自交労働者No.978、2023年12月15日

ライドシェア導入は絶対に阻止する

個人請願、座り込み、省庁交渉を実施

11・10中央行動

11・10中央行動=11月10日、東京・国土交通省前
11・10中央行動=11月10日、東京・国土交通省前
参加人数

 交運共闘は11月10日、中央行動を実施し、全体で約300人が参加しました。  午前中に3省庁への個人請願行動を行い、午後からは自交総連独自で、衆議院第2議員会館前でライドシェア解禁へ抗議を示す座り込み行動にとりくんだ後、国交省・厚労省へ要請・交渉を行いました。

 10時から国土交通省への請願行動を開始。城議長による主催者あいさつに続き、全労連の石川副議長、日本共産党の仁比参議院議員が連帯あいさつを行いました。
 参加者が請願書を国交省の係官に手渡しする中、自交総連の庭和田委員長が「ライドシェアは絶対に阻止しなければならない」と決意表明を行い、建交労の鈴木書記次長、検数労連の木副委員長、国土交通労組の阿川中執が続きました。シュプレヒコール後、厚生労働省、経済産業省へ請願書提出を行いました。

利用者の安全置き去り

 12時からの「ライドシェア解禁阻止座り込み行動」では、約100人が参加しました。雨が降りしきる中、衆議院第2議員会館前で横断幕やのぼり旗、「ライドシェア反対」タオルを拡げ、抗議の座り込みを実施しました。日本共産党からは伊藤岳参院議員が駆けつけ、連帯のあいさつを行いました。
 庭和田委員長はマイクを握り、「このライドシェア規制緩和の国会議論に対して我々には二つの大きな怒りがある」と切り出し、「一つ目は利用者の安心・安全が置き去りにされていること」とし、「二つ目はタクシー労働者の暮らしについてまったく顧みられていないことだ」と強調しました。「コロナ禍でタクシー業界には直接支援がなく、多くの労働者が職場を去った。この状況を口実に、女性が事件に巻き込まれ、交通弱者が取り残されるライドシェアを解禁しようとするなど許されない」と警鐘を鳴らしました。
 続いて、埼玉、東京、神奈川、静岡、各地の代表が決意表明を行いました。
 決意表明が行われる中で、参加者はビラとポケットティッシュを配布し、通行人へライドシェアの危険性を訴えました。



ライドシェア解禁阻止へ毎月統一宣伝をスタート

 自交総連は現在、毎月第一週にライドシェア解禁阻止統一行動を行っています。スタートとなる11月は、中央行動の他に、東北地連、神奈川地本、関西地連、長崎地連で宣伝行動が実施されました。

ライドシェアの実証実験が決定した三浦市の市民へ注意喚起=11月22日、神奈川・三浦海岸駅前
ライドシェアの実証実験が決定した三浦市の市民へ注意喚起=11月22日、神奈川・三浦海岸駅前

日本にはタクシーがある

 東北地連は11月11日、仙台市役所前と定禅寺通りで宮城交運共闘の宣伝行動を行いました。  宣伝カーからライドシェアの危険性を訴えると共に、横断幕とライドシェア反対ののぼり旗を掲げ、通行人に自交総連のポケットティッシュを配布しました。冷え込みが厳しい中、ライドシェアの話を立ち留まって聞く人がおり、ポケットティッシュの受け取りも極めて良好でした。市民の関心の高さが窺えます。
 ライドシェアを知らなかったある高齢女性は、「何でアメリカの真似をしなければならないの。日本にはタクシーがあるんだから充分」と語りました。

反応良好で注目集めた

 関西地連は11月14日、大阪・京都の主要駅5か所でライドシェア解禁阻止の宣伝行動を実施しました。
 利用者にポケットティッシュとRS反対のビラを配り、タクシー乗務員には機関紙も手渡しました。ビラの受け取りが良く、この行動で1000セットを配布することができました。
 市民の反応は良好で、バス乗務員が手を振ってくれたり、タクシーの乗務員が写真をたくさん撮ってくれたり、庭和田書記長(本部委員長)の演説が動画撮影されたりと注目を集めました。
 また、ライドシェア阻止毎月宣伝統一行動と合わせて、11月22日より「RS解禁阻止」の音源をリピートで響かせながら宣伝カーを街中に走らせるとりくみを行っています。
 その宣伝カーは、「ライドシェア反対」のマフラータオルでラッピングされています。見た目にわかりやすい装飾と、「みんなのまちをはしる、安心・安全なタクシーを守る活動にご協力ください」というアナウンスを街に流すことで、目に見え、耳に聞こえる運動を展開しています。

危険性を知ることができた

 神奈川地本は11月22日、三浦海岸駅頭と三崎口駅頭で宣伝行動を実施しました。
 この行動は、20日に三浦市主体の『神奈川版ライドシェア』の実証実験が県の検討会議で決定されたことを受け、利用客へライドシェアの危険性を訴えたものです。ビラ100枚、ポケットティッシュ100個を配布し、人通りは少ないながらも反応よく受け取ってもらうことができました。地元の高齢者は、すでにテレビの報道でRSについて聞いたことがあったようで「危険性を知ることができた」と快く話を聞いてくれました。
 平日だったため観光客が少なく、「三浦漁港周辺でも宣伝行動を行う予定だったのに拍子抜けしてしまった。次回は三浦市役所や市立病院周辺での宣伝が必要」と佐藤書記長は報告しました。

