タクシー規制緩和から4年余が経過する中、タクシー労働者の労働条件は極限にまで悪化し、それは、利用者・国民の安全を脅かすまでに至っている。
こうしたなかで、交政審タクシー小委員会は実質的に規制緩和を見直す報告書を出し、運転者登録制度の拡大などの対策を打ち出した。この報告の実効性を確保し、タクシー運転免許につなげる闘いは、今後の将来を左右する重大な局面を迎えている。
重大な局面にふさわしく、労働組合の原点をふまえて、秋から来春闘にむけての闘争では、以下の3点を重点にたたかう。
①組織の強化拡大を、すべての運動と結合させてとりくむ。
②職場の要求を大切にし、団結して一歩でも前進をかちとる。
③交政審小委員会報告の実効性を確保し、将来への展望を切り開く。
1.すべての闘いと結んだ組織強化拡大のとりくみ
(1)『組織強化拡大3か年計画』は1年繰り延べし、来年の第30回定期大会までに3万人を達成することをめざすこととする。本年の期限までの目標達成が困難となった点を総括し、各地連(本)は、今秋にひらかれる定期大会(機関会議)で最終目標達成のための計画を再構築し、全組合員の意志統一をはかり、実行する。
(2)すべての運動と組織拡大との連携をはかる。職場内外での未加入・未組織労働者との対話を重視し、あらゆる機会を利用して団結の必要性、自交総連の政策的優位性などを訴えていく。
(3)各地連(本)は、毎月1回以上の宣伝行動を行う。宣伝物は、本部作成のものと合わせて独自に作成する。本部では宣伝ビラ(版下)を適宜発行する。
(4)次代を担う幹部の育成を重視し、地連(本)・ブロックごとの学習会・幹部学校等の計画を立て、大会等の機会も利用した学習活動を強化する。
2.底上げを重視した最低労働条件確保、
職場要求実現のとりくみ
(1)地域での底上げ、最低労働条件確保の課題を重視し、最低賃金法違反や違法な長時間労働等の告発・改善にとりくむ。
自教・観光バスも含め、アルバイト・定時制乗務員・契約社員など不安定雇用労働者が増大している。未組織も含め各労働者の実態を調べ、当該労働者の意見もよく聞いて、同一労働同一賃金や不当な雇止め禁止、有休などの権利確保、正社員化など要求を整理し、労働組合として会社に提出していく。
(2)各単組・支部は、自交総連本部が作成した『新版 職場権利と自交労働者』を活用して、職場権利を総点検し、未確立の権利の充実にとりくむ。
(3)労働組合活動の原点を重視し、大会等の機会に、職場での日常的な助け合いと生活相談、道交法闘争や職場環境改善の現状などを改めて振り返り、不十分な点の改善にとりくむ。
(4)職場要求実現の闘いでは、年末一時金をはじめ、退職金・労災見舞金の改善、春闘未解決事項など、職場ごとに重点要求をまとめて改善をめざす。要求提出は10月25日(水)、回答指定日は11月7日(火)までとし、11月中決着をめざす。
(5)自教・観光バスの独自課題については、関係地方ごとに方針を決め、本部では必要に応じて調整する。
3.運転者登録制拡大等の実効性確保、
規制緩和の見直しとタクシー運転免許実現を
めざすとりくみ
以下の内容で、タクシー運転免許実現大運動にとりくむ。
(1)これ以上の状態悪化を阻止するため、増車・値下げ競争ストップの闘いにとりくみ、適切な減車、適正運賃を求めていく。経営者との対話や申入れを継続し、労働組合の申し入れにもかかわらず増車、値下げ・割引など身勝手な行動をとる経営者については、社会的責任(CSR)を追及するとともに、減収分の賃金補填等経営責任を果たすことを求めていく。
急増している名義貸しをはじめ、一人一車制などで経営者としての管理責任を放棄している悪質事業者の道路運送法違反を摘発し、とくに全国展開している悪質企業の責任追及を重視する。
(2)交政審小委員会報告の内容を学習し、その実効性の確保、前進面の活用にとりくむ。
①全地方、単組・支部では小委員会報告の内容、自交総連の要求とのかかわりについて学習を強める。本部では、そのための「資料集」を第29回定期大会までに作成する。
②運転者登録制度は当面、政令指定都市まで導入させる必要がある。本部では、登録と取消しの要件、地理試験の内容、実施機関のあり方など必要な政策要求を早急に取りまとめ、国土交通省に要求していく。該当する地方では、それらの政策を地域ごとに具体化して、運輸局・支局に要求するようにする。
③事業者に対する監査・監督の強化、処分の厳格化を行うとしている点については、その実効性を担保する各運輸局・支局、労働局・署の人員配置も含め、違法行為を見逃さない確実な行政対応を求めていく。
(3)「運転者の資質の向上」の必要性が小委員会報告でも明記されていることから、労働組合としてもモラルの向上を重視する。同時に、良質な運転者を持続的に確保できる経営手法こそが将来性のある経営であることを事業者に理解させ、良質な現役運転者を組織している労働組合の優位性を生かした運動のあり方を研究し、必要な対応を検討していく。
