自交労働者No.908、2017年7月1日

白タク合法化 断固阻止

タクシー協会・在阪労働5団体で初共同

大阪共同闘争


持続安定性からも白タクは問題

ライドシェア反対を訴える=6月1日、大阪・難波駅前
ライドシェア反対を訴える=6月1日、大阪・難波駅前(右から自交大阪・福井委員長、大タ協・井田常務理事、同・道野経営委員長、全自交大阪・権藤副委員長、自交大阪・庭和田書記長)

 【大阪】大阪タクシー協会と在阪労働5団体は6月1日、新経済連盟が自らの儲けのために危険な白タク・ライドシェアを推進するよう政府に求めていることに対し、主要ターミナル6か所(南海難波駅→JR天王寺駅→南海堺東駅、JR大阪駅、梅田ヨドバシカメラ、千里中央駅)でライドシェアの危険性を告発する宣伝行動を共同でとりくみました。
 難波駅高島屋駅前では労使の宣伝隊50人が、「タクシーがつなぐ人の輪、地域の輪 白タク合法化 断固反対!」と記したティッシュ、タクシーとライドシェアの違いを知らせるリーフレットを配りました。
 宣伝カーからは大タ協の道野隆経営委員長や井田信夫常務理事がマイクを握り、新経連がライドシェア推進を政府に働きかけていることや、利用者にどう影響するのかを世界の実態を例に告発し、合法化に反対するよう市民に訴えました。
 同駅では自交総連大阪地連の福井勇委員長と全自交大阪地連の権藤輝雄副委員長が、堺東駅では私鉄関西ハイタク協議会の宮田幸次委員長も訴えました。
 またJR大阪駅桜橋口では、北東地協の仲間が連合の仲間とともに奮闘する中、大タ協の足立堅二専務理事や交通労連ハイタク部会の小川啓二部会長、全自交大阪地連の加藤直人委員長、私鉄関西ハイタク連合会の阪本均委員長、自交総連大阪地連の吉田栄二副委員長が演説しました。

安全なタクシーまもれ

ライドシェア阻止へ宣伝

楽天本社前宣伝行動

白タク反対のビラ配りをする仲間=6月7日、東京・二子玉川駅前
白タク反対のビラ配りをする仲間=6月7日、東京・二子玉川駅前

 自交総連は6月7日、楽天本社近くの二子玉川駅前(東京都世田谷区)でライドシェアを推進する楽天(三木谷浩史社長)に抗議する宣伝行動を実施し、埼玉・東京・神奈川・大阪・福岡の5地方から79人の仲間が参加しました。
 12時に駅前に集結し、「みんなが安心して乗れる安全なタクシーをまもれ」「ライドシェアの解禁は許さないぞ!」の横断幕を掲げ、ビラ入りティッシュや特製のうちわを配布しました。
 城委員長は、ライドシェアを導入した国でドライバーによる事故や事件が多発している実例を紹介し、「安心・安全を破壊し、利用者の命が危険にさらされる」とライドシェア計画を断念するよう強く訴えました。
 その後も、庭和田副委員長、菊池書記長、石野埼玉地連委員長、冨松神奈川地本委員長、内田福岡地連書記長、川崎東京地連書記長らが、宣伝カーから通行人に、ライドシェアの危険性や国家戦略特区制度を悪用した安倍総理や三木谷氏らの行為は政治の私物化だと訴えました。

最後までたたかうぞ

12時間の路上スト決行

日の丸自交労組

集会で訴える池田委員長=6月2日、東京・日の丸本社前"
集会で訴える池田委員長=6月2日、東京・日の丸本社前

 【東京】日の丸自交労組は6月2日、春闘要求の累進歩合制賃金や検診費用の労働者負担の廃止、賃金の底上げなどを求めて、午前8時から午後8時まで12時間にわたるストライキと抗議集会を実施しました。
 東京地連の宣伝カーを文京区・水道橋の日の丸交通本社前に配置し、車体に「スト決行中」のステッカーを貼り付けた営業車両60台が2時間交代で路上で待機しました。今までのストライキは車庫出しを止めるものが普通でしたが、タクシー運転者の職場は路上。世の中にアピールする効果も含めてそうしようと組合員みんなで考えたとのことです。
 午前10時から決起集会を開催し、各ブロックを含め全体で15組合96人が参加しました。
 池田執行委員長は、賃金体系の改定、累進歩合制や事業経費の労働者負担の廃止などを求める改正タクシー特措法の附帯決議を説明し、改善を求める労働者の要求に応えない会社の姿勢を批判。「労使協議中だからと、2年間は賃上げを見送ってきた。これでは何のために我慢してたのか分からない」、「タクシー業界としての全都的な問題だ」と訴えました。続いて、当該を含め各ブロックの代表が「最後までたたかうぞ」と決意表明し、集会を盛り上げました。

