2007年度運動方針 |
自 交 総 連 |
2007年10月18日
自交総連第30回定期大会
も く じ はじめに T 情勢の特徴と運動基調 U 主な運動課題と対応する基本方針 V 産業別組織体制の確立・強化にむけて 〈関連文書〉主な運動課題の到達点と今後の課題 〈関連文書〉自教労働者の社会的地位の向上、事業の将来のために |
自交総連は、2007年10月開催の第30回定期大会をもって、結成30年を迎える。
74年11月の全自交労連第30回定期大会を契機に発生した不団結問題とその後の相次ぐ組織排除、分裂の全国的拡大は、当時の自交労働者の要求闘争に多大な困難性と被害、悪影響をもたらした。不団結問題の引き金となったのは、一部幹部の『年度別賃金方式』(運賃改定に伴うスライド賃下げの容認)の方針化と特定政党支持の押し付け、さらには非民主的な組織運営であった。
統一と団結を求める運動は、75年11月の12地連による統一回復をめざす全自交全国連絡会議の発足となり、76年10月の全自交全国共闘会議の結成を経て、事実上産業別機能を持った組織としてのとりくみを展開した。そして、統一回復の可能性がまったく断たれた状況の中で、78年10月、新たなたたかう産業別組織結成の道を選択し、自交総連が結成された。
結成10年を記念して出された年史『続ハンドルは未来にむけて』では、次のように述べている。
「『生みの苦しみ』ということがいわれるが、生みの苦しみは、同時に希望でもある。自交総連は、全自交労連から排除された約1万5000人の労働者が母体となって生まれた。まったくの無一文からであり、カラッケツから出発した。すべてが、一から作り直しである。労働者の期待は大きいし、とりくまなければならない課題は山と積まれていた。とにかく、専従者を置き、指導力を強めなければならない。自交総連として産別組織を結成した当時は、全国共闘会議から引き継いだ6坪ほどの事務所と役員二人に書記一人の専従者だけであった。全自交労連は総評とともに悪宣伝を繰り返すし、資本側は自交総連にむけたシフトを敷くし、大変な事態であった。それを跳ね返し、産別組織としての実績を作り上げなければならなかった。指導機関の確立、産業政策の立案、機関紙・誌の発行、そして何よりも組織を拡大しなければならなかった。困難が続いた。だが、自交労働者は戦闘的であったし活動的であった。そして献身的であった。中央本部の弱点は地方で補い、地方の闘いの教訓を全国へと波及する運動を展開していった。この原動力となったのは、労働者の切実な要求であった。」 |
ハイヤー・タクシー労働者の賃金は、今から25年前(82年)の賃金水準とほぼ同額の270万円(厚労省調査、05年度)にまで低下しており、他産業労働者との比較では248万円の格差が生じている。
02年2月の規制緩和実施後、貧困ラインに相当する低賃金層が広がりをみせ、地域別最低賃金や生活保護基準額を下回る異常な低賃金が大都市においてさえ常態化している。都道府県別にみれば 400万円台は東京のみで、300万円台は13府県、200万円台は28道府県、200万円未満は5県で最も低かった徳島は180万円となるなど地方間格差の拡大が急速に進んでいる。また一方では、低賃率、無権利の非正規労働者の拡大に伴い、地域全体の賃金・労働条件が低下し、格差と貧困を加速させている。
ハイヤー・タクシーは、職業としての“魅力”を失い年々高齢化が進む一方、台数が減少している地方においてさえ、他産業からの流入も少ない慢性的な「乗務員不足」にあえいでいる。倒産・廃業の危機も一段と深まり、とくに地方都市・郡部では経営破綻等による整理解雇や雇用不安が広がっている。
リストラ「合理化」では、固定給保障型賃金の解体、累進歩合制度やリース制的賃金への置き換え攻撃に続き、制裁金、違約金、事故負担、カード機など設備投資への個人負担が全国的に蔓延し、企業内個人タクシーやオーナーズ制度など違法な名義貸しも横行している。
こうした状況の下で、生活破綻に陥る労働者や健康破壊、過労死が増加し続けている。貧困化に伴う運転者の資質やモラルの低下も起こり、乱暴運転、接客態度不良、乗車拒否、地理不案内など利用者からの苦情件数は増大している。
自動車教習所は、構造的な問題である少子化傾向を背景に、入所者の減少をカバーするルールなき競争関係の激化などきびしい環境下におかれている。一方では、東京・神奈川など大都市でも企業閉鎖や身売りが相次いでいる半面、勝英グループなど買収戦略によって企業拡張をはかる悪質企業の存在があり、自教労働者の雇用と労働条件、権利の確保に関わって深刻な事態を引き起こしてきた。また経営者の多くは、料金値引き、日曜・夜間営業の延長などの生き残り策に力を注ぎ、労働者からは働く意欲と将来展望を奪い、人件費の削減、パート・契約指導員の導入をはじめ、これまでかちとってきた権利までも剥奪する攻撃を強めている。
観光バスでは、倒産・廃業が常態化し、雇用不安はかつてなく深刻化している。また、利用客減や大手旅行業者による無理な運行計画の強要や運賃・料金ダンピングなどによる過当競争の打開策として、賃下げ「合理化」・長時間労働の押し付けに加え、「正規」をアルバイト・派遣運転者に置き換える攻撃が広がっている。
自交総連の伝統的な戦闘性と闘争推進力、蓄積された政策的な優位性こそは、われわれの貴重な共有の財産である。いまこそ、不合理で納得のいかない賃金水準、ひどすぎる職場環境と格差社会、ルールなき競争と権利抑圧の現状を変えるため奮闘することが求められている。その際、最も困難な状態に置かれている非正規労働者の権利と利益を考え、細心の注意を払わねばならない。
また、“職場こそ労働組合運動の原点”であることをふまえ、それぞれの職場・地域で対話と宣伝のとりくみを旺盛に展開しつつ、広範な仲間との相互信頼にもとづく関係を確立することが重要である。日常的な助け合いと生活相談、みんなの要望・期待に応える雇用、賃金、労働条件、権利における実利・実益の確保、さらには道交法闘争や職場環境改善など諸活動の再構築をはかる必要がある。
たたかう自交総連の本領発揮が期待されている。職場で労働組合としての存在意義を示し、同時に、主戦場である地域を視野に入れての運動との結合をはかりつつ、自交労働者の生活防衛闘争の先頭に立つことが重要である。
02年2月に施行された新道路運送法は、仙台・大阪など大都市部を中心に大量増車と運賃値下げ競争を出現させた。丸5年が経過した07年1月末までのタクシーの純増数は全国で1万9879台(増加率=7.8%)。値下げなど運賃変更は、国交省が資料の開示を行わなくなったため具体的な事業者数等は判明していないが、運賃・料金の多様化がいっそう促進されている。とくに、運賃値下げ競争を熾烈化させているものとしては、「ゾーン制上限運賃より低い運賃を設定」(全車両数の12.2%)や「初乗距離短縮運賃を設定」(同1.6%)、遠距離割引や営業的割引などがあり、なりふり構わない値下げ合戦が繰り返されてきた。
規制緩和実施後、現実に生じた事態は、『市場の失敗の存在』(交通政策審議会タクシー小委員会報告)であり、@公共交通機関の必須条件である安心・安全の破壊、Aルールを守らない悪質企業=悪貨が肥太り、良貨が駆逐される流れが顕著に、B賃金・労働条件の際限なき悪化、魅力のない事業への転落と疲弊、という結果をもたらした。のみならず、規制緩和は、C駐停車車両による交通渋滞、騒音、大気汚染など環境、地域社会への悪影響をもたらしている。
こうした実情に対する国民的認識は、新聞・テレビなど全国的、連続的なマスコミ報道を通じてかつてなく深まっており、規制緩和政策への疑問・批判となって国、行政を動かす大きな力となっている。
一方、今日、明らかになりつつあるのは、タクシー規制緩和路線が破綻しているのに、国、行政が、規制緩和推進を前提にした対症療法的な手法やその場逃れの対策で問題解決をはかろうとすれば、結局は根本的な解決につながらず、矛盾はいっそう拡大する、ということである。
運賃改定問題や規制緩和をめぐっては、「値上げを認めても増車が抑制される保証はなく、元も子もない」(物価安定政策会議総会=5月31日、阿南久・日本生協連理事)、「緊急調整措置について早急に検討し、適時適切に発動できるようにしなければならない」(参議院国土交通委員会=6月7日、冬柴鉄三・国土交通大臣)、「タクシーが増えすぎるとあまり良いことはないという点で政府部内の認識は一致してきた」(定例記者会見=6月20日、大薮譲治・関東運輸局長)など、さまざまな発言が相次いでいる。
そうした規制緩和政策「修正」の動向に対し、「競争が厳しい状況は事業者から見れば供給過剰だが、生産調整もなく撤退もない。こういう状況は原理的な経済学では供給過剰といわない」(業界紙インタビュー=5月、中条潮・規制改革会議運輸タスクフォース主査)、運賃制度については「事前届出制が望ましい」(前同)など、巻き返しの言動は暴論じみたものとなっている。
