自交労働者No.705、2008年2月1日

違法営業形態の撲滅を 名義貸し行為の対策検討

写真
実効ある対策について議論するメンバー=1月15日、自交共済事務所
 大阪で急速に勢力を伸ばしているワンコインタクシー(町野グループ)など名義貸しのオーナーズ制度への対応を検討するため、自交総連は1月15日、対策会議をひらき、本部の顧問弁護団、大阪代表らが参加しました。

 規制緩和を機に町野氏らが立ち上げたワンコインタクシーは500台以上になり、同種の営業形態も生まれています。その特徴は、道路運送法で禁じられた名義貸し営業で、実質的に労働者に営業車を買わせ(形式的には会社名義にして営業車の許可をとる)、名義貸し料・リース料をピンハネして、後は好き勝手に営業させるというやり方。税務申告まで個人ごとにさせて、1人(1台)の売上が年1000万円未満であるとして消費税も納めていません。

 大阪地連の調査では、丸3日以上も車庫に帰らない車があるなど、まったくの野放し状態です。

 こうした実態を是正・処分させ、違法行為を撲滅するため、(1)道運法33条名義貸し違反(2)点呼・運行管理等の違反(3)労働関係法違反(4)消費税・社会保険関係違反のそれぞれについて弁護士が担当して違法状況を洗い出し、実効ある対策を立てることになりました。


貧困と格差をなくそう

東京地連

春闘決起を呼びかけ

写真
乗務員からアンケート調査を行う東京地連の仲間=1月8日、新宿駅

 【東京】国民共同の力で「貧困と格差をなくす春闘にしよう」――国民春闘共闘委員会が08年春闘スタートにむけいっせいに宣伝行動を開始した1月8日、東京地連では、都内主要26駅頭で、いっせいに春闘決起を呼びかける未組織労働者むけの新春宣伝行動と労働者負担の実態調査を実施しました。

 宣伝行動では、国交省が運賃認可に際し、事業者団体に労働条件改善状況の公表を確実に行うように要請した内容を伝えるビラを配布し、池袋駅の宣伝行動に参加した北部ハイタク吉田事務局長は「未組織労働者は国交省通達だけでなく、カード手数料がいくらとられているかも知らない人がいるのには驚いた」と述べ、また、ある無線グループの企業ではクレジット手数料8%、黒タク1乗務500円、GPS1乗務250円、自家用駐車料金月5000円など、リースもどきの企業まであることが明らかになりました。


情勢変化を広範な仲間に

第2回常執

08春闘方針案を補強

写真
春闘の闘い方などを議論する常執メンバー=1月9日、自交共済事務所

 自交総連第2回常任中央執行委員会が、1月9日に自交共済事務所でひらかれました。

 議題は、第30回中央委員会に提案し決定する2008年春闘方針案を主として、会計収支報告、結成30年レセプション開催にかかわることなどでした。

 「団結と統一で要求実現、なくそう貧困と格差社会 08春闘」のスローガンで闘う08春闘方針案の中央執行委員会での意見にもとづき補強をしました。

 その内容は、運賃改定が困難になっている地方の運動方向や、運転者登録制度の導入に関して、新たに指定される地方、指定以外の地方など3つに区分する方針となりました。

 さらに、闘いの基本方向として、「08春闘における情勢上の有利な条件の存在を全組合員の確信とすることに努め、さらに、情勢変化の内容を広範な仲間に知らせることの大切さを共有できるようにしていく」ことを補強しました。


はたらくみんなの要求アンケート

仕事に将来性感じない64・2%

 「はたらくみんなの要求アンケート」の集計結果がまとまりました。回収枚数は25地方8528枚、回収率40・3%となっています。

全体の4分の3が50歳以上

 平均年齢は前年より1・2歳伸びて54・8歳となり、高齢化がいっそう進みました。

 年齢構成でみると、60歳以上が33・2%と3分の1を占め、50歳以上は75・7%と4分の3を超えています。40歳未満は7・7%しかいません。この年齢構成では、業界の将来展望はひらけないと言わざるをえません。

表

グラフ

あいかわらず苦しい生活実感

 「かなり苦しい」と「やや苦しい」を合わせると80・7%(前年81・7%)になります。

 この数年間、苦しいと答える人はわずかずつ減る傾向がありますが、60歳代以上の人が増えていることから、年金を受給しつつ勤務している人が、「まあまあ」とか「ゆとりがある」と答えているものと思われます。

 苦しいと答える人が圧倒的に多いのは相変わらずで、80・7%というのは、国民春闘共闘の平均65%(07春闘)と比べても突出して多い比率です。

グラフ

賃上げ要求3万円以上は54・8%

 3万円以上と答えた人が、ハイタク51・0%、技職77・8%、自教28・6%、観光バス50・0%でした。平均要求額は前年の3万5442円から今年は3万3884円と下がっています。

グラフ

グラフ

年金改善望み、低賃金に不満

 上位3つは、(1)年金改善、(2)最賃引き上げ、(3)増税反対となりました。

 ハイタクは同上。技職では(1)増税、(2)年金・医療改善、自教では(1)年金、(2)医療、(3)最賃、バスでは(1)増税、(2)最賃、(3)労働法制改悪阻止の順でした。

