2000年10月12日
自交総連第23回定期大会

情勢の特徴と99年度の運動基調

1.情勢の特徴と要求前進への課題

(1) 深刻さを増す自交労働者のくらしと雇用、『事業のあり方と将来』の危機

 いま、自交事業の分野では「労働者のくらしと雇用」、「事業のあり方と将来」そして「労働組合の存続・維持」にとってきわめて憂慮すべき状況が進行しています。
「くらしと雇用」の面でいえば、自交労働者の生活危機と状態悪化は、かつてない深刻なものです。
 タクシー労働者の労働条件は、十数年前の水準にまで逆戻りする異常な賃金低下に加え、経営者の大幅な賃率引下げ(賃下げ)攻撃や権利侵害などによって全面的に悪化し、地方によっては地域別最低賃金や生活保護基準額以下となるなど、いまや「眠る時間と食える賃金」の確保さえおぼつかない事態となっています。
また、回復の兆しを見せない不況の長期化と規制撤廃の流れなどを背景に、倒産、事業の廃止、撤退(身売り)が全国的に相次いでおり、いっそうの労働条件悪化と雇用不安を拡大させています。
 ハイヤー労働者は、仕事の減少から「いつ仕事が来るか予想もつかない不安の毎日」であり、経営側は、ダンピングを前提に大企業の仕事を獲得するため、大幅な賃下げを含む「合理化」を多くの職場で連続的に強行しており、先行き不安から身売り・分割譲渡をはじめ企業の再編も急ピッチで進んでいます。
 自動車教習所は、ここ数年、入所者は減少しており厳しい環境下におかれていますが、地方のみならず東京など大都市でも企業閉鎖の動きが出始めています。また経営者は、競争による料金値引き、日曜・夜間営業の延長など、「教習生確保」の生き残り策に力を注ぎ、人件費の削減、パート・契約指導員の導入をはじめ、さまざまな口実を使い、これまでかちとってきた権利までも剥奪する攻撃を強めています。
 観光バスでは、長引く不況による利用客減や大手旅行業者による優越的地位を乱用した無理な運行計画の強要や運賃・料金ダンピングなどにより、過当競争が一段と激しくなっているため、経営危機をあおり、アルバイト運転者雇用を日常化させ、大幅な賃下げ「合理化」攻撃や長時間労働を労働者に強いています。
こうした動きは、観光バス事業の参入の許可制、運賃の届出制への移行・実施をうけて、事業の縮小、撤退・身売り、それに伴う雇用不安、労働条件の悪化、労働争議の誘発などを招いています。
 そしていま、タクシーの台数規制廃止など政府・財界の全面的な規制撤廃攻撃のもとで、「大競争時代」を勝ち残るためのサバイバル(生き残り)作戦はいっそう熾烈化していますが、それは「労働者のくらしと雇用」に重大な影響を及ぼしているばかりでなく、国民生活や地域社会にも「安全輸送」や「生活・交通環境」「移動の権利」の面で深刻な事態を引き起こしています。
 「もうけ第一主義」の経営政策で、労働者のくらしと雇用の安定、権利保障や国民生活、地域社会への貢献を無視する、そうした事業者の存在は、「法人事業者としての存在意義」を自ら否定するものと言わねばなりません。
 タクシーでは、台数規制の廃止、競争時代への移行を見越しての経営基盤の強化のために、リース制や、AB型賃金でも(運収の高低にかかわりなく)リース制と同等の利益が確保できるシステムの導入を狙い、いっそうの累進的な低賃率化を押しつけようとしています。雇用面では、正規の雇用を排除し、無権利・低賃金の不安定雇用労働者の拡大を推進しようとしています。
 このような労働者犠牲の経営政策は、タクシーにとどまらず、自動車教習所や観光バスなどの「事業のあり方と将来」にとって“百害あって一利なし”というべきものです。

