2008年春闘方針
自 交 総 連

2008年1月30日
自交総連第30回中央委員会

も く じ

2008年春闘の位置付けと闘いの焦点
基本的な要求課題と闘いの力点
闘いの基本方向と組織の強化拡大
春闘体制、闘いの流れと統一行動
〈関連文書〉07秋闘から08春闘にむけた闘争の到達点と課題

2008年春闘の位置付けと闘いの焦点

 2008年春闘は、6年5か月に及ぶ構造改革によって生じたくらしと雇用の破壊、ルールなき競争と貧困・格差の拡大、平和と民主主義の危機に対する“国民的批判の広がり”という情勢変化のもとで、悪政ストップ、国民本位の変革を求める国民的運動の一環としてとりくまれる。
 昨年の参議院選挙の結果生じた“与野党逆転”という劇的な政治的変化は、国民的世論が政治を変える時代の到来をもたらした。この新たな有利な条件を受けて、広範な労働者・国民の闘いを通じ要求実現を現実のものとする可能性が高まっている。
 自交総連は、全労連が推進している「もうひとつの日本」をめざす大運動の一翼を積極的に担いつつ、自交労働者と事業の将来展望をかけた闘いとなる2008年春闘を力一杯たたかう。
 規制緩和実施後の苛酷な労働環境の出現、安心・安全の危機、貧困化、魅力のない職業への転落という状況下にあって、われわれの闘いは、自交総連の社会的存在感を高め、全国産業別組織としての役割をいかんなく果たしてきた。とくにタクシーにおける闘いの到達点は、“行政対応の大きな変化をかちとっている”ことであり、事業の健全な発展を展望していく上で、その保障となるタクシー労働者の労働条件改善や誇りと働きがいを確保する課題において有利な条件を生みだしている。
 2008年春闘で、すべての地連(本)・職場組織が、有利な条件をフルに活用し、固い団結と足並みを揃えた統一行動の力によって、様々な困難・障害を打ち破ることができるならば、要求獲得の可能性を確実に高めることができる。
 2008年春闘は、ハイヤー・タクシー、自動車教習所、観光バス労働者の賃上げ、労働条件の改善をめぐる諸闘争の前進をはかることによって、労働者の関心を高め、たたかう労働組合への期待を通じ自交総連結集への機運を高めることにもなろう。
 自交総連は、この春闘を、『団結と統一で要求実現、なくそう貧困と格差社会 08春闘』と位置付け、全力をあげてとりくむ。

(1) 確実な労働条件の改善、実効ある運転者登録制度の確立を

 ハイヤー・タクシー労働者の賃金は、05年度と比べ8万円増の278万円(厚労省調べ、06年度)となっている。これは、今から24年前(1984年)の賃金とほぼ同額の水準であり、他産業労働者との比較では248万円という格差が生じている。貧困ラインに相当する低賃金層の広がりは地方都市・郡部と「タクシー競争激戦区」に集中しており、地域別最低賃金や生活保護基準額を下回る異常な低賃金が大都市においてさえ常態化している。さらに過労死・自殺の急増と健康破壊も深刻である。
 自教労働者は、教習生の構造的減少傾向(出生率の低下)や料金値引き競争のもとで、総人件費削減・権利破壊攻撃に加え、一方的な企業閉鎖・身売りによる雇用不安が依然として続いている。ハイヤーや観光バス労働者は、相次ぐ賃下げや一時金カットの結果、生活苦に加え、深刻な労働力不足に起因する慢性的な長時間労働に見舞われている。倒産・廃業、企業閉鎖の危機、雇用不安も一向に改善されていない。
 自交総連第30回定期大会は、「闘いの歴史に学び、産業別運動の新たな飛躍と挑戦、強大な自交総連の構築を」を中心スローガンとして確認し、「たたかう自交総連の本領発揮が期待されている。職場で労働組合としての存在意義を示し、同時に、主戦場である地域を視野に入れての運動との結合をはかりつつ、自交労働者の生活防衛闘争の先頭に立つことが重要である」ことを強調した。
 春闘こそは、その真価が試される“最大の闘いの場”であり、“原点”に立ち戻った08春闘の闘いこそ重要である。この08春闘でいっせいに要求を提出し、職場での闘いを基礎に産業別、地域別、全国的な統一闘争の力によって、“すべての労働者に賃上げを”の社会的世論を喚起し、共同を広げ要求実現をめざすことが求められている。
 さらに、規制緩和実施後の実態告発、規制緩和の失敗に対する責任追及の闘いと“もうひとつのタクシー 確かな再生へ”をめざす運動の到達点として強調すべきことは、この08春闘の闘いが、苦労してかちとった成果、有利な条件のもとでの闘いであるという点である。
 その第1は、交政審タクシー小委員会報告に盛り込まれた運転者登録制度の導入であり、この提言を政府・行政をして、実効あるものとして確実に政策化させなければならない。昨年6月に成立した改正タクシー業務適正化特別措置法と、それを受けての政省令、運用基準の策定を経て、08年4月からの「登録制度の開始」が行われようとしている。運転者の資質そのものを高めるとともに、間接的な効果として増車を抑制することにつながる仕組みとしての制度確立が必要・不可欠である。
 第2は、労働条件の改善を主な目的とする新運賃の実施が全国化していることである。タクシー労働者はここ10数年来、賃下げは経験しても賃上げ、実収入増を経験したことのない実情におかれてきたことを思い起こし、今回の運賃改定では、その結果を、必ず賃上げ、実収入増に結実させなければならない。
 第3は、増車抑制と減車に関する国・行政、地方自治体の認識、対応において、新しい変化が起こっていることである。新潟県知事の「独占禁止法など関係法令に抵触しないか否かなど調整を行った上で事業者、関係機関に対して減車要請を行いたい」(07年9月、定例県議会)との態度表明や、仙台を緊急調整地域に指定し、「特定特別監視地域」においては増車抑制と減車勧告制度の導入をはかることなどを盛り込んだ運用基準の改定(07年11月)と、それを受けて仙台市長が、「減車について国交省や公正取引委員会と議論してみたい」(07年11月、記者会見)と回答していること、さらに運賃改定を契機として提起されたタクシー事業をめぐる諸問題を審議するために設置された交通政策審議会タクシーワーキンググループなどの動向に着目し、事態改善への工夫あるとりくみ強化をはかることが求められる。
 こうした有利な条件を生かすために、@増車抑制、適正な台数への接近、A社会的水準の労働条件に近づく上での適正な運賃の確保と労働条件への確実な還元、の2つの視点をもって対峙し、運動の力によって要求前進をはかる必要がある。

