自交労働者No.984、2024年6月15日


ライドシェア法案に反対


東京・大阪の維新事務所前で抗議

 自交総連は5月14日、ライドシェア法案を衆議院へ提出した日本維新の会に対して東京と大阪のそれぞれで抗議の声をあげました。本部は東京地連主催の「東京維新の会事務所前宣伝行動」の応援に駆けつけ、共に奮闘しました。

RS法案撤回の要請書を手渡す

東京地連主催の「東京維新の会事務所前宣伝行動」に本部が応援に駆けつけた=5月14日、東京・四谷三丁目
東京地連主催の「東京維新の会事務所前宣伝行動」に本部が応援に駆けつけた=5月14日、東京・四谷三丁目

 午前10時、東京維新の会事務所前に集結した約60人の参加者は、一列に横断幕を何枚も掲げ、ポケットティッシュ付きビラの配布を開始。宣伝カーの上から東京地連のコ永執行委員長が主催者あいさつを行う中、本部の庭和田中央執行委員長と城書記長は、東京維新の会事務所へ申し入れに向かいました。
 あいにく阿部司支部長は不在でしたが、庭和田中央執行委員長は『ライドシェア事業に係る制度の導入に関する法律案の撤回を求める要請書』を手渡し、事務員から「代表に渡します」と対応されました。
 その勢いのまま庭和田委員長は宣伝カーにあがり、要請書提出を報告すると共に、連帯あいさつしました。
 続いて、冨松常執、吉根中執、内田常執が各地のタクシーや『日本版RS』の現状を説明し、ライドシェア阻止闘争の団結と連帯を訴えました。
 さらに東京地連の各ブロックの代表者が力強く決意表明。
 東部ブロック・坪倉秀樹事務局長、西部ブロック・月村隆浩議長、南部ブロック・木俣透事務局長、北部ブロック・堀井一也事務局長はそれぞれ維新によるライドシェア法案提出を批判し、撤回するように求めました。
 最後は、参加者全員による「維新のRS新法反対!」「利用者を選別するダイナミックプライシング反対!」のシュプレヒコールで行動を締めくくりました。
 行動中には、私たちの訴えを聞いた通行人から「詳しくRSについて教えてほしい」と多数の声がけがあったり、コ永執行委員長が香港フェニックステレビの取材を受けるなど、一際注目を集めました。

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廃案にしようと市民へ呼びかけ

奮闘する大阪の仲間=5月14日、大阪・大阪市中央区
奮闘する大阪の仲間=5月14日、大阪・大阪市中央区

 関西・大阪地連は5月14日、大阪市中央区にある日本維新の会・大阪府総支部(三栄長堀ビル前)に宣伝カーを横付けし、抗議行動を開始しました。
 山本常任執行委員は宣伝カーの上に立ち、30分以上演説を行いました。
 山本常執は、「維新の吉村代表などは『大阪のタクシーが不足している』ことを理由に、白タク行為であるRSを無理矢理合法化しようとしている」と市民に説明し、「仮にRSを解禁し、女性や子ども、高齢者といった社会的な弱者を中心に被害が及んだ場合、維新の会、吉村代表はどう責任をとるのか」と維新を批判。「RS新法に反対し、廃案にしていきましょう」と訴えかけました。
 その途中、自転車に乗った通りすがりの男性が罵声を浴びせる場面がありましたが、動ずることなく最後まで訴え続けました。
 宣伝終了後には、吉村洋文代表や岡崎太政調会長などの音声メッセージを流しながら走る維新の宣伝カーも路上に現れ、驚く一幕もありました。
 一方で関西・大阪地連の宣伝カーからもRS反対のアナウンスを流し、大阪府庁や市役所周辺、JR新大阪駅のタクシー乗り場などにも出向き、夕刻までアピールを続けました。