 圧倒的な1位が「賃金が安い」、次いで「労働時間が長い」「有休取れない」となっています。

 前年と比べ、「強盗などの危険」と「職場がなくなる不安」が上位にくる地方が増えています。

グラフ

仕事は好きだが、誇りは持てない

 前年に続き、タクシー乗務員に限って仕事に対する意識を聞きました。

 仕事が好きかどうかでは、好き35・0%とプラスのイメージが上回っていますが、仕事にやりがい、誇りを感じるかどうかでは、感じない44・2%とマイナスイメージが強く、将来性を感じるかどうかでは、感じないが64・2%と大多数です。

 タクシーを誇りがもてる職業とすることは、切実な課題だといえます。

グラフ


ノースラと2割減車で合意

直鞍タク労
日の丸 支部
筑 豊

福岡地連

 【福岡】直鞍タク労筑豊・日の丸両支部は12月31日午後からひらいた団交で、ノースライドと2割減車で最終合意に達し、半年間に及ぶ交渉に終止符を打ちました。

 直鞍タク労は、数年来の懸案であった最低賃金と減車問題で会社と合意し、年明けから新賃金体系に移行することが決まりました。

 組合は07年春闘の附帯要求を、(1)経営の効率化と管理部門の一元化、(2)B型賃金移行に際して退職金を上積み、(3)需給調整に当たっては地区の協議機関を設置、(4)統一交渉を前提に4月14日までに回答すること――などとしていました。

 この時点で運賃改定は申請されていませんでしたが、労働時間や運送収入の多寡に関わらず最低賃金違反が続出していることから「告発」も辞さない構えで要求したもので、会社側も「抜本的改革」に理解を示し、5月から交渉が再開したものです。

 合意の主たる内容は、退職金と一時金の原資を賃金に充当した上で、(1)ひまわりグループ4社計87台のうち15台を6か月以内に減車する、(2)運賃改定の増収分を確実に労働条件改善に充当するためにノースライドとする、(3)最低賃率を現行39%から46・24%に引き上げる、(4)勤務ダイヤと無線配車の公平化・効率化について引き続き協議する、(5)慰安旅行を復活する――などとし、併せて組合側も台当たりの増収に責任を持つことで合意しました。

苦労が報われた(小松委員長)

 5月7日の地連と小野社長との基本合意に基づき、この半年間、事務折衝5回、小委員会6回、団体交渉11回重ねて、ようやく合意に達した。事務方で奮闘してくれた古賀書記長になにより感謝するとともに、紆余曲折はあっても執行部の団結が最後の決め手となった。今後は、減車を地域に拡げること、地域の法違反を駆逐すること、それを勝ち取るために組織を拡大することが重要。その意味では闘いはこれから。


この成果を全国に

埼玉・三和交通労組

嘱託者の雇い止めは不当

不当労働行為でも謝罪を命じる

 埼玉地連三和交通労組は、一時金不払い、不当解雇、不当労働行為等について連続して仮処分決定、埼労委命令をかちとりました。

 三和交通では05年に労働協約を無視して一時金を払わないと通告してきたことから争議が起こり、3人の組合員が不当解雇されていました。(1)一時金不払いについて仮処分(2)不当解雇について仮処分(3)不当解雇・処分等について労働委員会に申し立てていました。

 (1)一時金不払いについてはさいたま地裁川越支部が06年に支払いを命ずる仮処分を出していました。

 (2)不当解雇は、65歳を超えた組合員の嘱託契約の更新をせずに雇い止めにしたもの。非組合員は65歳以上でも更新していました。さいたま地裁川越支部は昨年9月20日、同社では65歳以上でも普通に契約更新していることを認め、雇い止めには解雇に関する法理が類推適用されるとして、3人の雇い止めを無効とし賃金相当額の仮払いを命じました。

 (3)不当労働行為については埼労委が昨年12月13日、一人の不当解雇について不当とし謝罪文の手交を命じましたが、別の人の不当処分や不当解雇については裁判所と異なる不当判断を示しています。


白タク取り締まり前進

全自交と共同で実態調査

山梨地連

 【山梨】山梨地連では昨年12月10日から全自交と共同で、県内で横行している運転代行業者による白タク行為の実態調査を開始し、白タクの取り締まりが前進しています。

 調査は、調査票を組合員230人に配布し、白タク行為をみつけたら、記録して、報告するよう呼びかけているものです。また、県タクシー協会にも乗客から白タクに関する声が多く寄せられたため、同様に調査に乗り出し、その結果、約10件を把握したため、今月中にも報告書を県警に提出して、取り締りの強化を要請するとしています。

 山梨県では、昨年の12月より、中型、小型とも初乗り運賃が50円値上がりし、値上げによる売上げの減少が懸念され、タクシー運転者間では、白タク行為が収入減に追い打ちをかけかねないという不安も広がっています。

 白タク行為について山梨地連の丹沢委員長は、「タクシーまがいの違法行為が横行してトラブルが起これば、タクシーの信用まで落としかねない」と危機感を話しています。


記念誌と記念バッヂが完成

ご注文はお早めに

写真
結成30年を記念して作られた記念誌とバッヂ

 ハンドルは未来にむけて――自交総連では、結成30年を記念して、記念誌「ハンドルは未来にむけてPARTIV」と記念バッヂを作成しました。

 記念誌は全190ページからなり、5章だてで、自交総連30年のさまざまな闘いが書かれています。

 記念バッヂは、デザインは通常のATUバッヂと同じですが、少し大きく、30年を記念して高級感のある光沢となっています。

 どちらも30年記念の限定品ですので、お早目に各地連・地本にご注文をお願いします。

 記念誌=1000円
 バッヂ=500円