自交労働者No.897、2016年10月15日

白タク阻止、職場権利の確立へ

組織拡大・体制強化と結んで

11・9中央行動を闘いの山場に

16年秋季年末闘争

 自交総連の秋季年末闘争は、(1)白タク合法化阻止を中心とした政策要求の前進、(2)実利につながる職場権利の確立、(3)憲法改悪阻止、国民的要求実現――を重点とし、すべてのとりくみを組織拡大と体制の強化に結びつけてたたかうことにしています。各地ではじまっているとりくみを教訓に、11・9中央行動を機に前進をかちとりましょう。

白タク合法化阻止

昨年の11・12総決起集会=15年11月12日、日比谷野外音楽堂

昨年の11・12総決起集会=15年11月12日、日比谷野外音楽堂

 規制改革推進会議などでライドシェア解禁がとりあげられる危険は続いており、世論への働きかけ、宣伝が重要です。
 京都地連は8月にウーバーのアプリを使った自家用有償運送が行われている京丹後市に4度目の調査、懇談に入り、住民の移動手段がないことがライドシェア導入の口実とされていることが改めてわかりました。
 こうした動きを止めるためには地方自治体の実情をよく知ることが必要です。宮城地連は9月、全自交と共同で自治体要請を実施、訪問した自治体では「ライドシェアの言葉は知っていたが中身は理解していない。要請書を見て調べた」(女川町)「デマンド交通をどうするか悩んでいる」(登米市)「住民バスに対する国の補助金を要望」(大衡村)など地域で公共交通を確保する課題が浮き彫りになっています。
 白タク合法化の危険性の資料を持って多くの自治体に働きかけることが重要です。
 ライドシェアへの「対抗」をも理由として初乗り距離短縮運賃が申請されている東京では、東京地連が反対の宣伝を行い、11月1日にはデモも計画しています。

権利を守り拡大へ

 職場権利の確立では、各地方の定期大会などで職場の実態が報告され、有給休暇が取れない、女性乗務員が妊娠したら一旦退職してくれと言われた、最低賃金法違反がある―など権利侵害はなくなっていないことは明らかです。
 秋闘の要求としてとりあげ、会社と交渉し、権利を守る労働組合の姿を示して、組織拡大につなげていくことが重要です

11月9日に中央行動

 これらの闘いの山場として11月9日に中央行動(別表)がとりくまれます。提出する個人請願書を事前に集約してください。

11・9中央行動

7地域を解除

116地域に減少

国土交通省・準特定地域

 国土交通省は10月1日、改正タクシー特措法に基づく準特定地域の新規指定・解除を決定しました。
 尾張西部交通圏(愛知)、岩国交通圏(山口)など7地域を解除するとともに、伊豆交通圏(静岡)の1地域を新たに追加しました。これにより、全国の準特定地域の数は6地域減の116となりました。
 伊豆交通圏(静岡)は車両ごとの実車キロ(日車実車キロ)が悪化し、指定基準を満たしたため新たに指定となりました。
 また指定解除のうち、花巻交通圏(岩手)は人口減少のため、他6地域は日車営収などの指標が回復したため、指定条件に合致しませんでした。指定が解除されたことにより、増車・新規参入が可能になります。
《新規指定》
 伊豆交通圏(静岡)
《指定解除》
 花巻交通圏(岩手)、石巻市(宮城)、いわき市(福島)、尾張西部交通圏(愛知)、尾道市(広島)、岩国交通圏(山口)、川薩交通圏(鹿児島)

8割の事業場で違反

普段から監督入る体制が必要

15年事業場監督結果

 自動車運転者を使用する事業場に対する監督結果(15年分)がまとまりました。これは労働基準監督署が監督に入って違反を確認した件数を全国集計したものです。
 全体の労働関係法違反率は84・9%、改善基準告示違反率は63・3%でした。ハイヤー・タクシーの場合、486か所を監督して、労働関係法違反が410(84%)、改善基準告示違反が208か所(43%)から見つかりました(下表)。ほとんどの事業場で違反が常態化しているという結果は毎年変わりません。
 監督に入れば必ず違反が見つかるという異常な状態にあるので、厚労省、監督署はより多くの事業場に入る必要があります。しかし監督実施数はむしろ減少傾向にあります(下図)。
 改善のため普段から事業場へ監督に入る体制づくりが求められます。