(2) タクシー破壊法反対闘争の到達点をふまえ、組織の強化拡大、さらなる奮起を

 「労働組合の存続・維持」の面については、自交総連や連合など労働組合の所属の違いにかかわらず、全国的に大変な事態を迎えています。
 その特徴的傾向としては、1)事業の廃止や第一交通、北港・梅田グループなど悪質経営者への身売りに伴う組織破壊、大規模な「合理化」攻撃によって、組合存続そのものが危ぶまれる事例が目立っていること、2)「合理化」問題への対応の仕方や組合の日常運営への不信・不満などを理由に、『脱退騒ぎ』が起こっていること、 3)パートなど不安定雇用労働者の組織化の立ち遅れによって、職場(地域)内の組織率が低下していること。
 さらには、4)『賃上げ、労働条件の改善で思うような成果もなく、入っていても意味がない』あるいは、『将来展望も示されないのでは、魅力がない』などの率直な疑問、意見も組織の内外に顕在化しており、組織拡大での大きな障壁となっていること――などです。
 今日、経営側からの攻撃を受けて立つ労働組合の姿勢と対策、将来展望に関わる政策・方針の提起の面にわたって、産業別組織の存在価値がするどく問われています。
前述した自交労働者をとりまく厳しい現実は、一面だけをみれば、展望を失わせかねず、出口のみえない深刻な状況にも思えます。
 しかし一方では、厳しい現実は、「抵抗しない、たたかわない」ことのもたらす被害を現実のものとして実感している多くの労働者にとっては、自覚的労働者の闘いとあいまって、食うためにたたかわざるを得ないという労働者自らのエネルギーを引きだす役割をも果たしています。
 自交総連のこの数年間の闘い、とりわけタクシー破壊法反対闘争に示された組合員の“闘いぶり”は、まさにこの点で大きな影響と信頼をかちとってきました。 運輸省を包囲するタクシー労働者の怒りの行動が新聞・テレビのトップを飾り、つい去年(当時)までは規制緩和こそがタクシーの未来をひらくかのような報道に明け暮れていたマスコミをして、労働者の厳しい労働実態に目をむけさせ、規制撤廃への疑問を表明させるまでに変化させた99年春闘のとりくみや「歴史的大闘争」としてたたかった道路運送法「改正」をめぐる国会内外の総力をあげた闘いの展開、現実にあふれかえる空車のタクシーを目にしている利用者・世論も大きく変えてきた運動の到達点は、“自交総連ならでは”の誇るべきみんなの貴重な財産です。
 自交総連は、すでに「タクシー破壊法成立をうけての今後の闘いについて」の方針を提起し、国会の場における道路運送法「改正」法案の可決・成立という事態をふまえ、この間の闘いでかちえた到達点、成果と教訓をふまえ、職場・地域での闘争体制を整備し、「台数規制の廃止を許さず、タクシー運転免許の制定、社会的地位の向上、地域に密着した安心・安全なタクシーを」めざす新たな闘いの前進にむけ決起していくことを呼びかけています。
 自交労働者の未来を決定的に左右する歴史的な局面、21世紀を迎えるにあたって、これまでも困難に正面から立ちむかい、団結の力で乗り越えてきた自交労働運動の歴史と伝統に確信をもち、それに恥じない底力を発揮していくことが求められています。

(3) これ以上の生活悪化は許さない、悪政を打破する共同の闘いの先頭に

 20世紀最後の国政選挙となった6月25日投開票の総選挙は、『とにかくいまの政治を変えたい』という国民の熱い思いによって、政権与党を、いっきょに65議席減らす歴史的大惨敗に追い込みました。 国会の場でタクシー破壊法反対の論戦をはって最後まで奮闘した日本共産党は、自公保政権への審判をくだす流れをつくるうえで、大きく貢献しましたが、政権党が繰り広げた空前の謀略宣伝のなか、現有議席を後退させる残念な結果となりました。
 自交総連は、自交労働者の『これ以上の生活悪化を許さない』、自公保政権の悪政を打破し、政治の民主的転換を求める立場から、来年の参議院選挙での躍進、ひきつづく一致する要求課題での協力・共同の前進に強い期待を寄せています。
 同時に、21世紀を、自交労働者の希望と働きがいある時代とするために、さらにゆきづまった自民党政治を打開するためにも、労働組合運動分野からの接近を重視し、同じ業種の労働者・労働組合の大同団結、地域におけるそれぞれの切実な要求を持ち寄っての官民労働者の共同、労働者・地域住民一体となった『下からの変革の共同』に力を注ぐことが、運動前進の大切な視点であり、そうした運動の先頭に立って奮闘することが強く求められています。

