1999年10月14日
自交総連第22回定期大会

情勢の特徴と99年度の運動基調

 1.情勢の特徴と要求前進への展望

(1) 『非常事態』下にある自交労働のくらしと雇用、事業の将来

 いま、自交労働者の生活危機と状態悪化は、かつてない深刻な事態となっています。
 タクシー労働者の労働条件は、十数年前の水準にまで逆戻りする異常な営収低下に加え、経営者の大幅な賃下げ攻撃や権利侵害など、諸権利も含めて全面的に悪化し、地方によっては最低賃金以下となるなど、いまや「眠る時間と食える賃金」の確保さえおぼつかない事態となっています。
 不況と規制緩和の段階的進行のなかで、交通事故の増大、道路交通の阻害・渋滞、環境破壊など深刻なタクシーの供給過剰による弊害も各地で起こっています。
 また、法人経営としての雇用責任や社会的役割の任務を放棄し、タクシー版リストラ「合理化」に血道をあげ、労働者のくらしと労働、安全性をないがしろにする悪質経営者の買収による企業拡大が急激にすすんでいます。
 ハイヤー労働者は、仕事の減少から「いつ仕事が来るか予想もつかない不安の毎日」であり、経営側は、ダンピングを前提に大企業の仕事を獲得するため、大幅な賃下げを含む「合理化」が多くの職場で連続的に強行されています。
 このため、時短に逆行する超長時間労働を余儀なくされています。先行き不安から譲渡をはじめ企業の再編も急ピッチで進んでいます。
 教習所は、ここ数年、入所者は減少しており厳しい環境下におかれています。地方によっては企業閉鎖の動きも出始めており、自教経営者は、教習生確保に生き残りをかけ、料金値引き、日曜・夜間営業の延長、パート・契約指導員の導入をはじめ、さまざまな口実を使い、これまでかちとってきた権利までも剥奪する攻撃を強めています。
 観光バスも、長引く不況と大手旅行業者による優越的地位を乱用した無理な運行計画の強要や運賃・料金ダンピングなど過当競争が激しくなっているため、企業は経営危機を宣伝し、アルバイト運転者雇用を日常化させ、大幅な賃下げ「合理化」攻撃や長時間労働を労働者に強いています。
 また、観光バス(貸切バス)の規制を撤廃し、自由化をすすめる「道路運送法」の改悪が今国会で成立。バス事業の参入が許可制となり、運賃も届出制となるなかで安全無視の過当競争激化が、さらに展開されるおそれがあります。
 こうした自交労働者をとりまく厳しい現実は、一面だけをみれば、展望を失わせかねず、出口のみえない深刻な状況にも思えます。
 しかし一方では、厳しい現実は、規制撤廃がもたらす被害を現実のものとして国民の前に示すことで規制撤廃への疑問の世論を広げるとともに、自覚的労働者の闘いとあいまって、食うためにたたかわざるを得ないという労働者のエネルギーを引きだす役割をも果たします。
 自交総連のこの1年間の闘いは、まさにこの点で大きな前進をかちとりました。運輸省を包囲するタクシー労働者の怒りの行動が新聞・テレビのトップを飾り、つい去年までは規制緩和こそがタクシーの未来をひらくかのような報道に明け暮れていたマスコミをして、労働者の厳しい労働実態に目をむけさせ、規制撤廃への疑問を表明させるまでに変化させています。
 現実にあふれかえる空車のタクシーを目にしている利用者・世論も大きく変わりつつあります。
 こうした状況の変化を生かし、危険な規制撤廃を阻止できるかどうかは、まさにこれから1年間の闘いによって決まります。自交労働者の未来を決定的に左右する歴史的な局面にあたって、これまでも困難に正面から立ちむかい、団結の力で乗り越えてきた自交労働運動の歴史と伝統に確信をもち、それに恥じない底力を発揮しなければなりません。

