自交労働者No.896、2016年10月1日

新加盟組合 労働者の権利確保で前進

多数派めざし奮闘中

5地方8組合が新たに加盟

 自交総連には、この1年間で8組合が新たに加盟しました。代表して3地方4組合の仲間にそれぞれ今後の意気込みを話してもらいました。

早く過半数に近づけたい

 宮城・帝産労組 桜井委員長
 昨年9月にハイタク一般労組に加入し、今年3月に組合を結成しました。15年秋闘、16年春闘で会社と団交し、少しずつ職場の改善を行っています。
 現在私たちの組合は6人ですが、周りの期待もあり、早く過半数に近づけたいと考えています。
 会社の施設や車両に対する要求、有休の改善、病欠、免停時の取り扱いなど、まだまだ改善しなければならない課題があります。引き続き、多数派をめざしてがんばります。

組織強化・拡大はかります

一越観光労働組合の結成式

一越観光労働組合の結成式

 東京・一越観光労働組合 小田桐委員長
 一越観光労働組合は2015年10月2日、結成大会を開催し、同時に自交総連東京地連と南部ハイタク共闘会議に加盟しました。
 累進歩合制の廃止や乗務員負担では特に障害者割引の乗務員負担があることなど改善すべきところが多々あります。労働条件改善で組織強化・拡大をはかります。

正しい知識と情報取り込む

東京・すばる交通労働組合の仲間たち

東京・すばる交通労働組合の仲間たち

 東京・すばる交通労働組合 大沼委員長
 すばる交通労働組合は2015年10月24日〜25日の明集で組合結成を確認し、同時に自交総連東京地連に加盟しました。
 これまで組合がなかったために労働者の持つ権利を知らない人が大勢いました。正しい知識と情報を多く取り込み、労働条件改善で組織強化・拡大をはかりたいです。

年休手当支払わせる

高知・土電ハイヤー労組の仲間たち

高知・土電ハイヤー労組の仲間たち

 高知・土電ハイヤー労組 片岡委員長
 自交総連土電ハイヤー労組(5人)は、職場の仲間の先頭にたって果敢にたたかっています。
 会社が年次有給休暇手当の支払いをかたくなに拒む中、高知労働基準監督書への告発や交渉で今年6月、同監督署が会社に対し、是正勧告を行いました。会社に年休手当を支払わせることで職場タクシー運転者(約90人)1人あたり、年間10万円年程度の実質賃上げとなります。
 この成果を活かし職場の賃金改善や仲間増やしの活動に繋げていきます。

野党共闘前進させる

改憲許すな!戦争法廃止へ!

戦争法廃止総がかり集会

大阪の仲間による怒りの行進=9月19日、西区

大阪の仲間による怒りの行進=9月19日、西区

 【大阪】安倍政権が戦争法を強行採決してから丸1年を迎えた9月19日、大阪市西区の靱(うつぼ)公園で「改憲許すな!戦争法廃止
へ!9・19おおさか総がかり集会」が開かれ、5千人を超える人々が怒りの声をあげました。
 集会では民進党、日本共産党、生活の党、社会民主党の代表が登壇しました。「安倍政権を打倒するために野党共闘をさらに前進させよう」(共産・辰巳孝太郎参院議員)、「民進党に何があろうと野党共闘を崩さないために精一杯がんばっていきたい」(民進・辻元清美衆院議員)などとと力強くアピールしました。
 各分野からの登壇者のひとり、関西市民連合の塩田潤さんは「安保法制が成立し、参院選では改憲勢力が(国会議席の)3分の2を超える結果になったが僕たちは悲観も落胆も、ましてや分裂している暇などない。一人ひとりがこの社会の責任を引き受けて、持続可能な未来のために、何度でも効果的な一手を打ち続けよう」と呼びかけました。

全自交と共同で11自治体に要請

「ライドシェア検討していない」

宮城地連

 【宮城】宮城地連は、全自交宮城地本と共同で県内全自治体に対しライドシェア反対の要請行動にとりくんでいます。
 9月13日には、粟原、気仙沼など宮城県北部の11自治体に対し3コースに分かれとりくみました。
 このうち、気仙沼市、南三陸町、登米市には石垣書記長と仙台タクシー労組高橋委員長が訪問。それぞれ交通関係の方が対応しました。
 いずれの自治体でもライドシェアについては検討しておらず、積極的に導入しようとの動きはありません。
 また、高齢化や人口減少により、バスだけでは地域交通を担えなくなっています。
 「バス路線で乗客が少なく採算にあわないところも。周辺部では公共交通の手が回らない」(気仙沼市)
 「震災前に比べ住民が4千人減った。宅地や仮設のメドは来年あたりつく」(南三陸町)「タクシー会社がなくなった地域も2つあり、デマンドの走らせ方も検討が必要」(登米市)などの声が上がりました。

