自交労働者No.898、2016年11月1日

白タク合法化阻止、組織の強化拡大へ

安心・安全確保したタクシーの実現

社会的水準の賃金と地位の向上を

第39回定期大会

 自交総連は10月12〜13日、東京・全労連会館で第39回定期大会をひらき、新年度運動方針と城委員長(再任)をはじめとする役員体制(任期2年)を確立しました。大会では、機関紙コンクールの表彰が行われ、討論では総括討論を含め14人が発言しました。

新年度運動方針を確立した第39回定期大会=10月12〜13日、東京・全労連会館

新年度運動方針を確立した第39回定期大会=10月12〜13日、東京・全労連会館

城委員長あいさつ

城委員長
城委員長

 安倍政権は、参院選挙で3分の2を確保したことで、憲法改悪に向けてあからさまな態度を示しています。戦争法の廃止とともに安倍改憲を阻止することが重要となり、市民、労働組合との共同・共闘の運動を強化していかなければなりません。

ライドシェアの危険性訴え

 東京五輪を建前に民泊やライドシェアの合法化などの危険性もあります。国交省は、ライドシェアについては安全性が担保されないものは認められないという態度ですが、これはスキーバスの事故や3・8決起集会、内閣委員会などで「二種免許の位置づけや安全性の担保の必要性」などを追及したことの結果です。今後も国会内外での闘いを強化していく必要があります。
 自交総連は、各自治体への要請を進めており、宮城地連では全自交と共同で要請を行っています。
 白タクの対抗策として、東京を中心に年内にも初乗り距離短縮運賃の実施に向けて、業界が行政などに要請をしています。地方に波及させないためにも、東京地連では反対集会とデモを計画しています。これにより労働条件が低下していくのは確実で、どう安全を担保していくのかの議論がないことが大問題です。運転者に「賃金は保障しますから、安心して働いて下さい」と言えるようなとりくみを業界全体でやるべきです。

タクシー運転免許で安全を

 自交総連は、正当な要求として「社会的水準の賃金と社会的地位の向上」を求めた運動を展開しています。先日、交運共闘としてフランスCGTの運輸労組国際書記と懇談した際、彼は「公共交通を担う労働者だから公務員同等の賃金を得られて当然だ」と述べていました。タクシー運転免許の実現といった明確な資格の下で安心・安全を確保した公共交通機関としてのタクシーの実現に向け運動を強化しましょう。

組織後退の歯止めと克服を

 労働組合のあるなしでは労働環境は雲泥の差があり、そこには不満と要求が山積しています。宣伝と対話活動を旺盛に行い、仲間をさらに拡げましょう。組織の強化拡大の遅れによる弱体化は、自交労働運動の浮沈にかかわる問題です。背水の陣をしいての組織後退の歯止めと克服が緊急課題であり、世代交代の時期を迎えて質・量両面から総合的な対策が必要です。
 これ以上の組織的後退は、自交総連の社会的存在と有効的な産別の存在意義を発揮できないことにつながります。厳しい状況だからこそ、産別に結集したたかうことが、経営からの各個撃破を打ち破り、労働条件を守り、改善させていく術です。過去の闘い、世界のとりくみを教訓に、新たな運動を展望しましょう。
 賃金・労働条件の向上と公共交通機関としての安心・安全を掲げ、ともに奮闘していきます。

第39回定期大会参加者数

来賓4氏があいさつ

更に強化した共同を展開

井上事務局長
井上事務局長

 全労連・井上久事務局長 情勢は厳しいですが、今こそ反転攻勢が必要です。憲法を守り生かすため総がかり行動をさらに強化した太い共同を展開していかねばなりません。働き方改革の問題も、矛盾点を暴露し職場から働くルールを改善しつつ闘いを発展させることが課題です。そうすれば労働組合は前進できることでしょう。

ライドシェア阻止に全力

清水衆院議員
清水衆院議員

 日本共産党・清水忠史衆議院議員 安倍政権の暴走ぶりが目立ちます。南スーダンへのPKO、TPP批准、アベノミクスなど反対していかねばなりません。規制緩和・改善基準告示の法制化問題については、臨時国会でも皆さんの声を議会に届けたいです。また、安全なタクシーを守るためライドシェア阻止に全力をつくします。