各地でライドシェア阻止闘争

東北・関東B・関西で宣伝行動実施

 自交総連は、ライドシェア全面解禁阻止へ向けて旺盛な宣伝行動を行っています
。  5月は、関東ブロック、東北、関西・京都で宣伝行動が実施されました。

4県またぎ宣伝行動を実施

タクシー乗務員へ機関紙を配る石野議長=5月22日、栃木・宇都宮駅前タクシープール
タクシー乗務員へ機関紙を配る石野議長=5月22日、栃木・宇都宮駅前タクシープール

 関東ブロックは5月21日〜22日に埼玉・茨城・群馬・栃木で宣伝行動を実施しました。
 5月21日の朝10時から朝霞台駅前で宣伝行動を開始。石野議長・冨松事務局長がマイクを握り、ライドシェアの危険性を訴えました。待機のタクシーがいない時間帯でしたが、埼玉地連の仲間6人と共に、通行人にティッシュを配布しました。
 続いて守谷駅では、タクシー乗務員にRS反対について掲載した機関紙・ティッシュを配りました。ドライバーは、「タクシーが足りないという議論はおかしい。現状タクシーは待機が多い」とこぼしてました。また、つくば市・土浦市・下妻市・牛久市で始まる公共RSについて、「ただでさえ若い人が集まらないのに本当に集まるの?」と疑問を持っていました。
 つくば駅と土浦駅では、自交総連の機関紙を配布。土浦駅のタクシー待機台数は以前よりも多くなっているようでした。
 翌22日は、朝9時から高崎駅でドライバーに機関紙とティシュを手渡しました。その後、前橋駅と宇都宮駅でも配布。宇都宮駅では、西口・東口共に多くの車両が待機していました。
 乗務員からは、「新しくできたLRT(次世代型路面電車)のせいで仕事が激減した。宇都宮ではタクシーは余っている、RSなんかいらない。もっとがんばってほしい」との要望を受けました。
 最後に、宣伝カーを宮城県仙台市の仙南タクシーまで持って行き、東北の仲間へ託しました。

2日間で乗務員80人と対話

(左)=5月24日、岩手・盛岡駅前<br>(中央上)タクシープールは常時閑散としていた=5月24日、青森・八戸駅前<br>(中央下)一昨日からタクシープールが半分になった=5月25日、青森・青森駅前<br>(右)=5月25日、青森・弘前駅前
(左)=5月24日、岩手・盛岡駅前
(中央上)タクシープールは常時閑散としていた=5月24日、青森・八戸駅前
(中央下)一昨日からタクシープールが半分になった=5月25日、青森・青森駅前
(右)=5月25日、青森・弘前駅前

 東北地連は5月24〜25日、岩手・青森県で宣伝行動を実施しました。岩手での宣伝行動は10年ぶりです。行動には、池田副委員長(委員長代理)、石垣書記長、斎藤執行委員が参加しました。
 東北地連では、昔から東北各県に自交総連の旗を立てようと宣伝やオルグ活動にとりくんできました。しかし岩手・青森県には何度か組織が結成されましたが、定着せずにきました。コロナ以降は、宣伝行動も自粛し、それぞれの地域の抱える問題などについても把握できずにいました。
 今回、これらの地域での宣伝行動を再開し、ライドシェア反対のとりくみ強化に加えて地域がおかれている状態の把握に努め、組織拡大に繋げられるようとりくみました。
 宣伝カーで「RS反対」の音源を流しながら移動し、各所の主要駅で宣伝行動を行い、宣伝カーからの訴えやチラシ配布、タクシー労働者への聞き取りを行いました。2日間で80人のタクシー労働者と対話しました。
 参加者は、「移動の距離が長くて大変だった。会社の倒産・廃業がさらに増え、将来や地域住民の交通手段についての不安が増大している。RSについては反対の声しかなく、期待の声など出ていない。労働組合がなく、先の見えない状態で自交総連の役割が増している。定期的な宣伝行動にとりくみたい」と語りました。

