自交労働者No.701、2007年11月1日

佐野南海交通労組 第一交通の雇用責任を認定 一審上回る完全勝利判決

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勝訴の謝辞を述べる佐野南海交通労組の
仲間=10月26日、中之島・中央公会堂

 第一交通産業の組合つぶしと闘っている大阪地連・佐野南海交通労組は10月26日、第一交通の偽装廃業・全員解雇などの攻撃について、一審を上回る完全勝利の判決を大阪高裁でかちとりました。
 第一交通は01年に南海電鉄系列のタクシー会社を買収、組合つぶしのために、03年に会社ごと偽装解散して組合員55人を全員解雇するという暴挙を強行していました。数多くの裁判・係争事件の中でも本件は最重要の裁判のひとつとしてたたかわれてきました。
 一審の大阪地裁堺支部は昨年、第一交通の不法行為を断罪し、黒土会長・田中社長の個人責任も認める組合側勝利の判決を出していましたが、雇用責任についてだけは第一交通本社の責任を認めませんでした。今回の高裁判決は、親会社の第一交通本社に直接雇用責任があると認めた画期的な判決で、「完全勝利」といえます。
 判決後、原告や支援者ら140人がつめかけた報告集会で小林弁護団長は、今後、偽装解散と親会社の責任に関して、第一に引用されることになる重要な判例と説明。同労組の堀川委員長は、支援へのお礼を述べるうちに涙をこらえることができず、暖かな拍手に包まれました。


10・26大阪控訴審判決に対する「声明文」

支援共闘・大阪地連・佐野南海交通労組

(要旨)

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完全勝利を書き入れる権田委員長

 1.一審判決は、雇用責任を子会社の御影第一としていたが、高裁では、責任は親会社の第一交通にあるとした。また、佐野南海交通労組と全組合員、上部組織の自交総連大阪地連に対しても、黒土始会長および田中亮一郎社長に慰謝料の支払いを命じるなど、両名の不法行為を断罪する判決である。

 2.01年3月に南海電鉄系列のタクシー会社7社を買収した後、第一交通は、2年を経過しても佐野南海交通労組がつぶれないとみるや、神戸市に本社を置く子会社の御影第一泉南営業所を佐野第一交通の同営業エリア内に開設し、自交総連以外の労働者を移籍させた後、03年4月、佐野第一交通を偽装廃業させて、組合員55名全員の解雇を強行した。

 3.7月25日の高裁の結審をうけ、公正な判決を求める要請署名は、全国から団体署名1246筆、個人署名1万0263筆が集まった。こうした全国の仲間からの激励が今回の勝利判決を勝ち取る大きな力になった。

 4.私たちは、この「完全勝利」判決を背景に、一日も早い争議の全面解決と全組合員が元の職場に戻る闘いを強化していく決意である。


岡山に念願の地連が誕生

15年の活動が実る

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地連結成を記念して撮影する岡山地連の
代表と支援者=10月14日、岡山・岡山市
勤労者福祉センター

 岡山地連が正式に誕生しました。
 1992年に山陽交通労組結成後15年間の地連準備会での活動をへて、今年3月に笠岡タクシー労組が自交総連加盟を果たし複数単組となったことを受け、10月14日に念願の「自交総連・岡山地連結成大会」をひらいたものです。
 来賓として出席した本部・小林書記次長、久賀全労連オルグ、岡山県労会議の妹尾議長、中国ブロックの切田副議長、中谷・広島地本書記長、山口地連のM村氏が「岡山地連の奮闘を期待する」との連帯あいさつをのべました。
 大会は「たたかう自交総連の本領を発揮し団結と統一、100人の岡山地連の構築を」のスローガンを掲げ、地連結成案と、運動方針として、活動目標を「『前進』と定め、自交労働者の利益と権利を守る運動の先頭に立ち奮闘していく」ことの議案を満場一致で採択しました。
 選出された執行部は委員長=山上均▽副委員長=杉原一男、有正利男▽書記長=東俊明です。


経営効率化と労働条件改善を指示

物価問題閣僚会議

東京地区等の運賃改定が公示

 東京地区等のタクシー運賃改定が10月19日公示されました。12月3日の実施予定です。東京の運賃改定に限っては、政府の物価問題関係閣僚会議の承認が必要とされています。

減車こそが「経営の効率化」

 閣僚会議が「一層の経営効率化等に努め」「輸送効率の向上を図る」としているのは、物価安定政策会議でも問題になった不必要な増車が需給バランスを崩し、効率化を阻害していることに対する指摘です。減車こそが最大の経営効率化であることを事業者は理解すべきです。

