自交労働者No.966、2022年11月15日

地域公共交通の危機突破、労働者の生活を守り、組織を拡大しよう

「自交総連ここにあり」の闘いを

運動方針、新年度役員を選出

第45回定期大会

団結ガンバロウ1
団結ガンバロウ2
第45回定期大会=10月19日、東京・全労連会館

 自交総連は10月18〜19日、東京・全労連会館で、「地域公共交通の危機突破、労働者の生活を守り、組織を拡大しよう」をスローガンに第45回定期大会を開催、22年度運動方針を決定しました。また下記の新年度役員を選出し、庭和田裕之氏が中央執行委員長に就任しました。
参加者数
 今回の定期大会は、2年ぶりに原則リアルで開催(ZOOM併用)。来賓として全労連の小畑雅子議長、日本共産党の高橋千鶴子衆議院議員が参加し、13地方から57人が参加しました。
 城委員長はあいさつで、岸田政権が、経済対策でも物価が高騰する中で手を打てないでいる。事業者は、最低保障を最低賃金ではなく生活ができる保障給や企業内最賃を確立することが必要。その為には需給調整を図り、運送収入が確保できるようにすることが企業存続の原点だと強調。各地で運賃改定の動きが顕著になっているなかで、「今一度ノースライドの自交総連ここにあり」という闘いを繰り広げよう。職場に自交総連があって良かったという醸成を作っていこうではないかと訴えました。


新委員長のあいさつ

庭和田新委員長
庭和田新委員長

 全国の仲間の皆さん、中央執行委員長という重責を担うこととなりました、関西地連出身の庭和田裕之と申します。よろしくお願いしたいと思います。
 今大会で委員長が書記長へ変わったことも含めて体制が変わりました。ですので、今までのことを踏襲した闘い方をするのではなく、全国的に色々な問題を持ち寄って闘いをつくっていくこと。現場に根差した自交労働運動を自交総連として堂々とやり抜くこと、その先頭に立って奮闘することを皆さんに誓いまして執行部を代表してのあいさつと変えたいと思います。共にがんばっていきましょう。

新任役員

来賓2氏があいさつ

地域公共を取り戻す行動を

小畑議長
小畑議長

 全労連・小畑雅子議長 まずは自動車運転者の勤務間インターバル等の改善基準告示審議における、自交総連の皆さんの果敢な闘いが世論を大きく広げたことに心から敬意を示します。
 現在、自公政権がすすめる新自由主義と規制緩和によって「公共」が破壊されています。全労連が9月の大会で提起した地域の公共を取り戻す行動と、自交総連が今大会で提起する地域公共交通の危機突破の運動方針は響き合うものだと思っています。労働組合と地域住民が力を合わせた運動を一緒につくりだしていきましょう。



規制緩和ありきの議論ダメ

橋衆議院議員
橋衆議院議員

 日本共産党・高橋千鶴子衆議院議員 政府は今月から交通政策審議会において新たな地域公共交通についての検討を開始しました。議論されている「デジタルトランスフォメーションの推進」とは規制緩和とデジタル化をすすめることであり、赤字路線問題の解決のためにライドシェアや交通系マネーの統一など運賃の柔軟な設定が提案されています。
 私は、赤字路線問題は規制緩和ありきの議論ではなく、公共インフラとしての地域公共交通をどう体系づけるのかが本来重要と認識しています。担い手であるバスやデマンドタクシーの運転者の皆さんと一緒に考えていくべき問題です。



初参加の組合の感想

 今回初参加の千葉・ヒノデ第一交通市川労組の井上欣一さんからの感想を紹介します。


 先日は第45回大会に参加させて頂き、安堵と安心を頂きました。
 当組合はコロナにより46回組合大会を開催できず、前期を終了しました。
 自交総連に加盟していたが、途中で脱退した経緯があります。思想の違いによりその組合より離別し新しい組合を立ち上げ、再度自交総連に加盟し、組合員のために戦うと心に決めておりました。
 私達の組合もまだ43名で、まだまだ弱小ですが、こんなに沢山の仲間がいて、話を聞き、力になってもらえるかもしれない仲間がいることが、嬉しく思いました。勿論我々も有事の際は、最大限私達にできる事をさせて頂きます。
 今後とも何卒よろしくお願い致します。


「自交総連という力強い仲間がいる」

ZOOM含めて9地方11人が発言

大会討論

交通共済を足掛かりに拡大

岸田さん
岸田さん

 @東京・岸田正勝さん 労働組合の組織率が低下する中、東京地連道交法5つの観点を基にした交通共済を足掛かりに組織拡大を行っています。
 また労働組合も組合員に目に見える運動を行っていかないと組織減少につながります。密に話し合い、情報共有することが重要。
 数は力なりという言葉どおり、組織を強化・拡大し、一丸となって労働者が笑顔で暮らせる日本になるべく労働運動を行っていきたいと思います。