タクシー労働者の労働条件改善を確実に可能とするには、増車抑制と減車及び運賃水準の適正化が不可欠な要素であり、この課題の達成に本腰を入れてとりくむ以外に解決策はない。また、増車抑制そのものをシステムとして現実化させるには、間接的な需給調整的機能を持つタクシー運転免許制度の導入こそ最も有効な方策といえるのであり、政府・行政の決断を引き続き求めていくことが極めて重要である。
加えて、「簡単に『事業場外労働だから歩合制』などといわず、デジタル化が進んでいるのだから可能な限りそれらを活用した労務管理を行い、『基本給7・能力給3』といった賃金体系に改めるべきだ」(業界紙インタビュー=5月21日、山本哲三・物価安定政策会議副議長)といった指摘もなされており、賃金制度の面からの改善措置を求めるとりくみ強化が求められている。
交通政策審議会タクシー小委員会は06年7月、『総合生活移動産業への転換をめざして』と題する報告書を取りまとめ、国土交通大臣に提出した。
報告書は、自交総連が一貫して要求してきたタクシー運転免許の法制化を盛り込まなかったものの、「運転者全体の質の確保・向上」が重要であることを指摘し、運転者登録制度の全国的な導入やタクシー業務適正化特別措置法にもとづく指定地域の拡大等を提起するなど、それへの一歩接近として評価できる内容を盛り込んでいた。
第2ラウンド前半の闘いは、輸送の安心・安全と社会的貢献に寄与する運転者の資質そのものを高める制度として、さらに間接的な効果としての増車抑制に役立つ運転者登録制度の確立を求め、闘いは展開された。さらに、労働条件の改善を主要な目的とする運賃改定の流れに対応し、改定率に見合う増収の確保と労働条件への確実な還元を重視した運動を推進してきた。
第2ラウンド後半の闘いは、改正タクシー業務適正化特別措置法にもとづく政・省令の制定、運用基準の策定に関わってのとりくみを強化し、かつ報告書に盛り込まれた積極面を国・行政をして確実に実行に移させることにある。自交総連は、タクシー運転免許の法制化の世論化とともに、当面する課題達成にむけて全力をあげる。運賃改定に伴う労働条件改善闘争では、これまでの到達点をふまえ、引き続き全力を投入し、その結果を必ず、賃上げ、実収入増に結実させなければならない。
自動車教習所は、競争関係が熾烈さを増してくる下で、将来の経営維持に不安を持ち廃業など撤退の道を選択することや親会社が抱える多額の債務返済処理をめぐる手段として系列の自動車教習所を丸ごと売却するなどのケースが近年、目立っている。過去10年の間に1530校(96年末)から1441校(06年末)へと全国で89校が減少しているが、10運輸局の内、関東が22校と最も多く、次いで近畿の13校となっている。
タクシー以上の状態悪化が進んだのが、観光バス業界だとされている。観光バスでは、2000年2月からの規制緩和後一気に新規参入が相次ぎ、06年3月末時点で68%増の3923事業者へと驚異的な伸びを示している。07年2月に発生した「あずみ野観光」スキーツアーバス死傷事故は、規制緩和によるバス業界の安値競争のひずみとして新聞・テレビで取り上げられ、大きな社会的問題として論議を呼んだ。過当競争の激化は、貸切り単価の切り下げとなり、経営そのものの危機を現出しているが、NOx・PM法対策としての新車買替えなどの設備投資が強いられ、倒産、企業閉鎖などによる失業・雇用不安がいっそう深刻化している。
最小限の競争ルールを守らず、また労働組合そのものを破壊し権利を奪いさることによって人件費を大幅にカットし競争力を強化、そうした手法で企業拡張をはかる第一交通グループなど悪質企業の攻撃も後を絶たない。いま、ハイヤー・タクシー、自動車教習所、観光バスなど自交関連事業では、組合破壊を伴う生き残りをかけた増車・運賃値下げ(料金値引き)競争の展開と買収などによる経営拡張策の推進、その一方で進む身売り・廃業等による撤退によって労働組合の存続そのものもきびしい現状におかれている。
コムスン不正事件、ミートホープ・ひき肉偽装などを通じていっそう明らかになった『企業の社会的責任』(CSR)の問題は、労働組合の存在とチェック機能の重要性、その運動強化の必要性をわれわれに教えている。CSRは、法令順守や製品・サービスの安全確保といった当たり前の行動に加えて、環境対策、人権尊重、地域・文化貢献など幅広いとりくみを企業に求めるものである。
こうした視点を重視し、自交総連は事態改善のために、CSR運動と政策闘争とを結合した闘いを強化する。
いま、多くの労働者・国民が現在と将来に展望を持てず、不安と閉塞感を広げている。9年連続3万人を上回った自殺者、100万を超える生活保護世帯、 300万人を突破し続ける完全失業者、極端な低賃金と無権利に苦しめられる若者や非正規労働者、勝ち組と負け組、高齢者や子供への虐待、凶悪犯罪の増加、年金の記録漏れなど、安倍政治は国民の不安を膨れ上がらせている。
これは、自民党政治の危機と行き詰まりが深刻な段階にあることの証しである。極端な大企業中心、アメリカいいなりの政治の矛盾は、その虚像の実態が明らかになるにつれて、必ずや政治の激動をもたらすことにつながるだろう。
先の参議院選挙の結果は、このことを最も如実に示すものとして重要な意義をもっている。安倍内閣、自公連立政治にノーを突きつけた労働者・国民の審判は、政府与党を非改選を合わせても過半数を大きく割込む“歴史的大敗”へと追い込み、参議院では、与党だけでは法案を通せないというかつてない状況を生み出した。自民党惨敗という今回の選挙結果は、国民世論が政治を変える時代と、労働組合運動の新たな前進にとっても大きなチャンスをつくり出している。
全労連は、昨年夏よりとりくまれてきた「もうひとつの日本」をめざす大運動推進の重要性を強調し、@「戦争をしない・参加しない日本」の追求、A働くルールの確立、社会的格差と貧困の是正、B安心・安全な地域社会の実現、をキーワードに諸闘争のいっそうの前進をはかろうとしている。
第1は、『戦争しない・参加しない日本を貫く』ことである。「戦争か平和か」が、世界の際だった対立軸となっている。とりわけ日本では、常時戦時国家体制づくりをめざすアメリカに追随する自民党政治のもとで、教育基本法の改悪、改憲手続法の制定、米軍基地の再編強化などが強権的に進められている。そして今、安倍首相が、公然と3年後の改憲発議を明言するなど憲法闘争は、文字通り日本の戦後史をかけた正念場の闘いとなっている。
第2は、『働くルールを確立し、格差と貧困を是正する』ことである。今、格差と貧困の問題が、労働組合運動や市民運動をはじめ国会論戦や選挙戦でも最大の対立軸となっている。これまで、市場経済万能論、弱肉強食の競争社会を進める「構造改革」が財界による政治支配によって推進され、日本経済と国民生活の矛盾をあらゆる分野で深刻化させてきた。長期失業者やワーキングプア、生活保護世帯、ホームレスの増加など、政府の政策によってつくりだされた社会的格差と貧困の克服こそ、今日の日本社会の焦点である。
第3は、『安心・安全な地域社会の実現をはかる』ことである。「国から地方へ」が叫ばれる裏側で、地域経済の深刻な存立危機、過疎化と高齢化、中心商店街の「シャッター通り」化、病院の廃止・縮小や鉄道の廃線、路線バスの撤退が進行することによって地域共同体の崩壊が進んでいる。夕張市に象徴的にみられる地方自治体の財政破綻も深刻である。政府の「構造改革」は、住民のもっとも身近な社会単位である地域を破壊し、格差を広げている。
組織された労働者の優位性を発揮し、要求実現の立場で、悪政打破、政治革新をめざす闘いに決起していくことが求められる。とりわけ、自民党政治を打ち破り、日本社会と経済の健全な発展、平和に貢献する日本をめざすには、“労働組合運動分野からの接近”を重視し、恒常的かつ継続的に国民的共同の可能性を模索する必要がある。自交総連は、そのために地域における切実な要求を持ち寄っての公務・民間労働者の共同を前進させることや、労働者・地域住民一体となった地域変革のための共同実現に力を注ぐ。
タクシー・自動車教習所など業種の特性に立脚した地域住民(利用者)との接点を重視し、安全性と移動する権利の確保や環境問題を、ともに共同してとりくむ運動課題として位置付け、具体的な政策をもって地域に積極的に打って出ることもまた重要である。こうしたとりくみは、組合員一人ひとりの政治意識を高めることにも大きく貢献する。
自交総連は、21世紀における自交労働者と事業、日本の明るい将来を築くために、困難に正面から立ちむかい、団結の力で乗り越えてきた自交労働運動の歴史と伝統に確信を持ち、それに恥じない底力を発揮する。
1) 社会的水準の労働条件確立など「権利要求」の視点を大切にし、それへの接近にむけた要求闘争を重視する。そのため一定の時期に闘争を集中させてたたかう春闘と通年闘争としての政策闘争を結合してとりくむ。
〇 運賃改定に伴う確実な労働条件改善の実施等に関わる闘いについては、『タクシー運賃改定に対する自交総連の態度』(第29回中央委員会決定)及び『運賃問題における到達点と今後の対応』(第4回中執決定)にもとづきとりくみ強化をはかる。