(2) 広範な労働者・国民と共同し、悪政を打破する闘いの先頭に

 小渕内閣は、自・自連立にくわえて公明党を抱き込み、戦争法案、職安法・労働者派遣法の改悪法案、行革関連・地方分権一括法案など、つぎつぎに悪法を強行成立させました。
 さらに、今後、所得税の増税、年金・介護保険料の負担増、大企業の人員削減計画など全面的な攻撃がつづいており、生活・雇用不安がいっそう増大しています。
 失業者は329 万人(4.9 %)に増大し、正規社員の賃金が16か月連続して減少し、仕事の途絶えた中小企業には銀行の貸し渋りが追い討ちをかけ、倒産・夜逃げに加え、自殺者は3万人をこえ、高校を卒業しても就職できないなどの状況もひろがっています。
 労働者に一方的な犠牲を押しつける資本の攻撃と、国民を不安のどん底におとしいれる悪政の強行は、労働者・国民とのさけがたい矛盾を激化させ、政治の根本的転換を求める諸闘争を発展させようとする流れもできつつあります。
 戦争法案阻止での陸・海・空・港湾の20労組をはじめとする労働組合の共同は、安保・自衛隊などの基本政策の違いを乗り越え、一致する課題で共同する運動での新たな到達点を築き、地方・地域でも、連合を含む多くの組合との「対話と共同」が新たな段階に発展しつつあります。
 中央でも労働組合の要請による共産党、社民党党首の「共闘」や国会座り込み行動での全労連・連合のエール交換などの局面もつくりだされています。
 解散・総選挙がいつ行われてもおかしくない状況のなかで、自・自・公の悪政、とりわけタクシー規制撤廃を強行しようとする悪政に対して痛烈な審判を与えられるよう、準備をすすめる必要があります。

(3) 3つの重点課題をふまえ、全力を

 自交総連は、多くの自交労働者が耐えがたい生活と労働の苦しさに加え、雇用の安定や事業の将来にとって、現実の実情がまさに『非常事態』であることをふまえ、『3つの重点課題』にもとづく総力をあげた産業別統一闘争を提起してたたかいます。
 その第1は、規制撤廃ノーの闘いに全力をあげるとともに、雇用と賃金破壊を根幹とするリストラ「合理化」攻撃に反撃してたたかい、また倒産・廃業、身売り(撤退)をさせない闘いを強化することです。
 同時に、たたかう抵抗の拠点確保、労働組合の存続・維持、拡大をはかることを重視し、産業別組織の存在価値をとわれる局面であることを自覚し、それにふさわしい運動展開をめざさなければなりません。
 第2は、労働組合自らが「働き方」や「社会的貢献」のあり方を見直し、タクシーや自動車教習所のあり方と将来像を確立してたたかう政策闘争の展開を重視していくことです。
当面としては、とくに「地域」の視点を大切にし、政策提言の地方(地域)的具体化に努力するなど政策面における主体的力量の強化に全力をあげていきます。
 第3は、生活破壊、諸権利はく奪など苦しみの根源である政府・財界の悪政推進に対し、積極的に全労連運動の一翼を担い、国民的共同の輪を大きく広げなければならないことです。

 2.99年度の運動基調

 基調の第1
 労働組合存立の原点をふまえ、たたかう自交総連の本領発揮を

 自交労働者のくらしの悪化や雇用不安など全面的な状態悪化が進行し、要求の切実さが今までになく増しているもとで、労働組合存立の原点である利益擁護、くらしと権利を守る要求の実現を重視し、たたかう姿勢を貫くようにします。
 とりわけ、すべての自交労働者を視野に入れての産業別の展開、総対話と共同の拡大に全力をあげ、「働くルールの確立」をめざします。

 基調の第2
 組織拡大・強化は最重要課題、情勢変化に適合する体制強化を

 リストラ「合理化」や全面的な規制撤廃攻撃と真正面からたたかい、「利用しやすい安全なタクシー(観光バス)の確立」、「自動車教習所の地域での交通安全教育センターとしての機能強化を」など政策提言の実現をかちとっていく課題において、主体的な力量の強化は決定的な意義をもちます。
 組織建設は最重要課題であり、強固な自交総連の構築もまた、たたかうナショナルセンター・全労連の社会的影響力、その存在価値を飛躍的に高めることにもつながります。
 この1年間、自交総連は5万人の自交総連構築と幹部・活動家の大量育成をめざし、全力をあげます。

