自交労働者No.765、2010年10月15日

減車拒否のわがまま会社許すな

減車実現、組織拡大訴える

10・1宣伝 全国各地で一斉展開

 タクシー減車の実現を 減車を拒否するわがまま会社を許すな――自交総連は昨年のタクシー活性化法施行日である10月1日に、減車の実現と組織拡大を訴える全国いっせい宣伝行動にとりくみ、各地で市民にむけ減車の必要性と、タクシー労働者に対し、減車実現にむけ、ともに力を合わせ奮闘することを呼びかけました。(本文と写真の位置は違います)

宮城地連に対する期待表明

写真
乗務員にビラを手渡し対話する宮城地連の仲間=仙台駅頭

 【宮城】宮城地連では、仙台駅タクシープールを中心にチラシや、機関紙500枚を配布しました。

 9月27日〜30日には、仙台市内60社全社に対し、あらためて減車の要請も行い、自交総連組合のない会社20社へは、直接訪問活動も行い、要請書を手渡しながら対話もし、この中で、減車でも運賃問題でも、宮城地連に対する期待が表明されました。

 また、20%以上の大幅減車を準備している会社があることも明らかとなりました。

今後の展望について街宣

写真
乗務員にビラを手渡す福島地連の仲間=福島駅頭

 【福島】福島地連は、福島駅の東口、西口で、福島交通圏におけるタクシー協議会による現在までの減車の状況、問題点、今後の展望についての街宣活動を行いました。

 宣伝行動では、駅、街中待機のタクシーの運転者にチラシを配布したところ、他の組合の乗務員のかたも熱心にチラシを読んでいる姿や、チラシを配った自交総連の組合員と話しが尽きないようで、いつまでも話をしていました。

目標までさらなる減車必要

写真
乗務員にビラを渡し、タクシープールを清掃する東京地連の仲間=上野駅頭

 【東京】東京地連は、全都の駅・ターミナルにおいていっせい宣伝行動にとりくみました。

 池袋駅では飯沼委員長が「タクシー活性化法に基づき、東京の地域協議会で20%の減・休車達成をめざすことを確認している。9月段階で17%強しか実施されず、目標達成までにはさらなる減車が必要である」と運転者と利用者にタクシー労働者の実態とタクシー減車の実現を訴えました。上野駅では宣伝にくわえ、一部の乗務員のモラル低下から、汚れているタクシープールを清掃し、快適に仕事ができるよう呼びかけました。

駅頭など5か所で宣伝実施

 【京都】京都地連は9月24日に地域計画の完全実施=減車の実行と運賃の適正化などを求めて京都運輸支局に対して実施した交渉の報告のビラを、京都駅など5か所のタクシー乗場を中心に15人で運転者・市民に配布しました。

 宣伝カーからは「全国では2割の減車が進んでいる地域がある一方、京都ではいまだ7・2%の減車にとどまっていること」「減車を実施していない会社の中には新法施行前の駆け込み増車を行い、しかも下限割れの運賃での営業を続けている自分勝手な会社があること」などを訴えました。

事業者の常識は非常識だ

写真
横断幕を掲げ宣伝行動にとりくむ大阪地連の仲間=近畿運輸局前

 【大阪】大阪地連は大阪市中央区の近畿運輸局・大阪労働局前で宣伝行動にとりくみ、なかま60人が「2割減車では不十分、運輸局・労働局はスピーディーに行政責任を果たせ」とアピール。市民にむけて減車への理解を訴えました。

 岡田委員長は「累進歩合に対する罰則がないために、タクシー事業者は行政をなめて台数を増やしてきた。事業者が考える常識は世間の非常識だ」と厳しく批判しました。

 その後なかまは新大阪・千里中央・難波・堺東の各駅でも市民と乗務員にむけて宣伝を行いました。


組合結成の意義を実感

賃確法にもとづき未払い賃金かちとる

横手観光タクシー労組

 【秋田】突然の会社倒産・全員解雇から労働組合を結成し、自主再建をめざしている横手観光タクシー労組は、労働債権の確保のために賃金確保法にもとづく申請を行っていましたが、9月1日、未払い賃金が支給されることとなりました。

