自交労働者No.1008、2026年6月15日

9時間では睡眠とれない

バス部会が国交省と交渉

国交省と交渉=5月13日、東京・衆議院第2議員会館面談室
国交省と交渉=5月13日、東京・衆議院第2議員会館面談室

 自交総連バス部会は5月13日、国交省と交渉をおこないました。
 石垣会長(本部副委員長)と、東北・関西・福岡から6人、本部から庭和田委員長、城書記長、内田常執が参加しました。
 交渉では、各地方の参加者が路線・貸切バスで起きている安全問題や労働実態を訴え、改善を求めました。

改善基準告示

バス部会=貸切バスの規制緩和政策を根本から見直し、とくに重大事故を引き起こしてきた零細悪質事業者の参入を未然に防ぐため、参入規制を強化すること。
国交省=貸切バス事業者の更新制により安全性を審査することで、約2割の事業者が更新できずに退出している。安全を確保できない事業者は是正および排除している。
バス部会=貸切バス適正化機関の事前通知による巡回指導では悪質事業者の摘発は難しい。国交省職員による抜打ち監査で悪質事業者を一掃するために、監査要員の増員をおこなうこと。
国交省=2016年1月の軽井沢事故以降、処分基準の厳格化を図ってきている。悪質事業者への重点監査や厳格処分をすすめており、今後も監査強化と法令違反事業者の是正および排除をおこなっていく。監査体制は、2002年の108人体制から現在は437人まで増員している。
バス部会=磐越道で事故を起こした事業者については、巡回監査で手配書などを点検していればレンタカー使用など事前把握できたはずだ。料金を値切るのは学校関係が多い。安全にはコストがかかるのを理解していない。監査をしっかりおこなって欲しい。
国交省=要望は受けとめる。
バス部会=ワンマン運行では対応できない運転者の急病や事故、火災が発生しており、安全確保の観点から、保安要員(バスガイド・車掌)を乗務させるよう運輸規則第15条を改正すること。
 また、消火器・緊急表示灯の点検、緊急時の避難訓練を義務化すること。
5時間しか寝れない
国交省=現行制度では原則ワンマン運行を認めているが、道路状況等を勘案し、危険が存在する運行には、車掌乗務が必要とされている。トラブルや運転者の体調異変による運行中止等の判断などに対応できるよう、営業所に運行管理者を常駐させることになっている。緊急時の対応として、消火器・緊急表示灯の点検や避難訓練、テロ対策については、2023年に作成したマニュアル等で対応を求めている。
バス部会=運転者の健康状態の悪化などで緊急時には緊急非常ブレーキを引くことになっているが、乗客は寝ていることも多く、ガイドがいない場合、誰がブレーキを引くのか。
国交省=気が付いた添乗員あるいは乗客に引いてもらうしかない。
バス部会=自動車運転者の労働時間等の改善基準告示について、厚労省と連携して、改定すること。休息期間については、「11時間以上与えるよう努める」を「11時間以上与えること」にすること。
国交省=改善基準告示の改定は、厚労省の審議会で決定され2024年から適用されている。「運転者の健康確保は重要」であり、実施後3年を目途に実態調査を踏まえ見直しを検討する。
バス部会=通勤時間等もあり5時間程度の睡眠しか取れない実態があり、9時間休息では足りない。強く改善を求める。
国交省=そのような実態があることは受けとめる。

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磐越道バス事故についての所感

自交総連バス部会 石垣敦会長

 5月6日に磐越道で起きたバス事故は、交通の規制緩和やライドシェアの危険性を改めて示すものであり、国土交通省の責任は極めて重大です。亡くなられた生徒には、心からお悔やみを申し上げるとともに、怪我を負った生徒のみなさんの一日も早い回復を願います。
 事故の発生以来、連日マスコミによる報道がなされていますが、いまだに真相は解明されていません。学校もバス会社も責任のがれ的な態度が目立ち、ドライバーも当事者意識が疑われています。このまま責任のがれが続けば、被害にあわれた生徒たちの救済にも支障をきたしかねません。国と学校、バス会社が応分の負担をし、すべての被害者を救済すべきです。
 自交総連バス部会は5月13日に国交省との交渉をおこない、国の責任を追及しました。同時に再発を防止するためにも規制緩和を改め、有償での輸送は緑ナンバーと第二種免許ドライバーである原点に戻るべきだと指摘しました。同時に、バスの運行では、保安要員の同乗を義務付け、ドライバーに異変があった場合は対処できるようにすべきだと要請しました。
 安心・安全な輸送の確立にむけ、人が亡くならなければ動かない行政のあり方についても変えなければなりません。

