自交労働者No.974、2023年7月15日


コロナ前とタクシーの動き方が変化

千葉、茨城、栃木をキャラバン

関東ブロック宣伝行動

待機中のタクシーへ新聞・ティッシュを配布
待機中のタクシーへ新聞・ティッシュを配布

 関東ブロックは6月21日〜22日に千葉・茨城・栃木で春の宣伝行動(後半)を実施しました。冨松事務局長からの報告を紹介します。


 6月21日、千葉県の市川駅東口を皮切りに石野議長・堀井副議長・冨松事務局長は関東ブロック春の宣伝行動を始めました。
 市川駅東口の天気は曇りでしたがタクシーの待機車両はおらず、お客様が待つような状態でした。
 続く松戸駅でも待機車両がない状態でした。それでも乗り場に着けたタクシーに新聞・ティッシュの配布を行い、アプリでの配車が増えていることや、乗務員が少ないことなどを聞きとりました。
 次の柏駅でも、待機車両は少なく6台ほどにビラを配布して事情を聞くと、やはり乗務員不足が影響していること、アプリによる配車であちこちに行くので中々駅に戻れないとのことでした。
 千葉県では、東京・神奈川などと同様に需要は回復しつつあり、乗務員不足とアプリの普及で営収は上がっているようでした。今回は千葉地本の仲間が宣伝行動に参加できなかったので、後日日程を調整して再度宣伝行動を行う予定です。

食える賃金署名」に賛同

 同日の午後からは、茨城県取手駅に入り、こちらはコロナからの回復はまだまだで、日々の売り上げも回復しておらず、アプリでの配車の需要もそれほど増えてはいない様子でした。「高齢化が問題で運賃改定により労働条件を良くしてもらって新しい乗務員を増やして欲しい」ということで、「食える賃金署名」に賛同してもらいました。
 つくば駅では関鉄労組の中野委員長と1人が参加して宣伝物配りを11台に行いました。同駅では外国人観光客でタクシー需要が伸びているそうですが、コロナで減った乗務員の人数は回復していないので比較的忙しいとのことでした。土浦駅も動きが早く10台に配布しました。
 茨城はアプリの影響はあまりないものの、乗務員不足で忙しくしている状況でした。

辞めた人の補充できてない

 明くる22日は栃木県宇都宮駅からスタートしました。
 タクシーは待機場にほとんど止まることなく実車になって行きましたが、10台ほどに話しを聞くと、やはりコロナで辞めた人の補充はできておらず、雨が降らなくてもそこそこ忙しいとのことでした。前橋駅、高崎駅でも話を聞くと、乗務員が高齢者ばかりで、コロナで辞めた人も戻ってこず、大変だとのことでした。
 アプリの影響はあまりないようですが、コロナで半分位が辞めてしまいその分の回復がないので忙しいとのことでした。

宣伝行動を終えて

 今回の宣伝行動によって、コロナ前と現在ではタクシーの動き方が如実に変化していることを役員一同は目の当たりにしました。
 神奈川・千葉など、東京に近い場所はアプリ配車の影響や、稼働台数の減少もあって台当たりの売り上げは上がっていました。
 茨城・栃木・群馬などは、全般的には、高齢化とコロナの影響で辞めてしまった乗務員不足がかなり深刻な問題であると思いました。また、観光地(箱根・つくばなど)はインバウンド需要が増えており、コロナ以前の売り上げよりも高くなってきています。
 それぞれの地域で今夏から秋にかけて運賃改定が予定されていますが、運賃改定がより良い労働条件を作り出せるようにしていかなければいけません。

行こう広島・長崎へ

国民平和大行進スタート

東京地連は5月6日〜7日に夢の島公園から多摩川六郷土手公園を行進 炎天下のもと大阪地連は7月4日に大阪市内を行進

 今年も原水爆禁止国民平和大行進が全国でスタートしました。1958年以来毎年、核兵器の廃絶をめざし、8月の広島・長崎にむかって全国で行進しています。自交総連の仲間も各地でリレーを繋いでいます。

共同のとりくみが必要

東北ブロックで自主経営交流会を開催

第9回東北ブロック自主経営交流会を開催=6月6日、秋田・かまくら館
第9回東北ブロック自主経営交流会を開催=6月6日、秋田・かまくら館

 東北地連は6月6日から7日にかけて、秋田県横手市のかまくら館において、第9回東北ブロック自主経営交流会を開催し、自主経営会社の秋保交通、よこてタクシー、塩釜東光タクシー、山形県協議会から10人が参加しました。本部の城書記長の講演に続き、東北地連の石垣書記長が問題提起を行いました。
 各職場からの報告では、秋保交通の青野社長が、仙台タクシー協会の理事としての役割、過疎地域である秋保地区でのデマンド交通のとりくみ、社会保険料問題、自主経営のあり方、労働者不足の対策、会社の経営状況などについて語りました。よこてタクシーの小野社長からは、コロナの中での経営の難しさ、労働者不足の状況、高齢化の中での事業継承の問題、会社の経営状況について報告がありました。その後、各参加者からも状況について報告があり、討論がなされました。
 いずれの職場でも、後継者問題が深刻となっており、自主経営会社の共同のとりくみが課題となっています。
 また、会社の経営分析についての学習を深める必要があるということになり、次回の交流会のテーマにします。さらに新規労働者の育成には、地域の経営者の共同も必要だということになり、それぞれ働きかけを強めることとなりました。

