自交労働者No.757、2010年6月1日

一職場一重点要求獲得で奮闘

各地では今後の課題など確認

2010年春闘

 自交総連2010年春闘は5月27日現在、239組合が要求を提出、そのうち77組合が回答を引き出し、45組合が妥決・了解しています。また、各地では今春闘での運動の到達点と今後の課題について闘争委員会などで確認が行われています。

6・18にストで減車を迫る

3・4中央行動で減車や貧困解消をアピール=3月4日、東京・明治公園
3・4中央行動で減車や貧困解消をアピール=3月4日、東京・明治公園
 【宮城】4月9日に仙台市の地域計画が決定したことをうけて、23〜31%の減車の具体化が焦点ですが、タクシー協会の流れは「当面10%」と、有効な減車には程遠いものとなっています。

 5月18日に開催した第3回闘争委員会では、10%では何のたしにもならない(現在稼動率85%程度)ことを意思統一し、この流れを断ち切るために6月18日にストライキの設定をし、最低でも20%以上の減車をせまることとしました。

 宮城地連で求める40%以上の減車がなければ事態の根本的打開はできません。

 闘争委員会では、同時に一職場一重点要求の獲得についても意思統一を行い、5月中決着にむけ団交を強化することにしています。闘争体制は継続しています。

合理化提案には支援を強化

 【東京】特定事業計画の内容をはじめ、減・休車の実施、足切り減額、罰科金廃止や職場要求の前進を獲得した25組合が妥結または了解の方向にむかっています。また、解決には至っていないものの春闘回答を引き出している組合もいます。

 東京地連では、未解決組合は、(1)重点要求の解決(月例賃金の足切り減額、防犯対策、乗務員負担の撤廃・他)、(2)政策要求の合意に基づく協定の取り付け、(3)集約にあたっては、組合民主主義を貫き組合員の総意で集約する――を基本に早期解決をめざすとともに合理化提案とたたかっている組合については、地連、地域ブロックで支援することにしています。

一桁組合対策が喫緊の課題

 【大阪】大阪地連の2010年春闘の到達点は、要求書提出がタクシー関係は36組合中28組合、観光バス関係は9組合中、4組合、技職内勤関係は2組合中の2組合です。このうち妥結、了解に至っている組合は8組合で全体のわずか17%という低水準です。

 経済不況や供給過剰が作用しているのは間違いのないところですが、厳しい中でも労使合意で、解決金5000円〜1万円や最低賃率の変更(42%→45%)などをかちとっています。

 これらの組合では機関会議での執行部提案を単組に持ち帰っての学習や職場を守ることを前提とした交渉術が実を結んでいますが、要求書すら提出できない組合は、マンパワー不足、いわゆる一桁組合だという事情があり、この対策が喫緊の課題です。


年収格差は239万円

男子常用より長い労働時間

労働条件比較

全国平均の格差(2008年)  タクシー労働者と男子常用労働者の労働条件比較(08年分)がまとまりました。

 前年と比べて、タクシー・男子常用とも賃金が下がっていますが、タクシーの下げ幅が大きく、年収格差は233万円から239万円にひらきました。労働時間は逆に年間424時間も長いため、時間賃金にすると、タクシーは男子常用の44%にしかなりません。

 県別で格差が最も大きかったのは兵庫県で、年収格差は302万円、時間賃金の比率では31%にしかなりませんでした。

 (注)この資料は、以前から自交総連が独自に集計しているもので、タクシーは「賃金センサス」、男子常用は「毎月勤労統計要覧」を用い、全国平均は47都道府県の単純平均としています。事業者団体や業界紙で公表されるものとは数値が異なります。

 詳しい数値は月報5・6月号に掲載しています。

タクシー労働者と男子常用労働者の労働条件比較(2008年)
タクシー労働者と男子常用労働者の労働条件比較(2008年)


突然の会社解散で生活は困窮

本社前で徹底抗議の宣伝

静岡・石川タク富士宮労組

抗議宣伝する当該労組の仲間と支援者=5月14日、山梨・富士吉田駅前
抗議宣伝する当該労組の仲間と支援者=5月14日、山梨・富士吉田駅前
 【静岡】石川タクシー富士宮労組支援共闘会議は5月14日、山梨県富士吉田市の富士急行本社前および富士吉田駅、河口湖駅で抗議の宣伝行動を行いました。