(2) 働くルールの確立、企業の社会的責任(CSR)を問う闘いを

 倒産、廃業・身売り(撤退)と悪質企業を中心とする市場の寡占化、企業の再編成が進行する中で、賃金・雇用破壊のリストラ「合理化」が依然として進行している。
 増車と運賃値下げの競争激化は、経営基盤を掘り崩す運送収入の大幅な低下と輸送秩序の崩壊をもたらしてきた。のみならず、運収低下による賃金減に加えリース制的賃金の拡大など労働者犠牲の生き残り策は、タクシーをまったく魅力のない職業に追い込んでいる。運転者のモラルの低下や違法な雇用形態も広がっている。そうした一方で、第一交通グループなど法を無視し、やりたい放題の手法で買収をはかる悪質企業の異常な膨張は、ルールなき競争の当然の帰結として悪貨が良貨を駆逐する役割を果たし、タクシー事業の将来を危機に落とし込めている。
 自動車教習所では、競争関係が熾烈さを増しているもとで、将来の経営維持に不安をもち廃業など撤退の道を選択し、あるいは親企業が抱える多額の債務返済処理との関係で、系列の自動車教習所を丸ごと売却するなどのケースが繰り返されてきた。
 規制緩和がもたらした安心・安全の破壊や違法駐車、道路交通の阻害・渋滞や排ガス問題など環境への影響も深刻である。規制緩和失敗の弊害は、すべて地域に集中し、地域住民のくらしや安心・安全な社会との矛盾を引き起こしている。
 世界の大きな流れとなっている「企業の社会的責任」(CSR=コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティー)は、いま日本でも大きく注目されている。CSRは、法令順守や製品・サービスの安全確保といった当たり前の行動に加えて、環境対策、人権尊重、地域・文化貢献など幅広いとりくみを企業に求めるものである。言い換えれば、「利潤追求だけでなく、企業も社会の一員としてのふさわしい行動を」という考え方であり、その際、企業には労働者や取引先、消費者、投資家、株主、地域社会など幅広い利害関係者への情報公開と誠実な対話が必要とされている。
 公共交通機関であるタクシー及び公共的性格を有する教育機関としての指定教習所の社会的役割は極めて重い。こうした視点からも、労働組合としてのチェック機能を発揮し、利益のためなら不法・不正行為もいとわない企業体質の改善、働く権利の確保、社会貢献、環境保護などにむけてのとりくみ強化をはかる必要がある。08春闘では、事態改善のために、CSR運動と政策闘争とを結合した闘いに全力をあげる。