国民世論にしっかり訴える

安藤副議長
安藤副議長

 交運共闘・安藤高弘副議長 今年は交通運輸分野でも軽井沢スキーバス事故をはじめ災害が多発しています。原因は企業のもうけを最優先し安全をないがしろにしていることです。規制緩和による労働環境悪化を是正するため、交運共闘はこれまで規制強化の運動にとりくんできました。今後も国民世論に危険性をしっかり訴えていきましょう。

全産業、全世界と協力を

菅弁護士
菅弁護士

 顧問弁護団・菅俊治弁護士 安倍内閣の労働時間規制緩和について労組のがんばりで阻止できたと思います。大同団結で阻止運動を行っているライドシェア問題は大変な局面を迎えます。アメリカでも労働者が集団訴訟を行い勝利しているので今後ぜひ紹介していきたいです。労働法の規制強化は全産業、全世界の労働者と協力するとりくみが必要です。

労働環境と利用者の安心・安全を守る

ライドシェア反対、争議報告

11地方14人が発言、質問

大会討論

新年度運動方針を確立した第39回定期大会=10月12〜13日、東京・全労連会館

大会には来賓、報道合わせて146人が参加

一つ間違えばライドシェア

(1)本間さん
(1)本間さん

 (1)山形・本間裕昭さん 山形地連の自主経営であるハイヤーセンター支部は、デマンド交通やスクールバスなどの委託を受けています。去年、鶴岡市の支援により、ボランティア輸送が始まりました。一つ間違えばライドシェアのようなものです。また、地方は車がどうしても必要で、代行問題が我々の肩にのしかかっています。その打開も課題です。

労働条件向上で人材確保

(2)藍原さん
(2)藍原さん

 (2)福島・藍原茂夫さん 福島交通圏を適正車両にするための減車も必要ですが、それ以上にライドシェアの問題があります。田舎では交通の便がないよりはましという考えが出てくるので、過疎地域での交通の確保がタクシーに求められます。また運転者の高齢化も業界の危機です。現状の労働条件の向上で、新しい人材を確保しなければなりません。

対策どう考えているのか

(3)土橋さん
(3)土橋さん

 (3)埼玉・土橋隆一さん (1)白タク合法化問題について、京丹後市で特区を風穴としてライドシェアが始まってしまいましたが、歯止めや対策をどう考えているのか。(2)初乗り距離短縮問題で、関東近県にも波及すれば、営収減による無茶なスピード営業による事故なども予測されるがどう考えているのか。(3)組合離れに対する対策はあるのか。以上3点、お聞かせ下さい。

初乗り短縮反対デモを計画

(4)林さん
(4)林さん

 (4)東京・林悦夫さん 白タク合法化がタクシー業界を揺さぶる中、経営者団体は対応策として初乗り距離短縮を導入しようとしています。推進する東タク協はこれにより営収減となっても差額は補填しないと無責任な態度を取っています。東京地連は、反対するデモを実施します。労働環境と利用者の安心・安全を守るため運動にとりくみます。

改善基準の改正を国へ要求

(5)山本さん
(5)山本さん

 (5)大阪・山本雅広さん 1月の軽井沢スキーバス事故は、関越自動車事故後に規制強化したはずが悪質業者が参入し起こりました。バス部会では交渉を行い、国交省には規制緩和の終止符を、厚労省には長時間労働・過労運転の要因である「改善基準」を実効性ある内容に改正するよう求めました。国へ、改善させる運動を強めていかねばなりません。

宣伝を活発化し組織拡大へ

(6)中村さん
(6)中村さん

 (6)福岡・中村朗さん 福岡の現状ですが、白タク合法化阻止の運動を九州Bでキャラバンを組織し、1500枚のビラ配りをしました。今後も世論とともに行政へ要請行動を進めていきます。地連は現在250人で高齢や定年退職者などで消滅する組合もありますが、宣伝行動を活発化し、組織拡大に奮闘することを決意します。がんばりましょう。

未払い賃金請求闘争に波紋

(7)吉根さん
(7)吉根さん

 (7)北海道・吉根清三さん 平成25年の三交タクシー未払い賃金訴訟・平成28年の国際自動車の時間外手当等未払い賃金訴訟で、歩合給制度の下では実質的な時間外手当を支払わなくて済むとする不当判決が出ました。未払い賃金請求の闘いに波紋を投げかけ、タクシー労働者の賃金に重大な影響を及ぼすこの事件を本部はどう考えているのでしょうか。

