2010年秋から2011年春闘にむけた闘争方針

 2010年秋から来春闘にかけての闘いは、タクシー運転者一人当たりの営収を回復し労働条件を改善させるための減車を確実に実現することが最大の重点となる。観光バス、自教労働者にとっても、職場権利を守り、生活を確保するための重要な課題に直面するなかでの闘いである。すべての組合員が力を合わせ、産別組織の強化拡大と結合しながら奮闘することが求められる。

 昨年10月に施行されたタクシー活性化法にもとづき各地で設置されたタクシー地域協議会は、おおむね地域計画を作成し、不十分な点もあるが減車の目標を掲げるに至っている。問題は、この減車を各社が実際に実行し、地域の需給関係を改善することができるかということである。

 7月の参議院選挙では、公約違反を重ねた民主党が敗北したが、議席を伸ばした自民党、みんなの党、また民主党の中にも、乱暴な「地域主権改革」をすすめ、市場原理主義、規制緩和政策の復活を目論む勢力が存在している。大衆行動で国民要求の実現をめざすとともに、来春に行われるいっせい地方選挙での地方政治革新をかちとらなければならない。

1.減車の実現、政策要求闘争の前進で将来展望を

 (1)タクシー減車の確実な実行をはかるため、安心・安全なタクシーの実現に不可欠な減車の意義を社会的に訴え、世論の喚起をはかる。10月1日には全国いっせい宣伝行動を実施、各地方で宣伝を行う。

 多すぎるタクシーの実態、運転者の劣悪な労働実態を改めて明らかにするとともに、安全で利用しやすいタクシーのためにはタクシー運転免許の実現が必要であることを訴えていく。

 (2)減車を含む特定事業計画を提出しない、あるいは実行しない事業者、また低額運賃の継続、新設を行おうとする事業者については、タクシー活性化法の趣旨を理解せず、労働者に犠牲を押し付けて利己的に利益を確保しようとする行動が、安全軽視につながり、結局はタクシー事業の将来を失わせるものになるという実態を明らかにして、世論で包囲するようにする。

 (3)各地連(本)は、運輸局・支局、労働局交渉を実施する。

運輸局・支局に対しては、地域計画の実行状況を把握し、協力しない事業者への適切な指導、「勧告」の実施を要請するとともに、運転者の労働条件の改善というタクシー活性化法の趣旨の徹底を求めていく。

 労働局に対しては、最低労働条件確保の要請を行うなかで、悪質事業者について労働条件等の実態等を調査して告発、運輸当局と連携して是正していくことを求めていく。

 (4)地域協議会に各地方自治体も参加していることを重視、交渉を実施して、自治体内にタクシーを担当する部署を設置させるとともに、地域の交通政策の中でタクシーを活用するとりくみをすすめるよう要請していく。

 (5)減車や低額運賃是正などの課題は、健全な事業の発展を希望する事業者とも共通する課題であり、一致する点については協力・共同をすすめる。

2.職場権利の確保、底上げめざし要求の実現を

 (1)各地連(本)、単組・支部は、秋闘での重点要求を設定し、実利・実益の獲得をめざす。要求設定では、組合員の希望、要求をよく話し合い、不安定雇用労働者や未組織労働者も含めた広い視野に立って要求をまとめ、必ず会社に提出する。要求提出は10月29日(金)まで、回答指定日を11月10日までとし、11月中決着をめざす。

 (2)地域全体での賃金底上げ、権利の確保を重視し、労働局交渉のなかで、最低賃金法違反の地域的一掃、累進歩合制度の廃止、長時間労働の是正、割増賃金の適正かつ確実な支払いなどを求めていく。

 とくに最低賃金法違反については、停車時間を休憩とみなすなど違法で悪質な法違反逃れが広がる傾向にあるので、実態をよく調査し、具体的事例を申告して是正をさせていく。

 (3)自動車教習所は、年末一時金要求をはじめ、賃下げ、パート・契約指導員の導入による人件費削減、料金値引き、営業時間の延長などの「合理化」反対、非正規社員の正規化や権利確保を重視し、職場ごとに重点要求を決めて、その実現をはかる。

 (4)観光バスは、運賃の切り下げ、長時間労働の押し付け、正規からアルバイト・派遣労働者への配置替えなど、安全運行に重大な影響を与える「合理化」を許さず、不当な雇い止め禁止、正社員化、有休などの権利確保、長距離運行規制につながる改善基準改正などの要求を掲げてたたかう。

