自交労働者No.854、2014年11月1日

安心・安全、くらしと働く職場の危機突破

運動の前進が社会的責務

第37回定期大会 新年度方針、役員体制を確立

新年度方針や新役員体制などを決めた第37回定期大会=10月15〜16日、東京・全労連会館
新年度方針や新役員体制などを決めた第37回定期大会=10月15〜16日、東京・全労連会館

 自交総連は10月15〜16日、東京・全労連会館で第37回定期大会をひらき、新年度運動方針と、城委員長(再任)をはじめとする役員体制(任期2年)を確立しました。大会では、機関紙コンクールの表彰、争議組合の紹介が行われ、討論では総括討論を含め16人が発言。方針・予算などの議案が採択されました。

城委員長あいさつ

城委員長
城委員長

 安倍政権は、あらゆる分野で国民の声を無視し、国民に負担を強いる悪法を次々と強行成立させています。
 タクシー業界においては、首相の諮問機関である規制改革会議が、特定地域の指定基準について、新規参入の禁止は事業者間競争を厳しく抑制するものだと主張し圧力をかけています。また、大阪では、橋下市長が政府に提案した「タクシー自由化特区」が問題となっています。
 私たちは、こうした規制緩和推進勢力の雑音に惑わされず、改正法の主旨である「タクシー労働者の労働条件の改善による安心・安全確保」に努めるよう求めていきます。そもそも、改正法自体が、自交総連がもとより懸念を表明してきたごとく、その限界が明らかとなっているのではないでしょうか。業界、行政への追及をひきつづき強めるとともに、自交総連がこの間掲げてきた「タクシー運転免許の法制化」実現へむけ奮闘します。

運動前進には組織拡大必要

大会には来賓、報道合わせて144人が参加
大会には来賓、報道合わせて144人が参加

 私たちには労働組合の社会的責務として労働運動を前進させ、労働者・国民全体の意識改革を図っていくことが求められています。職場には不満と要求が山積しており、労働組合のある職場とない職場では、労働環境に雲泥の差があります。対話活動を中心に仲間の輪をさらに広げていこうではありませんか。
 運動を前進させるためには、組織の強化拡大が最も必要であります。組織の強化拡大の遅れによる闘争力の遅れは、自交労働運動の浮沈にかかわる深刻な問題であり、産業別労働組合としての存在意義を発揮できないことにつながりかねません。組織後退に歯止めをかけ、回復させることが緊急的課題です。
 世代交代の時期を迎えている今、質・量両面から総合的な対策が求めらています。要求実現のためには、学習実践と組織力強化の両輪が不可欠であるという認識に立ち、運動を進めていく必要があります。
 労働者が結集し、労働者の権利や労働条件の改善をかちとるのが労働組合。それが労働組合運動を発展させてきた歴史です。自交総連も、かつては業界、個々の経営者、企業を利する労働団体、行政までもが自交総連シフトを敷くという困難さの中で、組合民主主義を貫き、集団交渉を実施し、ストライキを含む闘争をくりひろげ、労働条件改善をかちとり、組織を倍化してきた歴史があります。こうした歴史に確信を持ち、教訓に学び、自交総連を強く大きくしていこうではありませんか。

表

自交総連第37回定期大会選出役員(任期2年)

中央執行委員長
副中央執行委員長
     〃
     〃
     〃
書記長兼会計
書 記 次 長
中央執行委員
     〃
     〃
     〃
     〃
     〃
     〃
     〃
     〃
     〃
     〃
     〃
     〃
     〃
     〃
会 計 監 査
     〃

○城 政利(東 京)
○石垣  敦(宮 城)
○吉田 貴一(埼 玉)
○早川 広之(東 京)
○秋山 民夫(大 阪)
○今村 天次(山 口)
○菊池 和彦(本 部)
○川崎 一則(東 京)
○池田 忠司(東 京)
○木下  哲(神奈川)
○石原 敏雄(京 都)
○庭和田裕之(大 阪)
○内田 大亮(福 岡)
 釼持 惠市(山 形)
 沼倉喜久雄(福 島)
 徳永 昌司(東 京)
 二階堂 諭(東 京)
 入江  稔(東 京)
 市村 直之(静 岡)
 多米 博幸(奈 良)
 海老原 昇(大 分)
 瀬戸山実義(鹿児島)
 本間  昭(宮 城)
 山本 唯志(埼 玉)

(注.○印は常任中央執行委員=第1回中央執行委員会にて互選で選出)

