが、この低額の目安でさえ、経営者の一部には反対する動きが目立っており、とくに、タクシー事業者の団体は各地で、目安額は事業の支払能力を無視しているなどとして、引き上げ額を抑えることを求めています。

 私たちは、タクシー事業に働く労働者の労働組合として、このような身勝手な事業者の主張を容認することはできません。

 タクシーは、多くの国民が利用する公共交通機関であり、事業の性格上、極端な低賃金は労働時間の延長、過労運転による交通事故の発生につながることからも、タクシー労働者の賃金は、安全輸送を担うに足りるものでなくてはなりません。しかし、現状の地域最低賃金は低すぎて、到底安全輸送に資するものとはいえないのが現状です。

 その大幅引き上げは当然で、支払い能力を超えるなどという一部の経営者の主張は、タクシー事業の公共性、安全性を軽視するものといわざるを得ません。

 タクシー労働者の賃金は、ほとんどすべてが歩合給であり、その額は営業収入に左右されます。タクシー事業は規制緩和以降、過当競争が激しくなり、運転者一人当たりの営業収入が低迷していることは事実ですが、この改善は、各事業者が需要に合わせた減車措置をとれば可能です。地域最低賃金が低額なのをいいことに、会社の利益確保のみを優先して、各運転者の営業収入すなわち賃金が減ることを承知のうえで、増車(あるいは減車を回避)をして、運転者の賃金を低下するに任せてきた事業者が、自らの責任を棚にあげて地域最低賃金の引き上げに反対することは、信義上も許されることではありません。

 地域最低賃金の引き上げは、その賃金額を支払うための当然の経営努力を促し、地域経済の発展にもつながり、タクシーの安全輸送を担保する重要な効果もあります。

 ぜひとも、十分な審議の上、目安額を超える地域最低賃金の大幅な引き上げをされるよう要請いたします。

以  上


会社の動きにチェックが大事

長崎地連

運賃改定の動向と対策学ぶ

写真
運賃改定の対策について講義する菊池
書記次長=8月9日、

 【長崎】長崎地連は8月9日、「運賃改定の動向と対策」の学習会を、本部菊池書記次長を講師に招いて、開催しました。組合員だけの、学習会でしたが、運賃改訂後の、会社の動きに、「チェック」が特に大事だということが、認識されました。また今回の改定が、組合の「組織拡大のチャンス」で、広く組合員以外にも、「国土交通省の通達文」を知らせ、組合員以外の会社でも、違反があった場合は改善するように、運輸局や監督署に通報することを再確認しました。


山梨地連

100人の組織達成めざす

春闘総括討論集会ひらく

 山梨地連は、「人なみの賃金と、人なみな労働条件を勝ちとる!07春闘」のスローガンで闘った「2007年春闘総括討論集会」を8月9日に甲府市勤労者福祉センターでひらきました。

 集会では、丹沢委員長のあいさつの後、木村書記長が、「賃金のアップ、ダウンの報告はなく昨年並み現状維持の結果であった」と経過を報告。今後の課題では「1人でも多くの労働者が労働組合に加入して団結の力を持って資本側と賃金・労働条件を決定していこう」と今後の課題を提起しました。

 運賃改定問題では、本部・小林書記次長から、「10月以降にずれ込みそう」などの情勢報告を受け、ノースライド+アルファの協定に全職場がとりくむことを意思統一。他産業労働者より200万円も低い賃金の格差是正をめざします。

 さらに、組織拡大では、2桁から3桁にする100人の組織達成目標を確認しました。


警察庁調べ

自動車運転手の自殺は501人

全体では9年連続の3万人超

表 警察庁が毎年まとめている自殺の統計がまとまりました。

 06年の自動車運転手の自殺者は501人で前年より141人と大きく減少していますが、自営業者の交通運輸業(個人タクシー含む)と合わせると全自殺者の2%余りを占めています。

 全自殺者数は3万2155人と依然として高止まりの傾向です。97年には2万4391人だったのが、98年には3万2863人に急増、以降3万人台が続いています。この数値は、先進国では例のない高率で日本より自殺率が高いのはロシアやハンガリーなど数か国のみです。

 規制緩和で格差が広がる一方で、セーフティーネットの福祉は貧困なままという社会状況が、希望のもてない社会となっていることを示しています。

表



新加盟のなかま (736)福島・アズマエクスプレス労組

労働条件改善へ組合結成

 【福島】福島市にあるあおいタクシーで働く仲間は8月19日、アズマエクスプレス労組(五十嵐勝美委員長、13人)を結成、自交総連に加盟しました。

 会社では従業員に対し、身分を保障せず、また、交通事故損害を賠償させたり、社会保険・雇用保険などにも問題があり、これらを改善するためには組合が必要として結成しました。

 結成後は労働条件改善にむけ奮闘しています。