2011春闘方針(案)

自交総連

2011年春闘の位置付けと闘いの焦点

(1)賃金底上げと職場権利の確立、今こそ組織の強化拡大を

 2011年春闘は、「国民の生活が第一」を公約して誕生した民主党中心の政権が昨年の参議院選挙で大敗し、「国民の生活は置き去り」の政治への不信と怒りが広がる状況のもとで、生活できる賃金と雇用の確保、景気回復、社会保障の拡充などを求める労働者・国民共同の闘いとしてとりくまれる。

 自交総連は、この春闘を『大幅減車、賃金底上げと職場権利の確立、組織の強化拡大を 2011年春闘』と位置付けてたたかう。ハイヤー・タクシー、自動車教習所、観光バス事業をとりまく環境には厳しいものがある。それだけに、自交労働者のくらしと権利の確保、事業のあり方と将来の課題に関わる極めて重要な闘いとなろう。

 自交総連は、第33回定期大会で提起した3つの運動基調、すなわち「運動の到達点に学び、規制強化の流れを確かなものに」「貧困・生活危機突破、存在感ある組合運動の前進のために」「目線を地域に、政治の民主的転換の課題と結合して」にもとづく闘いの強化を重視し、2011年春闘にとりくむ。

 春闘前進にとって欠かせない条件とは何か。

 第1は、職場を基礎とする産業別統一闘争強化の視点を徹底し、企業内組合の弱点を克服しつつ、同一地域で働いている自交労働者の正規・非正規を超えた賃金底上げ、横断的な労働条件の確立をめざすことである。

 タクシーでは、減車闘争が新たな段階を迎えるが、実効性を高めるためには、減・休車未実施事業者の存在や低い減・休車率の背景に、競争ルールを無視し法律違反を公然と続けている悪質事業者の存在があることに着目し、“法違反の地域的一掃”の視点でのとりくみ強化をはかる必要がある。

 第2は、権利主張を貫くことの大切さを再認識するとともに、職場権利の確立にむけた運動構築をはかることである。

 権利とは、特定の利益を他人に対して主張できる力である。日本国憲法は第25条で“生存権”を明記し、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」ことをうたい、第28条では「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」としている。

 2011年春闘では、権利を労働者・労働組合の力とし、運動の原動力として運用することが求められる。職場権利では、労働組合法にもとづく対等・平等、正常な労使関係の確立の課題を重視するとともに、労働基準法、最低賃金法、自動車運転者の労働時間等改善基準告示などの関係法令、諸通達の積極面を活用し、“地域的な改善闘争”として経営責任を追及することが大切である。

 第3は、自交総連の活躍に期待する声が、以前にも増して大きいことに留意し、2011年春闘では、賃上げ、労働条件の改善をめぐる諸闘争の前進をはかることによって、自交労働者の関心を高め、たたかう労働組合への期待を通じ自交総連への結集をめざすことが必要・不可欠である。

 たたかう基盤の強化なしに、状態悪化に歯止めをかけ要求闘争を前進させることはできない。職場組織、地連(本)の力量を質量ともに強化拡大し、確固たる組織的基盤を確立することは重要な課題である。

 正規雇用に替わる非正規雇用労働者の拡大に対する組織的対応の遅れは、組織拡大運動の領域を狭め、際立った成果に結び付かない結果をもたらしている。さらに、企業倒産や組合員の高齢化、後継幹部の不在などに起因する労働組合存続の危機にも警戒心をもっておく必要がある。

 すべての地連(本)、職場組織が具体的な拡大目標をもち、推進体制を確立して組織拡大を追求することが求められている。

(2)大幅減車と同一運賃化の実現で、確実な労働条件改善を

 ハイヤー・タクシー労働者の賃金(271万円、厚労省調べ、08年)は、他産業労働者(510万円)との比較では239万円という格差が生じている。09年の場合、他産業労働者の調査結果がまだ公表されていないため、格差の実態は明らかではないが、タクシーの賃金水準そのものは243万円で、前年より28万円低下しており改善の兆しは見られない。これまでも、地域別最低賃金や生活保護基準額を下回る異常な低賃金が全国的に常態化していたが、さらに、円高・デフレ不況が追い討ちをかけており、運収減による賃金低下は貧困化と格差拡大をさらに深刻化させている。

