自交労働者No.869、2015年7月1日

若者が希望を持って働ける職場に

厳しい状況の中で要求が前進

15春闘 評価と今後の課題

3・4中央行動に参加する仲間
3・4中央行動に参加する仲間

 自交総連の2015年春闘は、6月24日現在、要求提出率が64%、回答率41%、解決率26%で集約されており、現在でも多くの職場でねばり強い交渉がつづいています。各地の仲間に、今春闘の評価と今後の課題について報告してもらいました。

政策への合意などで前進

 宮城地連・石垣書記長 今春闘では、最賃を基礎とした固定給を求めたたかいましたが、改善には至りませんでした。しかし、その他の要求では、夜勤者の賃率アップや福利厚生費、年度末決算手当などを獲得、地連が進める政策への合意などでも前進しています。賃金体系の変更については、一社だけではむずかしく、集団交渉を求めましたが、実現には至らず、今後、各単組での追求が必要となっています。
 仙台市では、特定地域指定により、減車の確実な実行と、20年間実施されていない運賃の値上げが求められています。同時に、新しい労働者が入ってくるような賃金の改善が必要となっています。

運転者負担の地域的一掃へ

 東京地連・川崎書記長 今春闘は、東京が特定地域の候補から外されるという状況下でスタートしました。「規制強化・賃上げ」をスローガンに、運転者負担制度と累進歩合制賃金の地域的一掃を重点課題として7波にわたる統一行動等で奮闘しました。
 労働者・国民本位の政治への転換をめざす課題においても、安倍政権の暴走阻止にむけて労働組合として積極的にとりくみました。
 今春闘で実現させた「東京ハイタク労組代表者会議」の発展を含め、公共交通機関としてのタクシーを確立するための制度・政策要求の実現、労働条件改善にむけた運動強化が今後の重要課題です。

大幅減車の実行にむけ奮闘

 神奈川地本・木下委員長 今春闘は、消費税増税の影響で営収が伸び悩む中での厳しい闘いでした。主な要求内容は、運転者負担の撤廃、最低賃金法の厳守、違法付け待ちの指導強化をタクセンに要求等です。各支部の内情を加味した要求で交渉を行いましたが、経営状況が芳しくないことから現状維持で合意、妥結をやむなく了承した支部がほとんどでした。今後の課題として、要求獲得をめざしねばり強くたたかうことが必要です。
 京浜交通圏(横浜市・川崎市・横須賀市・三浦市)が特定地域指定に同意したことについては、大幅減車が確実に実行されるよう奮闘していきます。

すべての組合で要求を提出

大阪メーデーでのデモ行進
大阪メーデーでのデモ行進

 大阪地連・庭和田書記長 大阪地連では、今春闘で初めて32全組合が統一要求書及び単組要求書を提出しました。組合の力量とも関係しますが、要求を進めて了解・妥結をしたということは第一義的に重要な問題ですが、職場の要求をまとめてとりくむ姿勢がまず評価できると考えています。
 現時点での主な了解・妥結の内容は、現行労働条件維持プラス正規・嘱託労働者の条件アップ、解決金5千円〜2万円です。これは本部、地連が掲げる昨年実績プラスα(一職場一重点課題)の獲得をめざす闘争方針に合致しています。
 一方で、大手である関中グループが、14年、15年と連続して進展していないことや、譲渡譲受問題によって組合が消滅するなど二極化も問題となっています。

組合結成後初のベアを獲得

 福岡地連・内田書記長 今春闘は、職場改善において、団交の出遅れが目立ちました。単組の主な成果としては、甘木観光が組合結成後初のベア1000円の獲得。そのほか、11単組中7単組で、賃上げや福利厚生の向上などの要求が前進しました。さらに、懸念されていた朝倉市委託のバス路線廃止問題では、市議会議員との懇談を行い、議会質問において、廃止について、地域公共交通会議(甘木観光労組から委員が参加)の意見を尊重する旨の回答を得ました。
 タクシー特定地域特措法に関しては、福岡交通圏と北九州交通圏が特定地域指定に同意し、久留米市では不同意となりました。業界内は、減車に消極的な意見も多く、どのように減車を進めていくかが課題となっています。
 各単組で退職による減少が多く、組織拡大が急務の課題となっています。

仲間を守るために何度でも

静岡・石川タクシー富士宮労組

富士急本社前に80人が結集

沿道に並んで訴える支援の仲間=6月10日、山梨県・河口湖駅前
沿道に並んで訴える支援の仲間
=6月10日、山梨県・河口湖駅前

 突然の会社解散・全員解雇から5年余りの闘いを続けている静岡地連石川タクシー富士宮労組支援の富士急本社宣伝・要請行動が6月10日、山梨県富士吉田市で行われました。
 東京、埼玉、静岡、山梨の支援の仲間約80人が結集。富士急に対して、団体交渉に応じて争議を解決するように要求しました。
 東京の仲間が宣伝カーから支援の発言、自交総連は仲間を守るために何度でも宣伝、抗議を続ける、富士急はグループ親企業としての責任を果たせ、運転者を大切にしない会社に未来はない、など訴えました。当該の諏訪部委員長が決意を述べ、富士急に要請書を渡しました。
 河口湖駅でも観光客に、ひどい解雇の実態を訴えました。