 基調の第3
 産業別統一闘争と結合した国民的共同の前進、政治闘争との結合を

 大企業の横暴と自民党政治による悪政に反対し、労働者・国民の生活と雇用を守り、平和と民主主義を守る国民的共同の前進にむけて奮闘していきます。
 とくに、職場・地域における産業別統一闘争と結合した地域住民(利用者)との共同を重視し、地域経済や地域社会の民主的発展の一翼を担っていきます。
 この場合、組合員一人ひとりの政治意識を高める努力を大切にするとともに、産業別分野に立脚した地域住民(利用者)との接点を重視し、安全性と交通権の確保や環境問題を、ともに共同してとりくむ運動として位置付け、全力をあげます。



主な運動課題と対応する基本方針

 1.「要求課題の4つの柱」と運動課題

 (1) 社会的水準の労働条件確立、権利拡大をめざして

1)大幅賃上げ・賃下げなしの労働時間短縮をめざす闘い
 1.構えとしては、「権利要求」の視点を大切にし、社会的水準の労働条件確立にむけて、一定の時期に闘争を集中させてたたかう春闘と通年闘争としての政策闘争を結合しつつ、賃上げ・時短を中心とする労働諸条件の抜本的改善をめざします。
 タクシー関係では、「週40時間労働で社会的水準の年間収入確立」を重視し、1)春闘での賃上げ獲得(賃率の引上げ)、2)減車闘争の強化(適正実車率の確保)、3)不況打開、政策提言の実現(需要の拡大や運賃の適正化)との結合によって、それへの接近をめざします。
 とくに、状態悪化に歯止めをかける緊急対策としては、大幅減車の課題と(消費税を3%に戻せなど)不況打開、規制撤廃ノーの運動を連動させ、危機突破の闘いとして全力をあげます。賃金体系の改善では足切りノルマの引下げと低賃率の改善・保障給の確立要求を重点課題として、全国いっせいにとりくみます。

 2.時間短縮問題では、賃下げなし・勤務日数減、実効ある時短の制度的確立をひきつづき重視し、また国民の祝日の休日化(代休などの措置を含む、賃金計算は仮想営収方式)や年次有給休暇の増日をすべての職場でとりくむようにします。

2)リストラ「合理化」反対、最低労働条件の確保と権利確立をめざす闘い
 1.人件費の大幅切り下げ、賃金制度の改悪や労働力の不安定雇用化を柱とするリストラ「合理化」に反対し、働くルールの確立を求める闘いを展開していきます。
 とくに、不合理で悪らつともいえるリストラ「合理化」に対しては、地方(地域)産別全体の力を集中し、毅然として対応することを重視していきます。
 また、運輸・労働行政当局の行政責任を大衆的に追及し、必要な改善措置をとらせるとりくみを行っていきます。企業存続や現行労働条件の維持が危ぶまれる事態が生じた場合の対策では、安易な妥協主義に陥ることをいましめ、経理公開など必要な措置を求めるとともに、経営のチェック機能を強め、場合によっては経営改善や再建策の提案を行うことも含め対応していくようにします。
 この際、組合員全体の合意を重視し、組合民主主義の立場を堅持するようにします。
 企業倒産や廃業・身売り対策などについても、起こり得る事態を想定し、地連(本)として学習会や対策会議の開催など必要な対策をすすめていきます。

 2.日雇い・アルバイトなどへの対策については、運輸規則第35条及び36条『運転者の選任』や『旅客自動車運送事業における運転者の選任について』(昭和53.6.15自旅第 203号)はもとより、全乗連自らが全国の事業者に示した「定時制乗務員の雇用管理に当たっての留意事項」(平成2年3月)を厳格に順守させるようにしていきます。
 これら違法的な雇用形態は、本業とアルバイトという二重労働による過労運転、交通事故の危険性という安全性への影響に加え、社会保険未加入、正規の労働者と比して10%も低い賃率水準により、歯止めなき異常な低賃金、ルールなき競争の温床となりつつあることから、各地連(本)は、それぞれの地方における実態を調査のうえ、この問題での解決をはかるため、運輸局(陸運支局)への改善要請を行うなど、いっせいにとりくみ強化をはかります。また、労働者派遣法の適用除外を求めていきます。

