自交労働者No.826、2013年7月15日

暮らせる賃金、安定した雇用を

60年ぶりに解釈を是正

厚労省 通達変更を約束

八千代交通有休権裁判

厚労省に要請書を渡す本部・菊池書記次長=6月26日、都内
厚労省に要請書を渡す本部・菊池書記次長=6月26日、都内
 不当解雇を撤回させて職場復帰した労働者は、その直後から有給休暇を取得する権利がある――自交総連埼玉地連八千代交通労組がかちとった、従来の厚生労働省の行政解釈を否定する最高裁判決をもとに自交総連は6月26日、厚生労働省に通達の変更を申し入れ、省側はできるだけ早く通達を改正すると約束しました。

 有休付与には労基法で前年度の出勤率(出勤日/全労働日)が8割以上という要件が定められており、厚労省はこれまで通達で60年にわたり、出勤率を計算する際には「会社の責めによる休業は全労働日に算入しない」「全労働日がゼロとなる場合は有休は付与されない」という行政解釈を示してきました。6月6日に最高裁で出された判決はこれを否定、「不当解雇中の期間は全労働日に含まれ、かつ出勤日数として扱うべき」として有休の権利を認めました。

 厚労省では、現在、通達の改定作業をすすめているとし、できるだけ早く改定したいとしています。


最賃1000円は当たり前

348分間の座り込み行動

第2次最賃デー

厚労省前の座り込み行動に参加する東京の仲間=6月28日、都内
厚労省前の座り込み行動に参加する東京の仲間=6月28日、都内
短冊に見立てたカードに書き込まれた訴え
短冊に見立てたカードに書き込まれた訴え

 全労連・国民春闘共闘は6月28日、「第2次最賃デー 6・28中央行動」を実施し、自交総連の仲間も奮闘しました。

 行動は、都内3か所での早朝宣伝からスタート、自交総連は池袋駅前での行動に参加し、通行人にビラを配布しました。宣伝カーの上では各産別の代表がマイクを握り、本部の菊池書記次長は、低賃金で苦しむ地方のタクシー乗務員の例をあげ、国がリードして最低賃金を引き上げるべきだと訴えました。

 その後、厚労省前で、最賃引き上げ目標1000円と全国最低額652円の差348円→348分間のロングラン座り込み行動に参加しました。

 参加者には七夕の短冊に見立てたカードが配られ、自交総連の仲間も「最賃1000円は当たり前」「タクシー運転者の賃金はそれ以下だ」などの訴えを書き込んで紐に吊るし、シュプレヒコールや合唱をして厚労省や通行人にアピールしました。


100人が元気よく行進

原水爆禁止国民平和大行進

大阪地連

シュプレヒコールを上げながら行進する参加者=7月4日、大阪市内
シュプレヒコールを上げながら行進する参加者=7月4日、大阪市内

 【大阪】大阪地連は7月4日、「原水爆禁止国民平和大行進」(同実行委員会主催)の「網の目コース」(住之江区役所→四天王寺前)に責任団体としてとりくみました。

 時おり雨が降る悪天候の中、自交総連の仲間や地域の人たち100人が、「放射能の犠牲者をこれ以上つくるな!」「普天間基地は無条件撤去せよ!」などとシュプレヒコールを上げながら約7キロのコースを元気よく歩きました。

 住之江区役所での出発前集会では、地連の秋山委員長代行があいさつし、「今の日本は右傾化どころか極右化しているような状況です。96条改憲の本当のねらいは9条です。改憲勢力が衆参両院で3分の2を占めるような事態は、参院選で絶対に阻止しなければなりません」と訴えました。


市営バスの委託問題追及

宮城・交運共闘

局側まったく認識していない

要請書を手渡す宮城交運共闘・本間議長=7月2日、東北運輸局
要請書を手渡す宮城交運共闘・本間議長=7月2日、東北運輸局

 【宮城】7月2日、宮城交運共闘と「市民の安心・安全のバスを考える会」は、東北運輸局交渉を共同で実施し、路線バス・貸切バスの労働者、仙台市会議員など10人以上が参加しました。

 交渉では、4月に開催された「安心・安全なバス輸送を考えるシンポジウム」の際に明らかになった仙台市営バスの委託による問題を追及しました。仙台市では、市営バスの委託化が進む中で、バスのダイヤの合理化が進み、労働条件が悪化し、事故も多発しています。

 局側は、この実態についてまったく認識しておらず、現場労働者からの指摘に驚いていました。


要求あるところ組合あり

春闘総括と次年度方針を議論

東京地連夏季研究集会

あいさつする城委員長=7月2日、栃木県・きぬ川ホテル三日月
あいさつする城委員長=7月2日、栃木県・きぬ川ホテル三日月

 【東京】東京地連は7月2〜3日、きぬ川ホテル三日月で第56回夏季研究集会を開催し、178人が参加しました。

 主催者あいさつで城委員長は、「安定雇用と賃上げがデフレ不況の最善策にもかかわらず、安倍内閣は、大企業・大資産家だけがもうかる仕組みを拡大し、さらに、消費税増税、社会保障改悪、雇用ルールの破壊など、逆立ちした政策を強行しようとしている。参院選で安倍暴走を許さない闘いへ奮起しよう」と呼びかけました。