 (5)異常な円高による景気の悪化が懸念され、すでに規制緩和で疲弊しきったタクシー、観光バスなどの倒産・廃業が頻発するおそれがある。経営実態等を把握し、事前防止、経営改善対策にとりくむ。

3.全員参加、あらゆる機会を活用して組織の拡大強化を

 (1)すべての闘いを組織拡大と結合し、職場・地域であらゆる機会を活用して自交総連の姿を知らせ、未組織労働者に加入を呼びかける。

 (2)全労連が設定した組織拡大月間(10月〜12月)の3か月間に合わせて運動を集中し、2011年1月の中央委員会までには、各地連(本)が1単組以上の拡大を果たす。とくに個人加盟方式の「地域タクシー労働組合」を重視したとりくみを強める。

 (3)各地連(本)は、重点的な地域を設定し定期的な宣伝行動を行う。宣伝物は、自交総連本部で片面の版下を作成したものに、独自に作成したものを組合せ活用する。

 (4)各地連(本)・ブロックは、大会等の機会も活用しながら、次世代の幹部育成にむけた学習会を行う。講師の体制は各地連(本)・ブロックを中心とするが、要請により本部三役専従者を配置する。学習には、本部で作成する『基本政策集』を積極的に活用する。

 (5)各地連(本)、単組・支部の大会時を契機に、組織・教育・財政の総合した組織点検を行い、今後の方針を確立する。大会では、必ず組織拡大の中・長期計画を立てるようにする。

4.格差と貧困をなくし、地方・地域の政治革新を

 (1)参議院選挙の結果、民主党政権は構造改革路線への回帰や消費税増税などの悪政をさらにすすめる危険性が強まっている。全労連の提起にもとづき、「消費税率の引き上げ反対署名」にとりくむ。タクシー労働者にとっては、税率引き上げが「税抜き営収」で計算される賃金計算に直接影響し、乗客減とともに深刻な被害を及ぼすことを学習し、宣伝を強める。

 (2)後期高齢者医療制度の廃止、安全や福祉に果たす国の責任を投げ捨てる地域主権改革反対、普天間基地撤去、沖縄県内・国内への移設反対など国民的な課題については、全労連の提起にもとづき、各地方での行動、集会などに積極的にとりくむ。

 (3)来年4月には、いっせい地方選挙が行われる。福祉タクシーの充実、地域公共交通政策の実現など、自交労働者の要求実現は地方政治と極めて重要な関わりをもっていることをふまえ、地方政治の革新を求めてたたかう。

 首長選挙で、革新統一候補の擁立などの準備がすすめられる際には、組合員の要求実現との関わりでその意義を明らかにし、労働組合として積極的に参加していく。

 自交総連としてのいっせい地方選挙闘争方針は、来春闘時に決定する。

5.統一行動の設定と主な日程

 (1)タクシー活性化法が施行された10月1日に、減車の実現と組織拡大を訴える全国いっせい宣伝行動を設定する。各地方では宣伝行動を実施する。

 (2)中央行動は、全労連が11月18日に設定している「秋闘要求の前進、消費税引き上げ反対、軍事費削れ」(仮称)の中央行動に合わせて、交運共闘の仲間とともに、自交労働者の要求実現を求める行動を配置する。具体的な内容は省庁請願行動、集会等を計画中だが、詳細は全労連、交運共闘との調整の上、提起する。

 (3)2011年春闘準備の前段として、春闘要求の具体的な根拠となる「はたらくみんなの要求アンケート」にとりくむ。アンケートは組合員に限らず未組織者にも対話しながら行い、全体で2万枚の目標とし、必ず前年の回収数(全体で26地方1万0058枚)を上回るようにする。

 (4)春闘方針は11月中に執行部原案をつくり、2011年1月の第33回中央委員会で決定する。春闘方針の職場討議は1月から執行部原案にもとづき行う。

(5)主な日程

10年10月〜 地方自治体、運輸局・支局、労働局交渉
   10月1日 減車の実現、組織拡大全国いっせい宣伝行動
   10月25日 第5回中執
   10月26〜27日 第33回定期大会
   10月29日まで 要求提出
   11月10日まで 回答指定日
   11月17日 第1回常執
   11月18日 11・18中央行動
11年1月25日〜26日 第33回関係弁護士交流会
      26日〜27日 第33回中央委員会(春闘方針決定)




自 交 総 連