2.2000年度の運動基調

 基調の第1
 自交労働者の現状への怒りと不満、事態改善への期待に依拠し、たたかう自交総連の本領発揮を

 自交労働者のくらしの悪化や雇用不安など全面的な状態悪化が進行し、要求の切実さが今までになく増しているもとで、労働組合存立の原点である利益擁護、くらしと権利を守る要求の実現を重視し、たたかう姿勢を貫くようにします。
 とりわけ、すべての自交労働者を視野に入れての産業別統一闘争の展開、総対話と共同の拡大に全力をあげ、「働くルールの確立」をめざします。
タクシーの重点課題としては、底上げと雇用形態をとりあげ、「○○地域から○○%以下の賃率をなくせ」「違法な臨時・アルバイトを取締れ」のとりくみを推進します。

 基調の第2
 将来展望を見据えた政策闘争の前進にむけ、それに適合する組織の強化 拡大、闘争基盤の強化を

 リストラ「合理化」やタクシーの台数規制廃止など全面的な規制撤廃攻撃と真正面からたたかい、「タクシー運転免許の制定、利用しやすい安心・安全なタクシー(観光バス)の確立」、「自動車教習所の地域での交通安全教育センターとしての機能強化を」など21世紀を展望する事業の将来像を見据えた政策提言の提起とその実現にむけ全力をあげます。
 また、そうした目標達成のためにも、組織建設は緊急の最重要課題であり、5万人の自交総連構築と幹部・活動家の大量育成をめざし、全力をあげます。

 基調の第3
 苦しみの根源である自公保政権の悪政打破をめざし、全労連運動の一翼を担い 、国民的共同の前進を

 大企業の横暴と自民党政治を引き継ぐ自公保政権の悪政に反対し、労働者・国民の生活と雇用を守り、平和と民主主義を守る国民的共同の前進にむけて奮闘していきます。
 とくに、職場・地域における産業別統一闘争と結合した地域住民(利用者)との共同を重視し、地域経済や地域社会の民主的発展の一翼を担っていきます。
 この場合、組合員一人ひとりの政治意識を高める努力を大切にするとともに、産業別分野に立脚した地域住民(利用者)との接点を重視し、安全性と移動する権利の確保や環境問題を、ともに共同してとりくむ運動課題として位置付け、全力をあげます。


主な運動課題と対応する基本方針

1.「要求課題の4つの柱」と運動課題

(1) 社会的水準の労働条件確立、権利拡大をめざして

1) 賃上げ・賃下げなしの労働時間短縮をめざす闘い

 1.構えとしては、「権利要求」の視点 を大切にし、社会的水準の労働条件確 立への接近にむけて、一定の時期に闘 争を集中させてたたかう春闘と通年闘争としての政策闘争を結合しつつ、賃上げ・時短を中心とする労働諸条件の改善をめざします。
 タクシー関係では、1)春闘での賃上げ獲得(賃率の引上げ)と底上げ、2)一定地域内での減車合意とその実現、3)政策提言の実現(需要の拡大や運賃の適正化)との結合によって、それへの接近をめざします。
 さらに、(消費税を3%に戻せなど)不況打開、規制撤廃ノーの運動を連動させ、生活危機突破の闘いとして全力をあげます。
 状態悪化に歯止めをかける対策としては、「○○地域から賃率○○%以下をなくす」ことをめざす『賃率下限の引上げ』と保障給の確立要求を重点課題として掲げ、全国いっせいにとりくみます。

 2.時間短縮問題では、賃下げなし・勤務日数減、実効ある時短の制度的確立をひきつづき重視し、また国民の祝日の休日化(代休などの措置を含む、賃金計算は仮想営収方式)や年次有給休暇の増日をすべての職場でとりくむようにします。

2) リストラ「合理化」反対、最低労働 条件の確保と権利確立をめざす闘い

 1.人件費の大幅切り下げ、賃金制度の 改悪や労働力の不安定雇用化を柱とするリストラ「合理化」に反対し、働くルールの確立を求める闘いを展開していきます。
 とくに、不合理で悪らつともいえるリストラ「合理化」に対しては、地方(地域)産別全体の力を集中し、毅然として対応することを重視していきます。
 また、運輸・労働行政当局の行政責任を大衆的に追及し、必要な改善措置をとらせるとりくみを行っていきます。
 企業存続や現行労働条件の維持が危ぶまれる事態が生じた場合の対策では、安易な妥協主義に陥ることをいましめ、経理公開など必要な措置を求めるとともに、経営のチェック機能を強め、場合によっては経営改善や再建策の提案を行うことも含め対応していくようにします。
 この際、組合員全体の合意を重視し、組合民主主義の立場を堅持するようにします。
 企業倒産や廃業・身売り対策などについては、「倒産、身売りをさせない闘い」の強化とともに、起こり得る事態をも想定し、地連(本)として学習会や対策会議の開催など必要な対策をすすめていきます。総連本部としては、「対策オルグ団」養成のための講座を計画します。

