自交労働者No.965、2022年10月15日

運賃改定の動き 全国ですすむ

改定率は労働条件改善分を含む

東京の運賃改定で国交省レク

 全国で運賃改定の動きがすすんでいます。本部と東京地連は9月1日、東京特別区・武三地区の運賃改定について、日本共産党の田村智子参議院議員の紹介で、国土交通省からレクチャーを受けました。

所要増収率の算定根拠

 国交省は、運賃改定の根拠として原価計算事業者30社の実績に基づき査定した結果、利潤込収支差が51億円となっており、差を埋める分の改定が必要と増収率14・24%となったと説明(上表)。また、アプリ配車の手数料などは「その他運送費」として原価に入っており、査定に反映されているとし、「運転者負担があるならば、今回の運賃改定で運転者負担を撤廃してもらうのは当然の事と考えているし、事業者の資質だと思う。運賃改定の主旨に反して歩合率を下げるような事業者が確認できれば公表して指導もしていく」と述べました。
 しかし運賃改定で労働条件を改善し、安心安全や良質なサービスの向上に寄与する目的に反して、改定前に賃下げを提案する事業者が増えている現状があります。これでは何のために運賃を改定するのかということになり、改定主旨など社会的公約を反故にして利用者を欺くことになります。
 各地方は確実に労働条件の改善につなげるためにも、各運輸局の改定根拠等を追及する必要があります。

労使の事前担保協定締結を

国交省レクチャー、向かい側左から城委員長、田村参院議員=9月1日、東京・参議院議員会館
国交省レクチャー、向かい側左から城委員長、田村参院議員=9月1日、東京・参議院議員会館

 さらにレクチャーでは、消費者委員会・公共料金等調査会で改定の是非が審議されていることから、改定に対する国交省の考え方と姿勢を確認。
 東京地連の「労使の事前担保協定を締結させてこそ、適切な指導が出来るのではないか」との発言に、担当官は頷いて同意を示し、「消費者委員長も、労働条件改善をどう担保するのか、そこを強調していた」と述べました。
 また、「実際に増収になるか」という質問に対しては、「実車率も増えてきている。直後は乗り控えが起きるもので、しっかりと活性化をしてもらうことで、徐々に改定の効果が現れると考えている」と回答しました。
 人件費の歩率を変えないこととアプリ配車の手数料などは「その他運送費」で計算していることによって、人件費率を維持した上で運転者負担が撤廃となることからノースライド+アルファとなるのではないかとの質問には、関東運輸局・小泉旅客二課長は、「考え方としてそのとおり」と明言しました。

締結拒否なら利用者へ訴え

 東京地連は、このレクチャー結果を受けて、事業者に対して「労働条件改善の事前協定」の締結を求めていきます。
 締結が拒否された際には、各乗り場などで利用者に、「労働条件改善に繋がらない社会的公約無視の運賃改定」として、利用者に我々の主張・要求の正当性に理解を求める運動を展開していく予定です。

4県にまたがる広域地連に

秋田地連が組織統合

東 北 地 連

 東北地連は8月23日、執行委員会をひらき、秋田地連との組織統合を決定しました。以後、秋田地連は『東北地連秋田地方協議会』として活動することになります。
 自交総連東北ブロックの各地連では、18年の東北地連の結成以前から産別態勢強化のため結集の議論をすすめており、20年には山形地連が合流しました。秋田地連はそれに続く統合です。
 これにより東北地連は、宮城、福島、山形、秋田の4県にまたがる広域地連となりました。

高齢者にもよりよい共済に

リアルとリモート併用で開催

自交共済第41回総会

今年はリアル参加とZOOM(リモート)参加を併せての総会開催となった=9月7日、東京・全労連会館

 自交共済は9月7日、全労連会館で第41回総会を開催しました。
 今年度の総会は新型コロナウイルス感染防止のためリアルとZOOM併用での開催となりました。
 こくみん共済 coopの担当者が来賓として2人参加し、合計23人が総会に参加しました。
 総会では、未加入地方への対策強化にとりくむなどとした第40期活動計画案や運営規定の変更案を含めた議案を満場一致で採択しました。その後、質疑応答が行われ、共済制度や掛金、給付内容をよりよくし、高齢者にもメリットがあるものにしてほしいとの意見が出ました。
 自交共済の加入状況は、12地方2627人(22年5月末現在)となっています。