富士急の責任を追及

株主総会会場前で宣伝

石川タクシー富士宮労組

富士急株主総会の会場前で宣伝=6月22日、富士吉田市"
富士急株主総会の会場前で宣伝=6月22日、富士吉田市

 【静岡】石川タクシー富士宮労組闘争支援共闘会議は6月22日、富士急株主総会の会場のホテル前、富士急本社前、富士吉田市役所前の3か所で、宣伝行動を実施しました。当該労組5人と富士地区労連2人、静岡県評4人、静岡地連4人、東京地連2人、埼玉地連1人の合計18人が参加しました。
 株主総会会場前で「誠意をもって話し合いに応じろ」などの横断幕を掲げました。
 関東ブロックの早川事務局長や当該労組の諏訪部委員長が富士急の社会的責任を追及する訴えを行いました。
 富士急本社前では、早期解決のために団体交渉に応じるよう要求書を手渡し、問題が解決するまで闘いを続けていく決意を訴えました。

共謀罪廃止を

広場に500人が集結

鹿児島・共謀罪法案採決反対集会

広場に座りこみ抗議する参加者=6月14日、鹿児島中央駅東口広場
広場に座りこみ抗議する参加者=6月14日、鹿児島中央駅東口広場

 【鹿児島】6月14日、鹿児島中央駅東口広場で、共謀罪法案採決に反対する決起集会がひらかれました。
 参議院本会議が開催されている中、午後6時から参加者が集結し、「共謀罪廃止」のプラカードを掲げました。広場を埋めつくすように座りこみ、抗議の声をあげました。
  集会には、500人が参加し、鹿児島地連の仲間も多数参加しました。

「共謀罪廃止」のプラカードを掲げる市民
「共謀罪廃止」のプラカードを掲げる市民

共謀罪を強行採決

法務委員会を省略し可決

 共謀罪法案は6月15日、法務委員会の採決を省略する「中間報告」という異常なやり方で参議院本会議にかけられ、自民・公明・維新の賛成で可決されました。

「共同闘争」を全国に

17春闘の評価と今後の課題

 自交総連17年春闘は6月27日現在、126組合が要求を提出、うち89組合が回答を引き出し、63組合が妥結・了解しています。
 まだ闘争中の単組もありますが、5地方の代表に今春闘の評価と今後の課題について聞きました。

労働条件改善とりくみ強化

石垣書記長
宮城・石垣敦書記長

 17年春闘は、統一要求書を提出した9職場中8職場で了解・妥結となっています。
 今春闘は、賃率や賃金体系については「現行通り」となりましたが、政策合意の上で、各職場とも切実な要求が実現されました。
 実利的にも、期末手当の支給(仙都、辰巳)や、福利厚生費の支給(センバ、仙南)を獲得しています。改善要求では、車内灯LED化(仙台)、車庫の整備(辰巳、帝産)などを実現、総営収が低下する中で、一定の改善を実現させることは組合の存在意義を示すことになります。
 今後は、運賃値上げや更なる減車の追求、自治体や住民との連携による新たな需要の拡大等で、大幅な労働条件改善のとりくみを強化していきます。

労使連携で交通空白解消を

石野委員長
埼玉・石野正英委員長

 ライドシェア合法化阻止及び短縮運賃反対などを統一要求に掲げ、職場要求とともに要求実現に向けたたかいました。単組要求では、ほぼ現状維持に留まりました。
 県内タクシー事業所でも年々減収となっており、賃金が目減りしている実情からAB型などの賃金制度へ改善を図ることを求めています。累進歩合制度や負担金については徐々に改善されています。
 ライドシェア問題では、既に楽天三木谷氏が300億円を超す出資をしていることから更に継続した運動が求められ、また交通空白地解消を図る上では労使、行政が連携し公共輸送機関の役割を果たすことが課題です。