 2.長時間労働の規制、ノルマの強要や累進歩合制の廃止については、改善基準告示(労働時間関係)や3・1通達、運輸規則の積極面を活用し、具体的改善をはかっていくようにします。

 3.反「合理化」、権利確保の闘いを職場・地域闘争として定着、発展させるために、労働基本権や労働基準法など 基礎知識の総学習を強め、職場・地域での権利総点検活動と改善・是正にむけての経営・行政責任の追及を行うようにします。

 4.産業別最低賃金の確立(大都市=1500円以上、地方都市・郡部=1000円以上)では、「労働協約ケース」によ る申し出の可能性を検討し、当面は条 件に応じて集団交渉を活用しての労使間協定を追求するようにします。
 地方によって、共同による「労働協約ケース」の実現が可能と想定されるところについては、その具体化にむけ、全力をあげるようにします。
 また、全労連が提起している全国一律最低賃金制の法制化と現行最低賃金制の改善(とくに「地域から〇〇円以下の労働者をなくす」要求)を重視すると同時に、最低賃金法違反の是正についてとりくみます。
 「底上げ」では、労働条件の高位平準化と到達闘争を重視し、地方(地域)での労働条件の格差是正にとりくみます。

 5.職場で起こっている差別、支配介入など不当労働行為に対する反撃、その一掃を重視してとりくみます。
 具体的対応では、裁判(地労委)一辺倒の闘争におちいる弱点を克服することに努め、職場を基礎とする産業別 レベルでの反撃体制の確立、地方(地域)労連などの支援体制と社会的包囲、そして裁判(地労委)闘争との結合を重視するようにします。
 くわえて、各種政府委員の獲得など 全労連の具体的方針にそった闘いの展開をはかります。
 とくに、中央・地方で引き続き労働者委員候補者を立て、共同のとりくみとして運動強化をはかれるよう奮闘します。
 国鉄闘争については、全労連が提起する諸行動や署名活動の成功に全力をあげるとともに、「国鉄闘争勝利首都圏共闘会議」や「全動労争議団を勝たせる会」のとりくみに対し積極的に対応していくことにします。

(2) 必要な規制の維持・強化、事業の「あり方像」を見据えた政策要求の実現をめざして

 1.タクシーのめざすべき闘いの基本目標を、@台数規制と『運転者優位のしくみ』確立の必要性を主張し、要求するとともに、その有効な方策である「タクシー運転免許の制度的確立」の実現、それへの接近をはかる A安心・安全な輸送の確立、地域交通の一翼を担うに足り得る輸送分野の拡大など地域に密着した公共輸送機関たるタクシーの発展をめざす――の2つに定め、今後の運動展開をはかります。
 この「闘いの基本目標」にもとづき、当面しては次の重点課題の達成にむけ全力をあげます。

 1) 「改正」道路運送法の施行・実施に対応する基本姿勢としては、「国会の場で確約した政府答弁及び衆・参議院の附帯決議」の完全履行を重視し、政省令・通達策定にむけた政府・行政責任を徹底的に追及し、想定される弊害、混乱などへの防止・歯止め措置を求めたたかっていく。

 2) 近代化センターの登録制度のあり方など見直しについては、タクシー運転免許の制度的確立に接近していく方策との整合性を勘案しつつ、少なくも、違法なアルバイト運転者などの登録の禁止、地理試験内容の高度化、研修制度の充実などの強化がはかられるよう要求し、とりくんでいく。

 3) タクシー労働者の、これ以上の状態悪化を許さないとの姿勢を堅持し、アルバイトなど違法的雇用形態や運転代行など『白タク』行為の除去、累進歩合的システムによる低賃率の是正などの改善にむけとりくむ。
 運転代行については、違法行為を根絶させるために、タクシー類似の表示灯の禁止、運転代行専用車両(2シーター)の義務付け、客待ちの取締まりを強化するなど実効ある措置を求める。また、安全性確保のために、運転者の選任、車両管理など旅客を輸送する道路運送法と同等の規制を行うよう要求していく。