足切り額の変更はできません

 公示のなかで、「実績における運送収入に対する運転者人件費の割合(歩合率)を維持させることなどにより、適切に運転者の労働条件の改善措置を講ずること」としているのは、ノースライドは当然ということで、足切り額の変更等を含めて賃金の改悪はできないということです。

実質的な労働者負担の軽減を

 「賃金水準のみならず、実質的な労働者負担の軽減や手当て類の創設等これに関連して講じた措置についても併せて公表すること」と指示しているのは、ノースライドに加えて+αとして、賃金増加につながる措置をしろということです。実質的な労働者負担の軽減とは、クレジットカードの手数料や設備投資費用、事故負担金など、本来、事業者が負担すべきものを運転者が負担しているものの改善を意味します。

査定内容でもノースライド明確

 査定の内容でも、「労働条件改善のための運賃改定」であることは明確です。
 左の表は、関東運輸局が公表したものを要約したものですが、東京特別区・武三地区を例にすると、運送収入は実績と査定が同額で自然増減はゼロなので、改定率も予想される実増収率も同じで7・2%となっています。これに対して直接運転者人件費(運転者人件費−福利厚生費事業者負担分)も同じく7・2%(7÷6−1)伸びるという査定になっています。
 直接運転者人件費の運送収入に対する割合(歩合率)は、実績62・8%(6÷3)改定(7÷5)は62・8%と同率です。
 増収と同率で運転者人件費が増え、運転者人件費の運収に対する割合も変わらないということは、すなわち賃金はノースライドということです。
 燃料油脂費は20%以上の増額査定になっていますが、その分も組み入れた改定率になっていますから、人件費を削る口実にはなりません。

表


東京地区タクシーの上限運賃改定について(要旨)

物価問題に関する関係閣僚会議

 1、政府は、良質かつ効率的なタクシー輸送を確保するため、事業者及び同団体に対し次の事項について強力に指導する。

 (1)一層の経営効率化等に努めるとともに、サービスの向上により、一層の利用者利便の増進と輸送効率の向上を図る。

 (2)タクシー運転者の労働条件の改善を図り、良質な労働力の確保に努める。

 (3)運転者への教育の徹底等により、輸送の安全性向上を図る。

 (4)高齢化社会の進展、国際観光需要の高まりなど社会環境の変化を踏まえ、地域のニーズに応える多様なサービスの提供に努める。

 (5)利用者に対して、サービス内容や運賃の種類等の情報提供の一層の充実に努めるとともに、改定する事業者については改定後の運賃料金について周知徹底を図る。

 また、上記(1)〜(4)の事項に係る取組みに関して情報公開を行う

 2、政府は、事業者及び同団体に対し、タクシーサービスの質を維持するためにタクシー運転者の賃金の改善のためのコストを賄うという今回の運賃改定の趣旨に鑑み、収入の増加に応じて、これを的確に賃金の増加に反映させることにより、タクシー運転者の労働条件を確実に改善するとともに、その実績を公表するよう強力に指導し、運賃改定の趣旨を逸脱すると認められるときは、その事実関係を公表するとともに、必要な指導等を行う。

 3、政府は、更に効果的かつ直接的な安全規制を実施するとともに、監査・行政処分等の事後チェックの更なる充実・強化を図り、タクシー事業の安全確保、タクシー運転者の労働条件の確保・改善を図る。


一般乗用旅客自動車運送事業の自動認可運賃等について(要旨)

関東運輸局

 3.運転者の労働条件の改善のために事業者(事業者団体)が講ずべき措置

今回の運賃改定に際しては、事業者(事業者団体)において以下の措置を講ずることとされたい。

 (1)運賃改定実施後において、実績における運送収入に対する運転者人件費の割合(歩合率)を維持させること等により、適切に運転者の労働条件の改善措置を講ずること。

 (2)運賃改定の認可後、運転者の労働条件改善についての考え方を利用者に対して積極的に表明すること。

 (3)運賃改定実施後の然るべき時期において、運転者の労働条件の改善状況について、自主的にその実績を公表すること。その際、賃金水準のみならず、実質的な労働者負担の軽減や手当て類の創設等これに関連して講じた措置についても併せて公表すること。


各地の大会

夢と希望持てる職場確立を

鹿児島第34回大会

 【鹿児島】鹿児島地連は10月9日、鹿児島・老人福祉会館で第34回定期大会をひらき27人が参加しました。
 大会では、07年度運動方針を決め、夢と希望の持てる職場の確立と、3桁の組合員をめざし奮闘することを確認。討論では中央駅乗り場の改善や観光誘致について県やタクシー協会などに要求するよう意見がでました。
 また、本部飯沼委員長の講演で、組合員の意識の持ち方についてミニ学習会も開催しました。