(3) “もうひとつの日本”めざし、ストップ! 悪政、政治の革新

 昨年9月に発足した福田内閣は、安倍自公政権が歴史的な大敗を喫した参議院選挙の結果とその後の国民の運動と世論に押され、「格好だけ」でも平身低頭の姿勢を示しているが、格差社会と貧困の増大、地域経済の疲弊と公共サービスの低下、さらには日米軍事同盟の強化への道を突き進んできた小泉「構造改革」路線の大枠を堅持する姿勢を崩してはいない。
 一方、民主党の大勝は、「国民生活が一番」と訴え、国民の自公政権の悪政への怒り、政治を変えたいという願いの受け皿になることによって、もたらされたものである。この怒りと願いにそむき、大連立構想にみられるように、民主党がアメリカと財界の圧力に屈して自民党政治にすり寄れば、労働者・国民の期待を一挙に失うだろう。民主党には、日本共産党や社会民主党などの野党、労働組合や民主団体・市民組織などとの、労働者・国民要求実現のための共同・連携を強め、自公政権に対抗できうる明確な政策とたたかう姿勢を堅持することが求められる。
 いま、労働者・国民の切実な要求にもとづく闘いが繰り広げられている。国民的課題では、4月実施の高齢者いじめ、負担増と給付減に追いやる高齢者医療制度に大きな怒りが広がり、医療関係団体、国民の闘いで政府は負担増の一部凍結を打ち出した。被災者支援法では、ついに与党も国民の長年の要求であった住宅本体の再建への公的支援に踏み込む法案を提出し、与野党一致して成立させた。原爆症の認定基準の問題でも実態に合わない認定基準の見直しを政府が言明している。
 最低賃金では、昨年9月の改定で全国平均時給14円の二桁の引き上げとなった。これは、全国の労働者・労働組合の闘いの成果であるといえよう。
 労働者・労働組合の要求課題では、08春闘で、労働組合が運動を強めつつ、政権党や野党に働きかけ、一致する要求・政策での共同を強めることが求められる。こうしたとりくみこそが、労働者・国民の闘いで政治を動かし、要求が実現していく可能性を開くことにつながるといえる。
 憲法闘争では、職場の中に圧倒的な憲法改悪反対の合意を築き、国民過半数の運動に広げる活動が不可欠である。
 08春闘では、不満・怒りをもっている広範な国民各層とともに手を携えあって協力し合い、悪政転換、政治革新への大きなうねりをつくりだすことが求められている。

(4) 実勢3万人の回復、すべての職場・地域で組織拡大を

 職場組織、地連(本)の力量を質量ともに強化拡大し、確固たる組織的基盤を確立することが必要・不可欠となっている。そのためにも、緊急の重点課題である実勢3万人の回復を必ず、達成していくことが重要である。
 たたかう基盤の強化なしに、状態悪化に歯止めをかけ要求闘争を前進させることや、タクシー運転免許構想など将来像への接近をはかることはできない。08春闘で目に見える組織的前進をかちとることができるならば、組織の反転攻勢の絶好の転機にすることができる。08春闘をめぐる情勢は、そのことを現実的に可能とする有利な条件をわれわれに与えてくれている。
 すべての地連(本)、職場組織が具体的な拡大目標をもち、推進体制を確立して組織拡大を追求することが求められている。自交総連は、08春闘の期間を通じてすべてのとりくみとの結合をはかる「組織拡大春闘」として全力をあげる。

基本的な要求課題と闘いの力点

(1) みんなに賃上げを、底上げ闘争の強化

@ 賃上げ要求の基本的構え

 すべての業種で生活実態に根ざした賃上げ要求(=だれでも○万円あるいは賃率○%以上)を、すべての組合員の総意によって練り上げることを重視する。また、提案型の視点をもって企業の社会的責任や経営者モラルを問う政策要求の実現を迫るとともに、個別企業のみならず事業全体の将来展望を切り開く方向への経営政策の転換、協力・共同によるとりくみを前進させる。
 タクシーでは、減車による適正な台数と上限運賃の確保を最重点課題とし、実収入増確保への経営責任を追及する。とくに、運賃改定に伴う労働条件の改善については、ノースライドプラス重点改善要求の実現をはかる。重点改善要求については、1)実質的な労働者負担の軽減や手当て類の創設 2)累進歩合制度の廃止 3)非正規労働者の待遇改善、を重視していく。
 大阪、宮城など著しい供給過剰とバラバラ運賃状態のもとで運賃改定そのものが困難となっている地方では、企業の社会的責任を徹底的に追及する姿勢を堅持するとともに、増車抑制と減車、運賃の上限はり付きの課題を重視した経営者団体との環境整備にむけた政策的共同に力を注ぐ。
 自動車教習所・観光バスでは、経営環境の改善を重視し、仕事量の拡大など職場政策要求への合意、実施を明確にしたとりくみをはかる。

A 底上げ闘争の強化

 すべての業種において、「だれでも、どこでも時給1000円以上」の実現をめざすとりくみを行う。
 自教・観光バス・ハイヤーなど固定給が中心の業種では、職場の全労働者を対象に時間額、日額、月額による企業内最低賃金の締結をはかる。
 タクシーでは、時給1000円以上の実現をめざす運動とともに、下限賃率を一定地域ごとに設定、「○○地域から賃率○○%以下の労働者をなくそう」というスローガンを掲げて宣伝・行動し、それ以下の賃率を職場・地域から一掃する底上げ闘争を展開する。また、歩合給中心の賃金制度が採用されている職場では、最低賃金法との関連で、「所定の賃金計算にもとづき実際に支払われる賃金が、最低賃金額を下回る場合は、その差額分を上積みして支払う」との協定を締結する。

