国民の利になる改革を
個人請願、議員要請、省庁交渉行う
自交総連は3月6日、25春闘でライドシェア全面解禁阻止、自交労働者の労働条件改善をめざし、運賃改定のノースライド獲得などを掲げて、3・6中央行動を実施しました。
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自交総連の3・7中央行動の様子 |
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厚労省の係官へ請願書を提出する様子 |
自交総連は朝10時30分から国土交通省への個人請願行動を開始しました。
主催者あいさつで庭和田裕之中央執行委員長は、「国交省はなぜ同じ過ちを繰り返そうとしているのか。『日本版RS』や『公共RS』などという言葉をつくって、利用者にどんどんRSを浸透させようとしている。しかし、こんなものはすべて『白タク』でしかない。この規制緩和の道を行けば、必ず利用者と自交労働者が割を食うことになる。我々を『既得権益者』などと称す議員もいるが、タクシー産業の規制は利益のためではない。利用者の安心・安全を守るためであり、自交労働者がせめて生活できる賃金を得られるように、たたかってきた。国交省には、本当に国民の利になる改革にとりくんでほしい」と強調しました。
そして、「私の出身である大阪で、万博期間中に『日本版RS』を24時間走らせることを国交省は許可した。しかし『日本版RS』が走り出したために、大阪市域のタクシー営収はいま頭打ちになっている実感がある。それを踏まえて許可を出したのか、午後の交渉で直接問うつもりだ」と力強く訴えました。
続いて全労連の竹下武事務局次長、交運共闘の星野芳史幹事、日本共産党の堀川あきこ衆議院議員が連帯あいさつをしました。
市村直之中執が請願書を読み上げ、東北地連の石垣敦書記長、福岡地連の内田大亮書記長が決意表明する中、参加者一人ひとりが国交省の係官に請願書を手渡ししました。
その後、厚生労働省にも同様に請願提出を行いました。
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国交省と交渉する自交総連の代表(左) |
中央総決起集会に参加
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プラカードを掲げて3000人がコール |
12時10分からは、日比谷野外音楽堂で全労連・国民春闘共闘が主催する中央総決起集会に参加しました。
冷たい雨が降る中、集会には全体で約3000人が集結。「消費税廃止!」「すべての労働者の大幅賃上げ・底上げを」のプラカードを掲げ、自交総連の仲間も一緒にコールしました。
集会後は、国会請願デモを行い、国会議事堂周辺を回りました。
自交総連の代表は、13時20分から国会議員要請を実施し、その後、国交省と厚労省との交渉を行いました。
2・1行動と統合しとりくみ
東京、東北、関西・京都で宣伝
ライドシェア全面解禁阻止統一行動
自交総連は、今年度、「ライドシェア全面解禁阻止」を掲げ、各地連・地本において統一行動を行っています。2月は、例年2月1日に全国的に実施してきた規制緩和への抗議宣伝と統合した行動をとりくみました。
ライドシェア反対の賛同訴えてデモ
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デモ行進で通行人へRSの危険性をアピール=2月1日、東京・新宿区役所付近 |
東京地連は、自交総連本部が提起する春闘総決起とタクシーの規制緩和が開始された2月1日に合わせ、RS解禁阻止宣伝&デモ行進として新宿駅東口アルタ前に18組合81人が結集しました。
主催者あいさつでコ永委員長は「楽天の三木谷氏やLINEヤフーの川邊氏などがRS全面解禁を求めているが手数料で収益を上げ、さらに諸外国で起きている社会問題を解決しないまま導入すれば国民が悲劇を見るのは明らかだ。国民のみなさんと一緒に考えていきたいので、配付しているビラをお受け取りいただきたい」と訴えました。
自交総連城書記長、東京地評井澤事務局長の連帯あいさつの後、参加した仲間は約30分かけて新宿区役所近くまでデモ行進し、RS解禁反対への賛同を訴えました。
規制緩和反対宣伝行動行う
東北地連は2月3日、12時から仙台駅前で規制緩和反対宣伝行動を実施し、7人が参加しました。この宣伝行動は、2002年2月1日にタクシーの規制緩和が強行されたことに抗議行動を展開して以来、毎年実施し、今年で23回目となります。
今年の宣伝では、仙台駅のタクシープールの向かいで「RS阻止」の横断幕を三枚広げ、ハンドマイク、宣伝カーで訴えました。タクシー労働者がよく聞いていました。RS反対のポケットティッシュを市民の皆さんに配布しました。
東北地連の石垣書記長と齊藤執行委員が、タクシーの規制緩和により仙台市のタクシーが多大な被害を受けた実態や、RSの危険性について訴えました。たまたま建交労ダンプの宣伝カーが通りかかり、宣伝行動に合流し、共にRS阻止を訴えました。
東北地連では、今後とも各県の県庁所在地でRS阻止の宣伝を続けていきます。
RSの街頭アンケート実施
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宣伝カーから各弁士が訴える=2月19日、京都・JR京都駅烏丸口前 |