紹介される新執行部
紹介される新執行部

組織の強化拡大で3万人の回復を

特定地域の指定、組織拡大など

16人が発言、方針を補強

大会討論

宣伝継続で存在認められる

(1)山本さん
(1)山本さん

 (1)埼玉・山本唯志さん 自交総連のない地域では、タクシー労働組合の存在自体を知らない労働者がいることに驚いたが、宣伝を継続することによって存在意義を認めてくれるようになった。宣伝という種まきをし、やがて芽が出て組織拡大につながっていくという確信が持てる1年だった。自交総連は永遠に不滅であり、宣伝行動も永遠に継続していかなくてはならない。

飯の種の免許証を絶対守る

(2)岸田さん
(2)岸田さん

 (2)東京・岸田正勝さん 労働条件改善も重要だが、われわれにとって免許証は飯の種であり、絶対に守らなくてはならないもの。組合員から違反や事故の相談があった時に的確なアドバイスができるよう、役員向けの対応マニュアルを作った。ただし、役員だけが納得するのではなく、すべての組合員に意識を持ってもらうことも重要である。

労働者無視の判決許さない

(3)諏訪部さん
(3)諏訪部さん

 (3)静岡・諏訪部みゆきさん 石川タクシー富士宮労組の解散・全員解雇事件の控訴審は、6月の東京高裁で全面棄却された。予告も保障もなく、企業の考え一つで解散解雇ができることを認めるものであり、これを許せば労働者は安心して働くことができなくなる。原告は5人となったが、労働者無視の判決を許さない闘いをこれからも全力でつづけていく。

経済効率よりも安心・安全

(4)山本さん
(4)山本さん

 (4)大阪・山本雅弘さん 経済効率より、安心・安全が優先される社会をめざし、タクシー・観光バスともに公共交通の役割を果たしていく。そのためにも、本部には、全国バス部会の創設を要望するとともに、各地でもバス部会を作ってもらいたい。タクシー会社が運営するバス会社が多いので、まずはそこから扉を開き、組織拡大につなげていこう。

自交総連に出会えよかった

(5)小田さん
(5)小田さん

 (5)福岡・小田孝さん 会社のワンマンで理不尽な対応に危機感を覚え地連に連絡したのが加盟のきっかけ。そこで「権利はたたかうことでかちとるもの」ということを知り、はじめは個人労組として熱心に活動。それを見た人が賛同し組合を結成した。行動しなければ何も始まらないし、勝利も敗北もたたかわなければわからない。自交総連に出会えて本当によかった。

県労連と連携し拡大めざす

(6)横田さん
(6)横田さん

 (6)高知・横田春吉さん 地連にタクシーの組合がないのは残念だが、以前からある運送会社の組合要求にとりくんでいくうちに組合員増え、高知での闘いが四国全体へ広がりを作り出している。今後は県労連と共同し、四国全体に仲間を増やすべく奮闘する。

行動あるところに前進あり

(7)野さん
(7)野さん

 (7)北海道・野正之さん 職場の高齢化や増税によって労働者の雇用とくらしが危機にさらされている今こそ労働組合の存在意義が問われる。地連ではピンチをチャンスととらえ、組織拡大に力を入れる。自交総連の存在を多くの仲間に知らせることや、幹部活動家の育成も視野に入れ「行動あるところに前進あり」として運動にまい進していく。

政治の民主的転換を図ろう

(8)片岡さん
(8)片岡さん

 (8)東京・片岡敏康さん 政治の原点は国民の要求であり、国民の意見を反映させることが政治の要であるが、安倍政権は国民の声を聞かずに好き勝手な政治を行っている。来年4月のいっせい地方選挙で、労働者・国民の要求がかなう政治への民主的転換を図っていこう。

めざすべきは量よりも質

(9)荻野さん
(9)荻野さん

 (9)神奈川・荻野誠さん 地本がめざすのは量より質。できないことを話すより、できることを行うことである。それを踏まえ、運動方針は要点を簡潔にわかりやすくした。中央委員会では、議論を恐れず、議論の相手に対しても上手に関係を保てる気配りをするなど工夫し、組合員相互の信頼を育てる場となるよう心がけている。

今こそタクシー運転免許を

(10)福田さん
(10)福田さん

 (10)京都・福田徹さん 特定地域の指定にむけて全力をつくし、指定のいかんにかかわらず減車闘争に奮闘していく。ただ、現在の制度に限界があるのも確かで、運賃競争の根っこでもある供給過剰を解消するためには、タクシー運転免許の法制化がいよいよ必要である。タクシーを若者にも魅力ある仕事にするため奮闘しよう。

簡単で継続しやすい機関紙

(11)安武さん
(11)安武さん

 (11)福岡・安武博子さん 新たに発行をはじめた地連機関紙は、一つの記事の文字数は少なく、写真の画質にもこだわらないため、簡単に作れて継続しやすい。単組が機関紙を発行できるようワードのひな形も作った。教宣活動を通して団結も深まり、機関紙を見た人からの問い合わせも入っている。組織拡大の畑はあるので継続して種をまいていきたい。