 ハイヤーや自教・観光バス労働者は、賃下げや一時金カット等の「合理化」に加え、倒産・廃業、企業閉鎖に伴う雇用の危機が続いている。

 自交総連第33回定期大会は、『安心・安全、誇りと働きがい、地域貢献 力を合わせ、将来像への道を開く運動構築を』を中心スローガンとして確認し、「たたかう自交総連の本領発揮が期待されている中で、あらためて、“みんながつくった自交総連”の原点を思い起こすことが求められている。その上で、職場で労働組合としての存在意義を示し、同時に、主戦場である地域を視野に入れての運動との結合をはかりつつ、自交労働者の生活防衛闘争の先頭に立つことが重要である」ことを強調した。

 2011年春闘では、いっせいに要求を提出し、職場での闘いを基礎に産業別、地域別、全国的な統一闘争の力によって、生活危機打開の展望を切り開かなければならない。とくに、(1)減車による適正な台数への接近と上限運賃の確保、(2)社会的水準の労働条件に近づく上での確実な労働条件改善、の2つの課題を重視し、運動の力によって要求前進をはかる必要がある。

(3)働くルールの確立、企業の社会的責任(CSR)を問う闘いを

 09年10月に施行されたタクシー活性化法は、「タクシーは、鉄道・バス等とともに、我が国の地域公共交通を形成する重要な公共交通機関である」と明確に位置付け、特定地域における地域計画を作成するに当たっては、(1)タクシーサービスの活性化、(2)事業経営の活性化、効率化、(3)タクシー運転者の労働条件の悪化の防止、改善・向上、(4)タクシー事業の構造的要因への対応、(5)交通問題、環境問題、都市問題の改善、(6)供給抑制、(7)過度な運賃競争への対策――を取り上げている。

 こうした目標の設定は、タクシーが地域公共交通の分野で担うべき重要な役割を果たしていく上で障害となっている諸問題の反映そのものであり、全国156の特定地域で進められている特定事業計画に係る減休車は、今まさに、「企業の社会的責任」が大きく問われる問題となっている。

 09年9月に起こった東京・大手タクシー会社への事業許可取消処分は、安心・安全な輸送を根幹から揺るがす「運転者の過労防止に関する措置がまったく不適切」という違反行為(拘束時間超過、休息期間不足、乗務距離の最高限度超過他)の繰り返しによるものであったが、新聞・テレビで取り上げられ、タクシー業界にも大きな衝撃を与えた。2010年に入ってからも、大阪のタクシー事業者2社共に、監査の結果、ずさんな管理による複数の違反が確認され、違反点数が81点以上となったため、9月に事業許可の取消処分となっている。

 「企業の社会的責任」(CSR=コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ)は、法令遵守や製品・サービスの安全確保といった当たり前の行動に加えて、環境対策、人権尊重、地域・文化貢献など幅広いとりくみを企業に求めるものである。

 公共交通機関であるタクシー及び公共的性格を有する教育機関としての指定自動車教習所の社会的役割は、極めて重い。こうした視点から、労働組合としてのチェック機能の発揮、利益のためなら不法・不正行為もいとわない企業体質の改善、雇用と働く権利の確保、社会貢献、環境保護などにむけてのとりくみ強化をはかる必要がある。

 2011年春闘では、事態改善のために、企業の社会的責任(CSR)を問う闘いと政策闘争とを結合した運動の前進にむけ全力をあげる。

(4)全労連春闘と結合した闘いで、内需主導の経済への転換を

 日本の労働者の賃金は、97年をピークに下がり続けており、この1年間を見ても23・7万円低下し、企業側の賃金支払い総額は97年に比べ28兆6000億円も減少している。円高・デフレ経済のもとで、雇用と失業問題は依然として深刻で、完全失業率は5%という高い水準となっている。

 重大なことは、日本では、大企業だけが大もうけをする一方で、労働者・国民の生活はますます苦しくなり、日本経済そのものも成長しないという歪みが広がっていることである。他の先進国では、労働組合の闘いによって賃金を引き上げても、経済はプラス成長を続けている。賃金が下がり続け、経済成長が頭打ちなのは日本だけである。