東北ブロック運輸交渉

実効ある減車の方法を検討

交渉する東北ブロックの仲間=6月9日、東北運輸局
交渉する東北ブロックの仲間
=6月9日、東北運輸局

 東北ブロックは6月9日、東北運輸局との交渉を実施し、青森、山形、宮城、福島の各地連から13人が参加しました。
 特定地域特措法の問題では、減車の方法について、地域協議会の独自の判断で基準を決めることができるのかと追及。局側は、「本省に問合せ中」としながらも、地域の実情に合わせて実効ある方法を検討することについて否定しませんでした。
 また、山形県の鶴岡市や酒田市で、さまざまな形での無料バスやボランティア輸送が行われており、地元業者をおびやかしている問題については、実態を調査すると回答。自治体に対する指導の強化を要請しました。そのほか、青森県弘前市での運賃ダンピングの実態について告発し、今後、支局とともに監査などで対応すると回答がありました。

「戦争法案」廃案までたたかう

STOP!安倍政権 6・13大集会

全国から1万6千人が参加

デモ行進する参加者=6月13日、都内
デモ行進する参加者=6月13日、都内

 「戦争法案」を許さず、憲法無視の安倍政権にノーの声を突きつけよう――6月13日、「STOP安倍政権!6・13大集会」が、東京臨海広域防災公園でひらかれました。
 集会には、全国から1万6千人が参加し、戦争法案を廃案にするまでたたかう決意を確認しました。集会後にはデモ行進を行い、「戦争法案絶対反対」「戦争はじめる総理はいらない」と訴えました。
 この日は、宮城、千葉、長野、静岡、奈良、福岡など全国各地で集会やデモが行われました。

みんなの力で暴走止めよう

「戦争法案反対」国会前連続座込み

戦争法案の廃案を訴え座り込む人たち=6月15日、国会前
戦争法案の廃案を訴え座り込む人たち
=6月15日、国会前
集会でシュプレヒコールをあげる参加者
集会でシュプレヒコールをあげる参加者

 6月15日、「安全保障関連法案」(戦争法案)に反対する連続座り込み行動が、東京・永田町の衆議院第二議員会館前で始まりました。主催は法案に反対する団体でつくる「戦争させない 9条壊すな!総がかり行動実行委員会」。
 昼に開かれた集会には600人が参加し、「戦争法案絶対反対」「みんなの力で暴走止めよう」とシュプレヒコールをあげました。
 座り込む人たちは、参議院議員会館前から衆議院第二議員会館前まで連なりました。向かい側にある国会では、法案を審議する特別委員会が行われており、参加者は、「戦争させない」と書いたプラカードなどを掲げ座り込みを続けました。
 行動は、土曜・日曜を除き、24日の国会包囲行動まで連日行われます。

3万人が国会を包囲

戦争法案今すぐ廃案

6・24中央行動
国会包囲行動

国会にむけ「戦争法案反対」と抗議する人たち=6月24日、都内
国会にむけ「戦争法案反対」と抗議する人たち=6月24日、都内

 全労連・国民春闘共闘は6月24日、「第2次最賃デー 6・24中央行動」を実施し、宣伝、集会、デモを終日展開しました。
 昼から厚労省前でひらかれた要求行動では、最低賃金1000円以上、全国一律最賃制の実現、賃金の地域格差解消を訴えました。つづいて、人事院前で公務員の賃金改善などを要求しました。
 その後、日比谷公園から国会までデモ行進を行いました。
 また、18時からは「止めよう!戦争立法 集まろう国会へ 国会包囲行動」が実施されました。15日から連続座り込み行動を続けてきた人たちも合流し、国会周辺には約3万人が集結しました。参加者は「戦争法案今すぐ廃案」「安倍政権は今すぐ退陣」と怒りの声を上げました。

在来線が三セク移行でワンマンに

北陸新幹線開業の影響など調査

交運共闘 富山で職場見学

モニターで乗降のチェックする「あいの風とやま鉄道」の運転者=6月11日、富山市内
モニターで乗降のチェックする「あいの風とやま鉄道」の運転者=6月11日、富山市内

 交運共闘は6月11〜12日、富山市内で、北陸新幹線開業と在来線の状況、新型路面電車を活用したコンパクトシティーづくりなどの視察を行いました。
 富山運輸支局で、小池支局長から富山の交通概況の説明を受け、公共交通をよくする富山の会の渡邊さんからも話を聞きました。
 第三セクターの「あいの風とやま鉄道」は新幹線開業と同時に旧北陸本線が移行したもの。運賃が1割アップし、合理化のためワンマン運転に。朝の通勤時間帯の車両を6両編成から2両に減らしたため乗り切れない人が出て、4両に戻した事例もあったそうです。乗車した車両では運転者がモニターで乗降のチェックなどすべて一人で行い、かなり忙しそうな様子でした。

安全運転では家族を養えない

残業・過密労働で運送収入を確保

 15年の安全運転実態調査結果がまとまりました。4月中の1週間、5地方33組合のべ537台が労働時間を守って調査を実施しました。
 平均の運送収入は、テスト車が3万4566円、通常営業が3万7698円で、その差は3132円、率にして9%でした。通常営業は約1割のオーバー労働をしているということになります。
 東京での調査結果の推移を示したのが下のグラフです。
 運送収入は、2001年の規制緩和前の水準を回復しています。しかし当時の初乗り運賃は今より70円低い660円です。また、実車率は42%台にとどまっています。
 実車率は、かつて89年に56%を記録したことがあるように90年代初めまでは50%を上回っていました。50%が需給バランスの最低ラインですから、まだまだ台数が過剰だということです。
 安全運転で得られる運収から年収を推定すると、宮城167万円、福岡210万円、大阪216万円となり、いずれもその地方の4人家族の生活保護基準(270〜280万円)を下回ります。安全運転では家族も養えないということになります。