地道な相談活動で組織化へ

(12)山崎さん
(12)山崎さん

 (12)鹿児島・山崎秀文さん 会社(未組織)を退職した人から労働相談を受け、退職後の自己負担金の請求について会社と話し合い、下げさせた。こうした地道な相談活動を通じて信頼を獲得し、組織拡大につなげていきたい。また、九州の空白2県の組織化についても、ひきつづきとりくんでいきたい。

7年におよぶ争議が終結

(13)小原さん
(13)小原さん

 (13)神奈川・小原淳一さん 三共自動車学校の一時金差別事件などの争議の一括和解が中労委で成立した。7年におよぶ闘争だったが、1人の脱落者も出さずたたかいぬくことができたのは、関係弁護士の方々をはじめ、神奈川や全国の仲間の支援のおかげ。長い間のご支援ありがとうございました。

総括討論

権利を守る闘いに参加を

(14)佐々木さん
(14)佐々木さん

 (14)宮城・佐々木義孝さん 社会的水準の労働条件獲得の道筋を明確にすることが重要であり、最低賃金を基礎とする基本給の復活や公的補助制度を拡充させる闘いが必要である。タクシー運転免許については、特措法の限界がはっきりした今こそ運動を強化するべきで、来年10月実施の運転者登録制度の全国拡大をその第一歩と位置づけ、制度内容の改善を含めた闘いが必要となるだろう。
 自交総連のない職場では基本的な権利すら守られずにいる。さらに多くの労働者に宣伝を行い、自らの権利を守る闘いに参加するよう訴えを強めていく。

学習と組織拡大は表裏一体

(15)入江さん
(15)入江さん

 (15)東京・入江稔さん 厳しく困難な情勢の中、今一番心がけるべきは、労働組合の存在意義を示す位置づけと、運動のあり方を見直すことである。東京地連は「学習と組織の強化・拡大は表裏の関係にある」を教訓に、学習活動を重視してきた。学習と人づくり、幹部役員の力量アップなくして組織拡大はありえない。結果はすぐには表れないが、継続的に努力していくことが重要だと考えている。また、組織力の強化や幹部活動家の育成と並行して、組織化に主体的にとりくむ人材をどれだけ生み出していけるかも今後の運動を左右する重要な鍵である。

特定地域指定にも影響及ぶ

(16)松下さん
(16)松下さん

 (16)大阪・松下末宏さん 規制緩和の実験場とも言われる大阪で、自交労働者は賃下げや乗務員負担など塗炭の苦しみを味わわされてきた。橋下市長が提案した「タクシー自由化特区」が問題となっているが、このことには特定地域の指定に関する問題も含まれている。指定には地方自治体の長の了解が必要であるが、橋下氏が市長でいる限り大阪市域が指定されることはない。大阪では、維新の会の暴政による問題も山積している。まじめに働く労働者が報われる社会、平和な日本を守るため、安倍政権や維新政治を終わらせる闘いに全力をつくす。

各地方の発言を聞く参加者 全国の仲間の発言に拍手
各地方の発言を聞く参加者 全国の仲間の発言に拍手

決めたことは責任持って実践

方針は実行してこそ意味がある

執行部まとめ

今村書記長
今村書記長

 執行部答弁に立った今村書記長は、討論の中で出された質問や要望意見に答える形をとりながら、まとめを行いました。
 組織の強化拡大では、「自交総連に出会えてよかった」という大会討論での言葉を取り上げ、信頼でき、共感を呼べる人・組織づくりが重要であると強調。同時に、粘り強い宣伝の継続と対話を重視していくことが必要であると述べました。
 また、「できない事を話すより、できることを行う」という神奈川からの発言を引用し、「できない方針は決めるな、決めた方針は守る」が労働組合の実践の原点であり、いくら良い方針を決めてもそれが実行に移されなければ意味がない。ただし、決めたことについては責任を持ってみんなで実践し、成果を上げていこうと訴えました。
 そのほか、日常的な助け合い活動や東京の道交法闘争をとりあげ、労働組合の原点に立った実利・実益確保の重要性を強調しました。また、観光バスの部会設立については、設立を検討する場を設けることを明らかにしました。
 最後に、政治の民主的転換を図る課題について言及し、組織された労働者の力を生かし国民的共同の先頭に立つよう訴えました。