 春闘総括案と、次年度運動課題の提案で川崎書記長は、要求あるところ組合ありという労働組合の原点に立ってとりくむこと、規制緩和から規制強化への闘いの歴史と教訓をふまえ、「夢は実現するものだ」と話し、分散会での積極的な議論を呼びかけました。

 分散会では、タクシー・ハイヤー・技職の各分散に分かれて、熱心な議論が展開され、最終日の全体討論では、7人が発言し、全日程を終えました。


仲間と一緒なら楽しく上達できる

教宣・機関紙学校

大阪地連

説明を聞き課題にとりくむ大阪の仲間=6月23日、大阪府柏原市
説明を聞き課題にとりくむ大阪の仲間=6月23日、大阪府柏原市

 【大阪】大阪地連は6月23〜24日に「2013年度教宣・機関紙学校」を大阪府柏原市で開催しました。

 各単組からは教宣担当者ら19人が参加し、団交申込書やビラ、出番表などそれぞれのレベルに応じた課題の作成にとりくみました。初めてパソコンに触れたという人もいましたが、仲間同士で教え合いながらとりくみ、2日目には課題を見事に完成させました。2年連続で参加した仲間は、課題に加えて組合行事の告知を自主的に完成させるなど、この1年間の努力をうかがわせていました。

 参加した仲間からは、「パソコンの練習は1人では難しいけれど、仲間と一緒なら楽しみながら上達できると実感した」「今回学んだことを活かして自交以外の人にもメッセージを発信していきたい」などの感想を聞くことができました。


賃上げでデフレ不況克服を

単産・地方代表者会議

国民春闘共闘会議

春闘の中間総括を行った単産・地方代表者会議=6月27日、東京・全労連会館
春闘の中間総括を行った単産・地方代表者会議=6月27日、東京・全労連会館

 国民春闘共闘会議は6月27日、都内で単産・地方代表者会議を開いて、春闘の中間総括を行いました。

 あいさつに立った大黒代表幹事(全労連議長)は、「春闘の中で、労働者の賃上げでデフレ克服をとの主張が社会的にも広がった、安倍内閣が労働法制の規制緩和をすすめようとしており、これと対決していかなければならない」と述べました。

 地方や単産から、共同が広がり、要求を出して交渉することで意識が高まったなどの報告がありました。

 自交総連から参加した菊池書記次長は、不当解雇から復職した労働者の有休の権利を認める最高裁判決を受け、厚労省が通達を改定することを前日の交渉で、約束したことを報告しました。


バス・タクシーの過労死4.8倍

改善基準改正の必要性は明らか

厚生労働省労災補償状況

グラフ 厚生労働省が12年度の過労死等の労災補償状況をまとめました。過労死等の支給決定件数は338件(前年度比28件増)で2年連続増加、精神障害の支給決定件数は475件(同150件増)で過去最多でした。

 長時間の過重労働が原因で脳・心臓疾患を発症する過労死と、うつ病などを発症する精神障害が増加していることは、労働環境の悪化が進んでいることを示しています。

 とくに道路運送業で働く労働者の過労死等の多さは際立っており、一万人当たりの認定率は道路貨物(トラック)が全労働者平均の6・7倍、道路旅客(バス・タクシー)4・8倍となっています。

 精神障害では、旅客が2・5倍、貨物が2・1倍です。

 過労死は月の残業時間が45時間を超えると増えはじめ80時間を超えると認定されることが多くなります。こうした長時間労働を容認する結果となっている労働時間等の改善基準の改正の必要性は明らかです。

グラフ


半期で427件を給付

自交共済 給付実績

 自交共済の最近半年間の給付実績がまとまりました。昨年12月〜今年5月までの半期で、給付件数は427件、自交総連の産別給付金額は256万2000円でした。

 死亡給付について死因を調べたところ、ガン、心臓疾患の2原因で半数以上を占めていました。

 自交共済は、組合員の助け合いとして、全労済とタイアップして運営しているもので、万一の時の保障や結婚・出生・入学などの祝金が給付され、組合員の安心に役立っています。組合員には、産別給付と全労済給付を合わせた額が一括支給されます。

表


自交労働者と政治(4)

解雇規制や残業代の支払いが危機

企業活動をしやすくするために労働規制の緩和を議論

 労働者の労働条件を支える労働法制のあり方に重大な危機が迫っています。

 安倍内閣が復活させた規制改革会議や産業競争力会議には、大企業の経営者や規制改革論者が顔をそろえて、「世界で一番企業が活動しやすい国にする」ために、労働者を安上がりで一番使いやすくするための労働法制の規制緩和が議論されているのです。

 産業間の人の移動促進のために解雇規制を緩和する▽賃金が低めの限定正社員制度を作る▽労働時間規制を弾力化して、残業しても残業代を支払わなくても済むようにするなどです。

 こうした規制緩和に自民党以上に熱心なのがみんなの党や日本維新の会で、解雇規制や労働者派遣法の緩和を主張しています。

 日本共産党は、雇用は正社員が当たり前として、人間らしく働けるルールの確立を訴えています。

 労働者を保護する規制をどうするのか、選択が問われています。