2016.3.30 自交総連情報タイトル

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安全規制のゆるい例外を無原則に拡大
日本共産党辰已孝太郎参院議員が質問 第2弾
特区自家用有償運送より乗合タク補助を増やせ

辰已議員
質問する辰已議員(参議院インターネット審議中継から)

 日本共産党の辰已孝太郎参院議員は3月23日、国土交通委員会で10日の質問につづき特区における自家用有償旅客運送制度の問題をとりあげ、安全規制の緩和になると追及、危険な自家用車運送ではなく、乗合タクシーなどへの補助の増額こそ必要だと追及しました。

 辰已議員は、現行の自家用有償旅客運送制度はあくまで例外と位置づけられているので、通常の運送事業より安全基準が緩和され、運転者は二種免許も必要ないと指摘したうえで、運転者の健康状態や飲酒のチェックはどうするのかと質問。国交省藤井自動車局長は、運行管理の主体が確認すると答えましたが、重ねて「対面で行うのか」と聞くと「対面が原則。それができない場合は電話等でも認められる」と答えました。

 労働時間の管理については、藤井局長が、運行主体と運転者の間に雇用関係が必ずしもないとしたうえで「管理者が管理をしっかり行う」とあいまいな答弁。運転者は兼業でもいいのかとの問いに「兼業を特に禁じているものではございません」と答えました。兼業ができるなら過密労働の問題が起こらないという保証はないと追及すると、藤井局長は「運行頻度が少ないので労働過多になるような状況は想定しがたい」と無責任な答弁を繰り返しました。

 観光客などがたくさん来るようになったら、自家用有償ではなく、事業用の緑ナンバーが営業することになるのかとの質問には、局長が「将来的に十分な事業用の輸送サービスが供給された場合には特区における輸送は不必要になる」「2年の更新制なので、判断は定期的になされる」と答えましたが、不必要であると判断するのは誰かとの質問には「制度的な詳細はこれから」とあいまいになり、結局、運送開始の認定も更新も、道路運送法上の運営協議会ではなく特区の区域会議が決めるということが明らかになりました。

 地域の足がない場合の例外的な制度を成長戦略のために使うのは安全上問題だと大臣の見解を求めたのに対し、石井国交大臣は「実施主体が市町村、NPO等の非営利の団体に限定されている」「現行の自家用有償の枠組みを前提として安全を確保している」などと棒読み答弁に留まりました。

 辰已議員は、東京海上が自家用有償運送用の保険を売り出すなど、企業がもうけの対象にしようと動き出していることを紹介、こういう白タク解禁に道を開くよりも、過疎地域のデマンドタクシーなどへの補助制度である地域公共交通確保維持改善事業が年間30億円でしかないのを予算を増やして地域の足を守っていくべきだと要求して質問を終わりました。


(参考)

国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案
(3月11日に閣議決定、カッコ書き等を整理した要旨)

 (道路運送法の特例)

 第16条の二
 国家戦略特別区域会議が、第8条第2項第2号に規定する特定事業として、国家戦略特別区域自家用有償観光旅客等運送事業* を定めた区域計画について、内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、当該認定の日以後は、当該国家戦略特別区域自家用有償観光旅客等運送事業の実施主体として当該区域計画に定められた運送者が行う当該国家戦略特別区域自家用有償観光旅客等運送事業に係る自家用有償観光旅客等運送を、道路運送法第78条第2号に規定する自家用有償旅客運送とみなして、同法の規定を適用する。

 * 国家戦略特別区域自家用有償観光旅客等運送事業

 国家戦略特別区域において、市町村、特定非営利活動促進法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人その他の国土交通省令で定める者が、自家用有償観光旅客等運送(一の市町村の区域内における外国人観光旅客その他の観光旅客の移動のための交通手段を提供することを主たる目的として有償で自家用自動車により行われる旅客の運送であって、一般旅客自動車運送事業者によることが困難であるものをいう)を行う事業をいう。

  前項の区域計画には、第8条第2項第4号に掲げる事項として、国家戦略特別区域自家用有償観光旅客等運送事業に係る路線又は運送の区域を定めるものとする。

  国家戦略特別区域会議は、次項の協議を経た後でなければ、区域計画に国家戦略特別区域自家用有償観光旅客等運送事業を定めることができない。

  国家戦略特別区域自家用有償観光旅客等運送事業に係る自家用有償観光旅客等運送がその区域内において行われることとなる市町村、当該国家戦略特別区域自家用有償観光旅客等運送事業の実施主体として当該区域計画に定めようとする者及び当該国家戦略特別区域自家用有償観光旅客等運送事業に係る路線又は運送の区域に関連するものとして国土交通省令で定める一般旅客自動車運送事業者は、当該自家用有償観光旅客等運送に関する相互の連携について、協議を行わなければならない。

  前項の協議は、持続可能な地域公共交通網の形成並びに輸送の安全及び旅客の利便を図る観点から行われなければならない。


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