 行動には当該組合員10人の他、自交総連本部・静岡・山梨地連、富士地域労連が応援に駆けつけました。

 富士地域労連の塚原議長が経過を述べた後、当該労組の諏訪部委員長は「突然の会社解散・全員解雇で、我々は生活に困窮している」と怒りの声を上げ、4月21日の民事調停を不調に終わらせた会社に対して徹底的に抗議しました。

 最後に自交総連本部池田書記次長が「我々は断固として闘う」と締めくくり、全員が「勝利するまでがんばるぞ」と闘争決意を沿道に響かせました。


依然として3万人台の自殺者数

運輸従事者は前年より減少

警察庁

自殺者数の推移  警察庁が毎年まとめている自殺の統計がまとまりました。

 09年の全自殺者数は3万2845人と昨年に比べ596人も増加し、依然として3万人台という高止まりの傾向となっています。

 男女別では、男性が2万3472人、女性が9373人となっています。

 職業別では、警察庁の統計方法が昨年より変更となり、今までの自動車運転手という区分が、通信運輸従事とされたため、以前と比較はできませんが、運輸従事者では、09年は500人と前年(519人)より減少しました。

 97年には2万4391人だったのが、98年には3万2863人に急増、以降は3万人台が続いています。日本の自殺者数は、先進国の中でも例のない高率となっています。

職業別自殺者数(2009年)


市町村に多すぎるタクシーの指導を行え

メーデー後に県に要請

埼 玉

メーデーで採択された要せ書を県に手渡す=5月1日、埼玉県庁内
メーデーで採択された要せ書を県に手渡す=5月1日、埼玉県庁内
 【埼玉】5月1日、第81回埼玉県中央メーデー集会がさいたま市の北浦和公園で行われ、約2000人の仲間が参加し、式典後には実行委員会が県庁への申し入れも行いました。

 式典後参加者は、埼玉県庁まで約1時間のパレードを行い、仮装、横断幕等を用意し、アピールをしました。

 集会後、実行委員会では原富、柴田、宍戸、吉田の4氏が埼玉県庁を訪れ、メーデー会場で採択された「私たちの要求」の要請書を手渡し、交渉に臨みました。

 タクシー関係では、各市町村に対し、指導的立場に立ち多すぎるタクシーの対応を行うよう申し入れると、県の担当者は「なかなか難しい問題ではあるが、前向きに検討する」と回答しました。


組合の重要性訴える

県内で組織拡大宣伝

鹿児島

乗務員と対話する宣伝行動参加者=5月16日、鹿児島市内
乗務員と対話する宣伝行動参加者=5月16日、鹿児島市内
 【鹿児島】鹿児島地連は5月10日〜14日まで鹿児島市内及び県内23か所で減車の重要性と組織拡大にむけて宣伝行動を行いました。

 参加者のべ28人、走行距離は700キロに達し、ビラと自交労働者新聞を乗務員に手渡し対話を行い、減車を求め労働条件改善など要求を行う場合の組合の重要性を訴えました。

 鹿児島市内では「多すぎるタクシーを減らさないと飯が食えない」「事業者はいつ減車をするのか」など多くの声を聞き、また地方においては業績の良い会社と悪い会社の極端な現象もありました。


アルコール検知器使用義務付けへ

運輸規則を改正

国交省

 国土交通省は4月28日、事業用自動車の乗務員が酒気を帯びて乗務することをより明確に禁止し、来年4月からはアルコール検知器の使用を義務付けることにする運輸規則改正を行いました。

 運輸規則では従来から「飲酒その他の理由により安全な運転…ができない」乗務員を乗務させてはならないと決められていましたが、より明確にされました。

 【解説】プロドライバーにとって酒気帯び運転はあってはならないことは当然で、乗務前日の飲酒は控えるなどモラルの向上が必要です。

 一方、解釈・運用通達では、酒気帯びとは、道交法のアルコール濃度を問わないとされ、検知器については、明確な性能要件が決められていません。

 その点のあいまいさを経営者が悪用して、組合員など特定の者への処分や攻撃に悪用されることがないよう警戒が必要です。


新加盟のなかま  (785)埼玉・入間市個人タクシー協議会

個人タクシー組合を結成

 【埼玉】埼玉地連に個人タクシー労働者で組織する組合、入間市個人タクシー協議会(千葉正信委員長、5人)が結成されました。

 入間市で管理する駅構内での営業問題についての相談があり、地連からのアドバイスの結果、個人タクシー事業者組合や自らの交渉では結果が伴わないために、今回の加盟となりました。

 5月20日には市と交渉し、一定の前進をかちとっています。