自交労働者No.787、2011年10月15日

労働条件改善にはまだまだ不十分

減車、地方間で格差

全国のタクシー台数の動向

 タクシー活性化法にもとづき、全国的に減車が進んでいますが、地方によっては依然として減車が進んでいないところがあります。

 【解説】全国のタクシー台数(個人、ハイヤー、福祉限定等も含む)の規制緩和後の動向を示したのが表です。

 規制緩和前の01年に25・6万台だったタクシーは、規制緩和後27・4万台(07年)にまで増えました。その後、今年の3月末には25・0万台に減りましたが、北海道など14道県(アミ太字)では、規制緩和前より増えたままです。

 とくに、宮城、滋賀、奈良、岡山、広島の5県では依然10%以上も増えたままで、減車が進んでいません。

 これらの地方では、いっそう減車に力を入れる必要があります。また、減車が進んだところでも、運転者の労働条件改善という点から見れば、まだまだ不十分ですから、いっそうの減車をすすめる必要があります。

グラフ 戦後のタクシー台数の推移

表 規制緩和前後のタクシー車両数(各年3月31日現在)
拡大図はこちら


「一人でも入れる労働組合」

個人加盟労組が宣伝行動

東京地連

ビラを渡し、対話する個人加盟労組の仲間=9月21日、都内
ビラを渡し、対話する個人加盟労組の仲間=9月21日、都内
 【東京】東京地連個人加盟労組は9月21日、亀有駅から西葛西駅までの4駅でキャラバン宣伝行動を実施しました。

 当日は台風が直撃する雨模様のなかで「一人でも入れる労働組合」を宣伝しました。また、東部地域が宣伝場所となっていることから東部ブロックの機関紙も配布しながら、労働組合への結集を訴えました。行動には個人加盟労組と東部ブロックから4人が参加しました。

 午前10時から亀有駅で宣伝をスタート。付け待ちしていたS交通の運転手さんは「さっきまで雨が降っていたのでお客さんもいましたが、雨があがるとすぐにお客さんがタクシーを利用しなくなる。悪天候など何か起きないと、なかなかお客さんはいないよ」といい、さらに「この駅に待機する場合は、いつも休憩を兼ねてるんだよ」と、まともに休憩も取れない過密労働の実態を話します。

 午前11時からは、小岩駅で宣伝を開始。H交通の運転手さんは「会社から68歳になったので今回の契約更新は行わないといわれています。嘱託で12乗務していますが、今、会社を辞めても生活できる年金がもらえません。何とか70歳まで年金をかけないと老後の生活の見通しが立ちません」といいます。会社に組合はありますか、と尋ねると「親睦会なので会社に対して何もいえません。会社とも話しをしますが、何かあったら相談します」と話し、ビラを受け取りました。


最賃違反逃れでなくいっそうの減車を

労働時間の管理方法紹介

全タク連がリーフ作成

 全タク連は『見直してください時間管理の方法と勤務シフト』というリーフレットをつくり、活用を呼びかけています。実際に、このリーフに基づくと思われる指示が経営者からされている事例も報告されていますから、問題点を指摘しておきます。

 【解説】同リーフは、各地で最低賃金法違反が続出するほど運転者の賃金が低下していることを背景に、最賃法違反を回避するために、労働時間を短く集計できるようにしたいという経営者の希望に応えて、労働時間を「管理する」方法を紹介したものです。

休憩時間を増やす

 労働時間短縮の方法として休憩時間を増やす方法が紹介されていますが、別表のように、さまざまな問題点があります。その一部はリーフ自体にも注意書きが記載されているように、これらの点がクリアされない限り、合法的に実施できないものです。

 仮にクリアされたとしても、実際に行うとすると、日中に異常に長い休憩時間が入る非常識な労働時間となったり、面倒な事務が労働者に押しつけられたりするなどのおそれもあります。労働者の合意なく使用者が一方的に労働条件を変更することはできないという原則にもとづき、不適切な方法は認めない対応が必要です。

経営効率を高めることこそが必要

 そもそも、最賃法に抵触するほど賃金が低下したのは、これまで減車を怠り、増車競争をしてきた経営者自らの責任です。小手先の最賃法違反逃れでなく、いっそうの減車をはじめ経営効率を高め、まともな賃金が払える事業にするために知恵を絞ることこそが経営者の責任です。