○ タクシーは、減車による適正な台数と上限運賃の確保を最重点課題とし、地域の経営者全体の共同責任として即時実施に踏み切るよう要求する。
○ 自動車教習所、観光バスでは、経営環境の改善を重視し、仕事量の拡大など職場政策要求への合意、実施を明確にしたとりくみ強化をはかる。
2) 状態悪化に歯止めをかける闘いでは、地域における賃金底上げの視点を軸に最低賃金法違反の一掃、足切りの引下げ、累進歩合制度の廃止、企業内最低賃金の確立などを重点課題としてとりくむ。
3) 年次有給休暇の不利益取扱いの是正、割増賃金の適正な支払いなど法定労働条件の確保をはかる。
4) 産業別最低賃金の確立(大都市=1500円以上、地方都市・郡部=1000円以上)では、重点地域の設定を検討し、「労働協約ケース」による申出の可能性を追求する。また、全国一律最低賃金制の法制化と現行最低賃金制の改善にとりくむ。
5) 労働条件の高位平準化と到達闘争を全国的に展開し、地方(地域)での労働条件の格差是正をはかる。また、「職場・地域から時給1000円未満をなくそう」の課題を重視した運動を推進する。
1) 労働者犠牲のリストラ「合理化」に反対し、労働者・労働組合の権利尊重、賃金・労働時間、雇用規制などにおける働くルールの確立とCSRを問う運動の推進をはかる。
○ タクシーでは違法な日雇い・アルバイトの一掃、雇用の正常化にむけての地域的運動にとりくむ。
○ リース制的賃金、『違反点数制』に起因する制裁金、社内罰、交通事故負担などについては反対していく。
〇 実質的な名義貸しであるオーナーズ制度の根絶にむけ、中央本部、関係地連、弁護士等による対策会議を開催する。また、国交省・厚労省交渉及び国会質問を適宜、計画する。
○ 整理解雇の4要件(企業の維持・存続にとっての差し迫った必要性、解雇回避についての努力、労働者側の納得、人選の仕方が客観的・合理的なものであること)など解雇ルールの確立をはかる。
2) 運輸・労働行政の監督指導責任を明確にさせ、道路運送法や運輸規則、労働基準法などを無視し、労働者・労働組合の権利を認めない悪質経営者へのきびしい措置や厳格な処分を迫っていく。
3) 労働基本権や労働基準法など基礎知識の総学習運動を日常的に重視し、職場・地域での『権利総点検活動』を展開する。
4) 倒産や廃業・身売り対策については、“いつでも起こり得る”ことを前提に、地連(本)として学習会の開催や対策会議の定期化、機関会議での情報交換などチェック機能の強化を含め体制強化をはかる。
5) 職場で起こっている差別、支配介入など不当労働行為の一掃を重視する。
また、裁判(地労委)一辺倒の闘争におちいる弱点を克服することに努め、職場を基礎とする産業別レベルでの反撃体制の確立、地方労連などの支援体制と社会的包囲との結合を重視する。
6) 各種政府委員の獲得などについては、全労連の具体的方針にそった闘いの展開をはかる。とくに、中央・地方で労働者委員候補者を立て、共同のとりくみとして運動強化をはかれるよう奮闘する。
1) 『輸送の安心・安全』、『誇りと働きがい』、『地域貢献』の達成を確実に保障する“新たなタクシーシステムの確立”(タクシー運転免許構想)を展望し、その根幹たるタクシー運転免許の法制化を追求する。とくに、タクシー運転免許の法制化の必要性についての世論喚起、国民的合意を獲得するためのとりくみ強化をはかる。そのため、地方自治体・地方議会への要請行動と意見書の採択、政党への協力要請などを継続して中央・地方で推進する。
○ 交通政策審議会タクシー小委員会報告書の中に盛り込まれた積極面を政策化させ、実行に移させるためのとりくみ強化をはかる。とりわけ、タクシー業務適正化特別措置法改正に伴う政・省令の制定、運用基準の策定に関わる運転者登録制度の導入に関する事項を重点課題としてとりくむ。加えて、「特別指定地域」(東京、大阪)における臨時・アルバイト雇用の登録防止や地理試験内容の高度化、研修制度の充実、民主・公正な運営の確保を重視した実効ある改善措置を求める。
○ タクシー規制緩和に伴う賃金大幅低下等に関わる国家賠償請求訴訟対策については、政策形成訴訟の視点を重視し、実態告発と国の責任の追及、運動高揚と世論喚起の場として、引き続き、関係地連(本)への支援・協力体制の強化をはかる。
○ 緊急調整措置制度の見直しにあたっては、「適正実車率」及び「適正実車率下の日車営収」など絶対的指標との比較による判断基準・発動要件等の策定や駆け込み増車の防止策を重視していく。
2) 経営者自らが引き起こしている増車・運賃値下げ競争に対しては、3つの観点(第1=適正な台数・運賃水準の確保は不可欠、第2=優先されるは『安心・安全』、第3=良貨が悪貨を駆逐するシステムこそ必要)を組織的に身に付け、原則的に対応していくことを重視する。増車や運賃値下げは、賃金低下などが十分予測される中での選択であり、低下分の差額補填を含む経営責任が生じることを明確にしておくことが重要である。
3) プロドライバーとして必要な運転技術の向上、接客態度の確立に努めるとともに、移動制約者や高齢者の輸送についてのとりくみ推進をはかる。
4) 地方自治体に、タクシーを公共交通機関として位置付けさせ、タクシー問題を担当する部局を設けさせる。また、乗り場の増設やバスレーンへの乗り入れ、乗合タクシーの活用、福祉・介護政策とタクシーの役割及び労働者の関与のあり方についてなど検討・具体化させる。
5) 自教関係では、「自教労働者の権利確保と社会的地位の向上、事業の将来のために」(03年4月、第4回中執決定)にもとづき、とりくみ推進をはかる。とりわけ、地域の交通安全教育センターとしての機能強化に関する政策提言の実現、「職務領域や業務範囲の拡大」を重視していく。
6) 観光バス関係では、公正な取引ルールの確立、安全性と雇用・労働条件の確保のための政策要求を掲げてとりくむ。とくに、旅行会社による不当な低運賃の押し付け、運賃ダンピング・区域外営業など法違反の是正や白バス行為の一掃、過労運転の防止措置、労働条件改善にむけての環境整備などを重視していく。
7) 対等・平等による正常な労使関係の確立、一致する政策提言にもとづく協力・共同の追求をめざすとりくみ強化を重視する。
8) 社会的貢献の観点を重視し運動の強化をはかる。とくに地域住民との接点を追求し、住みやすい街づくりとの関係で、「移動(交通権)の確保」「安全教育、交通事故の根絶」といった分野での関与のあり方を積極的に検討し、労働組合としての社会参加を追求する。
自交総連は、安保優先・大企業本位の政治の転換、平和・民主主義擁護、憲法改悪に反対する国民多数の世論結集をめざす運動の強化を重視し、全国革新懇が示す「3つの共同目標」をいっそう高く掲げてとりくむ。具体的な運動については、全労連をはじめ民主的な諸団体の行動提起を積極的に受け止め、その前進をめざしていく。地方政治の分野では、「オール与党」による悪政を打破し地域住民のくらしや営業、地域経済を守る地方自治体を建設していくために奮闘する。
憲法闘争では、全労連が提起している@すべての職場に憲法を守る会の確立を、 Aすべての地域に憲法を守る地域の会や共同センターの確立を、Bすべての職場で憲法改悪反対署名の過半数集約を、C中央、都道府県、産業で労働者9条の会などの結成を――にもとづきとりくみ推進をはかる。
1) 実勢3万人の回復にむけて、全国的な組織強化拡大運動を推進する。
○ 重点目標として、「一桁組合からの脱却、少数派から職場内多数派へ」「二桁の地連(本)は100人以上の組織勢力へ」を追求し、各地連(本)での最高時勢力の回復をめざす。各地連(本)は、独自に策定した『3か年計画』にもとづき中央のとりくみと結合したとりくみ推進をはかる。
〇 組織強化拡大運動の推進をはかるための全国交流会を計画する。開催時期、内容、規模等については別途検討を行う。
○ 空白県の組織化については、近接ブロックの協力や地方労連との連携をはかり未組織宣伝行動などを計画する。なお、現在、山口県下関市を拠点に組織拡大活動に専念している久賀孝三特別中執が、07年10月20日をもって全労連オルグの任務を終えることから、9〜10月上旬の期間に本州縦断未組織宣伝行動を配置する。
○ 各地連(本)は、「地域タクシー労働組合」(個人加盟方式)の設置を行う。また、非正規雇用や個人タクシー、自教・観光バス労働者の組織化を、運動方針に明確に位置付け必要な対策を具体化していく。とくに非正規雇用労働者の組織化にあたっては、組合規約をチェックし、「パート労働者は加入できない」などの不備・障害があれば改善し体制整備をはかる。
○ 各地連(本)は組織内点検を行い、機関会議欠席組合や組織機能を失っている少数派組合への対策を重視しオルグ強化を含む必要な手立てをとっていく。総連本部としては、体制・機能の確立がなされていない地連(本)への個別オルグ、援助と指導を重点的に行う。