【タク労働者の声】
〇 連休以降、売り上げが極端に減って大変だ(盛岡駅)。
〇 RS反対で、仙台の自交総連ががんばっているのは聞いている。自分もRSは反対だ。(盛岡駅)
〇 インバウンドの外国人が駅に来ているがタクシーには乗らない。(盛岡駅)
〇 うちの会社(大内タクシー)は今月いっぱいで廃業だ。市内のタクシー会社は小さいところが相次いで合併している。(八戸駅)
〇 アプリ配車もやっているが、台数が少なく、効率的ではない。(八戸駅)
〇 売上が上がらず、じり貧だ。(青森駅)
〇 タクシープールが目立たないところに置かれてしまった。政治の力が働いたようだ。(青森駅)
〇 昨年暮れから、珍田タクシー、リンクタクシー、そしてついこの間、日の出タクシーも倒産した。タクシーは大変だ。
〇 青森駅より当たりがいい。弘前まで行く客もいる。ただし待ち時間が長く、新幹線は1時間に1本の割合。(新青森駅)
〇 日曜日は暇で2時間待ちのときもある。(弘前駅)
〇 今年の冬は大雪で売上が上がったが、桜も終わり、5月に入って売上が落ちている。(弘前駅)

安心で安全な公共交通守る

京都では15度目の共同闘争が行われた=5月26日、京都・京都駅烏丸口前
京都では15度目の共同闘争が行われた=5月26日、京都・京都駅烏丸口前

 「ライドシェア全面解禁阻止」の一点共闘で始めた京都の「共同闘争」は第15波となり5月26日、JR京都駅烏丸口と四条烏丸で宣伝行動が行われました。
 自交総連からは庭和田地連書記長(本部委員長)が登壇し、日本維新の会が衆議院に提出したRS法案について、「タクシー労働者だけの問題ではなく、利用者である皆さんの問題だと認識してほしい。RSが解禁された世界の国々では、口にもしたくないようなさまざまな犯罪が発生している」と注意喚起しました。
 そして「現在では規制や禁止の方向で大きく舵を切っている国も多い。そんなものを日本で解禁してどうしようというのか。今やらなければならないことは、安心で安全な公共交通を守ることだ」と利用者へ理解を求めました。た。

「移動の足の不足」問題

内閣府VS国交省 どちらの意向に傾くか
自交総連はすべてのライドシェアにNO

 規制改革推進会議は5月28日、「規制改革推進に関する答申」をとりまとめました。
 ライドシェア関連の記述は従来路線のままで、全面解禁の具体的なスケジュールや措置は記されませんでした。
 また同日には内閣府が、24年度の規制改革実施計画のフォローアップ結果を公表しています(下)。さまざまな規制緩和が強行されましたが、タクシー事業者以外が行うライドシェアについては一定の歯止めを掛けることができました。
規制改革実施計画のフォローアップ結果
 この1年間、全国で街頭宣伝や宣伝カーでの音源流しに奮闘し、ライドシェア全面解禁反対を訴え続けた自交総連の成果です。
 しかし規制改革推進会議は、先の答申にて、全国の移動の足不足がいまだ深刻であるとして、今後も必要な措置を講じていくとしています。
 一方で国土交通省は5月30日に、「交通空白解消に向けた取組方針」を決定。先3年間を集中対策期間とし、地域の足・観光の足が不足する「交通空白」の解消を早急に進めるとしました。
 ここでは、内閣府と国交省の『移動の足の不足』問題の意向について説明します。

