自交労働者No.881、2016年2月1日

ハイタク労組が総結集

白タク合法化阻止へ

3・8集会

 タクシー労働団体主要産別による白タク合法化阻止にむけた共同の抗議集会が3月8日、東京・日比谷公会堂で開催されることになりました。
 この集会は全自交労連、交通労連ハイタク部会、私鉄総連ハイタク協議会、KPU(関東旅客自動車交通労働組合)、全中労、中労協、労供労連東京、自交総連の関係者らによる協議(12月24日)で大筋合意したものです。
 今年に入って、準備委員会として2千人以上の参加、事業者団体との共同模索、集会後のデモ行進等について意見交換を行い、成功にむけての調整と準備を進めています。
 自交総連は、組織の違いを超えた一点共同の実現を歓迎し、3月8日を「自交総連中央行動」と位置付け、安全破壊の白タク合法化阻止、地域公共交通の健全な発展と人並みの労働条件確保をめざし全力をあげます。

安全破壊の白タク合法化阻止
ハイタク労働者総決起集会

日 程 2016年3月8日(火)
時 間 午前9時30分〜11時20分
場 所 日比谷公会堂

集会終了後、デモ行進予定

繰り返された悲惨な大事故

抜本的な対策取られず

軽井沢バス事故

各紙でも大きく報道されたバス事故
各紙でも大きく報道されたバス事故

 長野県軽井沢で1月15日、13人の若者と2人の乗務員の命が奪われ26人が重軽傷を負うスキーバスの大事故が発生しました。
 自交総連は19日、バス部会の声明を発表、関越道、北陸道の大事故を教訓として再発防止と規制強化を訴えてきたにも関わらず、規制緩和を見直す抜本的な対策が取られないまま、またしても悲惨な大事故が繰り返されてしまったことを糾弾、ずさんな運行体制、旅行会社の安値押し付けを生んだ過当競争をなくすためには規制緩和政策への真剣な反省が必要と指摘しました。(声明要旨

規制緩和の誤り反省せよ

再発防止と規制強化を

バス部会・軽井沢事故 声明要旨

 自交総連は、事故の再発防止と規制強化を繰り返し訴えてきたが、本質的な対策が取られないまま重大事故が繰り返されたことに憤りを感じる。
 貸切バスは2000年の規制緩和以降、事業者が倍増し過当競争が激化。運転者には長時間労働と低賃金が押し付けられている。
 関越道事故後、国交省等がとってきた対策は、(1)交替運転者配置基準は回送除外などの欠陥があり、自交総連が求めてきた保安要員(車掌等)の同乗は実施されていない(2)公示運賃は安値防止のため改定されたが実効性が疑問で、今回の事故会社も下限27万円のところを19万円で受注していた(3)改善基準改正には手が付けられていない――など不十分であり、それは規制緩和自体の誤りを国が真剣に反省していないところに原因がある。
 規制緩和を抜本的に見直し、参入規制強化、車掌の同乗、改善基準の改正などを早急に行うべきである。

賃上げ、ライドシェアの危険を訴え

東京・福岡で新春宣伝

2016年春闘スタート

白タク合法化絶対に阻止

経団連を包囲する参加者=1月13日、東京
経団連を包囲する参加者=1月13日、東京

 新春早々から各地で新春宣伝がとりくまれ、春闘のスタートが切られました。
東京地連では1月6日、新宿などの主要ターミナル駅で白タク合法化反対の宣伝行動を実施。城委員長は「最低賃金の引き上げなどを求めるとともに白タク合法化は絶対に阻止していく」と訴えました。
 1月13日には、春闘闘争宣言行動として、東京・大手町の日本経団連の包囲行動が実施されました。
 経団連前では、500人の参加者が賃上げ要求のシュプレヒコールをあげました。自交総連からは110人が参加し、白タク合法化阻止を訴えました。

「労働組合に入りたい」

乗務員もビラに関心を示す=1月6日、福岡
乗務員もビラに関心を示す=1月6日、福岡

 福岡地連では1月6日、博多駅、福岡空港で宣伝。諸外国では、乗客の安全・安心を脅かす事例があるなど、ライドシェアの危険性を訴えると、ほとんどの乗務員は窓を開けて聞いていました。また、ビラを見て労働組合に入りたいという電話もありました。

白タク合法化阻止闘争を提起

学習と宣伝を強めよう

第2回常執

 自交総連は1月7日、第2回常任中央執行委員会をひらき、16春闘方針案を最終確認、白タク合法化阻止闘争の強化を論議しました。
 白タク合法化阻止闘争については、春闘方針の付属文書として提案、常執メンバーで闘争本部を設置し、資料集や宣伝物を作成して学習を強め、特区など地方へのオルグや宣伝を計画します。
 そのための財政措置として、闘争積立金300万円と臨時徴収金として登録人員×500円を集めることを提起しています。
 中央委員会に提案して決定します。
 タクシーの根幹にかかわる攻撃なので、特別の体制が必要で、宣伝を強めようなどの意見も出されました。

監督実施数の増加が必要

ほとんどの事業所で違反

労働法令違反

 2014年度の自動車運転者を使用する事業者に係る労働基準関係法令違反、改善基準告示違反状況の監査結果がまとまりました。
 何らかの違反が見つかった事業所の割合は、タクシー・ハイヤー業が87・3%、バス業が74・4%でした(図1)。相変わらずほとんどの事業所で法令違反があるという異常な実態です。労基署が監督に入りさえすれば、違反が見つかるのですから、監督実施数を大幅に増やすことが求められます。
 ところが、図2のグラフのように監督実施数は依然として不十分で、関越道事故後の特別な監査があった12年度のバスをのぞき、減少傾向にあります。
 1月の軽井沢バス事故でふたたび特別監査が実施されると思われますが、違反の逃げ得を許さないためにも、日常的により多くの事業所に監督に入れる体制の確立が必要です。