2) 一致する要求にもとづく共同の拡大をはかる。減車、リストラ「合理化」反対、廃業・身売り問題対策等での職場内共同を推進する他、政策提言の実現を重視した地方(地域)内共同を積極的にすすめる。
3) 「200万全労連建設と600地域組織確立」をめざし、中央・地方で全力をあげる。また、中央交運共闘の組織・運動面にわたる機能強化にむけ積極的な役割を果たすとともに、各地連(本)は交運関係組合との共同拡大、地方交運共闘確立への努力を払う。
2007年秋から2008年春闘にむけての闘いは、独自の産別要求・政策の重点と国民的課題とを結合し、春闘の前段闘争と位置付けとりくむ。闘いの具体化では、「2007年秋から2008年春闘にむけた闘争方針」を第5回中央執行委員会(9月11〜12日)で決定しとりくみをすすめる。
1) アンケートの実施については、全労連の『働くみんなの要求アンケート』を基本とし、全組合員と広範な未組織・未加盟の労働者を対象とする独自のものを作成しとりくむ。
2) 春闘方針は、11月中に執行部原案をつくり、1月下旬には中央委員会をひらき決定する。春闘方針の職場討議は、1月初旬から執行部(案)にもとづいて行えるように準備する。
1) 全労連や民主的諸団体がとりあげる国民的諸課題について積極的に対応していくこととし、原水協、全国革新懇、非核の政府を求める会、安保廃棄中央実行委員会、国民救援会などとの共同を発展させる。
2) 『自交労働者月報』の購読者拡大とその積極的活用、『自交労働者新聞』の内容充実と職場に届ける確実な配布体制の確立を重視していく。また今年度は、機関紙コンクールを実施する。教宣学校は、ブロック毎に計画を立て本部からの講師派遣を行う形で実施する。
3) 不当弾圧や解雇、争議権制限に対するとりくみ強化をはかる。関係弁護士交流会については、中執メンバー全員の義務参加のもとに今年度も開催していく。
4) 在職死亡(過労死や職業病、自殺)の増加など健康破壊が深刻になっていることを重視し、自交労働者が健康で生き生きと働ける職場環境を確立させるためのとりくみ強化をはかる。
○ 労働者の安全と健康を確保するため、職場内に安全衛生法にもとづく安全衛生委員会を設置し、安全衛生の確立と機能の充実をはかる。
○ 事業者負担による成人病検診の義務付けとともに、検査項目にマーカー検査(ガン検査)を入れるようにする。定期健康診断の受診率を高め有所見者の再診を義務付けさせる。
○ 働き過ぎによる過労死など労働災害をなくすための総合的な事前対策を重視する。
○ 不幸にも被災労働者が発生した場合には積極的に労災認定闘争を行う。
5) タクシー強盗防止のため、警察庁が作成した「タクシーの防犯基準」の実施を求め、防犯機器の設置など必要な対策を経営者に講じさせる。
6) 道交法闘争を発展させるため、引き続きとりくみ強化をはかる。この際、「放置車両」に関わる駐車違反の検挙や事故・違反の際の加点入力問題の改善を重視していく。
7) 自交共済第26回総会の決定をふまえ、自交共済及び自交共済年金への加入促進運動を行う。また全労済の各種制度普及に努め、厚生文化行事は条件によって計画していく。
8) 国際連帯活動については、国際労働運動の紹介に努め条件に応じて大衆的国際交流を検討する。
労働組合と政党との関係は、「自民党政治の反労働者・反国民的政策に反対してたたかうとともに、自交労働者の生活と権利、平和と民主主義を守ってたたかう政党と協力・共同の関係を保っていく」「前項の立場に立って、組合員の政治意識を高める活動を行う」「組合員の政党支持・政治活動の自由を保障していく。また資本や警察からの妨害・弾圧には、労働組合の立場から政治活動の自由を保障する見地でたたかう」「政党別選挙に際しては、特定政党・特定候補の支持は行わない。ただし、労働組合の要求実現とのかかわりで政策協定を結んだ革新・民主勢力共同の候補については、労働組合として積極的に支持していく」(4原則)をふまえ対応する。
自交総連は、07年10月の第30回定期大会において結成30年目となり、新たな運動前進と組織的飛躍の決意を固める記念すべき節目のときを迎える。この30年を記念し、30年記念誌の発行や記念バッチの作製を行う他、第30回中央委員会(08年1月)において記念レセプションを開催する。
また、07年秋から年末にむけて「組織拡大月間」を設け、すべての地連(本)、職場組織が組織増、反転攻勢の流れを作り出す中で結成30年を迎えることができるよう全力をあげてとりくむ。
中央執行委員会の開催は大会及び中央委員会時を含め年5回とする。また「地方代表者との合同会議」を適宜セットし、地方の幹部・活動家育成に役立たせる相互の経験交流や学習、個別問題での相談などを重視した運営にしていく。常任中央執行委員会(中央闘争委員会を兼務)は年7回開催していく他、必要に応じて専門討議を行う。中央委員会は1月に開催し、2008年春闘方針を決定する。
A 本部専従体制について総連本部の専従役員は、書記長及び書記次長2名、専従中央執行委員1名(ただし全労連派遣)の4名、書記については3名とする。
B 産別指導体制の強化産別指導体制を強化するため、ブロック協議会の機能強化と運営改善をはかる。また、書記局内に自教担当を配置する。
顧問弁護団は、東京法律事務所、馬車道法律事務所、代々木総合法律事務所、江東総合法律事務所の4事務所とし、引き続いて協力を要請する。また、公認会計監査については坂根公認会計士に委嘱する。
2007年度の予算編成については、収支率100%を基本にした予算編成が困難である財政事情と繰越剰余金の次年度取り崩し限度額とを勘案の上、資金収支計画をたてる。この際、予測される収支差損の縮減をはかるため、支出面での費用削減と事務の効率化に努める。また、本部への登録率は実組合員数の80%以上、会計年度途中の変更は認めないことを原則とする。とくに、50%未満の地連(本)は3〜4年の実施計画を策定し登録増への改善をはかる。
臨時徴収金については、長期争議組合支援(20%)、組織化対策及び大型宣伝カー積立(20%)、ブロック宣伝還元金(30%)、全労連会館単産特別賦課金(25%)、その他予備費(5%)を基本に配分する。
全労連から交付される全労連オルグの配置に伴う出向負担金(=2か月分116万円)については、同額を組織対策費(内訳=事務費、運動費、人件費、予備費)として支出する予算措置を講じる。
タクシー運転免許実現大運動における闘争会計は今年度まで継続し、組合員一人300円の拠出を徹底する。
労働組合の日常活動の基本は、「組織」「教育宣伝」そして「財政」の3つであるが、軽視されがちなのが財政活動である。財政活動は、組合を運営し、日常的な活動を支える上で欠かせないものである。改めて財政活動の重要性を認識し、すべての地連(本)は財政的基盤の点検と計画的改善をはかる。また不団結や組織力の低下を招くことになる不明瞭な財政支出や「使い込み」などをチェックする機能を確立する。
会計報告は定期的に行い「公開の原則」を貫くなど会計面における民主主義の徹底をはかる。各地連(本)は、学習会の機会などを活用し、組合会計の基礎的知識を関係者が身に付けるように努める。総連本部としては、必要に応じて講師派遣を行う。
〈関連文書〉 |
自交総連は1月30〜31日、東京・全労連会館で第29回中央委員会をひらき、「有利な条件生かし、かちとれ! 賃上げ、組織の拡大 07春闘」をスローガンとする2007年春闘方針を決めた。
闘いの焦点を、@全国的な統一闘争の力ですべての労働者に賃上げを、A事態改善への突破口を開く第2ラウンドの本格的闘いへ、B働くルールの確立、企業の社会的責任(CSR)を問う闘いを、C“もうひとつの日本”めざし、ストップ!悪政、政治の革新、D組織の強化拡大は重点課題、総がかりで目標達成を――の5つに定め、具体的な闘いを展開していくこととした。
【第1回中央闘争委員会(3月5日)の決定】
〈重点課題に関わる対応方針〉
1) 07春闘を反転攻勢の好機ととらえ、闘いを精力的かつ大胆に
○ 07春闘をめぐる情勢の最大の特徴は、“安心・安全”という公共交通機関の根幹をなす課題において、タクシー運転者の質の確保と、それを担保する労働条件の改善が強く求められていることにある。闘いの焦点となっている実効ある運転者登録制度の確立と運賃改定に伴う賃金・労働条件への確実な還元は、そうした課題達成に直結するものとして、とくに重要視されなければならないものである。したがって、有利な条件のもとでの第2ラウンドの闘いを、“反転攻勢の好機”ととらえ、『もうひとつのタクシー 確かな再生へ』にむけた政策的視点をもって臨み、自らの力、運動の推進によって情勢を切り開く。
○ 運転者登録制度導入地域の拡大に伴う地理試験合格要件の除外措置などタクシー業務適正化特別措置法改正については、交政審タクシー小委員会報告の骨抜きを許さず、実効ある制度の実現にむけて、国会前座り込みの実施、議員要請と国会質問対策、世論化にむけての宣伝とマスコミ対策等のとりくみ強化をはかる。