自動車運転者を使用する事業場に係る労働基準関係法令・改善基準告示の違反状況

職場権利と自交労働者 (2)改善基準告示

労働時間守られていますか

「改善基準告示」の遵守を点検しよう

 最長月130時間の残業で過労自殺したとされる元電通社員のニュースが話題となっています。自分の労働時間規制はどうなっているのか自交労働者も知る必要があります。

 労働者の労働時間は1日8時間、週40時間が原則で、それ以上働かせる場合には労働基準法第36条に基づき労使の合意による協定を締結しなければなりません。この協定には上限がなく、労使の合意さえあれば事実上青天井となっています。
 しかし、タクシーもバスも労働時間が異常に長い問題業種であり、長時間労働が交通事故に結びつくことから、自動車運転者には他の業種にはない労働時間の規制があります。厚労省が告示する「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」、いわゆる改善基準告示です(下表)。

使用者へ遵守要請

 改善基準は、もともとは拘束力が弱く実効性がない「通達」として出されていました。自交総連などの奮闘により、89年に「告示」へ変わったという歴史があります。
 法律ではありませんが、厚労省では使用者に遵守を要請しており、「この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上に努めなければならない」とされています。
 改善基準は、国交省でも同じ基準を告示として定めており、これを守っていないと事業者(会社)が行政処分の対象になります。労働時間を告示通りに守らせることが求められます。

36協定の概略 労基法第36条 時間外・休日の労働

改善基準告示の概要(特例省略)

公正な任命求めて要請

厚労省へ共同推薦提出行動

中労委・労働者委員の差別的任命

 中央労働委員会・労働者委員の公正な任命を求める共同推薦提出行動が9月26日、厚労省で行われました。
 労働組合への不当労働行為を救済する中労委は公益委員と使用者側、労働者側委員の3者で構成され、労働者委員は組合の意見を聞いて調整するなど重要な役割を持っています。ところが、現在の民間企業担当の労働者委員は連合が推薦した委員が独占し、全労連や中立労組を代表する委員が任命されないという不公正、差別的な状態が続いています。
 委員の改選にあたって全労連・純中立懇などが共同して岸田重信さん(全医労)、田中広喜さん(新聞労連)を労働者委員に推薦し、公正な任命をするよう厚労省の担当者に要請しました。

各地の大会

仲間を増やし組織強化・拡大

利益と権利守る運動に奮闘

山口第53回大会

 【山口】9月23日、第53回定期大会をひらき、運動方針と新役員体制を確立しました。広島地本の解散を受けて山口地連自交ユニオンの組合員となり活動する2人の仲間も参加。『すべての組合員が原点に返り、地域と職場で団結と統一 組織強化拡大を』とするスローガンの下、自交労働者の利益と権利を守る運動に奮闘することと組織拡大運動強化を確認しました。
 委員長=坂本一雄▽副委員長=守重正一▽書記長=川端輝彦(いずれも再)

労働条件向上で人材確保を

福島第22回大会

福島地連第22回定期大会=9月26日

福島地連第22回定期大会=9月26日

 【福島】9月26日、福島市小倉寺集会所において第22回定期大会を開催しました。
 本部石垣副委員長は講演で、タクシー運転者の高年齢化の問題等タクシー事業の現状を解説しました。
 討論では、人材の確保には労働条件の向上が必須であること、白タク合法化阻止・危険なライドシェア阻止には、さらに運動をひろめて組織の強化・拡大とあわせ奮闘していくことが必要であると確認されました。