B 一職場一重点要求の設定と獲得への徹底追求

 職場ごとに、実感のこもった切実で身近な改善要求を必ず設定し、どうしても譲れない解決条件と位置付け、獲得への徹底追求をはかる。また、とくに青年、女性及び非正規労働者特有の要求を大切にし、みんなの力で改善をはかる。

(2) リストラ「合理化」反対、権利の確保

@ 働く職場の確保と対応

 「倒産・廃業、(悪質企業に)身売りをさせない闘い」を重視し、経営チェックの強化、説明責任の追及など労働組合責任としてのとりくみ強化をはかる。また、一方的な廃業・身売りを防止するために、労働組合との事前協議を前提とする同意約款の締結を求める。
 労使関係の対等・平等、正常な関係の確立をめざすとりくみ強化をはかる。とくに、経営困難などを理由とする賃下げ「合理化」提案については、安易な妥協や激突主義を戒め、説明責任を追及し、納得のいく明確な説明と根拠、場合によっては関係財務諸表の提示などをもって判断し対応する姿勢を堅持する。

A 悪質企業対策の強化

 もっとも象徴的な悪質企業である第一交通グループの社会的責任を追及するとりくみを重視する。大阪・佐野南海交通労組の“組合つぶしを狙った偽装廃業、組合員全員解雇を許すな”の闘いに、引き続き全国的な支援・協力を行うとともに、争議全面解決にむけた社会的包囲の全国的行動については、関係地連(本)と協議、調整し具体化する。

B 名義貸し行為の根絶と対策

 大阪・ワンコインの名義貸し行為を根絶させるため、本部顧問弁護士及び本部役員、大阪地連代表による「オーナーズ制度対策会議」を設置し、意見書等の取りまとめを行う。この意見書を活用し、関係省庁交渉、国会質問などのとりくみを具体化する。

C 重点署名のとりくみ

 全労連・国民春闘共闘委員会が提起した最低賃金「時給1000円」の実現、労働者派遣法の改正、労働時間規制の再強化に関する「第2次働くルール署名」を産別重点署名と位置付けてとりくむ。また、憲法500万署名を継続し、とりくみ強化をはかる。

D 道交法闘争のとりくみ強化

 「放置車両」に関わる駐車違反の検挙や事故・違反の際の加点入力問題の改善を重視し、国会対策や警察庁への申し入れを計画する。

(3) タクシー運転免許構想との結合、政策要求の実現

@ 「新たなタクシーシステムの確立」(タクシー運転免許構想)の実現

 タクシー運転免許の法制化を軸とする新たなタクシーシステムの確立をめざしていく。08春闘では、交政審タクシー小委員会報告に盛り込まれた運転者の要件の見直し、運転者登録制度の導入に関する事項を最重点課題としてとりくむ。

 1) 特定指定地域(東京、大阪)においては、臨時・アルバイト雇用の登録防止や地理試験内容の高度化、民主・公平な運営の確保を重視した実効ある改善措置を求める。
 2) 新たに設置される指定地域については、実効ある運転者登録制度として機能させるために、登録、登録時講習の内容、効果測定などについての厳格化及び処分時の公平性・人権の確保を求めていく。
 3) 指定地域以外の地方都市等においては、「全国的な運転者登録制度の導入」を視野に入れつつ、現存している地方タクシー協会などによる運転者登録等の業務の改善強化を求める。運転者登録等の業務がまったくなされていない地方都市等は、指定地域の運転者登録制度を参考にし、同等の仕組みの確立がはかられるよう行政、事業者団体に求めていく。

 また、政府・国交省自らが確約し弊害・混乱の防止策として発した参入・増車、運賃・料金など運用基準の厳格な適用や実効ある監督指導の徹底を求める。
 規制緩和に伴う賃金低下などに関わる国家賠償請求訴訟については、実態告発と国の責任の追及、運動高揚と世論喚起の場として位置付け、引き続き東京地連への支援・協力体制の強化をはかる。

A 増車と運賃値下げ競争への歯止め闘争

 際限のない増車・運賃値下げ競争を可能にしている背景要因への歯止め闘争を関係行政、経営者に対して展開する。とくに、宮城・大阪など増車・運賃競争激戦区への対策を重視し、中央本部として代表団を組織し運輸局、事業者団体などへの要請行動を行う。
 賃金では最低賃金法違反の一掃と累進歩合制度の廃止、雇用形態では日雇い・アルバイトの禁止(運輸規則第36条)と名義貸しの排除(道運法第33条)を重視し地域的闘争として発展させる。

B 署名運動の推進

 ハイヤー・タクシー関係は、タクシー運転免許の法制化(タクシードライバー法の制定)要求を真正面に掲げる。個人署名の春闘期間中(5月末)における目標は10万筆とする。