○ 運賃改定問題については、『タクシー運賃改定に対する自交総連の態度』(第29回中央委員会決定)にもとづき、行政の認可責任と企業の社会的責任を追及していく。とくに、行政の認可責任としては、@原価計算対象事業者の「収支実績及び推定」と「改定率への寄与度」「乗務員への還元率計算」など実績・申請・査定原価の公開、A改定後における労働条件改善の確実な実施を明記した各事業者団体宛運輸局長名通達の発出を重視し、その実現を迫る。企業の社会的責任の追及としては、減車と上限運賃の確保、労働者への確実な還元=ノースライドプラス重点改善要求の獲得(=個別労使間協定の締結)を迫っていく。
2) 底上げ闘争の強化、実効ある行政指導の徹底追及を
○ 「最低賃金法違反の一掃、累進歩合制度の廃止を軸とする賃金の底上げ」及び「違法な日雇い・アルバイトの是正・根絶」を重視する。その場合、職場内での改善闘争にのみ目を奪われるのではなく、地域全体の底上げをはかる“地域戦”として位置付けてとりくむ。
○ 各地連(本)は、地域におけるタクシー労働者全体への啓蒙・宣伝活動を展開し、具体的な実態把握のもとに労働・運輸行政へ是正改善指導を求める。
3) 増車・運賃値下げ競争に対しては、産別視点での反撃と歯止めを
○ 賃金低下に歯止めをかけ、生活改善の賃金増をはかるために、@増車はやめろ!大幅減車で運収増をはかれ A値下げをするな!下げた運賃は元に戻せ、を重点課題とし経営者の責任ある対応を求める。
○ 一定地域における減車の具体的目標値について、各地連(本)は、『減車闘争の手引き』(94年2月作成)を参考にして減車台数を試算の上、その実現を迫る運動を追求する。
○ 増車と運賃値下げに関わっては、基本方針として確定している「3つの観点」をふまえ対応する。
1. 適正な台数・運賃水準の確保は不可欠
増車と運賃値下げは、賃金のいっそうの低下と長時間・過密労働をもたらすもので、良質な労働力の確保を大きく阻害する要因となる。また運賃の値下げは、その『安さ』によって特定の会社が一時的に顧客の拡大をはかることができても、値下げ分を補い運収増につながることなどはまったく期待できず、将来的にも安定的な需要を確保していくことにもつながらない。
2. 優先されるべきは『安心・安全』
運転者の労働条件の劣悪化は、安心・安全な輸送を根幹から揺るがす要因ともなり、増車と運賃値下げへの政策転換は公共交通機関たる事業の社会的責任を自ら放棄する自殺行為に等しい。
3. 良貨が悪貨を駆逐するシステムこそ必要
増車と運賃値下げ競争の結果は、市場における第一交通グループなど悪質経営者の寡占化、一人勝ちを許すだけのことであり、事業の将来展望にとっては破滅的なマイナス要因となる。
○ 各地連(本)は、個別経営者はもとよりのこと地域全体の経営動向にも注意を払い、増車と運賃値下げ競争の弊害・不利益を主張、宣伝し、経営者自らが自粛・歯止めのとりくみに踏み出すよう積極的な役割を担う。
〈当面する統一行動及びとりくみの具体化〉
1) すべての職場組織が要求を提出し、執念を持って獲得への追求を
○ “これ以上の状態悪化は許さない、みんなに賃上げを”の構えを基本に、賃上げと一職場一重点要求獲得への徹底追求をはかる。このため、各地連(本)は『要求提出の意義』を徹底し、『全労連統一要請書』の提出を含め未提出組合への援助・指導を引き続き強化する。
○ 回答指定日の設定は3月14日までとする。回答指定日に至る事前の対策として、各職場組織は経営者に対し要求内容に関わる説明の場を設けるよう努め、協力・共同の政策提言についても積極的な提起を行っていく。
○ 各職場組織は、回答指定日の翌日(3月15日=自交総連第2次統一行動)には時間内外の報告集会などをひらき、回答内容の説明、その評価と以後のとりくみ方針を報告し討議・確認を行う。また、組合旗のいっせい掲揚など創意工夫し、「全組合参加の行動」としての前進をはかる。
2) 3・6中央行動で、“世論の喚起”と世直し春闘の前進を
○ タクシー労働者の労働条件改善、実効ある運転者登録制度の実現を中心とする緊急要求と“なくせ!格差と貧困、安心できる雇用と賃金を”など労働者・国民の共通課題を結合し全力をあげてとりくむ。この3・6中央行動は、自交総連第1次統一行動とし、1000人規模の闘いとして成功をめざす。
○ 中央行動では、@交運共闘・霞ヶ関大宣伝行動、A国交省請願行動、B全労連・中央決起集会(日比谷野外音楽堂)、C国交省、厚労省交渉及び議員要請行動を実施する。なお、全乗連交渉は3月14日(自動車会館、午後3時より)に行う。
3) 第3次統一行動(4月12日)の設定と企業の社会的責任を問う運動の提起
○ 全労連の第2次統一行動日である4月12日を、自交総連第3次統一行動として位置付け、『春闘要求実現と企業の社会的責任(CSR)を問う一日行動』として全国的なとりくみを展開する。闘争形態については、ストライキ、決起集会・デモ、自動車パレードなど要求闘争の進展状況に見合った具体的設定を各地連(本)ごとに行うこととする。
4) 産別重点署名のとりくみ推進
○ 春闘期間中に集中してとりくむ産別重点署名は、「タクシー運転免許の法制化」及び「憲法改悪反対」「労働法制改悪反対」の3つの個人署名とする。各地連(本)は、担当者を配置するなど特別な体制をとってとりくみ推進をはかる。07春闘における「タクシー運転免許の法制化」署名の到達目標は10万筆分、5月までに集約し達成させる。
5) 悪政の打破、雇用・くらし・いのち・平和の安心をめざして
○ 庶民大増税、社会保障制度の改悪、憲法改悪の策動など安倍政権の悪政に反対し、国民的共同の諸行動に結集していく。また、「平和憲法を守ろう」の闘いを重視し、全労連、陸・海・空・港湾労組20団体の一員として各種の共同のとりくみに参加する。
○ 統一地方選挙及び参議院選挙については、選挙闘争方針=「安倍内閣・自公政権の悪政ストップ、自交労働者のいのちとくらし、平和と民主主義を守る政治への転換を」にもとづき全力をあげる。
6) 組織拡大月間で仲間を増やし、実勢3万人の目標達成を
○ 組織拡大月間は3〜5月に設定し、「実勢2万2000人から8000人増の3万人へ」の達成をはかる方向で臨む。各地連(本)は、この方向にもとづき具体化を行い、組織内未加入者への対話と加入呼びかけ、地域単位による宣伝、職場訪問などに集中してとりくむ。
○ 空白県対策やブロック内共同による組織化のための諸行動を強化する。とくに空白県対策などについては隣接地連(本)と連携し、総連本部からのオルグ派遣を行いとりくみ推進をはかる。
○ 九州・山口を対象とした未組織の組織化宣伝キャラバン行動(2月18〜26日)に続いて、静岡・北陸・岡山を重点とする宣伝キャラバン行動(3月13〜20日)を実施する。
【第4回中央執行委員会(4月13〜14日、第2回中闘=13日)の決定】
〈当面する重点対策と今後の闘い方〉
1) 労働組合の存在意義を示す要求獲得にむかって全力を
○ 各地連(本)における要求提出状況を再チェックし、一職場一重点要求の設定を含め未提出組合への援助・指導を引き続き強化する。
○ 4月中決着をめざすとりくみの強化をはかる。そのため、春闘決着をめざす統一行動ゾーン(4月24〜26日=第4次)の配置を行う。各地連(本)は、中核的組合の早期決着を促進するためストライキを含む戦術配置を行い、追い上げをはかる。
○ 春闘の『3つの解決基準』については、次の3点を重視する。
第1=昨年実績を上回る賃上げ額の獲得と賃金体系の改善をはかる。
第2=“一職場一重点要求の実現”など含め全体的合意を前提に、納得のいく中身の解決を重視する。運賃改定が予測される地域では、重点改善要求プラス改定後のノースライドを確保する協定の締結をはかる。
第3=将来展望を切り開くにたり得る政策合意の取り付けに努め、協定化をはかる。
2) “ノースライドの自交総連”の威力を発揮し、必ず確実な還元を
〇 付属方針「運賃改定問題における到達点と今後の対応」にもとづき、運賃改定に伴うタクシー労働者の労働条件改善にむけて全力をあげる。
3) 実効ある運転者登録制度の確立をめざして
○ 引き続き、交政審タクシー小委員会報告の骨抜きを許さず、実効ある運転者登録制度の実現にむけて、議員要請、国会質問、国会前座り込み行動など国会闘争を強化する。
4) 政治の革新、くらしと雇用、いのち、平和を守る国民的共同の前進を
○ 憲法改悪、改憲のための手続き法案の提出・成立に反対するとりくみなど国民的課題と春闘を結合し、各種集会、デモなど共同の行動に参加していく。同時に、統一地方選挙及び参議院選挙で、政治革新の展望を切り開くため、選挙闘争方針に従い自交総連としての選挙闘争を強化する。
○ 最低賃金法改正法案の審議ともかかわって、全国一律最低賃金の実現を追求するとともに、07年度の地域別最低賃金の大幅引き上げにつながるとりくみ前進をはかる。とくに、全労連が配置している最賃引き上げをめざす決起集会(5月11日)、最賃デ−(第1次=5月25日、第2次=6月20日、第3次=7月25日)の成功をめざす。