国の責任は重大

協議会で意見表明

千葉地本

 【千葉】自交総連千葉地本は9月12日、タクシー活性化特定地域に指定された京葉・東葛・千葉地区の協議会(合同)に参加し、その最後に意見を述べました。
 千葉地本の小林委員長は、特措法ではタクシーの活性化とタクシー運転者の労働条件改善がまったくなされていない、として過酷な労働実態を強く訴えました。
 (1)タクシー労働者の年収は300万円を割り、生活保護(4人家族)以下となっている。(2)その年収300万円もスピードアップとオーバー労働で働かなくてはならず、若年労働者がまったく集まらない。(3)タクシー労働者はお客様の安全と歩行者の安全などサービスを求められており、不安定な雇用形態は考えられない。(4)アルバイトなどを採用することにより、生活資金を獲得できるような職業ではなくなっている――と指摘し、国の責任は重大であるとしました。
 事業者が自分たちの責任を問わず、運転労働者に責任転嫁する業界の姿勢に釘を刺しました。
 会議後、千葉地本は、松戸市から市の活性化のために協議会へ再度参加を要請されました。

住民の大きな不安

補助金制度の充実を

京都地連が京丹後を再調査

ささえあい交通が利用しているウーバーシステムの領収書(左)、網野タクシー営業所とその車両(右)

ささえあい交通が利用しているウーバーシステムの領収書(左)、網野タクシー営業所とその車両(右)

 【京都】京都地連は8月31日、京丹後市の久美浜タクシー(久美浜町)、網野タクシー(網野町)で懇談を行い、ささえあい交通(丹後町)の開設による地域変化について調査を行いました。
 両タクシー会社では、「利用者は、当初EV乗合タクシーとの料金の違いに戸惑いがあったものの、徐々に理解されタクシーが戻ってきたことを歓迎している」「赤字にならぬよう地域の民宿と連携を取る、ミニ観光サービスなど営業に工夫をしている」など共通の話が聞かれました。
 ささえあい交通では08年にタクシー会社がなくなって以降、住民の移動の確保のため14年からデマンドバスの運営をしています。しかし、ドライバーの確保など運営上の問題や、柔軟性が乏しい点など苦労しており、より現実的な住民の移動手段の確保のため、ウーバーシステムを利用した公共交通空白地有償輸送を始めました。
 出産の際、救急車は使用できません。電車、タクシー、バスが使えないことが住民にとって大きな不安となっていました。
 京丹後市では「白タク・ライドシェア阻止」と「移動の手段の確保」の思いが入り乱れています。補助制度を充実させ、公共交通が持続的に運行できるようになれば危険なライドシェアに頼る必要はなくなります。

現場でしっかり対応を

劇で事故後の対応を学習

全都道交法学習会

実際に起きた事案を寸劇で再現=8月19日、東京・深川江戸資料館

実際に起きた事案を寸劇で再現=8月19日、東京・深川江戸資料館

 【東京】東京地連は8月19日、「16年全都道交法学習会」を深川江戸資料館で開催。神奈川地本や建交労の仲間も含め23組合166人が参加しました。
 第1部では、実際に起きた事案から、「新橋で当たり屋もどきとの事案」、「パトカーより逃走中の自転車と衝突事故の事案」(下記事で解説)を寸劇で再現。劇を通じて事故後の対応をわかりやすく学習しました。

事故対応を寸劇でわかりやすく学習

事故対応を寸劇でわかりやすく学習

 第2部では、代々木総合法律事務所の三浦佑哉弁護士が「交通事故――現場での対応」を講義。警察の言うままに供述調書にサインしないこと、相手との交渉でも即決示談は絶対にしないこと、「念書」のようなものは書かないことが肝要と述べ、こうした現場でのしっかりした対応でその後の流れが決まるとしました。
 続いての報告で、吉永利秀道対委員長が「助け合いの運動であると自覚し、道交法の運動にとりくんで欲しい。その上で安全運転に徹することが重要」とまとめました。
 参加者からは「事故後の対応、処置が重要だと実感」など感想が寄せられました。