C 労働者と事業の将来にむけた“提案型”政策闘争の推進

 タクシー関係は、地方自治体に公共交通機関としての位置付けを明確にさせ、乗り場の増設やバスレーンへの乗り入れ、乗合タクシーの導入、福祉・介護タクシーの活用、タクシーの役割の明確化と「パーク・アンド・ライド」方式の具体的検討を求める。さらに、08春闘の重点課題として、公共の秩序維持、環境対策など住民の福祉の観点から、地方自治体・地方議会が行政区域内のタクシー事業者に減車を求めるなどの措置を講じるよう要請していく。
 自教関係では、地域の交通安全教育センターとしての機能強化に関する政策提言の実現、「職務領域や業務の拡大」を重視する。
 観光バス関係では、公正な取引ルールの確立、安全性と雇用の確保のための政策要求を掲げてとりくむ。とくに運賃ダンピング・区域外営業など法違反の是正や白バス行為の一掃、過労運転の防止措置、労働条件改善にむけての環境整備を重視する。

闘いの基本方向と組織の強化拡大

(1) 学習を重視し、権利要求の構えで

 「社会的水準の労働条件は保障されるべき」という権利要求の原則的立場を貫く。その上で、それへの接近にむけた経営責任の追及と協力・共同の模索、要求実現を妨げている職場環境の改善(政策要求の実現)の視点を重視する。また、要求面における多数派形成を重視し学習の徹底をはかる他、対話と宣伝の推進をはかる。この際、08春闘における情勢上の有利な条件の存在を全組合員の確信とすることに努め、さらに、情勢変化の内容を広範な仲間に知らせることの大切さを共有できるようにしていく。

(2) みんなで決め、みんなの力を合わせ、みんなで行動を

 みんなで決めた要求書の提出、回答指定日や統一ストライキの設定に責任を持ってとりくむことができるよう、産業別統一闘争の意義徹底を含め中央・地方での指導強化をはかる。とくに統一ストライキについては、足並みを揃え、統一的な力を集中してたたかうことの重要性を徹底する。

(3) 地域を足場に、社会のあり方を変える運動の前進を

 「くらしと雇用・いのちの危機打開、地域から世直し春闘を」の視点を重視し、「もうひとつの日本」をめざす地方(地域)労連一体となった公務・民間共同の春闘推進にむけ全力をあげる。また、地域に共通して存在している総合的な交通体系のしくみや医療・福祉、介護政策のあり方、自治体サービス、住宅や環境保全、住みよい街づくり、地域経済の健全な発展にかかわる要求を持ち寄っての共同を重視し、その実現に努める。

(4) 仲間を増やし、組織の力をつけ、魅力ある自交総連の確立を

 当面する組織拡大の目標は、組織現勢2万1000人(07年8月末現在)から9000人増を果たし、実勢3万人を回復させることにある。08春闘では、この目標の達成にむけて本部・各地連(本)ともに集中した組織拡大運動にとりくむ。
 このとりくみを前進させるため、1月30日午後、全労連会館で「組織強化拡大全国交流会」を開催する。「組織拡大月間」は3〜5月に設定し、組織内未加盟者への対話と加入呼びかけ、地域単位による宣伝、職場訪問、空白県対策など集中したとりくみを行う。

春闘体制、闘いの流れと統一行動

(1) 全労連・国民春闘共闘委員会の構想

 全労連は、「なくせ貧困、ストップ改憲!つくろう平和で公正な社会」を08春闘の統一スローガンとし、「たたかう構え」と「前進をめざす要求課題と運動」では、以下の点を提起している。
 たたかう構えの第1は、「もうひとつの日本」をめざす大運動のこの間のとりくみが、貧困と格差の解消を求め、改憲運動に反対する国民世論を高めてきたことに確信を持ち、08春闘の闘いを継続・強化すること。
 第2は、深刻な労働、生活実態にある青年・非正規労働者との共同と連帯の運動を重視し、要求運動を通じた未組織労働者の組織化にとりくむこと。
 第3は、要求討議や統一行動への全組合員参加の追求などを徹底し、地域での共同の先頭に立ち、「労働運動の風」が職場と地域に吹く状況を作り出すこと。
 第4は、行動配置については、総選挙含みで政治情勢が推移することをふまえ、集中的なとりくみを工夫するとともに、組合員の政治論議の活性化を促す対話を強めることである。
 「前進をめざす要求課題と運動」では、@格差と貧困是正をめざした賃金底上げ、働くルールの確立、A組合員が生活する地域社会の安心・安全の実現、B改憲策動に反対し、平和と民主主義を守る憲法
闘争の推進、の3つを掲げ、08春闘に臨もうとしている。
 全国統一行動の主な計画は、次のとおりである。
 ○1月8日 新春統一宣伝行動
 ○  18日 日本経団連包囲行動
 ○2月13日 なくせ貧困、諸要求実現中央総行動
 ○  27〜29日 地域総行動ゾーン
 ○3月5日 中央行動
 ○  13日 春闘要求実現をめざす全国統一行動
 ○4月23日頃 春闘統一行動