図1・図2

白タク合法化阻止 危険な白タク ライドシェア

特定企業の利益のために法律をまげるな

ライドシェアを推進する新経連

リフトに360億円を出資

 ライドシェア合法化を積極的に求めているのは新経済連盟で、その代表理事は楽天の三木谷浩史社長です。楽天は昨年、ライドシェア企業のリフトに3億ドル(360億円)を出資、三木谷氏がリフトの取締役に就任しています。
  要するに自分が出資した企業が日本国内でビジネスができるようにライドシェア解禁を求めているということです。

特区を足掛かりに全国へ

 新経済連盟は、安倍首相がライドシェア容認発言をするとすかさず昨年10月、「シェアリングエコノミー活性化に必要な法的措置に係る具体的提案」を発表。ホームシェア(民泊)とライドシェアを広める提言をしています。
 そこでは、ライドシェアの運転者に講習を受けさせるなどすれば安全性に問題はないなどとして、道路運送法4条(白タク禁止)の適用除外を要求、「外国事業者に対しても本件対応を求める枠組みが必要」と外国事業者の参入を当然視しています。
 特区を足掛かりに、やがては全国でライドシェアを認めさせ、巨額の利益を生むビジネスチャンスを得ることが狙いなのは明らかです。
 特定企業の利益のために法律をまげてライドシェアを認めることは許されません。

新経済連盟のライドシェア提案

(2015.10.30 新経済連盟『シェアリングエコノミー
活性化に必要な法的措置に係る具体的提案』より)

《シェアリングエコノミーをめぐる世界の動き》
 米国連邦政府(連邦取引委員会)は、各州政府に対し、公平な競争促進等の観点から、単に既存のビジネスモデルではないことを理由にシェアリングエコノミーに対し過度な規制をしないよう求めている。

《なぜ、今ライドシェアが必要なのか》
・ユーザー利便性の向上により都市部の住民のモビリティ向上に貢献します。
・地方の交通空白地域におけるモビリティを確保し、「地方創生」に貢献します。
 公共交通空白地有償運送の制度が既に存在するものの、要件となっている地域公共交通会議の同意を得ることの困難さや、主体がNPOに限定されていることなどの課題がある
・観光客に移動オプションを提供し、東京オリンピック開催時の訪日外国人観光客の移動需要に対応し、「観光立国」に貢献します。

《具体的な制度提案》
 ライドシェアを新たな交通サービスの類型として法的に位置づけ、ドライバーとプラットフォーム双方に一定の対応を求めることをルール化することにより、ライドシェアのドライバーが道路運送法第4条第1項の許可の規定等を受けないこととすることを提案します。

※日本人に対してサービスを提供する外国事業者に対しても本件対応を求める枠組みが必要

2016春闘アンケート
対政府要求は (1)景気 (2)年金 (3)税金

不満を要求にまとめよう

退職金ないことに根強い不満

 自交総連の16春闘アンケート結果を紹介します。
 【回収率】回収枚数は21地方6756枚、回収率は40・6%で、前年より1702枚減っています。
 組合員の声を把握し、春闘での要求をまとめていく上で重要なアンケートとして、配布・回収体制をもう一度見直して、全組合員が回答できるようにしてください。

60歳以上が半数超

 【年齢】高齢化が進んでおり(図1)、とくにハイタクでは07年に3分の1を超えた60歳以上が約52%に達しています(図2)。
 【雇用】定時制・嘱託、派遣、その他を合わせた非正規雇用の割合は29%(前年28%)でした。7年前のアンケートでは19%でしたから、非正規の割合は着実に増えています。

図1

図2

73%が生活苦しい

 【生活実感】「かなり苦しい」と「やや苦しい」を合わせると72%で前年から4ポイント減る一方、「まあまあ」が前年より4ポイント増えて24%になっています(図3)。年金受給しつつ勤務している人がかなりいるためと考えられます。
 他単産では苦しいが5〜6割程度ですから、7割を超えるのは特別に多い数字です。
 【収入の変化】技職、自教、バスでは減ったは3割以下で、ハイタクで51%、全体では50%です(図4)。
 歩合制のタクシーでは、去年の営収はマイナスと感じた人が多かったようです。

図3

図4・図5

運転中の危険

 【運転への影響】
 タクシーもバスも居眠り運転の経験が4分の1を超えており、絶対安全が求められる公共交通機関ではあってはならない数字です(図6、7)。
 居眠り運転や安全確認がおろそかになるのは、長時間労働からくる疲労が原因です。
 適切な労働時間の規制と、それを守っても最低限の収入が確保できるよう労働条件を改善せねばなりません。

図6・図7

退職金ない、上位

 【職場での不満】昨年と選択肢を変えたところ、退職金、福利厚生の要求が上位にきました(図8)。一般企業の多くでは当たり前にある退職金や福利厚生制度が、タクシーではほとんどないことに根強い不満があるということです。こうした労働環境が、若者が入ってこない一因でもあるでしょう。
 地方ごと、職種ごとに、自分の地方で多い不満をよく把握し、春闘での要求にまとめていくことが大切です。

図8

過半数が増税拒否

 【政府に対する要求】上位5つは、(1)景気対策63%(2)年金改善61%(3)増税反対51%(4)医療・介護改善48%(5)最賃引上げ46%となりました(図9)。
 景気対策を望む人が多いのは、14年4月に消費税が8%に引き上げられて以降、2年たっても営収は伸びず、景気は悪くなっているという実感からです。消費税を10%に引き上げるのは、過半数が強く拒否しています。

図9