 3.長時間労働の規制、ノルマの強要や累進歩合制の廃止については、改善基準告示(労働時間関係)や3・1通達、運輸規則の積極面を活用し、具体的改善をはかっていくようにします。

 4.反「合理化」、権利確保の闘いを職場・地域闘争として定着、発展させるために、労働基本権や労働基準法など基礎知識の総学習を強め、職場・地域での権利総点検活動と改善・是正にむけての経営・行政責任の追及を行うようにします。
 労働基準法など労働法制の全面改悪に反対し、改悪部分を「職場に導入させない」ことを基本に、ひきつづき全力をあげてとりくんでいきます。

 5.産業別最低賃金の確立(大都市=1500 円以上、地方都市・郡部=1000円以上)では、「労働協約ケース」による申し出の可能性を検討し、当面は条件に応じて集団交渉を活用しての労使間協定を追及するようにします。
 地方によって、共同による「労働協約ケース」の実現が可能と想定されるところについては、その具体化にむけ、全力をあげるようにします。
 また、全労連が提起している全国一律最低賃金制の法制化と現行最低賃金制の改善(とくに「地域から〇〇円以下の労働者をなくす」要求)を重視すると同時に、最低賃金法違反の是正(未払い賃金請求及び低賃率の是正、保障給の設定)についてもとりくみます。
 「底上げ」では、労働条件の高位平準化と到達闘争を重視し、地方(地域)での労働条件の格差是正にとりくみます。

 6.職場で起こっている差別、支配介入など不当労働行為に対する反撃、その一掃を重視してとりくみます。
 具体的対応では、裁判(地労委)一辺倒の闘争におちいる弱点を克服することに努め、職場を基礎とする産業別レベルでの反撃体制の確立、地方(地域)労連などの支援体制と社会的包囲、そして裁判(地労委)闘争との結合を重視するようにします。
 くわえて、各種政府委員の獲得など全労連の具体的方針にそった闘いの展開をはかります。
 とくに、中央・地方で引き続き労働者委員候補者を立て、共同のとりくみとして運動強化をはかれるよう奮闘します。
 国鉄闘争については、全労連が提起する諸行動や署名活動の成功に全力をあげるとともに、「国鉄闘争勝利首都圏共闘会議」や「全動労争議団を勝たせる会」のとりくみに対し積極的に対応していくことにします。

 (2) 安全性破壊と労働条件・サービスの低下を招く規制撤廃ノー、政策要求の実現をめざして

 1.規制撤廃問題への対応については、第1に道理なき「改正」法案づくりに反対し、強行提出されれば、廃案をめざして全力をあげます。
 第2に、(需給調整規制の廃止を前提とする)「改正」法案づくりに対応する基本的姿勢としては、「必要な規制は維持すべき」との立場を堅持しつつ、運政審審議の段階で掲げた、1)タクシー運転免許の制度的確立、2)リース制賃金や累進歩合制度の排除・禁止規定、3)期限付き許可制度の導入−などを規定した独立の『タクシー事業法』の制定要求を対峙してたたかいます。
 第3に、『利用しやすい安全なタクシーの実現をめざす6項目提言』(93年7月)および『地方都市・郡部におけるタクシーのあり方の提言』(96年10月)にもとづく政策提言実現の運動を強化するとともに、緊急的な重要政策として、1)タクシー近代化センターのあり方の見直し・改善、2)運転代行業規制を重視してとりくみます。

 2.運賃の「低めの設定」問題については、1)「同一地域同一運賃」は維持すべきであり、これを否定する多重運賃の流れは認められない、2)需要の拡大、掘り起こしなどへの経営努力は前項を基本に決定されるべきであり、事業者全体の共同対応としての運賃・料金のあり方を含め総合的に方向付けすることが必要である、3)低めの運賃を設定しての事業者全体の競争状態は、上限価格制への移行(運賃の自由化)を促進するものであり、事業者自ら、自滅への道を選択することにつながる、4)結果として起こり得る安全性の破壊や労働条件への影響を抜きにした「低めの設定」は、免許事業者としての責任を放棄する行為である−ことなどをふまえ、いかなる運賃であっても同一地域同一運賃化をめざすことを基本に「上限はりつけ」等をめざすことを事業者に要求していきます。