(2) 中央・地連(本)闘争委員会の設置

 08春闘を推進するために、第30回中央委員会において中央闘争委員会(常任中執メンバーで構成)を設置する。この中央闘争委員会は全国的闘争指導に責任を持ち、中央で実施される産業別統一闘争の先頭に立つ。また、全国的闘争の戦術配置や地連(本)の指導にあたる。
 各地連(本)は、本部の春闘体制に対応するため、必ず闘争委員会を設置し、地方での具体的闘争を計画・指導する。

(3) 中央・地連(本)での春闘準備、宣伝行動の実施

 第30回中央委員会は1月29〜30日、東京・全労連会館でひらき2008年春闘方針を決定する。すべての地連(本)は、春闘情勢に見合った闘争体制を確立するため、2月中に春闘討論集会や学習会をひらき基本的な意思固めを行う。
 組合員を激励するため短冊・のぼりなどを作成する。短冊の標語については第30回中央委員会で募集し、例年どおり入選作品を決める。また、組織内はもとより未組織労働者や未加盟組合への宣伝、ビラ配布を重視し、春闘への参加を呼びかける。

(4) 闘争計画の具体化と統一行動の配置

@ 春闘スタート、規制緩和失敗の責任を問う2・1宣伝行動

 新道路運送法施行7年目を迎える2月1日に、春闘総決起の呼びかけと規制緩和の失敗を告発し、政府・行政の責任を問うタクシー労働者及び利用者、地域住民への宣伝行動を全国で実施する。中央では、関東ブロック規模の宣伝・決起集会を霞ヶ関周辺で行う。

A 行政当局・経営者団体へのいっせい申し入れ行動

 2月27〜29日のゾーンで、“運賃改定の社会的公約を守れ”“多すぎるタクシーを減らせ”“増車・運賃値下げ競争をやめろ”など事態改善の緊急要求に関するいっせい申し入れ行動を地方(地域)ごとに実施する。これを受けて、中央では国交省・厚労省・警察庁及び全乗連への申し入れを3月5日に行う。

B 要求提出とストライキ権の確立

 要求提出は3月3日までとし、集中回答日を3月21日に設定する。ストライキ権については、それぞれの単組(支部)ごとに要求決定の段階で確立する。

C 自交総連中央行動の計画

 自交総連中央行動は、実効ある運転者登録制度の実現と運賃改定に伴う労働条件の確実な改善及び増車抑制、減車の実現を重点課題とし3月5日に配置する。


〈関連文書〉

07年秋から08年春闘にむけた
闘争の到達点と課題

 自交総連は07年10月17〜18日、東京・すみだリバーサイドホールでひらいた第30回定期大会で「闘いの歴史に学び、産業別運動の新たな飛躍と挑戦、強大な自交総連の構築を」をスローガンとする運動方針を決定した。
 07年秋から08年春闘にむけての闘いでは、各地で想定されたタクシー運賃改定に伴う労働条件改善の闘いをはじめ、重点として、@組織の強化拡大を、すべての運動と結合させてとりくむ、A増車抑制と減車、労働条件の改善にとりくむ、B登録制度の導入時に地理試験を実施させ、将来への展望を切り開く――を定めてとりくむこととした。

(1) 主な統一行動などのとりくみ

@ 未組織の組織化 本州縦断宣伝キャラバンの実施

 07年2月、3月に続き3回目となる宣伝キャラバン行動を9月28〜10月14日に実施した。
 行動地方は、京都〜北陸〜東北〜関東〜東海〜近畿〜岡山の20都府県にわたり、久賀特別中執(全労連オルグ)、大阪・佐野南海交通労組の日垣、山原両氏が全日程に参加したほか、当該の各地方から協力を得て、56駅(ターミナル)で2526台(人)の仲間へ2945セットのビラ等を配布した。
 詳細な報告については、小林書記次長がまとめを行い「月報」362、2007年11・12月号に掲載している。

A 11・16中央行動の実施

 中央行動は07年11月16日、東京・埼玉・千葉・神奈川の仲間と本部常執ら500人が参加して実施した。
 午前8時半から約100人で霞ヶ関宣伝、宣伝カーから本部委員長・副委員長らが各地の実情を交えて訴える中、運賃改定の目的を書いたビラを配布し、10時からは国交省に個人請願を実施。全労連の小田川事務局長らが激励にかけつけ、ブロック代表の決意表明の後、事前に集めた分を含めて8264筆(追加提出含む)の個人署名を提出した。午後からは、国交省・厚労省・全乗連と交渉した。

