自交労働者にかかわっては、運転者登録制度を拡大するタクシー業務適正化特別措置法が改正された。さらに、全国51地区で労働条件改善を理由に運賃改定申請が出され、5月に大分と長野で認可・実施、8月には秋田、長崎、沖縄で認可がされた。この秋には東京をはじめ次々と認可されることが予測される。
こうした情勢変化を真正面にとらえ、秋から来春闘にむけた闘争の柱として、以下の3点を重点にたたかう。
(1)組織の強化拡大を、すべての運動と結合させてとりくむ。
(2)増車抑制と減車、労働条件の改善にとりくむ。
(3)登録制度の導入時に地理試験を実施させ、将来への展望を切り開く。
各地連(本)、単組・支部は、労働組合の原点を貫き「決めたことは、みんなで必ず実行する」立場で集中的なとりくみを行うこととする。
1.すべての闘いと結んだ組織強化拡大のとりくみ
(1)実勢3万人回復にむけて全国的な組織強化拡大運動を推進する。1年延長した『組織強化拡大3か年計画』の目標達成が困難となった点を総括し、各地連(本)は、今秋にひらかれる定期大会(機関会議)で目標達成のための計画を再構築し、全組合員の意志統一をはかり実行する。
(2)組織強化拡大運動の推進をはかるために、総連本部として「組織拡大全国交流集会」(仮称)を、1月30日に東京で開催する。
さらに、9〜10月に本部大型宣伝カーを活用して北陸、東北、関東、東海、近畿、中国地方での列島縦断宣伝行動を実施する。
(3)運賃改定問題を含め、すべての運動と組織拡大を結合することとする。職場内外での未加入・未組織労働者との対話を重視し、あらゆる機会を利用して団結の必要性、自交総連の政策的優位性などを訴えていく。
(4)各地連(本)は、毎月1回以上の宣伝行動を行う。
(5)次代を担う幹部の育成を重視し、地連(本)・ブロックごとの学習会・幹部学校等の計画を立て、教育活動を強化する。講師は、本部三役を中心に派遣する。
2.底上げを重視した賃金・労働条件改善、職場要求実現のとりくみ
(1)地域での底上げ、最低労働条件確保の課題を重視し、最低賃金法違反や違法な長時間労働等の告発・改善にとりくむ。
①8月に中央最低賃金審議会は厚生労働大臣に、07年度地域別最低賃金額改定の目安を答申した。Aランクの地方で19円、Bランクで14円、Cランクで9〜10円、Dランクで6〜7円で引き上げ(平均14円)を求める内容であった。この目安をもとに各地方最低賃金審議会で改定審議されるが、多くのタクシー経営者・協会は最賃引き上げに反対する行動を展開している。各地連(本)は、自交労働者の実態を訴え目安を超える改定を求めると同時に、決定した最賃額を経営者に厳守させていく。
②運賃改定認可に際しては、経営者に申請趣旨・労働条件改善公約の履行及び減車などの効率化を求める。国土交通省に対しては、3・28通達にもとづく認可責任を果たすことを求める。各地連(本)は、不誠実な経営など具体的事例を運輸局・支局へ申告し是正をさせる行動を強める。
③急増している名義貸しをはじめ、一人一車制などで経営者としての管理責任を放棄している悪質事業者の道路運送法違反を摘発し、とくに全国展開している悪質企業の責任追及を重視する。
④自教・観光バスも含め、アルバイト・定時制乗務員・契約社員など不安定雇用労働者が増大している。未組織も含め各労働者の実態を調べ、当該労働者の意見もよく聞いて、不当な雇止め禁止、有休などの権利確保、正社員化など要求を整理し、すべての職場で要求を提出し、均等待遇と同一労働同一賃金の確立を求めていく。
(2)労働組合活動の原点を重視し、職場での日常的な助け合いと生活相談、道交法闘争や職場環境改善の現状などを改めて振り返り、不十分な点の改善にとりくむ。
