自交労働者No.835、2013年12月15日

実効性ある運用基準をつくれ

改正タク特定地域特措法 1月27日施行

強制減車のハードルは高い

 タクシー特定地域特措法等改正法が成立し、施行日は、改正特定地域特措法と改正道路運送法が来年1月27日、改正タクシー業務適正化特措法が15年10月1日と決まりました。

地域指定4〜5月

 【解説】改正法については、事業者から「需給と運賃の適正化について大きな一歩」と期待する声が出されていますが、実際に効果が発揮されるかどうかは、今後の通達等の策定を確かめなければなりません。

 表のように、需給調整・強制減車については、かなり高いハードルがあり、まず特定地域に指定されなければなりません。その指定基準は、現在の特定地域よりはかなり厳しく、地域数は絞られる予想です。運輸審議会の諮問を経て指定されるのは来年4〜5月になり、さらに特定地域計画の策定、合意事業者が実際に減車したうえで申出て、初めて減車命令に至ります。

 運賃については、消費税増税が予定される4月1日に間に合うように公定幅運賃が公示される予定ですが、その公定幅はまだ確定していません。

 運転者登録制は、再来年の10月施行です。

 今後、国土交通省が策定する通達、基準等で実効性が大きく左右されます。

 自交総連は、今回改正された「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」の略称を「タクシー特定地域特措法」とします。


100人以上が本社前で抗議

静岡・石川タク支援共闘

東京・埼玉の仲間が支援

会社にむけてシュプレヒコールを叫ぶ仲間=12月4日、富士急東京本社前
会社にむけてシュプレヒコールを叫ぶ仲間=12月4日、富士急東京本社前
 【静岡】石川タクシー富士宮労組支援共闘会議は12月4日、全労連・東京地評主催の「秋の争議支援中央総行動」に参加し、富士急東京本社をはじめとする各闘争先で抗議行動を行いました。

 行動には東京地連や埼玉地連からも参加し、100人以上の仲間が会社を取り囲みました。

 会社解散・全員解雇事件で係争中の石川タクシー富士宮労組・諏訪部委員長は「私たちを解雇した一方で乗務員募集広告を出すなど、会社は矛盾した行為を続けている。富士急が行った非常識な組合つぶしの解散・全員解雇を広く社会に公表し、裁判勝利するまでたたかいぬく覚悟だ」と訴えました。

 最後は会社にむけてシュプレヒコールを叫んだあと、代表が申し入れ書を手渡しました。


新年度運動方針を決定

学習会通して理論武装を

九州ブロック13年度定期総会

新年度運動方針を決定した九州ブロック定期総会=11月24日、福岡市・あけぼの会
新年度運動方針を決定した九州ブロック定期総会=11月24日、福岡市・あけぼの会
 【福岡】九州ブロックは、11月24〜25日、13年度定期総会を開催しました。

 冒頭、瀬戸山議長は「改正タクシー特定地域特措法が可決したが、運用基準などで不透明な点が多く、一喜一憂できるものではない。来年4月には消費税増税もせまっており、自交労働者は窮地に立たされる。組織拡大に力を入れ労働条件改善を進めていかなければならない」と述べました。

 新年度運動方針では、空白県の克服にむけ全力でとりくむこと。特定地域特措法の運用基準も明らかになってくるので、学習会を通して理論武装できるよう企画することなどが提案され、全会一致で可決しました。2日目は、マイケルムーア監督の「シッコ」の上映会を行い、TPPや社会保障について学習しました。


秋の全都労働学校

法律できた経緯も含め学習を

東京地連

労働法や産別組合の意義などを学習した全都労働学校=11月26日、東京・南部労政会館
労働法や産別組合の意義などを学習した全都労働学校=11月26日、東京・南部労政会館
 【東京】東京地連は11月26日に南部労政会館、27日に上野区民館で秋の全都労働学校を開催し、55人が参加しました。

 城委員長は主催者あいさつで「政治、経済、労働環境は時代の流れとともに変化してきていますが、経営側の本質は変わりません。常に労働者の立場に立って知識を得ていかなくてはなりません。法律ができた経緯を含めて学習し、また産別労働組合でどう闘いを前進させ、労働条件を改善させていくかということについては、1つの組合への攻撃を全体への攻撃と捉えて運動を進めてきたという、今までの経緯も含めて学習していただきたい」と述べました。

 学習会では、田村専従執行委員が「産業別労働組合の意義と役割」をテーマに講義。「私たちには労働者の権利がある」として、日本国憲法から労働三権に至るまでを解説しました。また、労働組合ができた経緯から産業別労働組合までを解説し、単組では解決できない問題において産業別労働組合に結集する意義を講義しました。質疑応答では活発な質問や意見が出され、参加者からは「今後も積極的に参加したい」「今日学んだことを職場の組合員に伝えることが大切」などの感想を聞くことができました。


東北運輸局と交渉

特定地域指定について要請

宮城地連

 【宮城】宮城地連は11月29日、タクシー特定地域特措法等改正法が参院本会議で可決、成立したことをうけ、東北運輸局との交渉を実施しました。

 成立後の日程について確認したところ、局側は、11月25日付の東京交通新聞に掲載されている想定日程のとおりであると回答しました。特定地域の指定について、何を指標とするのかとの質問については、現時点ではわからないとの回答でしたが、組合側が「仙台市が特定地域から外れるようなことは万が一にもあってはならない」と訴えたところ、現時点では何とも言えないが、本省に伝えるとの回答がありました。