 4) タクシードライバーとしての質の向上、社会的貢献への努力を重視し、接客態度や労働モラルの改善はもとよりのこと、福祉・介護タクシーのとりくみ強化など福祉・高齢化社会に適応するタクシー輸送領域の拡大にむけ全力をあげる。

 5) 地方自治体に、地域交通の一翼を担うタクシーの公共輸送機関としての位置付けを明確にさせ、タクシー乗り場の増設やバスレーンへの乗り入れ、乗合タクシーの活用、福祉・介護政策とタクシーの役割と労働者の関与のあり方について検討、具体化させるなどのとりくみを、「地域タクシー協議会」(仮称)の設
置問題を含め要求していく。

 6) 『自主経営』会社の位置付け、その発展的方向や個人タクシー対策、タクシー労働者の働き方にかかわる具体的な政策・方針については、『タクシー規制撤廃反対闘争本部』(中闘メンバーで構成)企画委員会で検討を開始していく。

 2.自教関係では、地域の交通安全教育 センターとしての機能強化にかかわる政策提言の実現をめざす運動の強化をはかっていくとともに、「過当競争の地方(地域)的規制と業務範囲の拡大」と「教習料金の適正化」にかかわる政策要求実現を重視していきます。
  当面する重点では、運転免許および 試験制度の改正に関する政策要求や企業ドライバーの事故防止のための再教育問題についてとりくみます。

 3.観光バス関係では、公正な取引ルールの確立、安全性と雇用・労働条件の確保のための政策要求を掲げてとりくみます。
 とくに、運賃ダンピング・区域外営業など法違反の是正や白バス行為の一掃、過労運転の防止措置、労働条件改 善にむけての環境整備などを重視して、その実現をめざします。

 4.仕事を通じての仲間や利用者(教習生)からの信頼獲得、社会的役割をになう自交労働者としての必要な社会的貢献をはかる観点を重視し、運動の強化をはかります。
 とくに、地域住民との接点を追求し、「住みやすい街づくり」や「移動の確保」、よりよい教習と「交通事故をなくす」課題への結合といった視点からの提起を大切にし、そのとりくみを強めていきます。

 5.全面的な攻撃であるあらゆる分野での規制緩和、それと表裏の関係にある(国民犠牲の)「行政改革」推進に反対する闘いを、悪政に対する労働者・国民の共同の闘いとして発展させるため産業別組織としても全力をあげます。

(3) 政治反動反対、反核・平和、国際連帯と国政の民主的転換をめざして

 自民党政治による国民生活にかかわる悪政が、今後いっそう強まることが予想されます。
 このため、政府・国会、地方自治体・議会にむけた悪政阻止の闘いを、広範な各共闘組織とともに、国民的な共同を強めながら大きく前進させていく必要があります。
 自交総連は、この1年間、とくに安保優先・大企業本位の政治の転換、平和・民主主義擁護、憲法改悪に反対する国民多数の世論結集をめざす運動の強化を重視し、全国革新懇が示す「3つの共同目標」をいっそう高く掲げ、全力をあげてたたかいます。
 具体的な運動については、全労連をはじめ、自交総連が参加している民主的な諸団体の行動提起を積極的に受けとめ、その前進をめざします。
 さらに、地方政治の分野でもいっそう強められている「オール与党」による悪政を打破し、地域住民のくらしや営業、地域経済を守る地方自治体を建設していくためにも全力をあげます。

(4) 5万人の自交総連構築と強大な全労連の建設をめざして

 1.産業(業種)全体に影響をもつ比較 第1位の組織確立をめざし、5万人の自交総連構築および産業別組織としての体制・機能強化、幹部・活動家の育成を中心とする『組織の強化拡大』を緊急の重点課題とし、とりくみの具体化をはかっていきます。

 1) 空白県の組織化については、重点地方を設定したうえで、近接地連(本)・ブロックの協力や地方労連との連携をはかりつつ、未組織宣伝行動や懇談・学習会を計画していく。

