自交労働者No.901、2016年12月15日

初乗り短縮反対へ行動

運賃は安全輸送が前提

東タク協・関東運輸局へ要請

東京地連

東タク協へ要請書を提出

東タク協への要請行動=11月21日

東タク協への要請行動=11月21日

 【東京】東京地連は11月21日、東京ハイヤー・タクシー協会へ要請行動を実施しました。
 武居副会長は、自交総連がとりくんだ11・9中央行動にふれ、大々的行動で国交省内でも話題になっているとし、「初乗り距離短運賃については消費者委員会から実質の値上げではないかとクレームがついているが、国交省としては年明けには実施したいという要望がある。東タク協としてもうまく進めていきたい」と述べました。
 さらに、ウーバー対策として「全タク連で11項目の活性化が承認され、国交省では来春以降、事前確定運賃の実証実験を行う予定がある。ライドシェアに対抗するには何らかの手を打っていく必要がある。情報を共有し、反対していきたい。また来年度においては、ほとんどのエリアで特定地域が解除になるだろう」と語りました。
 それを受けて高城委員長は、「訪日外国人の旅行案内にウーバーの宣伝が載っている。国民の足をどう守っていくかという観点で考えていかなければならない。初乗り距離短縮運賃については、利用者からみてどう映るのか、実施する場合は、一定の賃金を補償するべきだ」と述べました。
東京都に部・局を開設する提案について、武居副会長は協力してとりくんでいきたいと回答しました。

関東運輸局と活発に議論

 さらに11月25日、関東運輸局への要請行動を実施しました。
 城委員長は「白タク合法化の対抗策として初乗り距離短縮運賃導入を進めているが、運賃は安全輸送を前提とした社会的水準の労働条件が保障されるべきもの」とあいさつ。服部課長は「適正化・活性化が進み、労働者、利用者、事業者がともにメリットを得られることが本来の目的。より良いタクシー輸送にむけとりくみたい」とあいさつしました。
 その後、(1)あらゆる白タク行為を駆逐すること。また、タクシーの将来展望を明確に示すこと。(2)初乗り距離短縮運賃を認可しないこと。また、労働条件改善につながらない運賃・料金を認可しないこと――など8項目を要請し、活発に議論しました。

規制緩和の見直しを

事故後の対策検証が不十分

衆議院国交

清水忠史衆院議員

清水忠史衆院議員

 軽井沢スキーバス事故後の検討会で出された事業者への罰則強化などについての道路運送法改正案が審議された衆議院国土交通委員会で11月18日、日本共産党の清水忠史衆院議員が質問に立ち、事故の再発防止のため、規制緩和の見直し、旅行業者への規制強化、改善基準の改正などの対策を求めました。
 清水議員は、軽井沢事故のバス会社は下限割れで運行していた点をとりあげ、新運賃制度で下限割れ運賃の通報は何件なのかと観光庁に聞くと、通報は4件で、うち3件は事故が起きた後に国交省が通報していることが明らかになりました。
 国交省は、改善基準の運用実態について事業者からヒアリング、アンケートを取りながら公表していないと追及され、石井大臣が本年度中に開かれる次回の軽井沢事故対策検討委員会に報告して公表すると約束しました。

改善基準の改正求める

参議院国土交通委

堀内政務官が企業寄りの答弁

山添拓参院議員

山添拓参院議員

 日本共産党の山添拓参議院議員は12月1日、国土交通委員会の道路運送法改正審議で質問に立ち、自動車運転者の労働時間等の改善基準告示の改正、法制化を求めました。
 山添議員は、事故の根本原因には規制緩和があるが、どう考えているのかと国土交通大臣に聞きました。
 石井啓一国交大臣は、規制緩和でサービスの多様化など利便が向上したなどと強弁したため、山添議員は、事故を繰り返している規制緩和がサービスの向上になったとは言えないと指摘しました。
 次いで、改善基準告示は、1か月80時間から100時間以上の残業が可能で、過労死ラインを超える残業を可能とする基準はおかしいとして改正の検討は行われているのかと厚労省に聞きました。
 堀内詔子厚生労働大臣政務官は、改善基準は労基法に上乗せの規制であり、見直しは事業所の運営への影響を見極めつつ判断する必要があると企業寄りの答弁を行いました。
 山添議員は、過労死ラインを超え働かせることを容認するのかと迫り、罰則がないので実効性がない、法制化は検討していないのかと重ねて聞きました。
 堀内政務官は、労基法を上回る規制について罰則付きの義務付けをする法制化は、労使の合意形成を図ることは難しいと答弁。山添議員は、後ろ向きの答弁だと抗議、改善基準改正と法規制が必要だと強調しました。