 また、法改正と運用基準について、来年2月18〜19日に開催する宮城地連中央委員会にきて説明してもらうことになりました。


宣伝行動で聞いた増税への不安

アベノミクスの効果どこへ

山口地連

 【山口】山口地連は、11月18日に下関市内で宣伝行動を行いました。

 地連の執行委員会後、執行委員全員が参加して、下関駅やその周辺で待機中のタクシー乗務員に自交労働者新聞を配布しました。

 対話した乗務員からは「アベノミクスの効果はいったいどこへ行ったんじゃろう」とか「今でもお客さんが少ないのに、消費税が上がったらよけいに少なくなる」といった声が聞かれました。宣伝隊は「加盟して一緒にがんばらんですか?」と声をかけ自交総連への結集を呼びかけました。


すべての労働者の闘いを解決へ

京都 団結・交流まつり

京都地連がバナナ売りで参加

模擬店を出して参加した京都の仲間=11月23日、京都市六孫王神社
模擬店を出して参加した京都の仲間=11月23日、京都市六孫王神社

 【京都】11月23日、第2回京都団結・交流まつりが京都市の六孫王神社で開催され、自交総連の仲間も参加しました。

 京都では、長い間、国鉄労働組合が中心となって、国鉄闘争の解決にむけたとりくみとして「京都国鉄まつり」を開催してきました。一応の解決をみた昨年からは、京都総評が主体となって、すべての労働者の闘いの解決にむけた団結・交流のまつりとして継続しています。

 京都地連は「国鉄まつり」の時代から「バナナ売り」で参加協力しています。今回も、トラックやダンプ、JRなどの労働組合でつくる交通運輸労働組合京都地方協議会(京交運)として参加しました。

 今年はバナナ、みかん、りんごの3種。いずれも売れ残りしないかヒヤヒヤものでしたが、すべて途中で売り切れてしまうという盛況ぶりでした。


国交省・厚労省と交渉

自動車運転者の時短は重要

交運共闘

要請書を手渡す藤好議長=11月25日、厚労省会議室
要請書を手渡す藤好議長=11月25日、厚労省会議室
 交運共闘は11月25日、中央行動で提出した請願書にもとづき、国交省・厚労省と交渉しました。

 国交省では、東日本大震災で被災した岩手県のJR山田線の復旧について、JR東日本を指導して鉄路での復旧にイニシアチブをとれと強く要請。省側は「鉄路の復旧にむけ街づくりと合わせ検討し、運輸局も加わり協議を進めている」と答えました。

 タクシーの改正法で運転者登録制について聞いたのには、「(試験を行う)指定地域は地域協議会や首長が要請できるようになった」「全国で実施する登録制では効果測定もたぶんやることになる」としました。

 厚生労働省では「自動車運転者は長時間労働と認識し時短は重要」「労働が過酷なことは承知している」としながら、改善基準の改正については「労使の共通認識が必要」として依然として消極的な姿勢だったため、使用者の態度を待つのでなく省が積極的に進めるべきと強く求めました。


たたかいとろう大幅賃上げ

全労連・国民春闘討論集会

14国民春闘方針案を討論した国民春闘討論集会=11月28日、静岡県・熱海後楽園ホテル
14国民春闘方針案を討論した国民春闘討論集会=11月28日、静岡県・熱海後楽園ホテル
 国民春闘共闘と全労連は11月27、28日に春闘討論集会を開き、方針を議論しました。

 春闘方針案は「たたかいとろう大幅賃上げ、くいとめよう憲法改悪、許すな雇用・くらし破壊の暴走政治」をスローガンに、悪政押しつけの一方で安倍首相や財界が賃上げに言及するという追い風もある状況の中でたたかわれるとして、賃上げは「誰でも月1万6000円以上、時間額120円以上」を統一要求とし、最低賃金は「全国どこでも時間額1000円以上」を提起しています。

 ▽2月=地域総行動期間▽3月=6日中央行動、13日第1派全国統一行動(ストや集会など何らかの行動で50万人規模)▽4月=第2派全国統一行動を計画しています。


過労死認定基準の緩和を

いの健センター第16回総会

長時間労働の実態など報告

政策要求を含めた方針を確認した第16回総会=12月6日、都内
政策要求を含めた方針を確認した第16回総会=12月6日、都内
 労組・団体・研究者で構成している働くもののいのちと健康を守る全国センターは「人間が尊重され、安心して働ける職場・社会へ」をスローガンに12月6日、東京都内で第16回総会をひらきました。

 総会では、石綿やじん肺の被害、長時間労働で過労死や過労自殺に追い込まれる職場の現状や労災認定闘争などが報告され、過労死の認定基準が現行月80時間以上の時間外労働となっているのを70時間に緩和することなどの政策要求を含めた方針を確認しました。

 自交総連から菊池書記次長が参加して、交通運輸労働者の過労死・過労自殺が平均の5倍になっていること、運転中の発症も増えていることなど長時間労働の実態を報告しました。