自交労働者No.735、2009年6月1日

タク新法審議 規制緩和見直しでは一致

需給と運賃規制を明確化

野党4党が共同で新法案提出

 タクシーの減車を可能にする活性化法案について、民主党・共産党・社民党・国民新党の野党4党は5月12日に共同で新法案と道路運送法改正案を提出しました。

 新法案は、民主党案をもとに各党が共同したもので、道運法改正案とセットで政府案の不十分な点を修正しています。13日に政府案とあわせて趣旨説明が行われ、22日から審議に入りました。

道運法改正に難色も

 【解説】道運法改正案は、政府が提出しなかったため、(1)参入許可条件に需給調整条項を入れる(2)増車は認可制にする(3)運賃認可基準を適正なものとする、という点で規制緩和の誤りを修正することを明確にしています。

 活性化新法案は、減車・休車措置をより明確化しています。

 与党側も、タクシーが緊急事態である点は認識しており、質疑では自民党議員も「規制の役割を再確認すべき」と述べるなど規制緩和の見直しでは与野党の大多数が一致しています。審議のなかで野党案を一部取り入れるなどの協議が行われると思われます。

 しかし、依然として規制緩和はよかったとする勢力も一部に残っており、道運法の改正には難色を示していることから、どういう決着になるかは予断できません。

4野党共同提案の概要


年収格差は233万円(07年)

時間当たりは男子常用の半分以下

 07年分のタクシー労働者と男子常用労働者の労働条件比較がまとまりました。

 タクシーの年収は前年(278万円)より減りましたが、男子常用の年収がそれ以上に減ったため、格差はわずかに縮まりました。

 とはいえ、年間賃金を年間労働時間で割った1時間当たりの賃金では、依然としてタクシーは男子常用の半分以下(45%)にすぎず、異常に大きな格差があることには変わりがありません。

 1時間当たりの賃金で最も格差が大きかったのは山梨で、男子常用の30%(70%も低い)でした。

 (注)この資料は、以前から自交総連が独自に集計しているもので、タクシーは「賃金センサス」、男子常用は「毎月勤労統計要覧」を用い、全国平均は47都道府県の単純平均としています。事業者団体や業界紙で公表される数値とは異なる部分があります。

タクシー労働者と男子常用労働者の労働条件比較(2007年)


運輸従事者の自殺519人

98年以降は3万人台続く

 警察庁が毎年まとめている自殺の統計がまとまりました。

 08年の全自殺者数は3万2249人と昨年に比べ844人減少しましたが、依然として3万人台という高止まりの傾向です。

 職業別では、昨年より警察庁の統計方法が変更となり、今までの自動車運転手という区分が、通信運輸従事とされたため、以前と比較はできませんが、新たに設けられた、運輸従事者では、08年は519人と昨年(588人)より減少しています。

 97年には2万4391人だったのが、98年には3万2863人に急増、以降は3万人台が続いていますが、この数値は、先進国では例のない高率となっています。

職業別自殺者数(2008年)

自殺者総数の推移


酒気帯び運転でも免許取消へ

悪質・危険運転の罰則強化

改正道交法

 6月1日より、酒酔い運転やひき逃げなどの悪質・危険な運転者に対する運転免許欠格期間の引き上げ、飲酒運転に対する罰則強化などを柱とする改正道路交通法が施行されます。

 改正法では、運転中に人を死傷させ、又は、建造物を損壊させる行為で、悪質な運転(飲酒・ひき逃げ等)により免許の拒否又は取り消しなどを受けた場合の欠格期間が3年から10年を超えない範囲内で指定されることになります。

 また、酒気帯び運転については、呼気中アルコール濃度0・25r/リットル以上の場合が13点から25点に、0・25r/リットル未満の場合が6点から13点に引き上げられ、今後は酒気帯びでも免許取消となる場合があります。

 この他、高齢運転者対策の推進として、75歳以上の人が免許更新する際にはその前に講習予備検査(絵を描いたり記憶したりして、記憶力、判断力を確認する検査)を受けることになります。

 ※表の欠格期間の例は過去3年以内に前歴がない場合です。

免許の違反点数と欠格期間の主な例