(3)職場要求実現の闘いでは、年末一時金引き上げ、退職金・労災見舞金の改善、春闘未解決事項など職場ごとに重点要求をまとめて改善をめざす。要求提出は10月25日、回答指定日は11月7日とし、11月末決着をめざす。
(4)自教・観光バスの独自課題については、関係地方ごとに方針を決め、本部では必要に応じて調整する。
3.運転者登録制拡大等の実効性確保、
規制緩和の見直しとタクシー運転免許実現をめざすとりくみ
以下の内容で、タクシー運転免許実現大運動にとりくむ。
(1)改正タクシー業務適正化特別措置法及び衆・参院の附帯決議の内容を学習し、その実効性の確保、前進面の活用にとりくむ。
①国土交通省は運転者登録制度について、政令で指定場所・エリア、省令で講習方法、再講習の内容、登録実施機関の内容、通達でそれ以外を決め、法律の施行を08年6月14日までにするとしている。したがって、本部では、登録と取消しの要件、地理試験の内容、実施機関のあり方など必要な政策要求をとりまとめ、国土交通省に要求していく。
②各地連(本)、単組・支部では上記の附帯決議、政省令の内容と自交総連の要求とのかかわりについて学習を強める。本部は政令・省令・通達が出揃った段階で資料集を作成する。
③事業者に対する監査・監督の強化、処分の厳格化を行うとしている点については、その実効性を担保する各運輸局・支局、労働局・監督署の人員配置も含め、違法行為を見逃さない確実な行政対応を求めていく。
(2)「運転者の資質の向上」について、全組合員のモラルの向上を重視する。同時に、良質な運転者を持続的に確保できる経営手法こそが将来性のある経営であることを事業者に理解させ、良質な現役運転者を組織している労働組合の優位性を生かした運動のあり方を研究し、必要な対応を検討していく。
(3)タクシー運転免許へ接近するための世論の構築にひきつづき努力し、タクシー運転免許法制化の署名は、本年中に7万筆突破、08年5月末までに10万筆の達成をめざす。
4.具体的な統一行動と日程
(1)07秋闘での統一行動
全労連は、07秋闘における行動として「11・16秋闘全国統一行動日」をはじめ、格差と貧困の是正や地域切捨ての構造改革に反対する「10・28決起集会」、国民生活重視の予算編成を求める「11・28中央行動」を提起している。
自交総連は、全国いっせいに各運輸局・支局に対し「いっせい申し入れ交渉」を11月7〜14日(ゾーン)に実施することとする。地方ブロック・各地連(本)は、運賃改定や登録制度問題を含め運輸行政への要求をまとめて必ず実施していく。本部は、全労連・統一行動日の11月16日に秋闘方針にもとづく要求で、国土交通省・厚生労働省交渉等を計画する。
(2)国民的課題のとりくみ
テロ特措法延長阻止、憲法改悪・消費税増税・労働法制改悪反対など、重要な国民的課題については、全労連が提起する方針にそって、署名や行動・集会参加など積極的にとりくんでいく。
(3)2008年春闘の準備
春闘方針は、11月中に執行部原案をつくり2008年1月29〜30日の第30回中央委員会で決定する。春闘方針の職場討議は1月初旬から行う。
春闘アンケートは、全労連・春闘共闘が設定する共通3項目((1)生活実感(2)賃上げ要求(3)制度要求)を含めた独自のものを作成して、全組合員プラス未組織労働者で2万人以上を目標にとりくむ。
(4)闘いの具体的展開と日程
10月17〜18日
10月25日まで
28日
11月7日まで
7〜14日
11月16日
08年1月28〜29日
29〜30日
2月1日
第30回定期大会
要求提出
10・28国民大集会
回答指定日
全国いっせい申し入れ統一行動
全労連・07秋闘全国統一行動日
自交総連省庁申し入れ交渉
第30回関係弁護士交流会
第30回中央委員会(春闘方針決定)
春闘スタート、規制緩和失敗の責任を問い必要な規制強化を求める2・1宣伝行動