(4)タクシー運転免許へ接近するための世論の構築にひきつづき努力し、タクシー運転免許法制化の署名は、本年中に5万筆突破、07年5月末までに10万筆の達成をめざす。
4.具体的な統一行動と日程
(1) 10・26ー27統一行動
全労連は10月27日(金)を「もうひとつの日本をめざす公務・民間中央行動」を配置し、①戦争しない日本、②格差と貧困の是正、③持続可能な地域社会の実現――を軸に共同行動を展開することにしている。
自交総連は、前日の26日から27日にかけて中央行動を実施する。
26日には小委員会報告の内容に関する政策要求実現のための学習決起集会を行い、27日には、早朝宣伝、国交省・厚労省個人請願行動、国交省・厚労省・全乗連交渉、日本共産党との懇談(署名提出)等を実施する。
中央行動に参加する地連(本)の代表については、中執・地方代表と同人数分の交通費・宿泊費を大運動徴収金から支給する。
行動の具体的内容は、交運共闘や民間単産とも調整しつつ、別途指示する。
(2) 地方ごとの行政当局・自治体交渉と全労連「県内網の目行動」への参加
各地連(本)は、10〜11月の間に、運輸局(支局)、労働局交渉にとりくむ。
また、事故・渋滞・環境など規制緩和の弊害を地域ごとに改善することを求めて地方自治体要請、地方議会での意見書採択を追求する。その際、全労連が計画している「県内網の目行動」(10月、自治体等への要請)では、各地方労連がとりくむ自治体への要請に地域の交通政策を盛り込むように求めて、一緒に交渉に参加していく。
(3) 国民的課題のとりくみ
憲法・教育基本法の改悪、庶民大増税計画、労働法制改悪反対など、重要な国民的課題については、全労連が提起する方針にそって、署名や行動・集会参加など積極的にとりくんでいく。
規制緩和万能論の見直しをかちとった成果を、新自由主義・構造改革路線の実態告発に生かして、全労連の「もうひとつの日本」をめざす運動の前進、国民的な共同の拡大に努める。
(4) 2007年春闘の準備
春闘方針は、11月中に執行部原案をつくり2007年1月30〜31日の第29回中央委員会で決定する。春闘方針の職場討議は1月初旬から行う。
春闘アンケートは、全労連・春闘共闘が設定する共通3項目(①生活実感②賃上げ要求③制度要求)を含めた独自のものを作成して、全組合員からの回収プラス未組織労働者からの回収を目標にとりくむ。
(5) 闘いの具体的展開と日程
06年10〜11月 |
地方自治体、運輸局・支局、労働局交渉ゾーン
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10月14日 |
「教育基本法改悪反対、悪法阻止」緊急集会(明治公園)
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10月17日(火) |
第6回中執
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10月18(水)〜19日(木) |
第29回定期大会
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10月25日(水)まで |
要求提出
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10月26日(木) |
中央行動前日の学習決起集会
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10月27日(金) |
「もうひとつの日本をめざす公務・民間中央行動」自交総連中央行動
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11月7日(火)まで |
回答指定日
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11月16日(木) |
全労連全国統一行動
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11月17日(金) |
全労連中央行動・集会
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07年1月29(月)〜30日(火) |
第29回関係弁護士交流会
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30(火)〜31日(水) |
第29回中央委員会(春闘方針決定)
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2月1日(木) |
規制緩和実施抗議全国一斉宣伝
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以 上
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