 3.中央・地方ともに連合組合などとの「規制撤廃ノー」の一致点にもとづく共同の可能性を追求し、タクシー労働者、労働組合全体の反対運動へと前進できるよう奮闘していきます。
 「規制撤廃ノー」における社会的世論の喚起、社会的包囲にむけては、大産別レベルでの共同促進、国民的規模での反撃体制づくりを推進する方向で全力をあげます。
 事業者団体や個々の事業者に対しても、協力・共同の提起を行い、国会対策についてはひきつづき、日本共産党に協力を要請し、その具体化をはかるほか、すべての政党・関係議員への働きかけを重視します。
 また、地方自治体対策にとりくみ、政策提言の実現の課題と結合した規制撤廃ノーの「地域からの世論形成」をめざします。

 4.自教関係では、地域の交通安全教育センターとしての機能強化にかかわる政策提言の実現をめざす運動の強化をはかっていくとともに、「過当競争の地方(地域)的規制と業務範囲の拡大」と「教習料金の適正化」にかかわる政策要求実現を重視していきます。
 当面する重点では、運転免許および試験制度の改正に関する政策要求や企業ドライバーの事故防止のための再教育問題についてとりくみます。

 5.仕事を通じての仲間や利用者(教習生)からの信頼獲得、社会的役割をになう自交労働者としての必要な社会的貢献をはかる観点を重視し、運動の強化をはかります。

 6.全面的な攻撃であるあらゆる分野での規制緩和、それと表裏の関係にある(国民犠牲の)「行政改革」推進に反対する闘いを、悪政に対する労働者・国民の共同の闘いとして発展させるため産業別組織としても全力をあげます。とくに、『行革・規制緩和問題労働組合連絡会』のとりくみ提起を重視し、交運共闘を通じての積極的対応を追及していくようにします。

 (3) 政治反動反対、反核・平和、国際連帯と国政の民主的転換をめざして

 自民党政治による国民生活にかかわる悪政が、今後いっそう強まることが予想されます。
 このため、政府・国会、地方自治体・議会に向けた悪政阻止の闘いを、広範な各共闘組織とともに、国民的な共同を強めながら大きく前進させていく必要があります。
 自交総連は、この1年間、とくに安保優先・大企業本位の政治の転換、平和・民主主義擁護、憲法改悪に反対する国民多数の世論結集をめざす運動の強化を重視し、全国革新懇が示す「3つの共同目標」をいっそう高く掲げ、全力をあげてたたかいます。
 具体的な運動については、全労連をはじめ、自交総連が参加している民主的な諸団体の行動提起を積極的に受けとめ、その前進をめざします。
 当面する重点課題では、消費税を3%に、恒久所得減税の実現など消費を拡大して深刻な不況を打開するためのとりくみを重視し、また、解散・総選挙の実現をめざす共同の運動の前進させるために奮闘していきます。
 「解散・総選挙の実現」では、道路運送法改悪によるタクシーの規制撤廃問題にも決定的な影響を及ぼすことになる衆議院での勢力分野を変える重要な闘いになることを重視し、全力をあげます。
 さらに、地方政治の分野でもいっそう強められている「オール与党」による悪政を打破し、地域住民のくらしや営業、地域経済を守る地方自治体を建設していくためにも全力をあげます。

 (4) 5万人の自交総連構築と強大な全労連の建設をめざして

 1.「組織強化拡大5か年計画」構想にもとづき、この1年間、5万人の自交総連構築の運動をすべての闘いに結びつけてとりくみ、飛躍的な前進をめざします。

 〈『総合5か年計画』の3つの目標〉
 目標の第1
5万人の自交総連構築を最重点課題と位置付け、1)すべての都道府県に自交総連の旗をうちたてる、2)各地方において比較第1位の組織勢力を確保する−ことを戦略目標の基本としていく。
 目標の第2
地方の産業別統一闘争の発展に主導的な役割を担う各地連(本)の産業別組織としての体制・機能強化に努めるとともに、次代を担う幹部・活動家の大量育成にとりくむ。
 目標の第3
200万全労連と800 地域組織の確立を重視し、その課題達成の一翼を担っていく。