「RS全面解禁阻止」の一点共闘で始めた「共同闘争」は第12波を数え2月19日午後、JR京都駅烏丸口と四条烏丸で総勢20人が横断幕を掲げ、京都タワー前ではシールを貼付する街頭アンケートを実施。この日は京都個人の昌栄会、楽友、全自交京都、自交京都の仲間がマイクを握り、「安心・安全な日本のタクシーを守ろう」と訴えました。
JR京都駅烏丸口でマイクを握った昌栄会の田中義弘理事長は、「京都タワー前で街頭アンケートとRS反対闘争のユーチューブが見られるQRコードを入れたポケットティッシュを配布していますので、お手に取ってください」と市民に呼びかけました。
全自交京都地連の成田次雄書記長は、「昨年12月に大阪府・市が関西万博開催期間中の4月から10月まで、大阪府域全域において24時間日本版RSを実施することを国土交通省と合意したと発表しました。日本版RSの趣旨はタクシーが不足する地域での補完とされてきたはずですが、万博24時間RSは、その趣旨を大きく逸脱したものであり、実質的なRS解禁に直結する恐れがあります。ましてや大阪市域のタクシー配車のマッチング率は昨年12月以降ほぼ98%以上になっており、まったくタクシー不足と言う状況にはありません」と現状を指摘し、「大阪府・市に抗議した」と述べました。
各弁士が訴える中、京都タワー前で、街頭アンケート(RSを利用する・しない、RSを知っている・知らない)を実施。若い女性などは、RSとアプリ配車のタクシーを混同していたようで、RSが「白タク」だと分かると、「利用しない」にシールを貼付していました。
街頭アンケートの結果は「利用する」(3人)、「利用しない」(15人)、「RS知っている」(10人)、「知らない」(13人)でした。
四条烏丸でも同様の宣伝を行い、楽友の大澤氏や自交京都の松田委員長らが訴えました。
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危険な万博RSは中止せよ
各政党の意向を注視し阻止闘争を
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ライドシェアをめぐる直近の情勢では、『日本版RS』『公共RS』といった自家用車活用事業の全国的な拡大と、タクシー事業者以外が行うRS全面解禁の二つが、同時に進められています。
政府の狙いは、地方における深刻な公共交通不足問題について、既存のバスやタクシーへの国の財政支援ではなく、自家用車活用事業の推進で安上がりに解決することです。
現在は、旅客の安全規制をどれほど緩和すればいいか見極めるために、『日本版RS』の効果を検証している段階にあります。
来月開催の大阪・関西万博では、営業時間帯、エリアの規制を大幅に撤廃した『日本版RS』(以下『万博RS』)を許可し、運行のデータ収集を図ろうとしています。
そんな中、全面解禁の利権を求める会派の突き上げが入り、状況は混沌としています。とくに日本維新の会は、RS全面解禁を盛り込んだ法案を国会提出すると表明(下記事参照)。代表である吉村洋文大阪府知事を中心に、日本維新の会が少数与党と駆け引きをし、RS全面解禁を迫る懸念があります。
安全性に問題 白タクは不要
『万博RS』の運行車両は段階的に増やされます。開幕直後から5月末にかけては、大阪市域交通圏で最大で315台が運行される予定です。
年初の大阪府内のアプリ配車のマッチング率は90%を超えており、実車率も46〜47%で推移しています(国土交通省調べ)。
自交総連は、24時間常時運行を可能とする「白タク」は不要であり、期間中の輸送力はタクシーで十分供給できると考えています。
無用かつ安全性に問題がある『万博RS』の中止を求めつつ、各政党がRS推進法案に対してどのような意向で議論に臨むのか注視する必要があります。
私たちは、タクシー運転者の労働条件悪化に繋がるいかなる「白タク」も容認せず、今後も阻止闘争にとりくんでいきます。
万博開催にあたっての所感
庭和田裕之中央執行委員長
2024年4月、東京特別区・武三交通圏や京都市域交通圏など一部の地域で始まった『日本版ライドシェア』(普通免許証取得1年、自家用車で営業できる)は現在全国各地で運用されていますが、「白タク」の合法化にほかならず、タクシー事業の適正化を図るための政策・とりくみをないがしろにするものです。
歩合給が基本のタクシー運転者の労働条件悪化につながる可能性が高く、すでにその兆候が全国各地で出てきています。これまで、『日本版ライドシェア』の運用は「公共の福祉を確保するためにやむを得ない場合」に限られていましたが、大阪・関西万博期間中の運用は、上記制限を大幅に緩和します。
同年12月19日、大阪府市と国土交通省は、大阪・関西万博開催期間中の交通需要に対応するため、同府内で『日本版ライドシェア』のさらなる規制緩和をすることで合意しました。これにより、大阪市域に限られていた運行エリアが大阪府内全域に拡大され、従来の「週2日計約12時間」との限定を撤廃し、24時間常時運行できるようになりました。
府内の都市交通を無用に増加させる可能性が否定できず、タクシー運転者のさらなる労働条件悪化はもちろんのこと、結果的に府内の公共交通の安心・安全にも支障をきたすと危惧します。
安易な規制緩和を繰り返し失敗を重ねた結果、公共交通機関は都市部でも弱体化しています。さらなる規制緩和は、諸外国で行われているような、事業免許をもたない運転者が個人事業主として、利用者から運送を請け負う「ライドシェア」を許容する新法の制定につながりかねません。