B 地方ごとの行政当局交渉の実施

 07年11月7〜14日(ゾーン)に、各運輸局・支局に対し「いっせい申し入れ交渉」を実施することとしてとりくんだ。東北(11/9)、関東(11/27)、近畿(11/2)、中国(11/22)、九州(11/14)運輸局に対して、ブロックごとに交渉を実施した。
 運転者登録制度での登録実施機関や効果測定のやり方など各運輸局によって異なってくる部分もあることから、局ごとに独自の交渉・要求を継続していくことは今後も重要なとりくみである。四国ブロックが交渉していないので体制を強化する必要がある。

C 国民的課題のとりくみ

 07年10月28日に「新テロ特措法案阻止 ストップ改憲!許すな消費税増税!なくせ貧困!いのちとくらし・雇用を守れ 国民大集会」がひらかれ、全国から4万2000人が結集した。自交総連からは東京地連を中心に参加した。
 その他、全労連の提起する、なくせ貧困、反核・反基地などの課題の行動に各地連(本)ごとに参加した。
 国会では11月28日に、最低賃金法改正と労働契約法が成立した。
 最低賃金法改正では、使用者の支払能力を考慮するという不十分さは引き継がれたものの、生活保護との整合性に配慮するとの条文が入った。告発者の不利益扱い禁止や罰則の強化と合わせて、今後、違反の是正と毎年の改定で連続的に大幅な引き上げをかちとっていくことに生かしていくことが重要である。
 労働契約法は、合理的な変更なら一方的な就業規則の変更で労働条件を改悪で
きると解釈できかねない条文が入っている点が問題で、労働者の合意なき労働条件の不利益変更はできない(同法9条)という原則をあくまで貫いていく対応が求められる。

(2) 主な闘いの成果と教訓、今後の課題

@ 職場要求の獲得状況とその評価

 運賃改定が実施(公示)された地方では、改定の趣旨にそった確実な労働条件改善をめざして、各職場で、ノースライドプラス重点改善要求の実現や減車・上限運賃はり付きなどの確認書の締結をめざしてとりくんだ。確認書を締結し、労働者負担の全廃など重要な成果をかちとった職場もある。一方で、当面、賃金支給基準は変えないという口頭の確認に留まっているところや、改悪の提案がされているところもあり、引き続き闘いを継続している。
 運賃改定がない地方では、年末一時金や職場の施設改善などで前進をかちとったところもあるが、要求の提出自体が少なく、秋闘自体にとりくめない職場も多かった。要求をまとめ、交渉して、改善をかちとるということは、労働組合の原点にも関わる問題であり、再度点検して、すべての職場でとりくめるようにしていく必要がある。

A 長期争議組合の解決、闘争の前進と教訓

 宮城地連・塩釜交通労組は、一方的な賃下げなどの不当労働行為について07年9月5日、宮城県地方労働委員会より勝利命令をかちとった。
 山口地連・防府構内支部は、嘱託で72歳の組合員の不当解雇について9月25日、解雇無効の仮処分で勝利した。高齢の組合員の雇用を守るという点で大きな意義のある勝利といえる。
 大阪地連・佐野南海交通労組は、第一交通の組合つぶしとたたかい続けているが、80件を超える係争事案の中でも、最も重要な裁判といえる偽装廃業・全員解雇などの裁判で10月26日、大阪高裁で勝利判決をかちとった。第一交通本社の雇用責任を認め、黒土会長・田中社長の個人責任も認定する一審判決を上回る完全勝利といえる判決だった。第一交通は上告して依然、不誠実な態度を続けているが、全面解決にむけて、さらに全国的に包囲していく必要がある。

B 政策闘争の前進と今後の課題

1. 実効ある運転者登録制度の確立
 07年6月に成立したタクシー業務適正化特別措置法改正で導入されることとなった運転者登録制度については、国交省内で実施の具体的内容にわたる政省令の作成が進められた。自交総連は、法案審議で獲得した到達点をふまえ、7月と11月の交渉で、実効性のある制度となるよう要求し、運賃改定問題とも関連して、運転者の質の強化につながる世論の喚起に努めてきた。
 国交省は12月4日、講習や効果測定の内容についての原案を各労働団体・経営団体の代表に説明した。08年4月1日の施行にむけ、その間に各団体への説明を何度か実施して意見を聞きながら進めるとしている。意見が必ず政策に反映する保障はないとはいえ、昨年、経営側の意向をうけて交政審小委員会報告を骨抜きにする法案作成作業を進めたことに対して、自交総連が全国で厳しく抗議したことなども反映して、姿勢を変化させたものといえる。
 提案されている講習・効果測定の内容は、まだ不十分な点もあり、今後もより実効性のある制度にむけて要求をしていく必要がある。