組織の実増かちとろう

第2回中央執行委員会

春闘方針案などを議論

第2回中央執行委員会=12月7日、自交共済事務所

第2回中央執行委員会=12月7日、自交共済事務所

 自交総連は12月7日、第2回中央執行委員会をひらき、春闘方針案などを議論しました。
 方針案は、白タク合法化ストップ、賃金底上げ、職場権利の確立をめざして春闘をたたかうことを提起、あわせて組織強化拡大2か年計画を策定し、組合員の減少や幹部活動家育成の遅れなど、現状に危機感を持って、あらゆる運動を組織拡大と結び付けて必ず実増をかちとる方針を掲げています。
 方針は、1月24、25日にひらく第39回中央委員会で決定します。
 また、白タク合法化を阻止するうえで重大な政治戦となる総選挙が来年初めにあり得ることから、安倍政権打倒をめざす総選挙闘争方針を確認しました。

賃金底上げめざそう

ストップ暴走政治

国民春闘討論集会

2017国民春闘討論集会=11月23〜24日、ウェルシティー湯河原

2017国民春闘討論集会=11月23〜24日、ウェルシティー湯河原

 全労連・国民春闘共闘委員会は11月23、24日の両日、ウェルシティー湯河原で2017年国民春闘討論集会をひらきました。
 あいさつした小田川代表幹事は、安倍内閣が、働き方改革の名で「雇用関係によらない働き方」などとして労働者の権利を丸ごと奪う研究をしていることを指摘、大企業の内部留保を還元させ、賃金底上げをめざそうと訴えました。
 井上事務局長が「ストップ暴走政治! 守ろういのちと平和、そして憲法、賃金底上げと雇用の安定、地場産業振興で地域の活性化」をスローガンとする国民春闘方針案を提案しました。
 自交総連菊池書記長が白タク合法化阻止の闘いについて特別報告しました。

保護と規制は当たり前

社医研・安全衛生フォーラム

低賃金が長時間労働改善を阻害

 社会医学研究センター主催の安全衛生フォーラム「夜勤交代制労働と改善のたたかい」が11月26日、都内でひらかれました。
 労働科学研究所の佐々木司博士が、「夜勤は有害――保護と規制は当たり前」と題して講演、人間の生活リズムに反する夜勤には健康に対するリスクがあり、回数や労働時間を短くする規制が必要で、20%しかいない夜勤労働者のリスクを80%の昼勤労働者にも理解してもらう運動を広げる必要があると説明しました。
 医療、郵政、鉄道、テレビなどの現場から活動報告がなされ、自交総連から菊池書記長が、バス・タクシーの勤務実態と低賃金が長時間労働の改善を阻害している実態を報告しました。

全面解決をめざして

長期争議の紹介

6地方7組合が闘争中

 自交総連の長期争議組合は今年12月時点で6地方7組合でした。
内容は不当解雇をはじめとして、賃金の一方的変更、不当処分などです。
 東京・一越観光労組は、小田桐委員長のもと不当解雇撤回に向けた地位確認等請求事件として係争中です。30年以上なかった労働組合を昨年10月に立ち上げたと同時の解雇通知を受けました。これを撤回させるため、全面解決めざし地連の支援を受けながらたたかっています。
 かちとった成果では、茨城・関鉄タクシー労組の65歳での継続雇用拒否事件で拒否を撤回させた和解がありました。
 自交総連では毎年、臨時徴収金から、解雇事件や重大事件に配分しています。

これからもたたかう

石川タクシー労組 諏訪部みゆき

諏訪部みゆきさん

諏訪部みゆきさん

 富士急グループの一員企業である石川タクシー富士宮の解散従業員全員解雇から6年が経過しましたが、いまだに問題は何ひとつ解決していません。
 私たちは15年1月15日付けで静岡県労働委員会に会社の団体交渉拒否についての申し入れを行いました。そして今年10月20日、同労働委員会から、会社は「労働者の救済、雇用確保など争議の全面解決」に関する団体交渉に速やかに応じなければならないとする命令が出されました。
 富士急で働く従業員が笑顔で誇りを持てる会社に生まれ変われるよう、私たちは問題の解決めざして全国の支援者とともにこれからもたたかい続ける決意です。

山梨富士急本社前で抗議

山梨での抗議行動=11月22日、富士急本社前

山梨での抗議行動=11月22日、富士急本社前

 石川タクシー富士宮労組闘争支援共闘会は11月22日、争議の解決を求めて山梨県富士急本社への抗議・要請行動を行いました。
 当該労組や静岡から来た支援者、東京、神奈川、大阪の仲間が富士急に向かって、解決せよとシュプレヒコールをあげました。