 2) 組織拡大の重点目標として、「一桁組合からの脱却、加盟促進」「少数派から職場(地域)内多数派へ」を掲げ、各地連(本)での前進をめざす。
 また、地域実情に適合する「地域タクシー労働組合」(個人加盟方式)の設置を全国的に具体化し、その組織的発展をはかっていく。

 3) 各地連(本)は、次年度方針の中に、不安定雇用労働者や自教・観光バス労働者の組織化を明確に位置付け、必要な対策を具体化できるようにしていく。
 とくに不安定雇用労働者の組織化にあたっては、現行の労働組合規約をチェックし、「パート労働者は加入できない」などの不備・障害があれば、早急に改善し体制整備をはかる。

 4) 各地連(本)は、組織内点検を行い、機関会議欠席組合や組織機能を失っている少数派組合への対策を重視し、オルグ強化を含む必要な手立てをとっていく。
 総連本部としては、地方産別組織としての体制・機能が十分に確立していないところへの個別オルグやブロック協力を得ての援助体制を強めていく。

 5) 春闘時における共同の未組織宣伝や行政当局交渉、合同の学習会・幹部学校の実施など「ブロック内共同」を重視したとりくみ強化をはかる。

 2.一致する要求にもとづくあらゆる傾向の労働者・労働組合との共同を追求します。
 各地方段階では、リストラ「合理化」攻撃や廃業・身売り問題などでの「職場内共同」を重視する他、地方(地域)ごとの緊急的な政策要求をとりあげ、それぞれの条件に応じたとりくみを積極的にすすめるようにします。

 3.全労連が提起している「 200万全労連建設と600地域組織確立」めざし、中央・地方でその実現にむけて全力をあげます。
 また、交運共闘の組織・運動面にわたる機能強化にむけ、積極的な役割を果たしていくとともに、それぞれの地方で交運関係組合の共同拡大、交運共闘確立への努力を行うようにしていきます。

2.当面する運動の基本的展開について

(1) 2000年秋から2001年春闘にむけた闘争の具体化

 2000年秋から2001年春闘にむけての闘いは、産業別独自の要求課題と国民的課題とを結合し、春闘の前段闘争と位置付けてとりくみます。
 闘いの具体化では、「2000年秋から2001年春闘にむけた闘争方針」を第6回中央執行委員会(9月6〜7日)で討議のうえ決定し、とりくみをすすめるようにします。

(2) 2001年春闘の準備

 1.アンケートの実施については、全労 連の『働くみんなの要求アンケート』を基本とし、全組合員と広範な未組織・未加盟の労働者を対象とする独自のものを作成し、とりくみます。

 2.春闘方針は、11月中に執行部原案をつくり、1月下旬には中央委員会をひらき決定していきます。

 3.春闘方針の職場討議は、1月初旬か ら執行部(案)にもとづいて行えるように準備していきます。したがって、各地連(本)は学習会や討論集会を早めに計画し、体制強化に努めるようにします。

3.通年闘争の諸課題とそのとりくみ

(1) 通年闘争のとりくみ

 1.国民的諸課題などの日常的な闘いについては、全労連や民主的諸団体がとりあげる諸課題について積極的に対応していくこととし、原水協、全国革新懇、非核の政府を求める会、安保廃棄中央実行委員会、国民救援会などとの共同闘争を発展させます。

 2.教育宣伝活動を恒常的に強める見地から、『自交労働者月報』の内容の充実と拡大、その積極的活用をはかるとともに、『自交労働者新聞』の内容充実を重視していきます。
 機関紙コンクール、写真コンテストは従来どおり実施します。
 教宣学校の開催については、昨年にひきつづきブロックまたは隣接地連(本)で体制をつくったうえで、計画を立ててもらい、本部からの講師派遣を行う形で実施するようにします。

 3.不当弾圧や解雇、争議権制限に対し てたたかうとりくみ強化をはかるとともに、関係弁護士交流会については、弁護士への事前の出席要請などとりくみを強化して、中執メンバー全員の義務参加のもとに今年度も開催していきます。

 4.いのちと健康を守るとりくみでは、在職死亡の増加など健康破壊が深刻になっていることを重視し、事業者負担による成人病検診の義務付けや職場の 衛生環境整備など安全衛生活動を強化します。
 また、労働災害をなくす事前のとりくみを重視するようにし、不幸にも被災労働者が発生した場合には、労災認 定闘争を行っていきます。
 「働くもののいのちと健康を守る全国センター」への結集をはかり、積極的なとりくみ参加を行っていきます。