数の増加が要求実現の近道

(8)片岡さん
(8)片岡さん

 (8)東京・片岡敏康さん 東京地連が組合員を増やせなければ自交総連全体に大きな影響が出てしまいます。新しく立ち上げた単組をどう発展させるか、地連の専従役員の力量に関わってきます。今回、登録数を大幅に減らす結果となったので、一日でも早く戻すよう幹部一同、努力したいです。数の増加が要求実現の近道です。

年金基金の破綻で裁判提訴

(9)小嶋さん
(9)小嶋さん

 (9)神奈川・小嶋光好さん 神奈川県乗用自動車厚生年金基金が破綻しましたが、99%の人が積み立ててきた金額も分からず、理事会は、解散しても年金の支給額は変わらないと詭弁を使っています。事業主に都合の良い脱法行為を濫用した決算書で解散申請をするなど詐欺的行為も行っています。厚生局への直訴、裁判所への提訴を現在進行中です。

数の力で労働条件変わる

(10)諏訪部さん
(10)諏訪部さん

 (10)静岡・諏訪部みゆきさん 組合つぶしの解散解雇事件から6年8か月が経ちました。これまでの経験から感じたことを申し上げます。一つ目は数の力で物事が決まり、労働条件も変わることです。また1対1で根気よく伝えれば組合員は増えることです。そして、学ぶことの重要性です。なぜ学ぶのか、それは騙されないためです。私はそのために学ぼうと思っています

タク免許制度の早期実現を

(11)北井さん
(11)北井さん

 (11)鹿児島・北井良夫さん 今のタクシー業界に魅力がないのは収入が低く、仕事がきついからです。若い人に入ってもらうためには、自交総連の政策であるタクシー免許制度の早期実現とタクシーを減らし1車当たりの営収増が必要です。また、地連の活動としては、ライドシェア反対のビラ配りの実施や、谷山自動車教習所では定昇アップなどを実現しました

新年度運動方針を確立した第39回定期大会=10月12〜13日、東京・全労連会館

運動方針案・予算案を採決

総括討論

いかに運動実践するか重要

(12)東海林さん
(12)東海林さん

 (12)宮城・東海林銀次さん 第一に、改正タクシー特定地域特措法の目的である「運転者の労働条件の改善」のためタクシーを減らさなければなりません。仙台市内では11年から減車が進んでいないので、40%以上の減車が必要です。第二に、ライドシェアへの対策です。全自交と共同で阻止にとりくみます。現状を変えるには運動方針に賛成するだけでなく、いかに運動を実践するかが重要です。

国民的要求実現のため運動

(13)平澤さん
(13)平澤さん

 (13)東京・平澤収さん 東京地連は白タク合法化や初乗り距離短縮運賃の阻止のためたたかっています。労働条件の悪化が若年層の就業人口を減少させ、労働者の高齢化を招いています。労働者が集まるシステムの追求による魅力ある産業への転換が必要です。また、組織の強化拡大のとりくみも求められます。私たちは社会的水準の賃金をめざす運動方針の追求と、国民的要求課題実現のための運動に全力で奮闘します。

規制緩和の犠牲は利用者へ

(14)松下さん
(14)松下さん

 (14)大阪・松下末宏さん 大阪地連は、安易に「ライドシェアで地域住民の足を守る」という発想は危険で、規制緩和とは軽井沢スキーバス事故のように最終的に利用者が犠牲を払うことになると警鐘を鳴らしました。また、タクシー労働者の労働条件改善の法改正は行われましたが、実態が伴っていないというのが現場の声です。規制緩和を反省しない行政、労働条件改善をしない事業者、ライドシェア問題の三重苦です。大阪地連は、組織を超え労働者が団結して暮らしを守る闘いに奮闘します。

組織の現状は危機的状況

拡大は一刻の猶予も許されない

執行部答弁

菊池書記次長
菊池書記次長

 執行部答弁に立った菊池書記次長は、質問に答え、(1)白タク合法化阻止のための最大の歯止め策は世論の喚起で、宣伝と自治体対策が重要、(2)初乗り短縮運賃をはじめ運転者の労働条件低下につながる運賃改定には反対であり、全国でも警戒が必要、(3)組織拡大に「特効薬」はなく、地道にやるべきことをやりきる運動の継続が大切、(4)歩合給の割増賃金を否定する不当判決が出ていることには注意を払い、来年の弁護士交流会でもテーマとして取り上げ分析する――と、述べました。
 そのうえで、討論のなかで出された各地の教訓をふまえ、第一に、白タク合法化阻止の闘いでは、自治体訪問やデマンドタクシーなどの実践に学んで全国で運動を広げるとともに、解散も予想される状況で政治を変えなければならない、第二に、入ってよかったと思える組合にするためにも、道交法闘争など職場権利と実利を守るとりくみを重視していく、第三に、組織の現状は危機的な状況であり、拡大は一刻の猶予も許されないとし、決めたことをみんなでやりきる実践が必要だと強調しました。