○ 第78回中央メーデーは、安倍政権の大企業優遇、国民・労働者犠牲の政治に対する国民的な一大反撃の場として、5月1日に代々木公園で開催される。この中央メーデーと全国で開催されるメーデーを大きく成功させるため、参加体制のとりくみ強化をはかる。
5) 組織拡大を重視し、職場・地域内での加盟促進を
○ 「仲間を増やし、組織の力をつけ、魅力ある自交総連の確立を」の課題達成をめざす観点から、すべての地連(本)は、「組織拡大月間」(3〜5月)での職場内非組合員や中立組合・親睦会への加盟呼びかけ、未組織労働者の組織化のとりくみを集中して行う。
○ 空白県対策やブロック内共同による組織化のための諸行動をいっそう推進する。
【計画されている未組織宣伝行動】
東北ブロック=6月4〜8日(山形県)
〈運賃改定問題における闘いの重点と今後の対応〉
〇 「自交労働者」新聞688号の1面を活用し、今回の運賃改定の趣旨、査定の概要などを組合員及び加盟していない地域のタクシー労働者にも広く伝える宣伝行動を強化し、地域全体の労働条件改善と賃金底上げをめざす。
〇 ノースライドプラス職場重点要求に関する個別労使間協定の締結はもとよりのこと、改定率に見合った増収分の確保にむけた上限運賃への張り付け、需要に応じた減車と増車抑制をかちとるために全力を注ぐ。
〇 大阪・宮城など熾烈な増車競争と値下げ、バラバラ運賃・料金のもとで、運賃改定が事実上、困難となっている地域では、全国的な流れとなっている労働条件改善のための運賃改定の意義などについて啓蒙、宣伝するとりくみを重視する。加えて経営者に対しては、不毛な競争を止めさせ増車抑制と減車、上限運賃に戻すための共同のとりくみに積極的に踏み出すよう求めていく。
〇 「輸送の安心・安全」、「誇りと働きがい」、「地域貢献」のために必要・不可欠の課題となっている運賃改定に伴う労働条件の改善と実効ある運転者登録制度の導入は、密接不可分の関係にあることを重視し、運動強化を全国的にはかる。
【第3回中央闘争委員会(5月9日)の決定】
1) 5月中最終決着をめざし個別対策強化を
○ 各地連(本)は、それぞれの闘争状況をふまえ、ストライキを含む統一行動の独自設定と団体交渉の促進により、5月中の最終決着をはかるために全力をあげる。
○ 各地連(本)は、第4回中央執行委員会で確認した春闘の『3つの解決基準』をふまえ、未解決組合への援助・指導の強化など個別対策を重視する。
2) 国・行政の責任と企業の社会的責任の追及を
〇 タクシー運転者登録制度の拡大等を盛り込んだタクシー業務適正化特別措置法一部改正案の審議に際しては、5月8、9、10日(衆議院)の座り込み行動に続き、参議院段階においても座り込み行動を継続し、実効ある制度確立を求めていく。
○ 東京のタクシー運賃改定を審議する物価安定政策会議の第2回目の審議(日にちは未確定、5月末頃予定)に合わせ、減車と労働条件改善及び実効ある運転者登録制度の確立など企業の社会的責任、行政責任を追及する宣伝行動を全国的に実施していく。
○ 東京及び宮城の国家賠償請求訴訟裁判については、引き続き、実態告発とタクシー政策の不当性を明らかにする場として位置付け、全力をあげる。
東京・第7回裁判=5月22日、東京地裁(11:00〜)
宮城・第10回裁判=6月15日、仙台地裁(13:30〜)
○ 増車・運賃値下げ競争の温床となっている最低賃金法違反の地域的な一掃、累進歩合制度の廃止にむけたとりくみ強化をはかる。このため、すべての地連(本)は6月中に労働局交渉を行い、具体的な改善指導を即時実行に移させるなど行政責任の徹底追及をはかる。
〇 佐野南海交通労組の争議全面解決にむけた社会的包囲の一環として、6・27北九州行動を成功させる。
3) くらしと雇用、いのち、平和を守る闘いのとりくみ強化を
○ 国会での審議が重大な局面を迎える国民投票法案廃案の課題や最低賃金法改正にむけ、5・11最賃闘争意思統一集会&霞ヶ関・国会行動を始め各種集会、デモなど共同の行動に参加していく。
4) 組織拡大月間で対話と宣伝、加盟促進を
○ すべての地連(本)は、引き続き、「組織拡大月間」(3〜5月)の中で、職場内非組合員や中立組合・親睦会への加盟呼びかけ、未組織労働者の組織化のとりくみを集中して行う。
○ 各ブロック協議会は、可能な限り共同による未組織宣伝行動を計画し、空白県の組織化など含め組織拡大のとりくみ強化をはかる。
1) 統一行動の実施状況
2月1日 春闘スタート、規制緩和失敗の責任を問う宣伝行動(第1次)
18〜26日 未組織宣伝キャラバン第1次行動(九州・山口)
3月6日 自交総連中央行動(第1次=1000人)
13〜20日 未組織宣伝キャラバン第2次行動(静岡・北陸・岡山)
15日 全国統一行動(第2次)
4月12日 全国統一行動(第3次)
24〜26日 春闘決着をめざす統一行動ゾーン(第4次)
5月8〜10日 国会前座り込み行動
5月31日 物価安定政策会議総会、全国いっせい宣伝
2) 省庁交渉のとりくみ結果
省庁交渉の結果は、『月報』358、07年3・4月号および360、07年7・8月号、361、07年9・10月号に掲載したとおりである。
国土交通省
1月19日、2月23日(登録制問題の抗議・申し入れ)
3月6日(春闘課題)
4月5日(運賃通達のレクチャー)
7月9日(登録制、運賃問題)
厚生労働省
3月6日(春闘課題)
5月8日(観光バス問題)
内 閣 府
3月2日(運賃問題申し入れのみ)
公正取引委員会
7月10日(減車等と独占禁止法の関係)
8月10日(同、再回答)
全 乗 連
3月14日(春闘課題他)
国会議員要請
3月6日(衆参国土交通委員の全議員70人へ要請)
3) 産別重点署名の集約状況(9月10日現在)
タクシー運転免許の法制化を求める請願署名 5万8834筆
憲法改悪反対、第九条を守る署名 4537筆
労働法制改悪反対署名 1446筆
中労委労働者委員の偏向任命取消し団体署名 56団体
5月16、17日、鹿児島・生協会館で自主経営対策会議を開催、自主経営会社が存在している山形・宮城・奈良・山口・福岡・大分地連(本)の代表に加え、本部から鈴木副委員長・今村書記長、現地鹿児島地連など25人が参加した。
会議では、経営及び組合活動上の問題点や悩みを出し合い解決策を探るとともに、任務と課題について率直な意見交換を行い、@労働組合本来の任務達成と自主的な活動の強化、A地域全体を視野においての自交産別運動の闘いの拠点としての役割発揮、B地域貢献、地域社会のあり方を変える共同前進の一翼を担う、ことの重要性について認識を深め合った。
いっせい地方選挙・参議院選挙にあたっては、3月5日の第1回中央闘争委員会で「安倍内閣・自公政権の悪政ストップ、自交労働者のいのちとくらし、平和と民主主義を守る政治へ転換を」とする選挙闘争方針(月報358、2007年3・4月号)を決め、組合員の要求実現と政治の関係について明らかにし、自交労働者に選択の資料を積極的に提供することなどにとりくんだ。
いっせい地方選挙前半戦は4月8日、後半戦は4月22日に投票された。都道府県知事選挙では労働組合として推薦した革新統一候補の当選には至らなかったが、4年前より得票を前進させるなど健闘した。道府県議選では自民党が議席を減らし民主党が増やした。
参議院選挙は7月29日に投票され、自民党が歴史的な大敗、公明党も議席を減らした。民主党が参議院第1党に躍進、共産党、社民党は議席を減らしたものの、野党が過半数を獲得した。自民党の大敗は、自公政権の構造改革路線、格差と貧困の広がりなどに対する国民の怒りがあらわれたものといえる。一方、躍進した民主党も規制緩和や憲法問題などで悪政と対決しきれない側面も抱えており、政治の変革を求める国民の模索が今後も続くものと思われる。
要求提出状況(6月4日現在)は、前年を若干下回った。職種ごとの提出状況は以下のとおりで、前年まで提出率が高かった東京・神奈川の自教組織が脱退した影響で、全体の提出率が下がっている。
ハイタク 77.0%(前年79.6%)
自 教 25.0%( 〃 96.0%)
バ ス 他 61.1%( 〃 75.7%)
全 体 74.7%( 〃 80.3%)
春闘アンケートの回収は、23地方、9102枚、回収率40.4%だった(前年23地方、9775枚、回収率40.7%)。
春闘アンケートでは、ほぼ前年並みの回収だったが、春闘要求の基礎となる組合員の意識を把握する上では、組合員数の半分以下の回収率というのは不十分な結果である。秋からの早めのとりくみを徹底していく必要がある。
要求提出ができなかった組合は、ほとんどが一人もしくは一桁組合となっている。組織的な活動ができないことから未提出となっているものだが、たとえ少数の組合でも春闘時に要求を提出することは労働組合としての一番基本的な活動であり、あくまでも要求提出を追求する必要がある。その努力を通じて組織の拡大も図られる相乗効果が期待できる点も考慮し、地連・本では少数組合への援助を強めていく必要がある。