 会社は、今年の4月に倒産し、その後破産管財人の管理となりましたが、4月分の賃金と解雇予告手当が支払われず、退職金についても少ししか支払われなかったため、過去の就業規則の退職金規定が生きていることを確認し、賃金確保法で総額3400万円以上の労働債権を確保しました。

 また、管財人とは事業許可、車両の譲渡譲受の確認もしており、自主再建に大きく前進しています。

 支払いをうけて組合員は「未払い賃金を獲得できたのは成果だ。組合結成の意義を実感している。今後は再建闘争をがんばりたい」と話しています。

賃金立替払い制度の活用を

 【解説】企業が倒産したために、労働債権が確保できない場合には、「賃金の支払の確保等に関する法律」(賃確法)に基づく未払い賃金の立替払い制度が活用できます。

 この制度は、企業が倒産し、賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払い賃金の一定の範囲を労働者健康福祉機構が事業主に代わって支払う制度です(未払い賃金総額が2万円未満は対象外)。

 立替払いを受けることができるのは、労災保険の適用事業で1年以上事業活動を行っていた企業に労働者として雇用され、企業の倒産により退職し、未払い賃金がある人です。未払い賃金には、定期賃金、退職金が含まれ、賞与等は含まれません。

退職日の年齢
未払い賃金の上限
立替払いの上限
45歳以上
370万円
370万円×0.8=296万円
30歳以上
45歳未満
220万円
220万円×0.8=176万円
30歳未満
110万円
110万円×0.8=88万円


地域によって削減率に差

減車しない会社は世論で包囲を

各地の減車状況

 タクシー活性化法が施行されてから1年が経過しました。指定された特定地域では地域協議会によって協調的に減車をする計画と目標が決められ、ほとんどの地域では、各社が減休車を含む事業再構築の計画を提出して認定を受ける段階まですすんでいます。

 【解説】現在までの申請状況は表のとおりですが、地域によって削減率に差があり、適正車両数との関係でも不十分なところもあります。しかも、協議にさえ参加せず、減車をしようとしない会社も存在しています。

 全体で減車できなければ、倒産や廃業がおきたり、最低賃金法違反や長時間労働などの問題も解決できません。

 減車をしない会社を、労働者と利用者の世論の力で包囲しなければなりません。

 また、タクシー活性化法は、減車に伴って運転者の地位をおびやかしてはならないと決めています。減車をしても、勤務割を効率化すれば運転者が余ることはありません。そのような事例が発生した場合は、計画を認定した運輸局にも申告して、対処していく必要があります。


労働関係法違反率は89%

運輸局・労働局連携の摘発必要

09年事業場監督結果

 自動車運転者を使用する事業場に対する監督結果(09年分)が明らかになりました。労働基準監督署が監督に入って違反を確認した件数を全国集計したものです。

 タクシー(ハイヤー含む)の場合、751か所を監督して、労働関係法違反が671(89%)、改善基準告示違反が385(51%)か所から見つかりました。ほとんどの事業場で違反が常態化しているという実態は毎年変っていません。

 違反でもっとも多いのは、労働法関係では労働時間(401事業場)、改善基準告示では最大拘束時間(287事業場)となっています。

 監督に入りさえすれば違反が見つかるわけですから、どれだけ多くの事業場に入るかが問題となりますが、タクシー会社は全国で1万2786社(09年3月末)。751か所ではあまりに少なすぎます。

 労基署・労働局と運輸局がいっそう連携を密にして違反を摘発していくことが求められます。

グラフ

表


各地の大会

減車へ行政動かす闘い必要

福島第16回大会

 【福島】福島地連は、9月27日、サンライフ福島において、本部から飯沼委員長、宮城地連から相沢副委員長、県労連から斎藤議長を来賓に第16回定期大会をひらきました。

 大会では、飯沼委員長が講演を行い、全国のモデルケースである東京の減車の状況、問題点を話し、最低賃金違反は地域的になくしていくなど、企業の枠だけにとどまらず、政府、行政を巻き込み、動かしていく闘いの必要性を訴えました。

 役員改選なし。

全力で規制強化の闘いを

広島第45回大会

 【広島】広島地本は9月27日、ふくやま市民交流館で第45回定期大会をひらき、次年度方針を確立しました。

 主催者を代表し、中谷委員長は「自交総連の運動で減車の方向へ一歩前進した。これまでの闘いは経営者も一目をおいているが、今の政権では規制緩和に戻ってしまう危険がある。全力で規制強化にむけたたかおう」とあいさつ。その後、内谷書記長から方針が提起され、満場一致で採択されました。役員改選は三役が再任。