「ラストワンマイル・モビリティ/自動車DX・GXに関する検討会」12項目の改善策を公表

用語説明

 国土交通省は、今年2月に、「ラストワンマイル・モビリティ/自動車DX・GXに関する検討会」を立ち上げ、計6回の会議を行い、7月3日に、最終のとりまとめを公表しました。
 とりまとめに先立って同検討会は5月22日に、「ラストワンマイル・モビリティに関する制度・運用の改善策」を発表しています。

12項目の改善策

 この改善策では、@タクシー事業者の競争力強化のための制度・運用の改善、A多様なサービスの提供を可能とする制度・運用の改善、B自家用有償旅客運送の円滑な導入や持続可能性の向上のための制度・運用の改善という観点から、12項目の改善策を挙げています。
 改善策の基本的な考え方は、交通不便地域において持続的で利便性の高い交通サービスの実現には、タクシーや乗合タクシーの守備範囲を広げ、輸送力を強化させるというものです。
 しかし、交通事業者が地域公共交通の構築に協力するためには、採算のあう条件の確保が必要ですが、国や地方自治体からの補助金等財政措置の拡大・充実については触れられていません。
 そして、タクシーや乗合タクシーの補完として、自家用有償旅客運送による交通サービスを円滑に導入していける制度と運用の改善が必要だと結んでいます。
 これは、自家用有償旅客運送の無限定な運用拡大に舵を切ると国交省が宣言したに等しい内容です。

安心・安全に逆行する

 改善策の8〜12項目では、自家用有償旅客運送の導入や持続可能性を向上させるための制度・運用の改善について記されています。
 これをみていくと、交通空白地の目安設定の緩和(9項目)、実費以外も収受可能とする運送対価の拡大(11項目)など、これまでのボランティア(営利を伴わない)による例外的な輸送という位置づけから大きく変化しています。
 タクシー運賃の8〜9割程度の運賃で、営業所、車庫も不要で一種運転免許しか持たない者が白ナンバーで運行できるならば第2のタクシーといえ、実質上の白タクに変質する危険性があります。
 自家用有償旅客運送は、バス・タクシーのない交通空白地に限った例外的な輸送手段として制度化されましたが、この間、運用(乗客の範囲など)が緩和されてきました。今回の改善策は、その原則をなし崩しにして無限定に運用を拡大しています。これは、公共交通機関に求められる「安心・安全」に逆行する制度変更です。

 →情報電子版17  →情報電子版18


全タク連・川鍋会長の提案は

「論ずるに値しない」

 国交省が自家用有償旅客運送を無制限に拡大しようとしている情勢の中、全タク連の川鍋一郎会長は6月の正副会長会議で、期間を限定して一種免許でタクシーを運行できるようにし、供給を確保したいと提案しました。
 この暴論は、論ずるに値しない内容です。最近の国交省の検討会での議論や、今回の提案も、旅客の安心・安全を担保する二種免許を否定するものです。この間、タクシー業界は、労働者を確保するためとして、二種免許取得の緩和(一種免許取得後3年から1年に)を求め、警察庁が応じてきました。
 こうした動きも旅客の安心・安全を守る観点から外れています。タクシー業界が第一義的にとりくむべきものは、労働条件の抜本的な改善です。この問題を解決できない限り、新たな労働者を迎え入れることも継続させることも困難となります。全国的にすすむ運賃改定に際しても、社会的公約を反古にして賃下げ合理化を押し付ける事業者が存在するなどの問題があり、まず業界の体質を変えることが急務です。
 川鍋会長の提案は、白タク・ライドシェア推進者たちが諸手をあげて喜ぶだけで、明らかに間違っています。

7月1日から「解禁」

最高速度20`以下の電動キックボード
免許不要で公道を走る

 7月1日から最高速度20キロ以下の電動キックボードは、16歳以上は免許証不要で公道を運転できるようになりました。事実上、自転車と同じ扱いになります。つまり、自転車同様に交通ルールを守らない利用者が増えることが今後考えられ、運転者はこれまで以上に事故リスクが高まります。
 自交総連は適用前から安全面の懸念を伝え警察庁に規制強化を求めています。


この成果を全国に

北海道・ハイタクユニオン

職場復帰の勝利和解

無効の休職命令への謝罪も

 北海道地連ハイタクユニオンの南なつ江さん(札個分会分会長)が昨年10月から不当な休職命令によって職場から追い出されていた事件で6月23日、札幌地方裁判所での職場復帰の勝利和解をかちとりました。
 札幌個人タクシー協同組合に勤める事務職員6人は、理事長らからのパワハラを繰り返し受けたことと、17年7月に行われた不当配転を機にハイタクユニオンに加入し、札個分会を結成しました。
 しかし理事長は南分会長へのパワハラ攻撃を激化させ、組合員5人は攻撃をおそれて19年8月に脱退。同年12月には労働審判で勝利しましたが、その後もパワハラはやまず、21年9月、11月に二度にわたって休職命令(無給)を受けたため、命令無効を求める仮処分を申し立てました。
 22年6月に休職命令無効確認仮処分をかちとり、その後の本訴で札幌個人タクシー協同組合を追いつめ、職場復帰の勝利和解にこぎ付けました。
 この和解は、和解条項に「無効の休職命令をしたことに謝罪する」という謝罪も入れた画期的な和解です。
 南分会長は、1年半もの長い間、兵糧攻めと厳しいハラスメントを受け、体調を崩しながらも理不尽は許さないと膝を曲げませんでした。不屈にたたかい、勝利した南分会長へ心からの敬意を表すとともに、今後再びハラスメントが行われないよう注視していく必要があります。