自交労働者No.771、2011年2月1日

2011年春闘 大幅減車、賃金底上げと職場権利確立を

労働条件改善の観点で活性化法検証

タク免法制化へ世論喚起

第33回中央委員会

 自交総連は1月26〜27日、東京・全労連会館で、『大幅減車、賃金底上げと職場権利の確立、組織の強化拡大を 2011年春闘』をスローガンに第33回中央委員会をひらき、2011年春闘方針を満場一致で決定しました。中央委員会では15人が発言、各地の厳しい労働実態や組織拡大の経験などが報告されました。決定した春闘方針では、全組合が春闘要求を提出することや、3・3中央行動にとりくむことなどが決められました。

委員長あいさつ

飯沼委員長
飯沼委員長
 政治は混迷し景気回復の兆しは見えません。日本社会は閉塞状態に陥り、国民のいのちとくらしの危機は、あらゆる領域に広がっています。

 2011年春闘は、大企業優先の政治・経済に終止符を打ち、労働者・国民の懐を暖め、内需を拡大させ、生活できる賃金と雇用の確保、景気回復、社会保障の拡充など共同の闘いとしてとりくまれます。

春闘勝利をめざし団結がんばろうをする中央委員会参加者=1月27日、東京・全労連会館
春闘勝利をめざし団結がんばろうをする中央委員会参加者=1月27日、東京・全労連会館
 私たち自交労働者をとりまく環境はいまだに厳しいものがあります。春闘は、くらしと権利の確保、事業のあり方と将来の課題について重要な闘いとなるでしょう。

 タクシーでは、減車闘争が新たな段階を迎えます。

 減・休車の進捗状況は、地域によってかなり差があります。

 申請しても実施していない事業者、いまだに申請していない事業者、また、削減率の低い事業者がかなり存在します。全体が減車する中で自分だけ減車せず、その会社だけ不当利益を得るようなことは許されることではありません。

 また、申請どおり減車が実施されたとしても、地域協議会で提示された適正車両数をなお上回っています。

各地からの討論を聞く中央委員会参加者
各地からの討論を聞く中央委員会参加者
 タクシー活性化法は、タクシーを地域の公共交通機関として明確に位置づけています。特定地域における地域計画は、地域公共交通機関としての役割を担う上で障害となっている諸問題を解決するためのものであり、事業再構築を含む特定事業計画は、社会的公約です。「適正とされる車両数」にもとづく減・休車の実現はタクシー経営者の資質と社会的責任が問われる問題です。

 減・休車をしない、また不十分な事業者に対し世論で包囲するとともに、活性化法の目的は労働条件の改善にあるという観点で検証していくことが求められています。

 また、自交総連は、「事業のあるべき将来像」として、タクシー運転免許の法制化を方針としています。

 これは、運転者の法的地位を確立するもとで、社会的地位と資質を向上し、運転者の数を通じての実質的な需給調整効果を機能させるものです。

 当面の目標として、法制化の必要性についての世論喚起、国民的合意を得る運動が求められています。

 運動の到達点に確信をもち、タクシーの規制強化を確かなものにするために奮闘しようではありませんか。

 また、この春に実施されるいっせい地方選挙では、要求実現の課題と雇用とくらしを守る国民的課題を結合して奮闘しましょう。

第33回中央委員会参加者数


自交労働者と事業の将来築くため総決起へ

各地の減車、裁判闘争など報告

13地方15人が発言

中央委員会討論

営収増へ、まともな政治を

 (1)福島・鎌田誠喜さん 福島市では555台から97台減車されたが、ホテルの自家送迎などが増え需要の減少に歯止めがかからない。労使ともに営収増になるために建設的な意見を出し合い進まなければ解決できない。