統一行動への結集では、全国いっせい宣伝や中央行動、運輸局・労働局交渉では集中的なとりくみがみられたが、全労連・春闘共闘に合わせた統一行動については結集が弱かった。
産別の統一行動への結集が闘いの前進に大きく寄与している点は確信とする必要があるが、回答指定日の翌日の統一行動など国民春闘の一翼を担うという点では不十分な点があった。地域・地方でも重要な役割を果たすという意気込みで今後もとりくんでいく必要がある。
賃上げ闘争の結果では、ハイヤー・タクシーでは、賃下げ「合理化」はあまり見られず、要求を提出したところでは、ほぼ現行賃金体系維持プラス解決金(6000〜3万円)を獲得、一部で基本給の賃上げ500〜1500円増をかちとった。
一職場一重点要求の獲得では、定年延長、有休改善、運転者負担軽減、政策合意など多様な要求を実現したところがある。
運賃改定が予想される地方では、ノースライドの確認と合わせて春闘要求の実現を追求した。運転者不足、格差是正が必要という社会的背景もあり、口頭約束も含めてノースライドはほぼ確認している。しかし、協定の締結まで至っていないところも多く、「プラスアルファ」の部分については、改定後の課題として積み残しとなっている職場も多い。
運賃改定は、大分・長野を除き9月以降に先送りされていることから、確実な労働条件改善をかちとるためには、引き続き交渉を強めていく必要がある。部分的にはスライド賃下げを指向する経営者もいることから警戒を怠ることはできない。
また、運賃改定待ちとなって春闘の課題が春闘時期に決着できないという職場もみられた。統一行動への結集の弱さの問題とも合わせて、春闘での賃金闘争について、企業内最賃や地域内最低賃率など、全体が結集できる数値でわかりやすい目標を掲げて集中的にたたかう方法を今後研究していく必要がある。
昨年7月、交通政策審議会タクシー小委員会は、運転者登録制度を全国的に導入し、当面して政令指定都市で実施すること、運転者の資格として地理試験の合格を要件とすること、などの報告書を出した。
しかし、それを法改正で具体化するにあたって国交省は、静岡・浜松・新潟市を対象から除外、地理試験を義務付けず講習の受講でよしとする骨抜き案を作成していることが明らかとなった。
このため自交総連では、1月以降、全国からいっせいに抗議ファックス等を集中、宣伝行動を強め、2回の国交省交渉で厳しく抗議、実効ある運転者登録制度の確立を求めてきた。その結果、最終的な法案では「講習の受講」を「講習の修了」に改め、修了を見極める効果測定を行うとさせた。
国会審議では、日本共産党議員団に協力を要請し、5月8〜10日には国会前で連日130人が座り込むなかで、修了の見極めについて「テストというやり方も含めて、効果測定の方法について、きっちりしたものにしてまいりたい」(国交省自交局長の答弁)、「今後の指定地域の拡大も含め、引き続き検討を行うこと」(衆院附帯決議)などが確認された。
この闘いによって、国交省の態度を変化させ、地理試験の実施を入れさせるまでには至らなかったが、国会での質疑ともあわせ、講習の修了で効果測定にテスト等を実施することを確認させた。道理に立って、機敏に対処したとりくみ、議員要請や座り込みなど大衆行動と結合した運動の成果として評価することができる。
この成果を活かすためにも、今後の政省令の制定、運用基準策定に際して確実にテストをさせるなど実効性を確保し、さらに地理試験実施など今後の改善めざす闘いを継続する必要がある。あわせて東京・大阪のタクシーセンターの改善も要求していく。
昨秋以降、全国的な流れとなったタクシー運賃改定問題について、自交総連は、「改定率に見合う増収の確保と労働者への確実な還元」を重視し、3・6中央行動や各地の運輸局請願、宣伝、決起集会など全国的な行動にとりくんできた。
運賃改定時に労働条件改善の指示通達を出すこととの要求に対し、国交省は昨年秋の段階では「指導はしない」(06年10月27日の交渉)という行政対応であったが、3月28日に「一般タクシー事業における今般の運賃改定申請の審査等の取扱いについて」と題する通達を出し、「適切に運転者の労働条件改善措置を講ずること」を事業者団体に指示することや「事業者団体における労働条件の改善状況の公表の結果が、運賃改定の趣旨を逸脱すると認められるときには、その事実関係を公表するとともに、必要な指導等を行うこと」を明確にするなど、行政対応を変化させた。
同時に通達は、今回の運賃改定では、労働条件改善のための一定の原資を確保するための措置として、運転者人件費における算定式を見直し、査定増額分の改定率への上積みを行うこととした。この措置により、運賃改定における運転者人件費支給率は、改定前と同水準のものとなり、ノースライド分の原資をそっくりそのまま担保する査定、運賃改定率となる。運賃改定が実施された長野・大分では、実際にこの方式で査定がされ、自交総連が要求していた「収支実績及び推定」も公表された。
長野・大分に続き改定が実施されると思われた東京では、4月19日にひらかれた政府の物価安定政策会議総会で異論が続出したことから、改定作業に一時ストップがかかり、改定は参議院選挙以降に先送りされる事態となった。5月31日の2回目の物価安定政策会議総会での意見も含め、出された意見は、「需要がないのに増車し、そのツケを値上げで消費者に回すのはおかしい」「労働条件改善というが経営努力が足りない」など規制緩和の矛盾を背景にしたもので、自交総連では、「経営者は減車して経営努力を示せ」「値上げ前に労働条件改善の確約を」などのビラをつくり全国宣伝を実施、同会議の委員全員にタクシー労働者の意見と要請を送付して、規制緩和の問題点を指摘、労働条件改善の担保が必要なことを訴えた。
石川地連は県労連などと共催で6月9日、タクシー運賃改定問題での民間公聴会をひらいた。
国交省の当初の「通達は出さない、指導もしない」という姿勢を、春闘の統一行動、理論闘争などで180度改めさせた闘いは、団結の力、運動の正当性を証明したものといえ、3月28日の通達は、労働条件改善の指導を明記した上、自交総連の結成以来の主張である「ノースライド」を査定に取り入れるという画期的なものとなった。
こうした成果の背景には、労働条件の異常な悪化、格差の拡大についての国民的批判の高まりなど、客観情勢が運賃改定時の運転者の労働条件改善を保障する行政姿勢を後押しすることとなった点も見逃せない。
物価安定政策会議総会(2回)で、増車する一方で労働条件悪化をかえりみない経営努力の足りなさや、増車がとまらない産業構造などが問題となったのは、規制緩和の矛盾のあらわれであり、その点を一貫して批判してきた自交総連の政策的優位性を示すチャンスでもある。引き続き、規制緩和の矛盾を指摘して、世論化していく必要がある。
同時に、ノースライドが効果を発揮するためには、減車の実現や増車・運賃値下げ競争抑制が不可欠であり、この面での闘いの強化が求められる。
宮城や大阪など、特別に激しい増車・運賃競争が止まらず、混乱が集中している地域では、事業者のまとまりが得られず、運賃改定が現実化するに至っていない。
こうした地域でのとりくみとして、東北ブロックは宮城県労連と共催で「タクシーの再生を目指して《人間らしく生き働くために》」をテーマとするシンポジウムを4月28日に仙台市でひらき、経営者や消費者、学識者も含めて、労働条件改善、台数規制やタクシー運転免許法制化の意義を確認した。
大阪地連は、運賃や需給調整などの政策的課題を議題とした集団交渉を呼びかけ、19組合17社が参加して、4月24日、5月15日、6月21日の3回実施、@下限割れ運賃をなくすため、労使共同して実効ある措置を講じる、A行政当局へ需給の適正化を求めていく、B上記1、2の確認事項の実現をめざすために、労使は、大阪のすべてのタクシー事業者(個人タクシー含む)、団体及び労働者・労働組合に対して、確認事項への賛同や共同行動の呼びかけを行う、C集団交渉参加労使は、適宜、参集し意見交換を行う――との確認書に合意した。
これらのとりくみは、増車や運賃競争として規制緩和の矛盾がもっとも集中した地方で、それを打開するための労使共同のとりくみを追求したもので、利用者・地域住民もまきこんで一定の合意をかちとる成果を得ている。
その他の地方でも、規制緩和の弊害は依然として重大な悪影響を及ぼしている。稼働率が悪かったり1台当たり1人の運転者も確保できていない会社を指導させて減車をさせる、法令違反を確実に摘発させるなどの工夫をしつつ、緊急の課題として減車にとりくんでいくことが重要となっている。
国会でも緊急調整措置の見直しなどが論議されるなど、行政も規制緩和で生じた事態のさらなる見直しを余儀なくされる状況となっている。一方で、規制緩和・構造改革路線の「正当性」を守ろうとする規制緩和推進勢力の動きも軽視できない。規制緩和の不合理を明らかにするため、引き続き世論を喚起していく必要がある。