長時間労働の是正を

菊池書記長がディスカッション

日弁連シンポジウム

 日本弁護士連合会は9月7日、シンポジウム「自動車運転者の労働実態と休息時間(勤務間インターバル)について考える」を弁護士会館で開催し、ZOOMでのパネルディスカッションを行いました。自交総連本部から、菊池書記長がパネラーとして参加し、討議しました。
 シンポジウムでは、まず基調講演として山縣専修大学准教授が「労働時間上限規制と労働力の確保」と題して講演を行いました。
 続くパネルディスカッションでは、長時間労働の実態と休息期間のあり方について討議。菊池書記長は、「@自動車運転者の労働時間規制、A改善基準告示の厚労省労働政策審議会議論の内容、B長時間労働の是正と生産性向上の関係性について、Cバス・タクシーの規制緩和の弊害について」を語り、改正基準は、最低限のものとして厳守させることが重要としました。

住民の声を聞き、みなさんと一緒にとりくみたい

交運共闘 日本共産党国土交通部会と懇談

交運共闘と懇談する日本共産党国土交通部会の議員・秘書のみなさん。前列左・高橋千鶴子衆院議員、右・田村智子参院議員=9月5日、東京・衆議院第2議員会館
交運共闘と懇談する日本共産党国土交通部会の議員・秘書のみなさん。前列左・高橋千鶴子衆院議員、右・田村智子参院議員=9月5日、東京・衆議院第2議員会館

 交運共闘は9月5日、日本共産党国土交通部会の高橋千鶴子衆議院議員、田村智子参議院議員、秘書のみなさんと懇談を行いました。交運共闘から城議長、光部事務局長、菊池幹事ら9人が参加しました。


 交運共闘から11月10日に国交・厚労・経産省に提出する署名の要請項目を説明して、各組合が現在とりくんでいる重点課題を説明しました。
 自交総連からは、@コロナの影響、A労働条件の悪化、B労働関係法令違反、過労死の多さ、C改善基準改正の状況、D新たな規制緩和の進行――について説明、政治の力で、労働者の救済、タクシー・バス事業へ援助が必要だと要請しました。
 検数労連(港湾問題)、国土交通労組(運輸、航空行政の課題)からも説明があり、議員らと意見交換しました。
 高橋衆院議員は、「国土交通の課題は、有権者から支持を得ながら運動をすすめないといけない。地域交通の確保、JRの赤字路線廃止阻止、ライドシェア反対など大切だ。地域では、デマンド交通、乗合タクシー、コミュニティーバスなどの要望がたいへん多い。住民の声を聞いていく必要がある。交通の安全では、知床の事故でも、国交省の職員が少なく、検査などでも規制緩和をすすめている問題がある。国民に伝えて、みなさんと一緒にとりくんでいきたい」と述べました。
 田村参院議員は、「初めて国土交通委員になった。交通運輸の職場で、若い人が誇りをもって働けるようにならなければ人手不足は解消しない。政府はデジタル化で人手不足を解消しようとしているが、タクシーのソフトメーターなどは配車アプリのプラットフォームとの連携をつよめるために使われている。プラットフォームが支配的になれば、ウーバーのように労働条件劣悪化につながる。そういう分野も探求していきたい。現場の問題を教えていただきたい」と述べました。

全業種の改正案確定

今年12月に告示改正

改善基準改正第9回専門委員会

第9回専門委員会=9月27日、東京・厚生労働省内
第9回専門委員会=9月27日、東京・厚生労働省内

 自動車運転者の労働時間等の改善基準告示の改正を審議していた労政審労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会は9月27日、第9回専門委員会をひらき、改正案をまとめました。
 遅れていたトラックの改正案が9月8日の専門部会でまとまったのを受け、すでに3月にまとまっていたハイタク・バスの報告と合わせて、全業種の改正案がまとまりました。
 専門委員会では、今後のスケジュールが示され、今年10月に労働条件分科会に報告、12月に改善基準告示改正(同時期に通達も策定)、24年4月から改正改善基準告示が適用となります。
 とりまとめた報告では「令和6年4月以降の上限規制及び改正後の改善基準告示の適用後の運用状況を把握することとし、これらの適用後3年を目途に、そのための実態調査の設計等を含め、見直しに向けた検討を開始することが適当である」として、適用後の見直しに触れています。


とりまとめ後のスケジュール
○令和4(2022)年10月頃
    労働条件分科会に報告
○令和4(2022)年12月
    改善基準告示改正
      →改正後速やかに、周知、荷主対策を実施
○令和6(2024)年4月〜
    時間外労働上限規制(年960時間)の適用
    改善基準告示の適用

情報電子版 記事紹介

労働法令違反 タク87% バス64%
厚労省 労基法・改善基準違反率、指導・送検状況 2021年→22年27号

22地方が目安上回る
2022年度の地域別最低賃金→22年29号

供給過剰つづく、大幅減車で需給調整を
準特定地域の需給状況 実在車両が適正車両の倍以上→22年32号

東京、神奈川で大会開催

各地の大会