 構造改革で生活が破壊され、政権交代にも裏切られた。これからは国民・労働者の立場に立つ政党・政治家を選ぶことが大切だ。

不当解雇で有休なしは変だ

 (2)埼玉・奥山静夫さん 不当解雇され裁判で勝って職場復帰した組合員が有休を申請したところ有休はないとして欠勤にされた。解雇中は労働日がないからということで、58年前に出された労働省の行政解釈が根拠にされている。経営者の責任で働けなかったのに納得できないと裁判を起こした。人権無視の行政解釈を変えさせるために闘っている。

学習と道交法 2本柱で拡大

 (3)東京・二階堂諭さん 地連では、継続的な未組織宣伝を行い、事故・違反に対するATU共済も原動力に組織拡大している。拡大には日常活動の強化が必要で、学習活動の強化と道交法対策を2本柱にしている。労働学校やディスカッションを取り入れた参加型のATUカレッジを実施、道交法学習会では寸劇を入れ立ち見が出るほど参加した。

減車の目標台数に向け闘う

 (4)神奈川・佐藤弘朗さん 京浜交通圏では32%減車しなければならないのに8・9%しか実行されていない。目標台数に向けて春闘で力強く闘っていく。

 飛鳥横浜支部では、裁判への報復の残業禁止差別で組合員が減ったが、やめた人も生活のためやめざるを得ないが運動は支持していると言っている。不当な賃下げ、差別とは断固闘っていく。

富士急相手に勝利まで闘う

 (5)静岡・市村直之さん 石川タクシー富士宮の会社解散・全員解雇から1年たった。富士急静岡バスが地主として組合事務所の明け渡しを要求してきた。こちらが交渉を求めると拒否している。富士急本社は要請宣伝でも門前払い。グループぐるみで組合攻撃している。組合事務所を守って、富士急本体を引っ張り出して、最後まで闘い抜く。

減車・運賃でシンポを開催

 (6)石川・金子久男さん 春闘の最大の課題は減車と運賃競争の解消だ。金沢では規制緩和でタクシーが28%増え下限割れ運賃が2割を占めた。地域協議会は310台の減車を目標としたが、実際は104台で目標に程遠い。世論に訴えるため、昨年12月にシンポジウムをひらいた。地域計画反対などという無責任な事業者を野放しにしてはならない。

宣伝への攻撃 負けられない

 (7)大阪・山本雅弘さん バス部会では組織拡大を第一に運動しているが、1年契約の雇い止めをちらつかされ、組織化がすすまない。中央交通労組のセクハラ・パワハラ裁判は和解したが組合の宣伝行動を会社側が訴えてきた。組合活動に対する攻撃として負けられない。バスでもタクシー活性化法のような規制強化、再規制を求めていきたい。

1万枚以上のビラ配り宣伝

 (8)三重・高橋紀郎さん 私に対する雇止めの裁判に加え残業代未払い請求裁判を起こし闘っている。これまで会社の攻撃に即座に反撃、宣伝活動してきた久賀さんの任務が終了する。この先、本部の支援をお願いしたい。これまで711か所、1万2871枚のビラなどをまいた。物言えぬ職場で組合を作った我々への攻撃に絶対に負けられない。

メモを取り発言を聞く参加者
メモを取り発言を聞く参加者

さらなる減車めざし運動を

 (9)京都 曽野武浩さん 昨年4月に地域計画が作成され、10%の減車が決まったが、現在7・4%に留まっている。活性化法施行前に47台もかけこみ増車をして減車には協力しない、規制見直しに反対する「確信犯事業者」に対し世論で包囲するとともに、運輸局にも働きかけ、バラバラ運賃解消、さらなる減車をめざして運動を進める。

団交を実施し最賃払わせる

 (10)高知・横田春吉さん 県労連を通して有休取得制限で相談があった。自交総連に加盟してもらい団交を実施し、改善することを確認した。最賃との差額請求でも、再度支払いを求め団交を実施した。当初、会社は支払いを渋っていたが、過去2年分75万円とその後の5か月分を支給することを確認し協定を交わした。出入社時間も本人申請となった。