タクシー免許の実現が真の施策

川崎書記長
東京・川崎一則書記長

 東京地連の17年春闘は、単組要求ではそれなりの前進がありましたが、重点課題とした乗務員負担制度の撤廃と累進歩合制賃金の廃止においては、若干の改善をかちとったものの、地域的一掃には至りませんでした。
 政策要求については、実働率の低下がはからずも一定の需給調整の役割を果たすという皮肉な状況の中、白タク・ライドシェア阻止と初乗り距離短縮運賃に反対運動に積極的にとりくみました。
 巨大資本と政治が結託して横暴を極めている今、自交総連が掲げるタクシー運転免許の実現と国民本位の政治による景気の回復こそが真の施策であることをアピールし世論化していく運動が引き続き重点課題となります。

賃金組み換えの学習が必要

冨松委員長
神奈川・冨松達也委員長

 13支部の経過報告を受けた全体の評価は、会社の経営状況が芳しくなく現状維持がままならない状況です。
 しかしながら、要求は継続して出し続けることが基本であり、引けない部分も多分にあります。また賃金の組み換え提案が数支部から上がっており、組合としても学習が今後必要と感じました。夏季学習会での主要課題だと認識しました。
 組合組織の衰退が進みおのずと登録減になってしまっています。新規加盟が必須ですが、いかに人を増やしていけるかが重要課題です。定年後の継続雇用を推進して、定時制でも現行の賃金体系が継続できることを強く望み、正社員との格差・差別の起きない体制を維持することが組合としての課題です。

3年連続で全単組要求提出

庭和田書記長
大阪・庭和田裕之書記長

 今春闘は、3年連続で要求書を全単組が提出し、要求前進した単組も多く本部方針の「賃上げと一職場一重点要求の実現」が各単組でも定着しつつある反面、とりくみが弱く現状維持で妥結する組合も数単組見られるなど二極化しています。
 また政策闘争では、労使や組織の垣根を越えた「共同闘争」を展開することができました。この意義は非常に大きく、私たちが働く自交産業の根幹を揺るがす白タク・ライドシェアの合法化に、大阪のタクシー産業全体で対峙する体制が整えられました。現時点で、6月1日に続いて、7月2日、8月5日にも「共同闘争」を行うことを決定し、その後も大阪タクシー協会と在阪労働5団体が話し合って、様々なとりくみを進めるとの合意がなされています。
 こうした方向性を全国の労使で広げられるかが今後の課題です。

要求書未提出に対策必要

春闘中間総括を論議

第5回常任中央執行委員会

 自交総連は6月8日、第5回常任中央執行委員会をひらき、春闘中間総括、次年度運動方針の骨子などを論議しました。
 春闘は、要求を提出したところでは、解決一時金、運転者負担の是正、職場要求の前進などで解決してきていますが、要求を提出していないところがかなりあり、学習の徹底や統一要求書の作成などの対策が必要との意見も出されました。
 政策課題では、白タク合法化阻止のたたかいで規制改革推進会議の答申にライドシェア解禁の直接の言及がなかったことから、一定の歯止めはかけているものの、今後の予断は許さず、引き続き世論への働きかけが重要と総括され、大阪の労使共同宣伝などが報告されました

春闘総括にむけ討議

神奈川・埼玉で中央委員会を開催

春闘の進ちょく状況を報告

神奈川中央委員会=6月14日、社会福祉会館
神奈川中央委員会=6月14日、社会福祉会館

 【神奈川】神奈川地本は6月14日、社会福祉会館で中央委員会を開催しました。
 会議では、17年春闘総括にむけた支部の進ちょく状況を報告し、8月開催予定の夏季学習討論集会の実施要項、地本会計中間報告などを討議し、全体の承認を得ました。
 また、会計担当の辞任により、残務任期を書記長が引き継ぐことや、9月の定期大会で補充選挙を実施することなどを確認しました。