1) 国家賠償訴訟のとりくみ
緊急調整措置の発動を講じなかった国の責任を追及する宮城地連の国家賠償裁判は3月12日(第9回)、6月15日(第10回)に裁判が行われ、規制緩和による増車の実態と国の不作為を立証してきた。
大口割引運賃を認可した国の責任を追及する東京地連の国家賠償裁判は3
月6日(第6回)、5月22日(第7回)、7月13日(第8回)の裁判が行われ、原告適格の立証から国の違法行為の内容にまで審理を進めさせてきた。
二つの裁判は、規制緩和の失敗を明らかにする政策形成訴訟として、世論の喚起、規制緩和による弊害の理論的解明に大きく貢献している。
2) 第一交通の社会的責任(CSR)を問う闘い
第一交通の組合つぶし攻撃とたたかい続けている大阪・佐野南海交通労組は、80件に及ぶ争訟事件で次々と勝利をかちとっているが、4月17日には最高裁で、第一交通の組合つぶしのための偽装廃業を認定した高裁判決に対する第一交通の上告不受理決定をかちとり、第一交通本社の共同不法行為を認めた司法判断が確定した。
大阪地連と佐野南海労組は6月27日、福岡地連、福岡県労連の協力を得て北九州市で第一交通に全面解決を迫る「組合つぶし糾弾北九州行動」を実施、10月に予定されている偽装廃業等の高裁判決を前に、さらに第一交通を包囲して社会的に糾弾し、最終的な解決をめざしている。
3) 長期争議組合の闘い
一方的賃下げなどに対して13年にわたって裁判を闘ってきた埼玉・県南交通労組は2月23日、全面和解をかちとり争議を終結した。
闘争中の事件では、神奈川・三共自校支部が4月27日、賃金差別で最高裁勝利判決をかちとったが、依然賃金是正がされないため、闘争は継続している。
鹿児島・大和交通労組は3月27日、会社更生手続開始の決定を地裁でかちとった。これは、無責任な経営者の横暴を抑えて職場の消滅を阻止するため組合が会社更生法の適用を申請したもので、いままでにない新しい闘いを切り開いたものといえる。
1年延長した組織拡大推進3か年計画にもとづき第30回定期大会までに実勢3万人を回復させる目標の達成にむけて、春闘では3〜5月を組織拡大月間に設定し、とりくんできた。
2回の未組織キャラバンでは、合わせて17府県、124か所、2400人以上にビラなどを配布して宣伝、140人と対話してきた。そのまとめは『月報』359、07年5・6月号に掲載してある。
昨年9月以降の新規加盟組織は12地方13組合223人、一方、解散・脱退・消滅などは11地方26組合491人となっている(8月31日現在)。既存の組織内でも、組合員の実増をかちとっている組織がある半面、減少が続いている組合もあり、全体とし増勢に転ずるまでに至っていない。
個別の地方・職場ごとにみれば、嘱託・定時制労働者の結集の努力や継続的に学習教育を持続し若い幹部育成や組織拡大を実現しているとりくみ、東京・個人タクシー労組で自宅訪問もして一気に40人以上を拡大した奮闘など前進面がみられる一方、組織上の問題で脱退するなどの例もある。
全国キャラバンや日常宣伝、全労連オルグの奮闘などは、短期的に直ちに成果となって表れない部分もあるので、中・長期的な観点で今後の成果に期待できる点もあるが、3か年計画の目標の関係では不十分な成果となっている点は、反省して原因を確かめる必要がある。
生活の困窮から組合活動に目が向かなくなる傾向や高齢化の進行など、今日的な現状をよく分析し、先進的な経験に学んで、すべての地方、組合が組織拡大にとりくんでいくことが重要かつ緊急の課題となっている。
交運共闘(交通運輸労働組合共闘会議)は2月26日、東京・水月ホテル鴎外荘で第18回総会をひらき、2007年度運動方針と次の役員を決めた。
議 長 杉山 忠通(建 交 労)
副 議 長 今村 天次(自交総連)
〃 鈴木 信平(検数労連)
〃 森奥 鎮男(海貨労協)
〃 高橋 将治(建 交 労)
〃 熊谷 俊介(全 運 輸)
事務局長 小林 隆(自交総連)
事務局次長 岩永 千秋(建 交 労)
〃 小池 克弘(全 運 輸)
〃 北畑 良介(検数労連)
(以下略)
交運研(交通運輸政策研究会)は4月28日、東京・茅場町パールホテルで第17回総会をひらき、2007年度運動方針と次の役員を決めた。
会 長 安部 誠治(関西大学)
副 会 長 桜井 徹(日本大学)
〃 西村 弘(大阪市立大学)
〃 田中 博文(国 労)
〃 飯沼 博(自交総連)
〃 安藤 陽(埼玉大学)
事務局長 田中 茂冨(全 運 輸)
幹 事 菊池 和彦(自交総連)
(以下略)
第29回関係弁護士交流会は1月29、30日にひらかれ、修習生含めて21人の弁護士が参加、中執も傍聴した。
飯沼委員長のあいさつに続き、本部の小部弁護士が、労働法制改悪の現状などについて基調報告。特別報告は、@国家賠償請求訴訟の現状と課題(東京・宮川、宮城・菊地弁護士)、A佐野南海争議の現状(大阪・藤木弁護士)、B三重近鉄労組の割増賃金請求事件(奈良・増田弁護士=きづがわ法律事務所)について行われ、国交省官僚の証人採用にむけて前進(宮城)、勝利和解が近隣にも影響を与え組合員も増えた(奈良)など、裁判と運動が連携して進んでいる状況が報告された。
まとめは本部・田辺弁護士が行い、『月報』358、07年3・4月号に掲載した。
自交共済は9月12日、東京・水月ホテル鴎外荘で第26回総会をひらき、10地方35人が参加して第25期(2007年度)活動計画を決めた。
自交共済の加入状況は前年度比322人減の18地方8416人(2007年5月末現在)となっており、当面1万5000人を目標に加入促進をはかることにした。
〈関連文書〉 |
労働者の団結する権利を保障した労働組合法や労働条件の最低基準を定めた労働基準法を尊重し、労使対等の立場による団体交渉によって、雇用、賃金・労働時間など労働条件問題の解決にあたること。
1.労働組合への敵視・弱体化などの労務政策を一掃し、健全な労使関係を職場に確立すること。
2.一方的な労働条件の切り下げ、権利侵害や労働者・労働組合の事前の合意を前提としない事業所閉鎖・廃業、譲渡などについては強行的に実施しないこと。また、事前協議を前提とする同意約款を締結すること。
3.自教指導員における産業別最低賃金の確立について同意(協定)し、新設への努力を払うこと。
4.嘱託、契約指導員などの賃金・労働条件については、均等待遇の原則をふまえ改善をはかること。
労働組合法、労働基準法などに定められた労働者・労働組合の権利を一切認めず、不当労働行為や労働条件の一方的切り下げ、権利侵害をつづける悪質事業者に対しては、断固としたきびしい行政姿勢を堅持し、法にもとづく厳格な処分を行うこと。また、相互通報制を有効に活用するなど関係行政機関の協力・連携を強化すること。
人間らしい労働とくらしを保障する賃金・労働条件と事業の健全な発展を担保する経営基盤の確立のために、それへの接近にむけた独自の経営努力や職務領域・業務の拡大など共通する政策課題での労使の協力・共同を行う方向へ、経営政策を転換すること。
1.安易な労働者犠牲の賃下げ、人件費削減といった経営危機の乗り切り策を改め、「経理公開」を含む経営実態の説明など真面目な対応により、経営改善あるいは倒産防止、将来展望にむけての協力・共同を労働組合と行うこと。
2.仕事量の拡大など営業収益増加策の推進に努めるとともに、経営規模の限度を超える管理部門の費用、異常な金利負担など経営圧迫要因をチェックし、その改善や事業の効率的運営にむけ努力すること。
3.一定地域内での営業時間統一と適正料金の確立をめざす労働組合との協力・共同を重視したとりくみを強化すること。
4.交通事故防止対策への積極的関与など地域住民の期待に応える交通安全教育センターとしての役割を果たすこと。この場合、労働者・労働組合の合意、協力体制の整備を重視すること。
指定自動車教習所を地域の交通安全教育の一翼を担う機関として明確に位置付け、それを有効に活用するための施策を推進すること。
1.高齢者の安全運転講習や小・中・高校生への交通教育の機会を定期的に設け、指導員及び教習所施設の活用をはかること。
2.地域の交通安全対策に関する自教関係労働組合の提言・政策などを聴取し、行政に反映させる協議・懇談の場を設けること。
指定自動車教習所の教育制度の機能及び交通安全教育センターの役割をいっそう拡充すること。
1.処分者講習に運転適性検査と技能講習を加えるとともに、講習時間を見直し延長すること。また、指定教習所での受講を可能にする措置を講じること。
2.更新時講習に運転適性検査と技能講習を加えるとともに、指定教習所での受講を可能にする措置を講じること。
労働者保護と初心運転者教育の重要な一翼を担う公共的性格を担保するための措置として、自教指導員の資質向上と社会的地位の確保に寄与する研修・講習制度等のいっそうの充実をはかること。また、賃金・労働時間における最低労働条件の規制を強化すること。
自 交 総 連