大幅減車、組織拡大に奮闘

 (11)福岡・内田大亮さん 自交総連、交通労連、私鉄総連の3団体で、事業者すべてに減車の申し入れを行っている。福岡県タクシー協会の申し入れには全自交も参加した。減車しない、最賃も払わない悪質事業者を特定し告発していくことを決めた。労働者が春闘でストを打つ意義を訴えていきたい。大幅減車、組織拡大にむけ奮闘する。

労組結成で会社は劇的変化

 (12)鹿児島・川畑真琴さん 組合結成から1年6か月で過半数を超える組織となった。労働組合ができたことで会社は劇的に変化した。将来への希望も見え、働く意欲も出てきた。委員長に立候補するときは悩んだが、一度決めたら振り向かず、前進あるのみ。組合員が団結、協力してくれるのなら、まっすぐに、思いっきりがんばる。

総括討論

東北キャラバンで組織拡大

 (13)宮城・冨中有さん 運輸局が示した数字に対し12・9%の減車率に留まっている。政策懇談会で早急に20%達成実現を要求した。事業者も減車は必要との認識では一致しているがこれ以上は難しいと言っている。タク免の実現で総量規制実現を。組合のない職場から相談がある。自交総連に対する期待も深まっている。東北キャラバン行動を重視して組織拡大をめざす。

減車をさせるのは労働組合

 (14)東京・梅田裕一さん 減車するのは事業者、させるのは労働組合を合言葉に協議会が作成した20%減車にむけ運動してきた。現在17・5%の達成率。逃げ得を許さず未達成事業者を包囲していく。定時制の雇止めや事業の統廃合が出ている。合理化、不当解雇・雇い止めには、企業主義を克服し断固闘っていく。学習春闘を重視し組織の強化・拡大をめざして運動を進める。

頂上をめざす運動の展開を

 (15)大阪・松下末宏さん 減車にむけ舵が取られた。今がどん底。満天の日差しを浴びるため頂上めざして這い上がる運動を展開する。2月1日は近畿運輸局座り込み、3月3日の中央行動は観光バスで参加し、タクシードライバーの意地とプライドをかけ運動をする。4月に行われる統一地方選挙は、府民切捨ての市政から、安心してくらせる大阪を取り戻すため奮闘する。


賃金底上げと職場権利確立を

産業別統一闘争の強化重要

執行部答弁

今村書記長
今村書記長
 執行部答弁に立った今村書記長は第1に、民主党政権の政治姿勢など情勢問題について言及。とくに、「規制仕分け」を3月に予定している政府の行政刷新会議の動きや新潟市タクシー協会への公正取引委員会・立ち入り検査(1月26日、運賃カルテル容疑)を紹介しつつ、規制強化の流れに逆行する規制緩和回帰への危険性が高まっていることに警戒心を持つ必要があると述べました。

 第2に、職場を基礎とする産業別統一闘争強化の重要性について述べ、法違反の地域的一掃、地域的な改善闘争など地域的視点にもとづく賃金底上げと職場権利確立のための運動展開の大切さを訴えました。また、労働基準法や改善基準告示など権利を労働者・労働組合の力とし、運動の原動力として正しく運用することの必要性を強調しました。

 第3に、適正車両数の確保にむけた減車の実現は、社会的公約そのものであり、企業の社会的責任が大きく問われている問題だと指摘し、輸送の安心・安全、誇りと働きがい、地域貢献を根幹から支えることにつながる労働条件の確実な改善をかちとることの重要性を強調しました。


2011年春闘アピール

自交総連第33回中央委員会

2011年1月27日

 自交総連は本日、『大幅減車、賃金底上げと職場権利の確立、組織の強化拡大2011年春闘』をスローガンとする春闘方針を決定した。

 タクシー活性化法が施行されて1年が経過した。規制強化をかちとったこれまでの運動の到達点をふまえ、さらなる前進をはかるため、2011年春闘で私たちがとりくむ課題は3つである。