各地の大会

組織の強化・拡大に全力

福岡第54回定期大会

福岡地連第54回定期大会=11月27日、須恵町カルチャーセンター

福岡地連第54回定期大会=11月27日、須恵町カルチャーセンター

 【福岡】福岡地連は11月27日、須恵町カルチャーセンターで第54回定期大会をひらき2016年度運動方針を決めました。
 運動方針は、白タク合法化阻止を第一に、福岡のタクシー、バス労働者の労働条件の改善のための職場闘争強化、組織の拡大・強化に全力をあげることにしています。
 委員長=中村朗▽副委員長=宜保幸弘、広瀬早美、古賀文紀、伊藤良一▽書記長=内田大亮▽書記次長=安武博子

交通のコミュニケーション難しい

ひたちなか安全運転研修所で20人が受講

真剣に説明を聞く自交総連メンバー=8月2〜3日、安全運転中央研修所

真剣に説明を聞く自交総連メンバー=8月2〜3日、安全運転中央研修所

 東京・日本交通労組千住支部 角間基夫さんによるレポート
 8月2〜3日、茨城県ひたちなか市にある安全運転研修所で、「特定業務運転者課程研修」が行われ、自交総連からは20人が受講しました。
 安全運転研修所は、一般道、高速道路、泥道、雪道を模した各コースを敷地に有し、普通車、バス、トラック、バイクにたずさわるプロの運転者向けの研修を行っています。

事故起こさぬ知識

 1日目は、教官から、この研修は運転技術の向上を目指すものではなく、事故を起こさない知識を得るためのものとの説明から始まりました。出庫前点検の重要性についての講義の後、正しい運転姿勢と時速50キロからの急ブレーキ研修を実施しました。
 2日目は、「交通危険学」についての座学が行われました。
 その後、雪道走行、交通弱者への配慮と危険予測を目的とした市街地走行、エコ運転などの研修を実施しました。右直事故の検証実験では、4輪車交差点右折、2輪車直進のケースで、2輪車が交差点のどれくらい手前で右折するかを実験しました。時速60キロの2輪車のスピードなら、交差点手前約15mで右折できると言い切った研修生が車を運転しました。全員が、「無理」「無謀」「絶対事故る」と反対する中、当該研修生は果敢に挑戦し、結果、4輪車の右折はまったく間に合わず、教官運転の2輪車のアクロバット的な急制動で衝突を回避しました。

受講した感想

 今回の研修で、自分の運転に対する考え方が一般的ではないと知りました。ウインカーを出すタイミング、急制動の出来・不出来なども人によって異なり、交通の円滑なコミュニケーションは難しいとがわかりました。
 乗務員同士の意見交換や発言も勉強になりました。

職場権利と自交労働者 (5)不安定雇用

組合活動理由の更新拒否は違法

短期雇用でも一方的な雇止めはダメ

 定時制・嘱託などの不安定雇用は、多くの場合1年以内の短期雇用であり、契約の更新や雇用の継続は重要な関心事になります。
 たとえ短期雇用であっても、使用者が一方的に契約打ち切り(雇止め)できるわけではありません。
 契約期間満了の場合に、更新拒否ができるかどうかについては各種の判例(左)があり、決して使用者の自由になるものではありません。

不当労働行為の場合

 労働組合に入ったことや組合活動をしていることを、使用者が嫌って更新を拒否された場合は、労組法違反の不当労働行為にあたり無効となります。
 使用者側もあからさまに組合に入ったことを理由にはせず、表向き別の口実を設けるのが通例です。しかし、このような表面的な理由ではなく実質的な内容で判断されます。
 また、「社会保険に加入させたくない」「有休の権利発生を抑えたい」などの法律を脱法する目的で労働者を短期雇用としている場合は、契約が元から無効で契約書類の文面にかかわらず期間の定めのない契約とみなされます。

継続雇用制度とは

 13年に施行された改正高年齢者雇用安定法により、65歳まで希望者全員が継続雇用されることになりました(上)。
 1年以内の短期雇用に切り替えた場合、65歳までは全員が契約更新されることになります。
 65歳を超えても、前述のとおり更新拒否には制約があります。


◎高年齢者雇用安定法Q&A

Q1‐1:改正高年齢者雇用安定法においては、事業主が高年齢者雇用確保措置として継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とするものにしなければならないのですか。
A1−1:事業主が高年齢者雇用確保措置として継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とするものにしなければなりませんので、事業主が制度を運用する上で、労働者の意思が確認されることになると考えられます。

(中略)

  なお、心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。)に該当する場合には、継続雇用しないことができます。 ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意が必要です。
(厚労省HPより)

◎更新拒否を無効とした判例

 本件契約は特段の事情がない限り更新されることが原則であって、使用者が債権者らとの雇用契約を消滅させるためには被用者において更新を欲しないことが明らかである場合を除いて、期間満了の際に更新を拒絶する旨意思表示をなすことを必要とし、しかもその際全く恣意的な更新拒絶が許されている訳ではなく、そこには自ら公序良俗、信義則、権利濫用法則等のいわゆる一般条項による制約が存するものと解すべきである。(85.9.27 山口地裁昭和60年ヨ第62号地位保全等仮処分事件)