 具体的とりくみでは次の点を重視していきます。
 1)空白県の組織化については、重点地方を設定した上で、近接地連(本)・ブロックの協力や地方労連との連携をはかりつつ、未組織宣伝行動や懇談・学習会を計画していく。
 2)各地連(本)は、次年度方針の中に、不安定雇用労働者や自教・観光バス労働者の組織化を明確に位置付け、必要な対策を具体化できるようにしていく。
 3)各地連(本)は、組織内点検を行い、機関会議欠席組合や組織機能を失っている少数派組合への対策を重視し、オルグ強化を含む必要な手立てをとっていく。

 4)組織拡大の重点目標として、「1地域1労働組合加盟促進」「職場内多数派」を、各地連(本)で具体化し前進をめざす。
 また、地域実情に適合する「地域タクシー労働組合」(個人加盟方式)の設置を全国的に追求していく。

 2.あらゆる傾向の労働者・労働組合との共同を追求していきます。
 各地方段階では、規制撤廃問題や減車闘争の推進など緊急課題を中心にそれぞれの条件に応じたとりくみを積極的にすすめるようにします。

 3.全労連が提起している「200 万全労連建設と800 万地域組織確立」めざし、中央・地方でその実現にむけて全力をあげます。
 また、交運共闘の組織・運動面にわたる機能強化にむけ、積極的な役割を果たしていくとともに、それぞれの地方交運共闘確立への努力を行うようにしていきます。

2.当面する運動の基本的展開について

 (1) 99年秋から2000年春闘にむけた闘争の具体化

 99年秋から2000年春闘にむけての闘いは、産業別独自の要求・課題と国民的課題とをかたく結合し、2000年春闘の前段闘争と位置付けてとりくみます。
 闘いの具体化では、「99年秋から2000年春闘にむけた闘争方針」を第7回中央執行委員会(9月7〜8日)で討議のうえ決定し、とりくみをすすめるようにします。

 (2) 2000年春闘の準備

 1. アンケートの実施については、全労連の『働くみんなの要求アンケート』を基本とし、全組合員と広範な未組織・未加盟の労働者を対象とする独自のものを作成し、とりくみます。

 2.春闘方針は、11月中に執行部原案をつくり、1月下旬には中央委員会をひらき決定していきます。

 3.春闘方針の職場討議は、1月初旬から執行部(案)にもとづいて行えるように準備していきます。したがって、各地連(本)は学習会や討論集会を早めに計画し、体制強化に努めるようにします。

3.通年闘争の諸課題とそのとりくみ

 (1) 通年闘争のとりくみ

 1.国民的諸課題などの日常的な闘いについては、全労連や民主的諸団体がとりあげる諸課題について積極的に対応していくこととし、原水協、全国革新懇、非核の政府を求める会、安保廃棄中央実行委員会、国民救援会などとの共同闘争を発展させます。

 2.教育宣伝活動を恒常的に強める見地から、『自交労働者月報』の内容の充実と拡大、その積極的活用をはかるとともに、『自交労働者新聞』の内容充実を重視していきます。
 機関紙コンクール、写真コンテストは従来どおり実施します。
 教宣学校の開催については、昨年にひきつづきブロックまたは隣接地連(本)で体制をつくったうえで、計画を立ててもらい、本部からの講師派遣を行う形で実施するようにします。

 3.不当弾圧や解雇、争議権制限に対してたたかうとりくみ強化をはかるとともに、関係弁護士交流会については、弁護士への事前の出席要請などとりくみを強化して、今年度も開催していきます。

 4.いのちと健康を守るとりくみでは、在職死亡の増加など健康破壊が深刻になっていることを重視し、事業者負担による成人病検診の義務付けや職場の衛生環境整備など安全衛生活動を強化します。
 また、労働災害をなくす事前のとりくみを重視するようにし、不幸にも被災労働者が発生した場合には、労災認定闘争を行っていきます。
 昨年12月15日に発足した「働くもののいのちと健康を守る全国センター」に自交総連としても加盟し、積極的なとりくみを行っていきます。