2. 減車要求、緊急調整措置の改善
 規制緩和以降の都市部でのタクシー過剰は、各地で深刻な問題を引き起こしている。この間の実態告発は世論を喚起し、運賃改定問題とも連動してマスコミの関心も高まっている。
 07年8月に実施した公正取引委員会交渉で、地方自治体が公共の秩序を維持するために行う減車の要請については、独占禁止法上の適用除外もありうるとの見解を引き出したことは、地方でのとりくみに広く影響を与え、全乗連や国交省も注目する動きとなり、新潟県や仙台市で知事・市長が減車のために公正取引委員会と調整する意向を表明するなど、事態改善への端緒が生じている。住民の安全・環境を守るための減車という課題で、自治体・地方議会への働きかけを強めていく必要がある。
 国交省は11月20日、仙台市を緊急調整地域に指定するよう運輸審議会に諮問することを明らかにするとともに特別監視地域制度も見直すこととした。仙台市が緊急調整地域に指定される方向となったことは、遅きに失したとはいえ当然である。特定・準特定特別監視地域等を設けて、労働条件等の調査や監査を実施するとしたことは、一定の歯止め策として一歩前進といえる。今回の措置は、増車の停止あるいは減車の勧告に留まるもので、増えすぎた車両を減らして需給バランスを回復させるものではないが、宮城地連の国賠訴訟裁判などのとりくみが事態を動かしたものである。宮城地連では12月6日、緊急調整地域が運輸審議会に諮問されることを受け、国賠訴訟を取り下げ、勝利報告集会をひらいた。今後、具体的な運用方法等を含めて実効があがるよう注視していかなければならない。

3. 運賃改定問題
 運賃改定は、07年8月以降39運賃ブロックで実施され、4月の3ブロックと合わせて、全国90ブロック中42ブロックで改定された。
 とくに注目された東京地区の運賃改定は、10月18日に物価問題に関する関係閣僚会議で了承、19日に関東運輸局から公示された。同閣僚会議は「政府は、事業者及び同団体に対し、タクシーサービスの質を維持するためにタクシー運転者の賃金の改善のためのコストを賄うという今回の運賃改定の趣旨に鑑み…、タクシー運転者の労働条件を確実に改善する…よう強力に指導(する)」との政府方針を示したのをはじめ、各運輸局は本省通達(3.28通達)と同趣旨の指導方針を表明し、厚生労働省も12月3日、政府方針にもとづき、労働関係法・改善基準告示の遵守と労働条件の改善を全乗連に要請する通達を出した。
 東京の運賃改定では、運賃競争をもたらした「大口割引」について各社が申請せず、大口割引はなくなった。東京地連の行政・国賠訴訟裁判をはじめ、不毛な運賃競争への批判を反映した運動の成果といえる。
 昨年秋以来、行政当局への要求として掲げた、@改定理由の公表、A原価公開、B事業者宛通達の発出、C能率的な経営の指導、D法令違反の摘発、E改定後の調査・指導――については、6点ともほぼ達成したと評価できる。これは、正当な要求を掲げた全国的な運動の強化という主体的な条件と格差と貧困是正の世論の高まりという客観情勢との相乗効果によるもので、闘いの主要な舞台は、各地域・各職場に移ることになる。かちとった有利な条件、通達・政府方針を最大限に活用して、確実な賃金の改善をはからなければならない。
 一方、茨城や岡山、福島の一部のように運賃改定は実施されたものの、一部の事業者が運賃据え置きにした結果、他社が追随して大半の車両が現行運賃のままで運行している地方もあり、据え置きの不当性・不合理性を訴える宣伝を強化する必要がある。
 石川では、申請取り下げにより運賃改定審査が中断したが、地連の宣伝、奮闘もあって、労働者の中で取り下げ・値下げをした企業に対する批判が高まるなかで、再度、運賃改定申請をさせ、運賃審査が再開された。
 新潟、三重では、事業者が申請を取り下げて改定作業が中断、宮城や大阪、京都など全国の半数程度のブロックでは改定申請が出ていない。これらの地域では、増車・運賃競争の是正、業界秩序回復のとりくみが進められ、運賃改定を実施できる条件を整える奮闘が続いている。

C 組織強化拡大の到達点と評価

 組織拡大では07年9月以降、北海道、福岡、石川、大阪で5組合64人が新たに加盟した。岡山では10月13日、地連が結成された。
 新加盟組合は、労基法違反が蔓延、一方的賃下げ、会社譲渡など、劣悪な労働条件のもとで切実な要求・課題で産別に結集してきたもので、宣伝を徹底し、労働者の権利・利益を守る労働組合の存在を広げていけば、拡大できる条件があることを示している。
 本州縦断キャラバンでの奮闘は、今後の組織拡大の布石として重要な役割を果たした。
 一方、結成準備中や結成直後に、会社側の攻撃によって組織が破壊されるケースも目立っており、結成前後には、警戒心を強め、組合員教育の徹底、地連(本)、地域ぐるみの支援体制をつくるなど、教訓を生かした組合結成のノウハウを確立していく必要がある。
 基礎的学習や幹部教育など組織強化を通じて、既存組合でも持続的に拡大しているところもあるが、全体としては、1年延長した3万人の達成には至らなかった。08春闘の中ですべての課題と組織拡大を結合させ、目標達成にむけた前進をはかることが必要である。

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