大会宣言

2014年10月16日 自交総連

大会宣言を読み上げる福島・沼倉中央執行委員
大会宣言を読み上げる福島・沼倉中央執行委員

 「産業別組織の総力をあげて、安心・安全、くらしと働く職場の危機突破を」をスローガンに掲げた自交総連第37回定期大会は、今後1年間のたたかう方針を確立した。
 タクシー・ハイヤー労働者は依然として社会的水準以下の劣悪な労働条件におかれ、自教・観光バス労働者は企業の激しい生き残り競争、「合理化」攻撃のもと、長時間労働や人権侵害にさらされている。
 こうした状況は、再び圧力を強める規制緩和推進勢力の攻撃や、今後、実施がもくろまれている消費税10%への増税、労働法制の改悪を許せば、一段と悪化していくことになりかねない。さらに、社会保障改悪やTPP参加、原発再稼働、集団的自衛権の行使容認が閣議決定されるなど、くらしや権利、平和と民主主義そのものが破壊されようとしている。
 いま、労働組合には、政治の暴走と果敢にたたかうことが求められている。
 自交総連は、これまでも困難に正面から立ちむかい、団結の力で乗り越えてきた。われわれは、この歴史に学び、自交労働者の権利擁護と要求実現に奮闘するとともに、規制緩和の逆流を押し返し、規制強化の流れを確かなものとするため、いっそうの運動強化をはかる。
 国民的諸課題へのとりくみについては、自交労働者のみならず、広範な労働者、国民すべての問題としてたたかい、政治の民主的転換をめざす。

提案議案を承認する参加者
提案議案を承認する参加者

 危機突破の要(かなめ)となるものは、何よりも組織の強化拡大をおいて他にはない。組織後退に歯止めをかけ、実増に転じることは緊急的課題であり、組織拡大4か年計画を確実に実行する必要がある。われわれは、組織された労働者として、未組織の仲間に手をさしのべ、一人でも多くの仲間を結集させるべく奮闘する。また、闘いの伝統を引き継ぎ、発展させる幹部・活動家を育成し、世代交代を着実に進めていく。
 自交総連は、組織の強化拡大、安心・安全、くらしと権利を守るため、決定した方針のもと、全組合員が一丸となってたたかいぬくことを宣言する。

不当な攻撃には負けない

11万5400円が集まる

長期争議支援カンパ

紹介される争議組合の代表
紹介される争議組合の代表

 大会には事業所閉鎖、不当解雇や一方的賃下げなどとたたかう7地方の長期争議組合から当事者である静岡・石川タクシー富士宮労組、大阪・なみはや交通労組の代表2人が参加し、勝利にむけて決意表明を行いました。
 石垣副委員長が争議支援のカンパの呼びかけをし、会場から11万5400円が集まりました。

おつかれさまでした!

退任役員の紹介

今大会で退任された役員
今大会で退任された役員

 今大会では次の役員のみなさんが退任し、壇上でそれぞれあいさつを述べました。
 中山益則(専従中央執行委員・東京)▽舞弓義隆(中央執行委員・東京)▽吉田三男(同・東京)▽廣中正己(会計監査・埼玉)の各氏。

共に奮闘し運動ひろげよう

来賓4氏があいさつ

運動作り出す絶好の機会

野村議長
野村議長

 全労連・野村幸裕副議長 生活がますます苦しくなっている今こそ、国民と手を取り合い、大きな運動を作り出す絶好の機会である。来春闘と重なるいっせい地方選挙については、職場の思想信条の自由は保障しつつ、労働組合として要求実現のためにどのような政策が必要なのか議論し運動につなげよう。

子や孫に勧められる産業へ

赤羽議長
赤羽議長

 交運共闘・赤羽数幸議長 自交総連は、野放し状態だった規制緩和に歯止めをかけ、規制強化への風穴を開けた。このことが交通運輸産業の労働者を大きく激励している。交運共闘はこの闘いに学び、安全・安心な交通運輸、子や孫にも勧められる産業をめざし、ともに奮闘していく。

自交労働者にも悪政の被害

林弁護士
林弁護士

 本部顧問弁護団・林治弁護士 安倍政権は国民の生活や生存権を脅かす政策を立て続けに打ち出している。消費税の増税だけでなく、残業代ゼロ法や労働者派遣法の改悪も自交労働者に深刻な被害を与える。アメリカには経済的徴兵制という制度があるが、同様の事態が日本でも進行している。

自交総連の成果実っている

穀田議員
穀田議員

 日本共産党・穀田恵二衆議院議員 規制緩和とたたかい続けてきた自交総連の成果が、今日新しい規制法などさまざまな形で実っている。一方で、規制緩和という悪をなした規制改革会議などが、過去の反省をせずに文句を言っているのは言語道断だ。自交総連が、労働者の労働条件と利用者の安心・安全という観点で法律の実効性確保に努力していることに敬意を表する。