盤石の地連 みんなの力で

東京第133回大会

東京地連第133回定期大会=9月28日

東京地連第133回定期大会=9月28日

 【東京】9月28日、第133回定期大会を開催、47組合195人が参加しました。
 城委員長が「あらたな運動の発想を展開し奮闘しよう」とあいさつ。川崎書記長が16年度運動方針案を提起する中、「2年後には執行部中枢の一部を入れ替えなければならない。盤石の東京地連をみんなでつくっていこう」と訴えました。
 委員長=城政利▽副委員長=池田忠司、徳永昌司、早川広之、二階堂諭▽書記長=川崎一則(いずれも再)

新委員長盛り立てまい進

神奈川第62回大会

神奈川地本第62回定期大会=9月29日

神奈川地本第62回定期大会=9月29日

 【神奈川】9月29日、第62回定期大会を開催しました。
 日本共産党・はたのきみえ衆議院議員をはじめ多くの来賓から励ましのあいさつを頂き、熱い討議がされました。
 議案審議も全体の承認が得られました。役員改選があり、新執行委員長に冨松達也が就任しました。執行部も5人体制になりましたが、新委員長を盛り立てまい進します。
 委員長=冨松達也(新)▽副委員長=荻野誠(再)、梅木聡(新)▽書記長=佐藤弘朗(再)

体を大切に活動しよう

静岡第39回大会

 【静岡】10月3日、第39回定期大会を開催、27人が参加しました。
 勇退する氏原委員長は自身の健康問題に触れ、体を大切にして活動しようと呼びかけました。市村書記長は行き過ぎた資本主義がひどい職場環境と格差社会を生み出していると述べ、白タク合法化阻止や石川タクシー富士宮労組の年度内争議解決等の運動方針案が採択されました。
 委員長=松下靖史(新)▽副委員長=佐藤裕(新)▽書記長=市村直之(再)

権利をかちとる運動推進を

埼玉第45回大会

埼玉地連第45回定期大会=10月4日

埼玉地連第45回定期大会=10月4日

 【埼玉】10月4日、第45回定期大会を開催し、『みんなの力で組織復活・拡大 職場から仲間を増やし、要求実現』をスローガンに16年度運動方針を確立しました。ライドシェア、短縮距離運賃阻止、特定地域での早期減車など労働者権利をかちとる運動推進を提起、憲法・労働法制改悪など国民的問題についての共同運動の前進を確認しました。
 委員長=石野正英▽副委員長=小倉清充▽書記長=山本唯志(いずれも再)

白タク阻止を最重点課題に

大分第55回大会

 【大分】10月4日、第55回定期大会を開催しました。役員改選により委員長の海老原氏は顧問になりました。方針では、引き続き「組織拡大」、国民の安心・安全な公共交通であるタクシー事業の存続やタクシー労働者の雇用を守る闘いである「白タク合法化阻止」を最重点課題として、がんばる決意を意思統一しました。
 委員長=水野博(新)▽副委員長=藤澤ユキ(新)▽書記長=広田稔(再)

持続可能な公共交通形成を

免許返納者の移動手段確保

警察庁要請

 来年3月12日施行の改正道路交通法により、認知症を疑う違反を起こした75歳以上の高齢運転者へ臨時認知機能検査が行われます(免許更新時にも実施)。医師の診断書提出の義務が生じ、結果次第で免許取り消しとなります。高齢運転者対策が厳しくなれば、取り消しだけではなく自主返納の増加も見込まれます。
 改正時の国会附帯決議で、「高齢者の移動手段の確保については適切に対策を講じていくこと」とあります。
 これを踏まえ警察庁は、地域ごとの実態に応じ、地域公共交通活性化・再生法の枠組みを念頭に持続可能な地域公共交通網を形成し、高齢者の移動手段の確保に向けた環境整備について、国土交通省へ協力を要請しました。また9月2日付で全国の都道府県警察本部へ、運転に不安を有する高齢者等が免許証を自主返納しやすい環境づくりの推進等を引き続き行うとともに、地域公共交通網の形成に向けて国土交通省や地方自治体の関係部局等と緊密に連携を図るよう求めています。

道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(衆議院)