道交法闘争

パトカーより逃走中の自転車と衝突

現場検証やり直し 不起訴、点数ゼロ

 日本交通労働組合千住支部のKさんと自転車との衝突重傷事故は2014年6月5日の深夜午前2時、発生しました。
 この事故は北千住駅本町センター通りのT字交差点で、制限速度の30キロで安全運転していたKさんと、パトカーの追跡から逃走中の専門学校生の運転する自転車が衝突。Kさんは自転車に気づき急ブレーキをかけましたが避けきれず、自転車の運転者が全治1カ月の重傷を負ったものです。

警察の不当な事件対応

 この事故のポイントは、(1)Kさんが制限速度を守っていたこと、(2)自転車が無灯火のうえ一時停止の道路標示と標識を無視し、猛スピードで交差点に進入したことです。Kさんに違法事実はなく、自転車側に落ち度があります。
 ところが警察は最初、この事故を単にタクシーと自転車の出会い頭の事故として処理し、実況見分も供述調書も終了していました。

避けられぬ事故と認定

 Kさんの相談を受け、これはおかしいと立ち上がったのが日本交通労働組合千住支部の組合法対部です。「パトカー追跡中の事故で、ただ急いでいる自転車とはスピードが違う」と主張し、警察に実況見分と供述調書のやり直しを了解させました。そして直ちに組合独自の現場検証を行い「現場見取り図」を作成。「加点入力停止申立書」を行政処分審査登録課に送付しました。
 警察のやり直しの実況見分には5人の法対部員が立ち合い、その後行われた供述調書の取り直しにも「陳述書」を提出、こちらの主張を書き込ませることができました。
 その後、同年9月30日の東京地検の呼び出しにおいて、「結果予見及び結果回避の可能性がない」つまり避けられない事故であるとの主張が認められ、Kさんは即日「不起訴」となりました。また、行政処分においても先に提出した「加点入力停止申立書」が功を奏し、入力点数ゼロで、1カ月の重傷事故にもかかわらず加点なしという結果でした。

常日頃から安全運転を

 自動車運転を生業とする以上「その時」が訪れる可能性は常にあります。警察の不当な対応に唯々諾々と応じないこと、処分が決まる前に組合へ連絡すること、道交法などの学習を深めて「武器」を身につけることが求められます。
 そして何より、常日頃から安全運転を心がけることが重要です。

ライドシェア解禁へ警戒

座長に大田弘子氏が就任

規制改革推進会議

 政府の規制改革推進会議が9月7日に発足、12日に初会合をひらきました。旧規制改革会議を継承するものです。座長には、90年代にタクシー規制緩和を推進した大田弘子氏が就任。シェアリングエコノミー検討会議で主査を務める安念潤司氏や国家戦略特区ワーキンググループの八代尚宏氏、原英史氏らが委員となっています。

財界は規制緩和に期待

 【解説】規制改革推進会議は、産業競争力会議が衣替えした未来投資会議、国家戦略特区諮問会議ともメンバーが重なり、規制緩和論者が様々な会議で一体となって規制緩和を推し進める体制となっており、民泊やライドシェアなどシェアリングエコノミーの合法化などが検討課題にのぼると思われます。
 日経新聞は8日付の社説で「特区では自家用車をつかって有償で人を運ぶ『ライドシェア』も始まる。これらをふまえて全国レベルのルールを検討すべきだ」と、さっそく特区と連携して規制改革を進めろとはっぱをかけていて、財界が規制緩和に期待を寄せていることがわかります。
 国土交通省は旧規制改革会議からの検討要請に8月、ライドシェアは「対応不可」「自家用車を用いた旅客運送を認めることは、安全確保、利用者保護等の観点から適切ではない」と昨年同様の回答を堅持しましたが、今後の規制改革推進会議の議論は予断を許さず、ライドシェア解禁に進まないように警戒が必要です。

図

職場権利と自交労働者 (1)最低賃金

最低賃金法に違反していないか

「給与支払い明細書」を調べてみよう

 最低賃金とは、最低賃金法に基づき、国が賃金の最低限度を定め、使用者はその金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。

 仮に労使双方合意の上で最低賃金額より安い賃金を定めたとしても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。最低賃金額未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。
 また最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、罰則(50万円以下の罰金)が科せられます。

タク運転者の場合

 タクシー運転者には、都道府県ごとに定められた地域別最低賃金(下表)が適用されます。
 賃金制度が、「基本給+歩合給(出来高払)制」の場合も、いわゆる「オール歩合給制」の場合も、1時間当たりに換算した賃金額が、最低賃金を下回らないようにすることが必要です。

図

表