 第1の課題は、賃金・労働条件の改善である。各地域で減・休車が進んでいるが、規制緩和によって破壊された賃金・労働条件は改善されるには至っていない。活性化法の目的は、そのとりくみによって労働条件がどのように改善されるかである。減車闘争は、まだ始まったばかりであり、適正台数にむけたとりくみはこれからが正念場である。同法の実効性を確かなものとし、その目的達成にむけ奮闘していこう。ハイヤー、自動車教習所、観光バスも同様に、規制緩和から規制強化への転換、安全規制の強化をはかり、要求討議をもとに提案型春闘にとりくみ、将来展望を切り開いていこう。

 第2の課題は、組織実勢3万人への接近である。未組織労働者の組織化が前進しなければ抜本的な労働条件改善は実現しない。私たちの周りには多くの未組織・未加盟の労働者が存在している。こうした仲間たちと悩みや不安を共有し、その問題の解決にむけ共同を広げていこう。私たちは春闘をたたかうなかで、未組織労働者との総対話を重視し、要求実現の要となる組織拡大を必ず実現させるものである。

 第3の課題は、政治革新である。昨年の参議院選挙で敗北した民主党政権は、構造改革路線への回帰を強め、経済不況、格差と貧困、雇用破壊を深刻化させている。今年春にはいっせい地方選挙が実施されるが、この選挙戦は、経済不況打開、地域経済の活性化にむけた政治を実現する重要な闘いである。国民不在の政治を転換させるため奮闘していこう。

 私たち自交総連は、自交労働者と事業の将来を築くために、2011年春闘の闘いに全国の仲間がともに立ち上がり、総決起することを呼びかけるものである。


全国の仲間に勇気与えた

らいひん2氏があいさつ

労働者の願いを実現しよう

根本副議長
根本副議長
 全労連・根本隆副議長 自交総連が昨年の春闘で、多すぎるタクシーを減らし、労働条件の改善や利用者の安全・安心の確保を求めて行った4・14統一ストライキは全国の仲間に勇気を与えた。

 世界規模でみても賃金が下がっているのは日本だけだ。財界は賃上げを頭から否定している。大企業の社会的責任を問い、労働者の願いを実現させるために闘おう。

いろいろな権利問題を議論

田辺弁護士
田辺弁護士

 本部顧問弁護団・田辺幸雄弁護士 関係弁護士交流会で、小部弁護士より地域主権改革に関する報告があり、最低限の基準を維持せず、規制の廃止・縮小をねらうものと指摘された。会社解散・全員解雇事件、宣伝への損害賠償事件や年齢による不当解雇事件などの特別報告があり、現状の自交総連でのいろいろな権利問題に関わっているところでの議論ができ、大変充実したものとなった。


会社解散、解雇事件などの闘いを交流

35人の弁護士が参加

自交総連第33回関係弁護士交流会

弁護士交流会であいさつする飯沼委員長=1月25〜26日、東京・全労連会館
弁護士交流会であいさつする飯沼委員長=1月25〜26日、東京・全労連会館
 1月25〜26日、東京・全労連会館で、自交総連第33回関係弁護士交流会がひらかれ、35人の弁護士と飯沼委員長が参加しました。

 交流会では、小部弁護士が「地域主権改革とタクシー規制の緩和」と題して、地域主権改革の狙いなどについての基調報告が行われました。

 続いて特別報告として、(1)石川タクシー富士宮労組・会社解散・全員解雇事件=静岡・萩大祐弁護士、(2)中央交通労組・名誉毀損被請求事件=大阪・藤木邦顕弁護士、(3)(1)名鉄四日市タクシーユニオン・不当解雇事件=三重・大坂恭子弁護士、(2)丸亀東讃交通労組・不当解雇事件=香川・則武透弁護士、(4)太陽自動車労組・便宜供与廃止・支配介入事件=東京・山内一浩弁護士の5つをとりあげ、報告がありました。

 また、参加各弁護士からも各地の事件について報告がされ、これからの闘争などについて交流を深めました。