 5.道交法闘争を発展させるため、99年7月13日に開催した『道交法闘争全国交流会』での経験交流を生かし、とりくみ強化をはかります。

 6.自交共済第18回総会の決定をふまえ、自交共済および自交共済年金への加入促進運動を行うようにします。
 また、全労済の各種制度普及に努めるようにし、厚生文化行事は条件によって計画していくこととします。

 7.国際連帯活動については、国際労働運動の紹介に努め、条件に応じて大衆的国際交流を検討します。また、世界労連、運輸インターとの関係などについては、全労連の対応などを勘案しながら適切に対応していきます。

 (2) 政党との関係について

 1.自民党政治の反労働者・反国民的政策に反対してたたかうとともに、自交労働者の生活と権利、平和と民主主義を守ってたたかう政党と協力・共同の関係をもちます。

 2.前項の立場に立って、組合員の政治意識を高める活動を行います。

 3.組合員の政党支持、政治活動の自由を保障します。また、資本や警察からの妨害・弾圧には、労働組合の立場から政治活動の自由を保障する見地でたたかいます。

 4.政党別選挙に際しては、特定政党・特定候補の支持は行ないません。
 ただし、労働組合の要求実現との関わりで政策協定を結んだ革新統一候補については、労働組合として積極的に支持していきます。

産業別組織体制の確立強化にむけて

1. 執行体制と顧問の委嘱について

(1)機関会議開催の計画と本部専従体制

 1)機関会議開催の計画
 中央執行委員会は、大会及び中央委員会開催時とは別に年5回、ひらくようにし、同時に地連(本)の指導体制を高めるため、可能な限り学習をくみあわせるようにします。
 常任中央執行委員会は年5回開催していく他、必要に応じて専門討議を行います。
 中央委員会は1月に開催し、2000年春闘方針を決定します。
 自教部会は、定例的に開催することを基本に、部会運営の充実によって産業別指導体制を強化していくようにします。
 また、必要に応じ観光バス・トラック交流会を計画していくようにします。
 なお、現在設置されている本部機構・役員体制検討委員会での検討をうけて、必要な改善措置をはかるようにします。

 2)本部専従体制について
 総連本部の専従役員は、書記長及び書記次長1名、専従中央執行委員2名(ただし1名は全労連派遣)の4名、書記については4名(男子2名、女子2名)とします。

 (2) 顧問の委嘱

 顧問弁護団は、東京法律事務所、馬車道法律事務所、代々木総合法律事務所、江東総合法律事務所の4事務所とし、ひきつづき協力を要請します。
 また、公認会計監査については坂根公認会計士に委嘱します。

2.財政の確立と99年度予算(案)

 (1) 99年度予算(案)の編成にあたって

 予算編成の前提として、1)「赤字予算はくまない」との方式を堅持し、ひきつづき一般財政の安定化をはかっていく、2)登録率の是正については、「80%以上」を目標に、それぞれの地連(本)は地方財政確立の課題とあわせ、独自の是正目標を策定のうえ、改善を行っていく、3)一般財政の効率的運用に努力するとともに、空白県の克服、組織の拡大を同時に追及し、財政的にも寄与できるよう努めていく−ことなどをふまえ、必要な財源措置をはかることとします。

 (2) 各地連(本)の財政基盤の確立

 労働組合の日常活動の基本は、「組織」、「教育宣伝」そして「財政」の3つといわれていますが、案外軽視されがちなのが、財政活動です。
 財政活動は、組合を運営し、日常的な活動を支えるうえで欠かせないものであり、改めて今日の情勢に見合った財政基盤の確立を単組(支部)、地連(本)のすべての段階で強化していくことが求められています。
 このため、すべての地連(本)は、財政的基盤の点検と計画的改善をはかるようにし、また、不団結や組織力の低下を招くことになる不明瞭な財政支出や「使い込み」などをチェックする機能を確立するようにしていきます。

  以  上



      


自 交 総 連