 いまや、タクシー事業は60歳以上が主力の高齢者産業になってしまいました。業界構造を転換して売上げ自体が上がり、賃金も上がる若者にも魅力ある産業にしなければ、未来はありません。全タク連にはそのための方策に全力をあげてもらいたいものです。

表 全タク連のリーフレットと想定される問題点


各地の大会

安心・安全な輸送めざそう

東京第123回大会

 【東京】タクシー活性化法を生かし適正な実車率の実現で安心・安全な輸送をめざそう――東京地連は9月29日、台東区民会館で第123回定期大会をひらき、217人が参加しました。

 大会では、飯沼委員長が「組合員一丸となって安心・安全なタクシーの実現をめざそう」とあいさつ。全体討論では、タクシー運転免許、組織の強化・拡大などについて活発な意見が出され、その後新年度運動方針案などが採決されました。

実利・実益の獲得をめざす

大分第50回大会

 【大分】大分地連は9月29日、大分市東部公民館で第50回定期大会をひらき新年度運動方針などを決めました。

 新方針では、秋闘で、各職場で実利・実益の獲得をめざし奮闘することや、同一企業内での未加入労働者の組織化、幹部が率先して自交労働者月報、新聞を熟読して学習活動に務めることなどを決めています。

 委員長=海老原昇(新)▽副委員長=広田稔(再)▽書記長=河津美利(新)

東日本大震災犠牲者に黙祷

宮城第35回大会

 【宮城】10月8日、宮城県印刷会館において宮城地連第35回定期大会が開催され、来賓を含め76人が参加しました。

 大会では、東日本大震災で亡くなった2人の組合員の冥福を祈り、全員で黙とうをささげました。

 また、キュットタクシー労組とセンバ流通労組の加入を承認し、それぞれ委員長があいさつしました。さらに、10月6日に争議解決したミナトタクシーの高橋さんがお礼の報告をしました。

職場を守る重要性を確認

石川第25回大会

 【石川】石川地連は10月8日、荏原金沢交通労組集会室で第25回定期大会を開催しました。大会では、「地域計画」による減車と運賃競争解消のとりくみを検証し、地域公共交通のあり方とも結びついた政策闘争を強めること、この3年間で9社が事業譲渡をするかつてない再編期のなかで職場と労働組合を守ることの重要性などが確認されました。

 委員長=金子久男(再)▽副委員長=土方泰三(再)▽書記長=井上登(再)

200人の地連建設めざす

鹿児島第39回大会

 【鹿児島】鹿児島地連は10月10日、鴨池公民館で第39回定期大会をひらきました。

 次年度方針では、組織拡大と、減車闘争に力を入れてとりくむことを決め、200人の地連建設を目標に奮闘することや、減車にむけ、地域協議会への積極的参加などを決めました。また、9月に新加盟した山元交通労組の川崎委員長が決意表明を行い、組合旗の贈呈も行われました。

 委員長=杉原良二(新)▽副委員長=川畑真琴(新)


新加盟のなかま  (809)鹿児島・山元交通労組

予告なしに一時金半減

 【鹿児島】鹿児島市にある山元交通で働くなかまは9月1日、山元交通労組(川崎栄造委員長、10人)を結成、自交総連に加盟しました。

 職場では夏季一時金が予告なしに半減されたため、不満を持った川崎さんが地連に相談し、組合を結成。しかし、会社から、乗務するなと言われ、他の組合員も下車勤の状態となったため、対策会議を開催し、団交の結果次第では仮処分申請も検討しています。


新加盟のなかま  (810)埼玉・飛鳥交通春日部労組

産別結集が必要

 【埼玉】飛鳥交通春日部にある飛鳥交通春日部労組(武井健一委員長、121人)のなかまは9月22日、自交総連へ加盟しました。

 当該労組はこれまで活発に活動していましたが、労働条件の改善や制度政策要求実現には産別結集が必要として、今回の正式加盟を決めました。

 今回の加盟にいたるまで、同じグループ内にある自交総連組織や関東ブロックが支援をしてきました。