組織拡大計画県労連と協議

横田さん
横田さん

 A高知・横田春吉さん 全労連の組織拡大重点計画で、拡大について昨年より計画はしていますが、役員の入院などもあり、今後のことは県労連と協議したいと思います。
 地連の問題では、さくらハイヤー支部・大洋運輸支部は裁判闘争中。北部交通は10月ダイヤ改正で労働者のトラブルが発生しており、団体交渉で解決策をとっていきます。



年末の繁忙期への対応不安

松下さん
松下さん

 B静岡・松下靖史さん 先日の台風10号の影響で多くの車両が水没しました。コロナ禍で人が減り、そのうえ車まで使いものにならないとなると、年末の繁忙期に対応できるのか頭を抱えています。
 また、最低賃金の問題では、最賃が上がったことで会社が歩合率を下げたいと言い出す可能性があります。そういったときどう対処すればいいのか本部に聞きたいです。タクシー運転者の賃金や生活水準を上げるためには一丸となって労使交渉で有利な条件をかちとらなければならないと思っています。



労働組合の大切さを痛感

那賀さん
那賀さん

 C神奈川・那賀智恵美さん 箱根登山ハイヤーの支部長をしています。以前、会社の不当労働行為を訴えた際は大変お世話になりました。組合の大切さを痛感しています。私たちの思いをわかってもらえて、組合員も少しですが増えました。
 しかし9月に会社が株式譲渡されることになりました。これから仕事がどんどん増えていくのかという不安もありますが、私たちにはこの自交総連という力強い仲間がいます。今後もご指導いただきたいと思います。



コロナ手当どう決めてるか

松永さん
松永さん

 D長崎・松永利秋さん 長崎では高齢化がすすみ、組合員が毎年減っています。しかも拡大運動もこのコロナがあって、うまいこといっていません。
 先日、他会社のタクシー運転者からの相談をきっかけに、コロナ特別休暇手当を知りました。公務員は休暇10日です。それをもとに会社と交渉し、要求を出しました。参考として、ほかの地連・地本や組合はコロナ手当をどのように決めているのかお聞きしたい。



市民と野党の共闘に貢献

中村さん
中村さん

 E福岡・中村朗さん (1)私の解雇・雇止め事件について。今年3月に金銭和解となりました。職場復帰とはなりませんでしたが、皆さまのご支援に感謝いたします。
 (2)ワーカーズタクシー裁判について。自交総連組合員への残業代未払い・パワハラなどの不当労働行為について勝訴しました。 (3)福岡市長選挙について。市民と野党の共闘に自交総連が大きく貢献しました。
 (4)これからドライバーの問題を提起しつつ組織拡大にがんばっていきたいです。



政治闘争が求められている

吉根さん
吉根さん

 F北海道・吉根清三さん タクシー労働者の賃金問題は、政治に直結しています。私たちが要求を出しても、これだけ経済が委縮していると会社間での競争が激しくなり、労働者が分断されます。
 すると一丸となって立ち上がることが難しい状況になってしまいます。いま、政治との闘いが本当に求められていると思います。



増収で乗務員負担の一掃を

月村さん
月村さん

 G東京・月村隆浩さん 東京地連は今回の運賃改定にあたり、前回の教訓を運動にどう反映するか議論を重ねました。「運賃改定をして増収が出なければなにも意味がない」という視点に立ち、マスコミ宣伝や利用者への周知デモを実施し、運賃改定についての東京地連の分析・意見を発表しました。
 今回の運賃改定では、ノースライドによる賃金増だけではなく、長年の課題であった乗務員負担の一掃も増収分でめざします。



3人が総括討論

デマンド交通を毎日運行

東海林さん
東海林さん

 H東北・東海林銀次さん 東北地連の活動報告をします。
 (1)22春闘で福島県自交労組の分会が基本給5000円アップと忌引き休暇の改善をかちとりました。福利厚生を獲得した組合もあります。
 (2)秋田地連の2労組が8月に東北地連へ組織合流しました。
 (3)3月の福島県沖地震における宮城・福島でのタクシー特需対応について。東北地連や日本共産党の宮本議員の要請により特例扱いが決定しました。
 (4)秋保交通での住民の足を守るとりくみについて。秋保地区すべてに貢献するため9人乗りのジャンボタクシーを確保し、21年10月から毎日2名体制でフルデマンド交通を運行しています。