反応よくねぎらいの言葉も

 長崎地連は11月29日、長崎市江戸町のLPガススタンド前でライドシェア反対ビラ配布行動を行いました。 対話の中で、ある個人タクシー運転者は、「今回のRS反対は、乗務員と法人が一緒に行うべきだ。そのようになれば、個人タクシーも皆で行動する」と言い、最後には「ご苦労様です。応援します」とのねぎらいの言葉をくれました。
 松永書記長は、「前回の配布時より皆さん興味を持っていました。国会中継をラジオ等で聞いているのでしょう。早急に日程を決め、次回も配布したいと思っています」と感想を語りました。


詳細→情報電子版29情報電子版30情報電子版34

阻止運動のさらなる強化を

ライドシェア解禁へ 年内にも一定の方向性


タク議連や関係省庁の動向を注視

※要旨

 ライドシェア解禁の検討や具体的な内容のとりまとめについて話し合われているのは、『デジタル行財政改革会議』(議長=岸田文雄首相)という政府の会合です。
 11月22日の第2回の会議では、岸田首相から「あらゆる選択肢を排除せず、都市部を含め、タクシーの規制緩和やライドシェアについての喫緊の課題や対応策の議論を加速し、年末に報告を」と斉藤哲也国土交通大臣に対して指示しました。
 岸田首相は20日の衆議院本会議でも、「規制改革推進会議の意見書(下記)も勘案しながら、年内に一定の方向性を出した上で、できるものからとりくんでいく」と答弁しています。
 もはや時間の猶予はありません。『デジタル行財政改革会議』から、今年中にもライドシェア導入について一定の方向性が出されるとみられます。
 タクシーの業界団体や関係省庁、タクシー・ハイヤー議員連盟の動向を含めて注視しつつ、宣伝や要請など必要な闘いを強化しなければなりません。


安心・安全な地域公共交通を守る

ライドシェア反対を訴える=11月10日、東京・衆議院第2議員会館前
ライドシェア反対を訴える=11月10日、東京・衆議院第2議員会館前

 政府会議を始めとして、国会でも衆参両院の予算委員会や国土交通委員会、本会議で、連日のようにライドシェア解禁についての議論が行われています。しかし、いまだライドシェアの定義すら明確にされておらず、空中戦のまま議論が続いています。
 一方で、『規制改革推進会議・地域産業活性化ワーキンググループ』の委員有志の意見書(右)では、「『日本版ライドシェア』として自家用有償旅客運送の拡大・タクシーを規制改革する要望」と、「道路運送法の改悪・ライドシェア事業のための新法制定を行う要望」が示されました。
 足元の自治体の動きをみると、11月20日の「第2回神奈川版ライドシェア検討会議」において、三浦市での自家用有償旅客運送制度を活用する実証実験が決定されています。
 岸田首相は所信表明演説で、「地域交通の担い手や移動の足の不足といった深刻な社会課題に対応するために、バス・タクシー等のドライバー確保や不便の解消」にとりくむと発言しました。政府が年内に出す方針がどこを向くかはまだ不明ですが、ライドシェア解禁ありきで話が進み、問題の根本原因であるタクシー運転者の労働条件について議論されていない現状は大いに問題があります。
 自交総連は、宣伝行動・署名運動を通してライドシェアの危険性を利用者に伝えるとともに、安心・安全な地域公共交通としてのタクシーを守るとりくみを行っていきます。

交運共闘 全国学習会・職場視察の報告

大阪関西万博は、ウソと闇と泥まみれ、税金無駄づかい

日程

 交運共闘は、11月12日・13日の2日間で全国学習会と大阪交運共闘の仲間の職場視察を行いました。
 大阪万博では、会場建設費が2350億円にも膨れあがっているとの報道もあるなかで、実際どのような問題が発生しているのか、自治体問題研究所の藤永副理事長を講師に学習会を開催しました。
 藤永氏は「ウソと闇と泥まみれ 税金無駄づかいの夢洲万博・IRカジノを止める」と題して、万博・カジノ問題を深掘りした講義を行いました。

撤去費用含まず

万博会場となる夢洲全体図(藤永副理事長作成資料)
万博会場となる夢洲全体図(藤永副理事長作成資料)

 いま問題となっている建設費用の増大では、そもそも使用後は撤去して更地に戻す契約となっているのに、その費用は計上されていない。さらに上振れする可能性がある。
 インフラ整備費用には1129億円かかり800億円を維新政治は数の力で議会を通して、府民の税金を流用していると指摘。
 土壌は液状化対策も必要で、埋め立てには有毒ゴミ860万トンを投棄し、現在も埋め立て中。土砂の含有量調査では、含水量50%、水銀は最終処分場廃水基準の480倍、PCBは993倍。こんな汚泥・ドロが万博・カジノ地域の下で蠢いている。1万袋のPCBを埋めた上が万博駐車場となる予定。

夢洲入口は二つ

 夢洲への出入り口は二カ所しかなく、万博開催中もカジノ建設、コンテナヤードも営業することから、工事車両やコンテナ車、来場者の送迎に必要な9500台のシャトルバスの運行などで大混雑するのは明らかで、ライドシェアが入り込む余地はない。万博開催は止めるしかないと訴えました。
 万博にこれだけ費用をかけるのは、すべてがIRカジノのためでしかない。税金の無駄づかいは許せない、止めるために世論化が必要と強調しました。

維新政治は横暴

 「維新政治と交通運輸政策」を大阪交運共闘の庭和田事務局長(自交総連委員長)が行いました。
 庭和田氏は、大阪駅には利用しやすいタクシーの降車場がなく、乗り場も遠い。維新政治になってからはより顕著で、高齢者が乗り場まで長く歩かせられている。
 維新は金儲けのために、使い勝手の良い場所を商業施設に変更している。府民の声を聞かず、議会では数の力で悪法を通し、在阪マスコミやお笑い芸人を使いやりたい放題。府市民に真実を伝えることが重要と強調しました。(報告者=城政利)