タクシー不足の結論ありき

内閣府調査
 この半年間、内閣府は規制改革推進会議の地域活性化・人手不足対応ワーキング・グループで、『移動の足の実態等に関する各種調査』を元に議論してきました。
 調査内容は、インターネットを使ったアンケートを中心に、関係業界に対するヒアリングや駅のタクシー乗り場の観測などを行ったものです(左上)。
 ところが、移動実態についての調査にもかかわらず、設問はタクシーが主体となっており、鉄道・バス・飛行機での移動についてはほとんど触れられていません。「今のタクシーは不便」という、ライドシェア推進派に都合がいい回答を引き出すような調査でした。
 また、タクシー手配の容易性についての調査では、一時的な利用の集中を切り取って、「夜間や雨天時等の需要増への対応が課題」「日中の観光者に対しタクシーは明らかに不足」との結論となりました。さらに、人口20万人未満の地域の駅前観測では昼夜含め長い待ち時間は発生せず、「タクシーの手配困難は駅前以外の場所での問題と考えられ、きめ細かな対応が重要」としています。
 このように規制改革推進会議では、「タクシーが足りない」という結論ありきの調査を元に、地域公共交通の課題を議論しており、手段と目的が入れ替わっています。
 先の答申には、今後の継続的な実施事項として『内閣府は、移動の足不足の状況に関して(中略)四半期ごとを目処に、利用者目線での移動の足の実態に関する評価を行う』との内容が入りました。
 来年以降も、ライドシェア全面解禁へつなげるために、「移動の足が不足している」とするデータを出してくると懸念されます。

「交通空白」解消にRS

国交省
 国交省は昨年7月、「交通空白」解消本部を立ち上げました。
 これは、『移動の足の不足』問題を地域・観光に分けて、全国の自治体、交通事業者、民間事業者等とスクラムを組んで、解消にとりくむものです。
 内閣府における『移動の足の不足』問題の議論の中心が規制改革推進会議ならば、国交省の中心はこの「交通空白」解消本部です。
 「交通空白」解消本部は今年2月4日〜3月19日、リストアップ調査を実施。その結果、全国2057地区(地域の足不足)・4622地点(観光の足不足)を「交通空白」とし、集中対策期間で解消させる方針を大々的に示しました。
 ここでの「交通空白」の定義は、▽誰もがアクセスできる移動の足がない・利用しづらい(地域の足不足)▽訪日客を含む観光客が、主要交通結節点から観光スポットや宿泊先に向かう移動の足がない・利用しづらい・移動手段自体はあっても、観光客向けのわかりやすい情報発信が不十分(観光の足不足)としています。
 そして、『移動の足の不足』を解消する地域交通ツールとして、タクシー、乗合タクシー、『公共・日本版ライドシェア』をあげています。
 規制改革推進会議は、こうしたスタンスを「国交省が進める地域交通ツールは供給者目線だ」と批判しました。内閣府は、利用者目線で『移動の足の不足』を解消すべきとしており、二省庁で主導権争いがみられます。
 どちらの意向を政府が執るかはまだ不透明ですが、自交総連はあらゆるライドシェアも許さないという立場を堅持し、これからも反対闘争にとりくんでいきます。

原水爆禁止国民平和大行進

被爆地へ向け出発

東京地連

冷たい雨が降る出発式=5月6日、東京・江東区夢の島公園・第5福竜丸展示会館前
冷たい雨が降る出発式=5月6日、東京・江東区夢の島公園・第5福竜丸展示会館前

 【東京】核兵器廃絶と被爆者援護を訴えながら全国から被爆地広島・長崎をめざして歩く被爆80年原水爆禁止国民平和大行進が5月6日、冷たい雨が降るなか、被爆者を先頭に広島に向けて出発。本部の堀井書記次長と東京地連から東部・西部ブロック、青年部の4組合12人が参加しました。
 出発式には600人が集まり、あいさつした原水禁共同代表の高草木さんは「参院選と東京都議選は日本の針路を変えるチャンス。非核平和な日本の実現こそが真の安全と平和の道だ」と訴えました。
 晴天となった翌日7日は芝公園の出発式で港区長から激励を受け、南部ブロックがスタート。「平和を守ろう」と声を上げて沿道の歩行者に訴えながら、青物横丁まで行進しました。
 昼食休憩の平和の森公園では、北部ブロックと東個労が参加し、旗を繋ぎ多摩川六郷土手公園まで行進しました。東京地連から書記局を含め13組合19人が参加しました。