運賃改定に乗じた賃金合理化にNO


飛鳥交通G賃金訴訟で証人尋問

東京地連

第1回口頭弁論後の弁護団会議の様子=2024年2月21日、東京・日比谷図書館
第1回口頭弁論後の弁護団会議の様子=2024年2月21日、東京・日比谷図書館

 2022年11月の東京のタクシー運賃改定に乗じた、飛鳥交通グループによる賃金の一方的引き下げについて争う裁判で、4月17日、証人尋問がおこなわれました。
 東京地方裁判所では原告側3氏に加え、東京地連のコ永委員長が証言台に立ちました。
 この事件は、飛鳥交通グループが、営業収入に0.9585の係数を掛けて賃金を低く計算するという新賃金体系を就業規則の変更として強行。
 これを不当な賃下げと主張する東京地連の組合(非加盟労組も合流し原告団80人超)が、未払い賃金の請求を会社に対しておこなったものです。
 この日の証人尋問は、結審を前にして、事件の核心に迫る最大のヤマ場となりました。
 まず原告3氏は、会社側が新賃金体系を一方的に導入した際、現場にどれほどの困惑と怒りが拡がったかを克明に述べました。
 とくに、乗務員不足と物価高騰がつづくなかで、乗務員の賃金・労働条件のためとされた、公定運賃の値上げによる増収を還元するどころか、計算上の操作で実質的な賃下げを強行した経営姿勢を、「労働契約の根幹を揺るがす不当な不利益変更だ」と厳しく糾弾しました。
 つづいて、コ永委員長が、ノースライドの考え方の根拠となる国交省通達と消費者委員会での指針内容を説明。公正な判断をつよく求めました。
 この裁判の最大の争点は、会社側が主張する「賃下げに及んだ合理的な理由」が、労基法第24条の賃金全額払いの原則や、労働契約法に照らして有効といえるかどうかにあります。
裁判の争点
裁判の争点=左
 直近の運賃改定においても、飛鳥交通グループの後追いをするように、賃下げ合理化を提案する会社が相次いでいます。
 こうした情勢から、裁判のゆくえは一企業の枠を超え全国の他社へ波及するものとなっています。
 東京地連は、この闘争を、全乗務員の生活と権利を守り、タクシー産業全体の「搾取構造」を打破する闘いと位置づけています。
 判決は、7月29日に言い渡される予定となっています。
参考=『自交総連東京』5月号1面


事業者からの「逆提案」相次ぐ

関西地連

 自交総連は4月13日に「運賃改定における賃金合理化に断固反対する声明」を出しました(先月号で既報)。
 以降も、関西地連(大阪・京都)からの報告では、運賃改定に乗じた賃下げ合理化を提案する事業者が現れています。
 京都では、新京和タクシー労組で、事故時の賠償を求める契約書案の提示が会社からありました。「労基法違反の提案は呑めない」と突き返した後、会社からのアクションはありませんが推移を注視する必要があります。
 大阪でも、賃率のアップや労働環境の改善を求めると、賃下げの逆提案をする事業者が出ました。
 今春闘では、会社から決算書の提示もあり真摯に検討した結果、「やむなし」との判断で、合理化を受け入れた単組も出ました。
参考=『ハンドルおおさか』5月号2面

個人タクシー活用についての国会質疑

地域の実情に応じた柔軟な制度を求める

日本共産党の畑野君枝議員=衆議院国土交通委員会(衆議院インターネット中継から)
日本共産党の畑野君枝議員=衆議院国土交通委員会(衆議院インターネット中継から)

 5月13日に開催された衆議院国土交通委員会で、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案」についての質疑応答がおこなわれました。
 その中で、日本共産党の畑野君枝議員が質問に立ち、交通空白地での個人タクシー活用について求めました。

〇畑野議員 地方部にUターン、Iターンした個人タクシー事業者の活用について、実績を教えてください。
〇石原物流自動車局長 個人タクシーは人口30万人以上の都市部において定年を75才とする制度として認められています。
 地域の足の確保の観点から、2023年12月から一年以上の個人タクシーの経験を有した運転者については、一定の条件のもと、75才定年を特例的に引き上げたうえで、人口30万人未満の地域で運行できることとしました。_
 具体的には、定年を特例的に引き上げたことにより、安全確保に万全を期す観点から75才以上の運転者については、当該地域の法人タクシー事業による運行管理を受ける態勢の整備を必要とし、これまで3件の活用事例があります。
〇畑野議員 実績3件は、活用されていない状況だと思います。
 個人タクシー事業者から話を聞きましたが、定年後はふるさとに帰り個人タクシー営業をしたいと考える方は結構いらっしゃいます。問題は、個人タクシー事業者にとって、法人タクシーに運行管理を受けることは、抵抗感があるということです。
 自交総連は、交通空白解消の即戦力として個人タクシーの活用を提案しています。その提案では、個人タクシーの優位性として4点、@経験豊富なプロドライバー、A地域に精通した運行、Bきめ細やかなサービス、C地域経済にも貢献、として個人タクシーが安全で信頼できる公共交通であることを強調しています。
 安全を確保するために、現在は法人タクシーの運行管理を受けることになっていますが、それを法人タクシーではなく、地方自治体たとえば保健所が健康チェックをおこなうなど、Uターン、Iターンしたい方のために、地域の実情に応じた柔軟な制度を検討してはいかがでしょうか。
〇金子国交大臣 ご指摘の件につきましては、利用者の安心・安全の確保の観点から、タクシーの運行管理は業務前後の点呼、事故や異常発生等における運転者への指示、気象条件や道路状況に応じた運行指示など輸送の安全の根幹にかかわる業務をおこなっていることから、タクシー事業者がおこなうことが適切だと考えています。
 一方で、タクシー事業者が存在していない交通空白地域における運行管理のあり方につきましては、畑野議員からのアイディアを頂戴しましたので、安心・安全の確保を大前提としたうえで、個人タクシー業界に対して、どのようなニーズがあるのか、聞いてまいります。
〇畑野議員 タクシーの営業所がない地域もありますので、ぜひご検討をすすめていただきたいと思います。