実のある労働運動を今一度

林さん
林さん

 I東京・林悦夫さん 東京地連では15年ぶりの運賃改定にあたり改定増収分を労働者へ確実に反映させるよう秋季年末闘争の前段の位置づけとして、事業者と団体交渉で確認書を取り交わすとりくみを展開しています。
 組織の強化・拡大では、乗務員自体の減少により組合員も減少しています。自交総連の実のある労働運動を今一度復活させなければならないと思います。



自公政権、維新の終焉を

吉田さん
吉田さん

 J関西・吉田栄二さん 3年ぶりの大会参加となりますが、その間に国外・国内状況は激変し、今まさに日本が戦争する国になろうとしています。平和憲法9条の改悪は絶対に許してはなりません。
 維新の会はライドシェア解禁を政策集で謳っています。その同じ大阪維新の吉村府知事によるコロナへの無策で、大阪では多くの尊い人命が入院することなく亡くなっています。自公の補完勢力である日本維新の会、大阪維新の会の終焉を願ってやみません。
 白タク合法化・ライドシェアを許さず、タクシー産業の発展、働く労働者の生活と権利を守るためにともにがんばりましょう。


一人でも多くと対話しよう

中央行動の成功に全力を

執行部答弁

菊池書記長
菊池書記長

 11人から発言がありました。
 コロナで大変ななかで賃金・労働条件を守り、改善するための奮闘が語られ、東京での運賃改定時のノースライド+アルファ、東北での地域住民と共同したデマンドタクシー実現など政策闘争の前進も報告されました。
 政治課題についても北海道、東京、関西、福岡から発言があり、関西からはライドシェアを推進する維新の危険性が指摘され、福岡では市長選挙での市民と野党の共闘実現の報告がありました。
 組織拡大では、会社の不当労働行為とたたかって組織を増やした神奈川、道交法闘争で拡大している東京をはじめ、各地から決意が語られました。
 当面の戦いで11・10中央行動の成功に全力をあげ、個人署名を集めてください。また組織拡大ではビラも用意していますから、一人でも多くの人と対話するようにしましょう。

菊池書記長メッセージ

 今大会の役員改選によって、菊池和彦書記長、舞弓義隆副中央執行委員長、杉原良二中央執行委員が退任しました。前書記長からの退任メッセージを紹介します。


 1983年、25歳の時に自交総連本部に書記として入って以来、39年半勤めてきました。95年からは役員としてお世話になりました。入った当時は、自交総連を結成して間もない頃で、社会的に認知される組織となるように組合員の皆さんが必死だったのが印象的でした。それから、規制緩和や東日本大震災、コロナ禍と、自交総連がどうなってしまうのだろうかという大きな危機もありましたが、全国の組合員の奮闘で乗り越えてきました。とくにタクシー規制緩和を見直させたたたかいは、歴史に残る成果だと思います。
 本部の役員というのは、方針をつくったりしますが、その方針というのは、地方の組合員の皆さんから情報を寄せてもらって、それを学んで組み立てるのが仕事です。多くの方から力を借りることで、何とか任務を果たせたのではないかと思います。ありがとうございました。
 残念なのは、近年、自交総連の組織減少が続いていることです。組織というのは波があって、増える時も減るときもあるでしょう。しかし、要求を抱えた労働者がいて、それに応えるまともな労働組合がある限り、必ず盛り返すことができるはずです。
 次代のみなさんは、ぜひ仲間を増やしてがんばってください。

来春闘へむけ、署名運動を計画

「食える賃金を」国へ請願

タクシーへ緊急に、特別な手立てを

 自交総連は、来春闘へむけて、「労働者の生活保障、地域公共交通維持を求める請願書」(以下、食える賃金署名)へのとりくみを計画しています。


 コロナ危機により、タクシーの営業収入は4割も減り、歩合給で働くタクシー労働者の賃金も激減しました。全国平均の年収は21年には249万円で全産業平均の半分でした。各地で最低賃金法違反が続出しています。
 生活維持のために、多くの労働者が公的資金を含め目一杯の借り入れをしてしのいでいますが、それも限界に達し、返済のめどはまったく立たない状況です。タクシーでは生活できる賃金が得られないため、労働者の離職が急増して止まらず、地方では運行にも支障が生じています。
 タクシー事業の廃業や企業譲渡も多数発生、住民の移動を担う地域公共交通を維持することができない事態となっています。
 タクシー労働者のくらしはもはや限界です。こうした深刻な事態を打開するため、緊急に、特別な手立てが必要です。
 生きていくために「タクシー労働者に食える賃金をよこせ!」と大きく叫ぶ請願書を政府へ提出します。

どういう内容の署名?