 5.道交法闘争を発展させるため、ひきつづきとりくみ強化をはかります。

 6.自交共済第19回総会の決定をふまえ、自交共済および自交共済年金への加入促進運動を行うようにします。
 また、全労済の各種制度普及に努めるようにし、厚生文化行事は条件によって計画していくこととします。

 7.国際連帯活動については、国際労働運動の紹介に努め、条件に応じて大衆的国際交流を検討します。また、世界労連、運輸インターとの関係などについては、全労連の対応などを勘案しながら適切に対応していきます。

(2) 政党との関係について

 1.自民党政治の反労働者・反国民的政策に反対してたたかうとともに、自交労働者の生活と権利、平和と民主主義を守ってたたかう政党と協力・共同の関係をもちます


 2.前項の立場に立って、組合員の政治意識を高める活動を行います。


 3.組合員の政党支持、政治活動の自由を保障します。また、資本や警察からの妨害・弾圧には、労働組合の立場から政治活動の自由を保障する見地でたたかいます。

 4.政党別選挙に際しては、特定政党・特定候補の支持は行ないません。
 ただし、労働組合の要求実現との関わりで政策協定を結んだ革新統一候補については、労働組合として積極的に支持していきます。


産業別組織体制の確立強化にむけて

1.執行体制と顧問の委嘱について

(1) 機関会議開催の計画と本部専従体制

1) 機関会議開催の計画

 中央執行委員会は、大会及び中央委員会開催時とは別に年3回、ひらきます。同時に本部機構の見直しによって、中央執行委員会は全地方の代表による構成ではなくなるため「地方代表者会議」を適宜開催し、地方の幹部・活動家育成に役立たせる相互の経験交流や学習、個別問題での相談などを重視した運営にするようにします。
 常任中央執行委員会は年5回開催していく他、必要に応じて専門討議を行います。
 中央委員会は1月に開催し、2001年春闘方針を決定します。
 自教部会は、定例的に開催することを基本に、部会運営の充実によって産業別指導体制を強化していくようにします。
 また、必要に応じ観光バス・トラック交流会を計画していくようにします。

2) 本部専従体制について

 総連本部の専従役員は、書記長及び書記次長1名、専従中央執行委員2名(ただし1名は全労連派遣)の4名、書記については4名(男子2名、女子2名)とします。

(2) 顧問の委嘱

 顧問弁護団は、東京法律事務所、馬車道法律事務所、代々木総合法律事務所、江東総合法律事務所の4事務所とし、ひきつづき協力を要請します。
 また、公認会計監査については坂根公認会計士に委嘱します。

2.財政の確立と2000年度予算(案)

(1) 2000年度予算(案)の編成にあたって

 予算編成の前提として、1)「赤字予算はくまない」との方式を堅持し、ひきつづき一般財政の安定化をはかっていく、2) 登録率の是正については、「80%以上」を目標に、それぞれの地連(本)は地方財政確立の課題とあわせ、独自の是正目標を策定のうえ、改善を行っていく、3)一般財政の効率的運用に努力するとともに、空白県の克服、組織の拡大を同時に追求し、財政的にも寄与できるよう努めていく――ことなどをふまえ、必要な財源措置をはかることとします。
 年末カンパの取扱いについては、本年度より、規約上も納入義務が明確な「臨時徴収金」(規約第45条)とし、ひきつづき長期争議組合支援や未組織対策、大型宣伝カー積立、全労連会館建設・単産特別賦課金として配分、拠出していきます。

(2) 各地連(本)の財政基盤の確立

 労働組合の日常活動の基本は、「組織」、「教育宣伝」そして「財政」の3つといわれていますが、案外軽視されがちなのが、財政活動です。
 財政活動は、組合を運営し、日常的な活動を支えるうえで欠かせないもので あり、改めて財政基盤の確立を単組(支部)、地連(本)のすべての段階で強化していくことが求められています。
 このため、すべての地連(本)は、財政的基盤の点検と計画的改善をはかるようにし、また、不団結や組織力の低下を招くことになる不明瞭な財政支出や「使い込み」などをチェックする機能を確立するようにしていきます。


      


自 交 総 連