憲法9条を守ろう

改憲に断固反対する声明を発表

 自交総連は5月12日、「改憲と戦争国家づくりに断固反対する声明」を発表しました。

 →詳細

署名にご協力を 1人2筆が目標

また、自交総連は、「憲法9条改悪に反対する請願署名」を重点署名と位置づけ、今年秋の臨時国会への提出をめざしています。
 この署名は、@戦争準備の憲法9条改悪と、緊急事態条項を導入する改憲をやめること、A衆参の憲法審査会に改憲案の起草委員会を設置しないことを求めるものです。
 各地連・地本で、1人2筆を目標に、本部へ署名用紙を送ってください。9月25日まで集中的なとりくみをお願いします。
 送付済みの紙ベース署名の他に、オンライン署名もあります。ご協力ください。

相談続々 継続は力なり

職場の問題が山積み

仙台駅前での演説
仙台駅前での演説

 5月は、関東ブロックと東北ブロックのなかまとともにオルグに入りました。
 5月20〜21日、関東ブロックの宣伝場所は、群馬県の高崎駅と前橋駅、栃木県の宇都宮駅でした。
 乗務員へアンケートを取ったところ、「会社が交通事故の修理代を取っている。なかには40万円請求されて退職した人もいた」「うちの会社は障害者割引を毎月給料から割引分を引いている」などの相談があり、携帯電話の番号を教えてくれた方もいました。
 宇都宮駅では、毎月事故の修理代を引かれていることで差し引かれ続けていた給料明細を見せてくれました。その乗務員は「組合がないからやりたい放題の会社だ」と困っており、現在連絡待ちになっています。
 5月22日からは東北ブロックと合流し、宮城県、福島県に入りました。仙台市内を宣伝カーで音を流し、行く先々の駅や空港で、乗務員と話をしました。
 東北で目立ったのは、乗務員の高齢化でした。嘱託雇用の方が多く、共通した問題は、「俺たちは定時制社員で正社員じゃないから有給がないのが困る。会社は、有給はないというがパートでもあるはずだ」というものでした。しかし、「契約更新を拒まれたら困るので仕方がない」と泣き寝入りの意見もあり、職場の多くの労働者が団結しなければ解決しない問題が山積みでした。
 この間の行動によって、相談が入ってきています。継続は力なりで奮闘します。
(報告=内田大亮組織拡大専従オルグ)

きになる交差点

自転車の青切符導入から1か月

厳罰化による抑止効果を見定める

 今回のテーマは『自転車の青切符導入から1か月』です。


 今年の4月1日、自転車に対する交通反則通告制度(いわゆる青切符)が導入されました。
 警察庁が5月14日に公表した運用状況によると、この1か月間での青切符告知件数は、全国で2147件でした(前年の同種違反の月平均検挙件数は4268件)。
 違反種別では、指定場所一時不停止=846件、携帯電話使用713件、信号無視298件、しゃ断踏切立入156件、右側通行63件となりました。
 一方で、新しく創設された指導警告票の交付数は、13万5855件でした。
 指導警告票は、青切符・赤切符の対象に至らない、軽微な違反に対して注意を促す書面です。これ自体に罰則などの法的効力はありませんが、警察のデータベースに記録が残ります。
 従来は口頭注意で済んだ交通違反への対応が、指導警告票へ変わったものと思われます。
 自転車の青切符導入から1か月を経た運用状況からは、「取り締まり強化」ではなく、「注意喚起とルール定着」を優先している姿勢がうかがえます。
 この先、交通違反の数だけでなく、事故件数の推移なども注視し、制度導入による抑止効果を見定めていく必要があります。
 また、不当な取り締まりがないか、目を光らせることも重要です

城書記長コメント

 信号機は人命を守る安全インフラであり、老朽化対策を理由にした撤去には反対です。採算性だけで判断せず、誰もが安心して移動できる社会を守るため、安全性を優先した更新・維持の強化が必要です。