制度活用し定年引き上げを

埼玉中央委員会=6月20日、ウェスタ川越
埼玉中央委員会=6月20日、ウェスタ川越

 【埼玉】埼玉地連は6月20日、ウェスタ川越で中央委員会を開催しました。
 17春闘集約にむけた進ちょく状況を報告し合い、成果のあった単組や、現状賃金体系維持ではあったが次回へ経営者に含みを持たせることができた単組など、先の要求へつながる結果が残せたことを確認しました。
 また5月から埼玉県で始まった、70歳以上の定年引き上げ・雇用延長をおこなった企業への助成金制度に触れ、これを活用し定年の引き上げを図ろうとの提案がありました。

割引の運転者負担なくせ

見直しに努力すると大臣答弁

衆議院内閣委員会

島津衆院議員(衆議院TVから)
島津衆院議員(衆議院TVから)

 日本共産党の島津幸広衆院議員は6月7日、衆議院内閣委員会で、タクシー運転免許返納割引が運転者の負担になっている例をとりあげ、不合理な運転者負担をなくすよう求めました。
 島津議員は、免許返納者のタクシー運賃を1割引にする制度について見過ごせない問題があるとして、この割引制度が労働者の負担になっているという事実を承知しているのかと聞きました。
 国交省早川治大臣官房審議官は、特措法の附帯決議で運転者負担の慣行の見直しに努めることとされ、現在国交省として、運転免許証自主返納者に対する割引を含めた公共的割引の運転者負担について調査を実施しており、実態の把握に努めていると答えました。
 島津議員が、こうした割引を運転者の負担にすることはあってはならない思うがどうかと大臣に尋ねると、加藤勝信内閣府特命大臣は、実態把握をしながら、慣行の見直しが着実に進むようにする必要があるとしました。
 島津議員は、割引を労働者の負担にするというような不合理なことがあってはならないとして、その改善を重ねて求めました。

われら自交総連 @自交総連はどんな組合

組合員の要求実現のために奮闘する組織

 自交総連は、タクシー・ハイヤー、自動車教習所、観光バスなどで働く労働者の組合です。全国29地方に約1万4000人の仲間がいます。

組合員が主人公

 自交総連は、日本の自交労働運動の歴史を受け継ぎ、78年に結成されました。
 当時、自交労働運動には、組合員の思想信条の自由を侵す特定政党の支持義務付けと運賃改定時のスライド賃下げを容認する年度別賃金方針、という二つの問題をめぐり分裂が持ち込まれていました。自交総連は、特定政党支持の押し付け反対、スライド賃下げ反対という立場を貫くため、新しい産業別労働組合として発足したのです。
 労働組合でも、組合員の意見を聞かずに幹部が安易に会社に妥協したり、特定の政治方針を押し付けるなど民主主義に反する運営をしている組合もあります。自交総連は、常に「組合員が主人公」「全員参加の運動」という組合民主主義の原則を大切にし、資本や政党から独立して、組合員の要求を実現するために奮闘してきました。

要求掲げて奮闘

 「ノースライド方針」は、当時は経営者から目の敵にされ、分裂した労働組合からも攻撃されました。
 しかし、長年の運動が実って、07年に国土交通省は、運賃改定時にノースライドで賃金が増える分をあらかじめ見込んで運賃を査定し、改定率を決めるとする通達を(下)出しました。ノースライドを国が認めたといえるものです。
 自交総連では、運賃改定時の労働条件改善が確実に実施されるよう、方針を決め、経営者と国(国土交通省)に対する要求を掲げてたたかっています。


《通達の要旨》

「一般タクシー事業における今般の運賃改定申請の審査等の取扱いについて」
(07年3月28日 国自旅第325号)
運賃改定にあたって、
(1)現状の歩合率を維持し、労働条件改善をすることを前提とした査定方式をとること
(2)運賃改定時に事業者に労働条件改善措置をとることを指示する通達を出すこと
→事業者は運賃改定時に労働条件改善をすること、改定後に労働条件改善が不十分なときには地方運輸局が指導する

《用語解説》

●自交労働者自動車交通労働者の略
●スライド賃下げ会社が運賃改定時に足切り額の引き上げや歩合率の引き下げを行い、運賃改定による増収が労働者に渡らないようにすること
●ノースライド運賃改定時に足切り額や歩合率を一切変更しないこと