 このままでは、日本の経済は、「雇用の減少→賃金低下→内需縮小→デフレ・円高の進行→国内生産縮小→雇用の減少」という“負の循環”に陥るばかりである。この“負の循環”を打開し、「賃金引き上げ→内需の拡大→国内生産の増加→雇用の増加」とい“プラスの循環”に変えることが求められている。

 そのためにも、深刻化する雇用・失業問題の打開、賃上げ、働くルールの確立など、労働者の切実な要求実現と消費税増税反対、貧困と格差の是正、社会保障制度の充実など国民的課題の達成のために、労働組合が先頭に立って奮闘することが期待されている。

 2011年春闘では、広範な国民各層とともに手を携え協力し合い、要求実現への大きなうねりをつくりだすことが重要である。

基本的な要求・課題と闘いの力点

(1)みんなに賃上げを、底上げ闘争の強化

(1) 賃上げ要求の基本的構え

 すべての業種で生活実態に根ざした賃上げ要求(=だれでも○万円あるいは賃率○%以上)を、すべての組合員の総意によって練り上げることを重視する。また、提案型の視点をもって企業の社会的責任や経営者モラルを問う政策要求の実現を迫るとともに、個別企業のみならず事業全体の将来展望を切り開く方向への経営政策の転換、協力・共同によるとりくみを前進させる。

 タクシーでは、減車と上限運賃の確保を最重点課題とし、賃上げプラス減車効果による実収入増確保への経営責任を追及する。重点改善要求については、1)実質的な労働者負担の軽減や手当て類の創設 2)累進歩合制度(累進歩合給制、奨励加給、トップ賞)の廃止 3)非正規雇用労働者における正規雇用労働者と同一水準の賃金確保、を重視していく。

 自動車教習所・観光バスでは、経営環境の改善を重視し、仕事量の拡大など職場政策要求への合意、実施を明確にしたとりくみをはかる。

(2) 底上げ闘争の強化

 ハイヤー・自教・観光バスなど固定給が中心の業種では、職場の全労働者を対象に時間額、日額、月額による企業内最低賃金の締結をはかる。

 タクシーでは下限賃率を一定地域ごとに設定、「○○地域から賃率○○%以下の労働者をなくそう」の具体的なスローガンを掲げて宣伝・行動し、それ以下の賃率を職場・地域から一掃する底上げ闘争を展開する。

(3) 一職場一重点要求の設定と獲得への徹底追求

 職場ごとに、実感のこもった切実で身近な改善要求を必ず設定し、どうしても譲れない解決条件と位置付け、獲得への徹底追求をはかる。また、とくに青年、女性及び非正規雇用労働者特有の要求を大切にし、みんなの力で改善をはかる。

(2)リストラ「合理化」反対、権利の確保

(1) 働く職場の確保と対応

 「倒産・廃業、(悪質企業に)身売りをさせない闘い」を重視し、経営チェックの強化、説明責任の追及など労働組合責任としてのとりくみ強化をはかる。また、一方的な廃業・身売りを防止するために、労働組合との事前協議を前提とする同意約款の締結を求める。

 倒産・廃業への対策を全国的に強化するために、本部専従役員及び常任中執メンバー等によるオルグ団を編成し、迅速かつ適切な対応を行うようにする。

(2) 「合理化」対策と職場権利の確保

 労働組合法にもとづく権利の確保と労使関係の対等・平等、正常な関係の確立をはかる。現行法の積極的活用を重視し、労働基準法、最低賃金法、自動車運転者の労働時間等の改善基準告示など基礎知識の学習を強化する。

 経営困難などを理由とする賃下げ「合理化」提案については、安易な妥協や激突主義を戒め、説明責任を追及し、納得のいく明確な説明と根拠(関係財務諸表の提示など)をもって判断し対応する姿勢を堅持する。

(3)タクシー運転免許構想との結合、政策要求の実現

(1) 事業のあるべき将来像と接近への道

 自交総連は、2001年9月5〜6日に開いた第5回中央執行委員会で、「みんなで知恵を出し、全員参加でタクシー運転免許構想の実践を」と題する方針を決めた。この方針は、目前に迫った2002年2月1日の「改正」道路運送法(=タクシー破壊法)施行にあたり、改めて将来展望に関わる骨格部分と今後の運動展開の基本方向、その実現の道筋について解説するなかで、全組合員のいっそうの奮起と運動への結集を呼びかけるものであった。