若手幹部の育成を積極的に

静岡第30回大会

 【静岡】「次年度は若手幹部活動家の育成に、より力を入れて積極的に行動を起こし、長期的に展望が開ける静岡地連の建設に努力」の方針を掲げた、静岡地連第30回定期大会が、10月10日に、浜松・西塚記念館でひらかれました。
 大会では、06年度主要活動報告、決算報告、次年度運動方針、予算の議案を満場一致で採択しました。
 委員長=神谷宗十郎▽副委員長=村松敏弘、書記長=市村直之(村松氏以外は新)

タクシー危機打開を討論

山梨第39回大会

 【山梨】山梨地連は10月11日、甲府市勤労者福祉センターで第39回定期大会をひらきました。
 丹沢委員長はあいさつで、甲府駅の一つ西側の駅に急行列車が停車するようになり、甲府駅でのタクシー利用客が無くなる危機を訴え、危機を乗り越えるために地連として経営者に対して、小異を捨てて大同につくよう呼びかけました。
 委員長=丹沢信之▽副委員長=中村寛▽書記長=木村好高(中村氏以外は再)

多様な要求に応える組合を

石川第21回大会

 【石川】石川地連は10月13日、石川・交通会館で、第21回定期大会をひらきました。
 大会では、運賃値上げについて4つの前提条件が必要とする石川地連の見解を確認。また、職場の活性化を基礎に、日常的な相談活動や助け合い、実利実益の獲得に全力をあげ、組合員の多様な要求に応える労働組合づくりに努力していくことなどを決めました。
 委員長=金子久男(新)▽副委員長=土方泰三(再)▽書記長=井上登(再)

産別強化の基本は組織拡大

宮城第31回大会

 【宮城】宮城地連は10月15日、第31回定期大会をひらきました。
 大会では、運転者登録制を骨子とするタクシー特措法改正、緊急調整措置の見直しなど実質的な規制緩和の見直しにつながる運動の成果を全体で確認し、労働条件の改善を図り、産別体制の強化の基本である組織拡大を骨子とする07年度運動方針を決定しました。
 以下の新役員(補充)を選出しました。
 委員長=本間昭▽副委員長=相沢道彦▽書記次長=澤口敏夫

全員参加の運動が不可欠

高知第26回大会

 【高知】高知地連は、10月27日に高知市青年センターで第26回定期大会をひらきました。
 大会では、組織人員が減少しているもとで議案として、「06年度の運動総括と反省」、07年度運動方針、財政の決算・予算を提案し討論をしました。
 出された意見は、春闘・秋闘の要求が前進しないことの不満でした。これらの解決のためには、全員参加の運動と組織拡大が不可欠であると意思統一し、全議案を満場一致で採択しました。

決めたことはみんなで実行

山形第47回大会

 【山形】山形地連は、11月1日に、第47回定期大会を鶴岡市勤労者会館でひらきました。
 大会では、一般活動報告、運動方針の財政決算・予算などの議案に基づく討論を行い、全議案を満場一致で採択。採択された運動方針では「自主経営の単組を持つ労働組合として、その特殊性から経営重視になりがちであり、改めて地域共闘の重要性を全体のもの」にすることに加え、「決めたことは、みんなで実行する」ことを重視しました。

新年度運動 方針を確認

長崎第16回大会

 【長崎】長崎地連は11月7日、長崎・長崎県勤労福祉会館で、第16回定期大会を開催しました。
 大会では、2008年度運動方針の確認と新役員の選出を行いました。
 委員長=吉田敏雄(再)▽副委員長=田中大作(新)▽書記長=松永利秋(新)



新加盟のなかま  (741)北海道・富士ハイヤー労組

連帯と情報を重視

 【北海道】恵庭市にある富士ハイヤーで働く仲間は10月7日、富士ハイヤー労組(今井裕一委員長、11人)を結成、自交総連に加盟しました。
 労働条件の改善と、今後の確固たる組織の基盤には、連帯と情報を重視していかなければならないとして、際限のない労働条件悪化を許さないため、自交総連傘下への結集を決意しました。
 道労連に相談後、地連へ相談しました。



新加盟のなかま  (742)大阪・ワールドキャビン労組

職場では多くの問題

 【大阪】大阪府にあるワールドキャビン(観光バス)で働く仲間は10月15日、ワールドキャビン労組(石田忠司委員長、7人)を結成、自交総連に加盟しました。
 会社では、労基法が守られない、有給休暇の未付与、未払い賃金も発生するなど、多くの問題を抱え、職場に不満を持つ、7人の労働者が大阪地連に相談。自交総連に加盟したいとの申し入れがあり、正式加盟しました。