自交総連第39回定期大会選出役員(任期2年)

中央執行委員長
副中央執行委員長
   〃
   〃
書記長兼会計
中央執行委員
   〃
   〃
   〃
   〃
   〃
   〃
   〃
   〃
   〃
   〃
   〃
会 計 監 査
   〃   
○城 政利(東 京)
○石垣  敦(宮 城)
○早川 広之(東 京)
○庭和田裕之(大 阪)新
○菊池 和彦(本 部)新
 釼持 惠市(山 形)
 倉喜久雄(福 島)
○石野 正英(埼 玉)
○川崎 一則(東 京)
○池田 忠司(東 京)
 徳永 昌司(東 京)
 二階堂 諭(東 京)
○冨松 達也(神奈川)新
 市村 直之(静 岡)
 福田  徹(京 都)
○内田 大亮(福 岡)
 北井 良夫(鹿児島)新
 本間  昭(宮 城)
 山本 唯志(埼 玉)

(注.○印は常任中央執行委員=第1回中央執行委員会にて互選で選出)

写真

大会宣言

2016年10月13日 自交総連第39回定期大会

 自交総連第39回定期大会は本日、「白タク合法化阻止、安心・安全な公共交通の確立 自交総連の強化拡大」をメインスローガンとする2016年度運動方針を確立した。
 自交労働者をとりまく情勢は、かつて経験したことのない局面にある。
 白タク合法化の攻撃が強まる中、3・8総決起集会では組織の違いを超えて8つの労働組合が大同団結した。
 われわれは、今後も一点共闘をさらに前進させ、粘り強く阻止運動にとりくんでいく。
 労働条件の大幅な改善にもとづく将来を見据えた運転者確保方策の実現も重要である。
 自交総連は底力を発揮して、輸送の安心・安全を守り、社会的水準の労働条件確立をめざし奮闘する。
 魅力と働きがいのある事業の再生と、タクシー運転免許の法制化を掲げてたたかう。
 労働者・国民のくらしと権利、平和と民主主義をめぐる今日の状況は、歴史的激動の真っただ中にある。
 安倍政権は国民多数の反対を押し切り、憲法の改悪を目論んでいる。
 いまほど社会的勢力としての労働組合の真価が問われているときはない。
 われわれは、憲法を生かす運動を軸に、戦争法廃止、労働法制の規制緩和反対、TPP参加や原発再稼働・消費税増税の中止を求め奮闘する。
 戦後史をかけた国民的共同の大運動を発展させ、政治の民主的転換をはかる。
 われわれは、組織の減少に歯止めをかけ、実増に転じることを絶対不可欠の課題として位置付け奮闘する。
 危機突破の要は数の力である。
 未組織労働者と対話する努力を惜しまず、信頼関係を築き、新たな組合員の芽を育てる。
 同時に、闘いの伝統を引き継ぎ発展させる幹部・活動家の育成にも大きな力を注がなければならない。
 すべての組合員の知恵と力を結集し、一丸となって強く大きな自交総連をつくりあげる。
 自交総連は来年、第40回大会を迎える。
 われわれは、節目の大会を意気高く迎えるために、全組合員の仲間とともに新たな決意で組織拡大運動にとりくんでいく。
 以上、宣言する。

おつかれさまでした!

退任役員の紹介

 自交総連第39回定期大会では、次の役員の皆さんが退任し、壇上でそれぞれあいさつを述べました。
 皆さん、本当におつかれさまでした。

壇上で退任のあいさつを行う役員 左から瀬戸山、木下、秋山、今村、海老原、田村の各氏

壇上で退任のあいさつを行う役員
左から瀬戸山、木下、秋山、今村、海老原、田村の各氏

◎秋山民夫(副中央執行委員長・大阪)
◎今村天次(書記長・山口)
◎木下哲(常任中央執行委員・神奈川)
◎海老原昇(中央執行委員・大分)
◎瀬戸山実義(同・鹿児島)
◎田村清隆(同・東京)