減車が可能は運動の成果だ

山口第47回大会

 【山口】山口地連は9月28日、下関市勤労福祉会館で第47回定期大会をひらきました。

 冒頭、坂本委員長は「この1年間で3つの組織が結成されたこと、活性化法の成立で減車が可能になったことは運動の成果だ」とあいさつ。職場を基礎にした闘いで、権利要求と減車の実現、150人の組織拡大をめざし奮闘する方針が決定されました。

 委員長=坂本一雄(再)▽副委員長=山本昭博(新)▽書記長=(欠員)

定例宣伝で組織拡大実現を

神奈川第56回大会

 【神奈川】神奈川地本は9月28日、神奈川県民ホールで第56回定期大会をひらきました。

 大会では、相談数の増加をあげて、正当な組合活動のできる組織が無く困っている仲間が多くいることをあげ、自交総連の存在をアピールする定例街頭宣伝で組織拡大を実現することなどが決められました。

 委員長=市野隆(新)▽副委員長=三枝木裕美(再)、木下哲(新)▽書記長=大滝信一(再)

運動の力で問題解決に臨む

東京第121回大会

 【東京】東京地連は9月29〜30日にかけ、第121回定期大会をひらきました。飯沼委員長は冒頭あいさつで「昨今の営収を見る限りでは、減・休車効果がでているか疑問である。われわれは組合の役割を自覚し、運動の力によって問題解決に臨み、台数削減やタクシー免許の法制化など新たな施策を余儀なくさせる流れを作ろう」と述べました。

 役員改選では、三役が再選し、副委員長に吉田三男氏が加わっています。

問題の報告と解決策を討論

大分第49回大会

 【大分】「安心・安全、誇りと働きがい、地域貢献、力を合わせ、将来像への道を開く運動構築を」をスローガンに、9月30日、大分地連第49回定期大会が大分市でひらかれました。

 大会では、各職場から直面している問題の報告と、解決策が活発に討論され、その後、新年度方針、新役員が決まりました。

 委員長=小関隆文(新)▽副委員長=廣田稔(新)▽書記長=友成文昭(新)

組合員の生活危機の打破を

静岡第33回大会

 【静岡】静岡地連は10月4日、浜松市内で第33回定期大会をひらき、44人が参加しました。

 郡司委員長は、組合員の生活危機を何とか打破しなければならないとあいさつ。最賃引き上げで経済の活性化を促すとりくみや、石川タクシー富士宮労組の争議支援などを柱とする運動方針を決めました。

 委員長=神谷宗十郎(新)▽副委員長=郡司孝(新)、小粥泰則(新)▽書記長=市村直之(再)


三浦さんの遺志引き継ぐ

42人が故人を偲ぶ

三浦利男さん偲ぶ会

写真
三浦さんを偲ぶ参加者=10月5日、神奈川・フジビューホテル

 【神奈川】昨年10月に亡くなった元委員長三浦利男さんを偲ぶ会が10月5日、横浜・フジビューホテルでひらかれ、各界から42人が参加しました。

 偲ぶ会では高松幸尾元神奈川地本委員長が発起人としてあいさつ。続いて自交総連本部二代目委員長の管頭康夫氏が、三浦さんの遺志を引き継ぐ者として今後の組合の方向を示すとともに組合運動の基本についての話をしました。

 また、顧問弁護士の伊藤幹郎、堀沢茂の両氏が7年前に他界した陶山圭之輔弁護士の思い出にだぶらせて三浦さんの思い出を話し、神奈川労連の水谷正人議長は、「あの温和な人柄で激しいタクシー運動の先頭にたって神奈川の三羽カラスと云われた」と披露しました。

 政界からは、日本共産党神奈川県委員長小池潔氏、朝海吉一党労働組合部長、はたの君枝県副委員長が出席しました。

 自交総連本部今村書記長の献杯で懇談に入り、最後に大滝書記長から三浦さんの略歴が紹介され、「全労連・県労連の結成を期にすべての職を辞す」と記載されていたのを潔いと感銘したとの紹介があり、参加者は故人の遺徳を偲びました。