 「食える賃金署名」では、タクシー労働者の社会的水準の労働条件確立へむけ、@直接現金給付などの緊急措置、A最低賃金法違反の一掃、運転者負担の解消、累進歩合制度の廃止、改善基準告示違反の長時間労働の是正、B需給調整、適正な運賃確立などの環境整備を求めています。
 タクシー事業を救済する緊急措置として、Cタクシーの減収分の補てんなど直接的な支援措置を要求しています。また、地域公共交通を維持するために、D乗合タクシー・デマンド交通への補助金を大幅に増やし、地方自治体・事業者への啓発・指導・援助をつよめることとしています。

来春闘までに各地方へ

 書面は年内に確定します。来春闘までに各地連・地本へ下ろす予定です。各地で署名運動を展開することによって、職場での団結・乗務員との対話へとつながり、組織強化・拡大も期待できます。
 自交総連は、コロナ危機に立ち向かい、食える賃金・雇用を確保するための大運動にとりくみます。

東北、埼玉、静岡、高知、京都で大会開催

各地の大会

ノースライド+アルファ獲得を

乗務員の待遇改善のための運賃改定に

各地で運賃改定の動き

 東京特別区・武三地区は11月14日実施、名古屋地区でも新運賃を公示するなど各地で運賃改定の動きが顕著になっています。
 岸田政権が、経済対策でも物価高騰に対しても手を打てないでいるなかで、IMFは来年の予測として世界経済が失速し、リーマン危機よりも悲観的との見方を出しています。運賃改定で実際増収が出るのかよく分析をしていかなければなりません。

歩合率は変えないこと

 事業者は「乗務員の待遇改善のために運賃改定が必要」と主張しています。
 東京の運賃改定を例にみれば、公共料金等調査会の審議に対し、消費者庁担当大臣の河野太郎氏が「労働者の賃上げの原資が適切に含まれていることをチェックするよう」指示を出し、国交省が労働条件改善に改定率の14・24%のうち8%と公表するなど、労働条件改善に繋がる運賃改定でないとなりません。
 また今回の運賃改定の査定について国交省の説明では、手数料等は「その他運送費」で計算していると明言しており、また歩合率を変えないこととしています。このことは、今回の運賃改定で増収が出た場合、増収によりノースライドで賃金が増え、あわせて「その他運送費」で手数料は処理されているので、乗務員負担を撤廃しなければならない。要するにノースライド+アルファということだと関東運輸局も明言しました。

賃下げの押しつけを警戒

 そんななかで賃下げを押しつけようとする悪質事業者が散見されます。改定の増収分を少しでも多く経営の懐に入れようと、改定時の社会的公約を反故にして、利用者を欺くこうとしています。
 そんな状況下で、自交総連が運動をしなければ、事業者のための運賃改定となってしまう危険性があります。関東運輸局の内田自交部長が「労働環境の改善主旨を損なわないようにしてもらう必要がある」としながらも「個別の状況がある」と賃下げを容認するような発言もあり警戒が必要です。

意思統一して奮闘しよう

 運賃改定で増収が出なければ、何も意味を成しません。事業者には需給調整など確実に増収が出るような環境整備を併せて取らせるよう運動していくことが重要です。
 運賃改定が行われる地方においては、@運転者人件費の査定が適正に行われるよう求めていく。A配車アプリやクレジット手数料などを原価へ反映させる。B減休車など適切な需給調整を図り、増収が出る環境整備をおこなった上での運賃改定とすることを求めて、少なくともノースライドを確約させることが重要です。
 運賃改定は歴史的にも労働条件改善を勝ち取る機会でもあることを意思統一して奮闘しましょう。

地域の公共交通を守ろう

総がかり行動を実施

京都地連・総評

京都総がかり行動=10月20日、京都・京都南部
京都総がかり行動=10月20日、京都・京都南部

 京都総評と京都地連は10月20日、京都南部で組織拡大に向けた総がかり行動を実施しました。
 総勢15人が近鉄・大久保駅、新田辺駅前で「新たな地域最低賃金を」「地域の公共交通を守ろう」とアピールするチラシ6000枚を市民へ配り、弁士が宣伝カーから訴えました。
 自交総連の庭和田書記長(本部委員長)は最低賃金やタクシー業界の現況を伝え、静岡で発生したみずき観光バス横転事故を例にあげ、安心・安全を軽んじる規制緩和の弊害を強調しました。

ラジオCMふたたび

 また京都地連では10月27日の大会で、5月にKBSラジオで流したCMを再度オンエアすることを決定しました。
 内容は第1弾と同じく、タクシー労働者にクレジットの手数料や事故弁償金を課している京都のタクシー業界の実態を訴えたあと、京都総評の電話番号とともに相談を呼びかけるものとなっています。
 ラジオCMは。12月初旬に1週間放送されます。さらに第3弾も計画されており、組織強化・拡大へ攻勢をかけます。