「ライドシェア」全面解禁は、公共交通の安全を脅かし、タクシー運転者の労働条件悪化に留まらず、個人事業主に置き換えて無権利なギグワーカー(単発労働)に落とし込む問題だと、強く認識すべきもので、断じて許すことはできません。
維新が「RS推進法案を近く国会へ提出」と表明
ライドシェア解禁をめぐる国会質疑
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日本維新の会の阿部司議員=衆議院予算委員会(衆議院インターネット中継から) |
1月29日に開催された参議院本会議では、ライドシェア問題に関わる質疑が行われました。日本維新の会の浅田均議員は石破茂首相へ代表質問し、RSの国内全面解禁を盛り込んだ法案を国会に提出する考えを表明しました。また、2月3日に行われた衆議院予算委員会では、同じく日本維新の会の阿部司議員が石破首相・平将明デジタル相へ、RSにおける日本の制度的な遅れへの問題意識を確認しました。
【1月29日 参議院本会議】
〇浅田議員 昨年4月に開始した日本版RS』は様々な制限があります。岸田前政権は昨年、RS全面解禁について検討を続けるとしましたが、いつまでに結論を出すつもりなのですか。政府は「大阪万博期間中は『日本版RS』の運行エリアを大阪全域に広げ、運行時間もすべての曜日で24時間可能にする」と決定しました。少なくとも同じような内容は全国展開できるのではありませんか。
また我が党は、真のRS導入への推進法案を近く国会に提出予定ですが、総理は賛同していただけますか。
〇石破首相 法案については、まずは国会で議論すべきことと承知しています。
RSの課題に関しては、特定時期は念頭にありませんが、全国の交通空白解消に向けて『骨太の方針』に従い、『日本版RS』などの施策の実施効果を検証しつつ、地域交通の担い手や移動の足確保のとりくみを強力に進めます。
【2月3日 衆議院予算委員会】
〇阿部議員 RSについて、世界では柔軟な制度設計が当たり前です。代表質問で石破総理は、RS全面解禁に慎重な答弁をされましたが、この分野における日本の制度的な遅れについて、問題意識をお持ちでしょうか。〇石破首相 地方において非常に顕著な交通空白の解消のために、『日本版RS』がきちんと機能しているか、その点については強い問題意識を持っています。
〇阿部議員 東京交通新聞によれば、『日本版RS』の運転者のほとんどがタクシー会社の役員や内勤者であり、採算は取れないが、全面解禁を防ぐための自己犠牲の精神でやっているとのことです。政府がタクシー業界などの既得権益の配慮を優先した結果、我が国の技術革新と国際競争力は大きく損なわれているのではないでしょうか。
〇平デジタル相RSについては、『骨太の方針』に従っています。例えば、『日本版RS』は、大阪では営業時間帯、エリアの厳しい規制を一旦外し、どのような効果が出るかと検証を行っています。
一方で、今ご指摘の、いわゆる外国で行われているRSについては、そうした検証を踏まえて議論を進めています。両方走らせているという現状です。
〇阿部議員 タクシー業界をはじめとする既存業界からの企業団体献金と規制改革の遅れ、こちらは明確な因果関係があるのではないでしょうか。
〇石破首相 献金を貰っているから有利な取り計らいをするようなことは考えたこともありません。
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ノースライドを守らせる
建交労沖縄の学習会で講義
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登壇する城書記長=2月2日、沖縄・浦添市社会福祉センター |
2月2日、沖縄で沖東交通グループのタクシー労働者90人を組織する建交労沖縄県本部は、浦添市社会福祉センターで学習会を開催し、城書記長が参加しました。
23年10月の運賃改定後、労働者の賃金が上がらない中、昨年9月会社から労務査定導入による新賃金体系が提案されました。査定により歩合給が7%の格差が生じると組合は会社への抗議と合わせて運輸局要請を行なった結果、保留となっています。
城書記長は、喫緊の課題であるライドシェア全面解禁の経過と反対闘争を説明して共にたたかいましょうと投げかけました。運賃改定では、ノースライドを守らせることが重要と強調し、自交総連の運賃闘争の歴史と闘いを紹介しました。沖東グループは日勤シフトですが、会社は割増賃金の支払抑制のため3時間のみなし休憩時間としています。またアプリ手数料の運転者負担があり、実労働時間で支払わせることと運転者負担撤廃が必要と講義しました。(報告・城政利)
新加盟のなかま |
(875)神奈川・神奈川個人タクシー支部
神奈川県内で個人タクシーを開業している山口和夫さんら2名が個人タクシーの組合を結成。1月25日に神奈川地本に加盟し、神奈川個人タクシー支部となりました。
東個労の山口俊一執行委員と兄弟だったこと、本部第47回定期大会で庭和田委員長が個タク部会設置を表明したことを受け、冨松神奈川地本委員長の協力のもと組織結成・加盟に至りました。今後、組織拡大に繋げていきます。
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