 そのなかで、タクシーにおける「事業のあるべき将来像」(長期的な目標)との関係において、以下のような「中期的な目標」及び「当面の目標」を明確にし、その後の運動前進に全力をあげてきた。

 〈事業のあるべき将来像(長期的な目標)〉(略)

 〈将来像への接近(中期的な目標)〉(略)

 〈現実からのステップ(当面の目標)〉(略)

(2) タクシー活性化法施行後における闘いの重点

 自交総連は2010年1月27〜28日、第32回中央委員会を開催し、「特定地域における減車闘争の当面する重点」(補強文書)を含む春闘方針を決定した。減車闘争の推進では以下の点を重視し、この間のとりくみ強化をはかってきた。

 〈減車の実現と企業の社会的責任の追及〉

 ○地域協議会で合意された「適正と考えられる車両数」にもとづく減車の実現は、タクシーに関係を有する地域の多様な関係者に対する最低限の社会的公約であり、その実現の可否は、タクシー経営者の資質のあり方と企業の社会的責任が鋭く問われる問題である。したがって、経営者が地域公共交通機関の一翼を担う者としての責任の重さを自ら自覚し、即時、減車に踏み出すよう、労働組合として積極的な役割を担うことが重要である。

 その際、減車によって、(1)税金、保険料、燃料など経費の節減につながり経営の効率化を促進できる、(2)台当たりの運収増加となり収支状況が改善できる、(3)賃金増と長時間労働抑制など労働条件の改善に寄与できる、(4)交通渋滞の減少に役立ち、地球温暖化防止の課題に貢献できる――などの効果をもたらすことに着目し、減車合意と即時実施を求めていく。

 〈実効的かつ即効性ある減車の実現と対応策〉

 ○減車の具体的実施を想定した場合、事前に「経営の効率化と競争条件の公平化」や「合理的な雇用対策」などに関する対応策をまとめておくことが必要・不可欠である。

 (1)遊休車両の即時減車と適正実働率の確保

 (2)車両における勤務形態の改善、労働時間の適正化

 「1車1人制から2車3人制へ」あるいは「2車3人制から1車2人制へ」など車両における勤務形態の地域的な統一改善策を提起すること。このことは、経営の効率化のみならず、労働時間の適正化にも大きく寄与する。

 (3)新規雇用の一時凍結

 〈最低賃金法違反の地域的一掃と雇用形態の改善〉

 ○減車闘争の具体的な推進に際しては、「最低賃金法違反の地域的一掃」と「違法な臨時・アルバイト雇用の是正、運転者規制の厳格運用と良質な労働力の確保」の2方面からのとりくみ強化をはかる。

 ○最低賃金法違反は、経済不況と供給過剰状態の深刻化のもとで全国的な拡大傾向を示している重大問題である。こうした中で、最低賃金法の活用は底上げの有効な手段となり得るし、ただちに労働者の実利・実益に結び付く。このとりくみはまた、減車推進と低運賃競争の歯止めにも一定の役割を果たすことを重視し、地域的な運動として全力をあげる必要がある。

 (1)違反の根本要因である累進歩合制度の廃止を重要課題と位置付け、“物取り主義”に陥らないよう留意する。

 (2)違反の地域的一掃を現実的に可能とする施策は、減車の実現以外にはないことを重視したとりくみ対策を強化する。

 (3)違反是正の意思がなく、減車にも反対し居直り的姿勢を取り続ける悪質経営者に対しては、労働・運輸行政へのいっせい告発など毅然たる対応手段で臨む。

 ○職場・地域内の点検活動のとりくみを行い、違法な雇用形態の一掃あるいは正常な雇用への切り替えを行わせる。さらに、運転者登録制度の厳格な運用とチェック機能の強化を求め、運転者の資質向上と雇用の適正化をはかる。

(3) 当面する行動展開の基本方向と政策要求

 2010年度運動方針は、当面する行動展開の基本方向にかかわって以下のように述べている。

 『これまでのタクシーの枠組みを超えた発想の転換が重要である。われわれがめざす政策転換の方向は、“もうひとつのタクシー 確かな再生へ”に集約されており、運転者優位の仕組みの確立こそが求められる。規制緩和実施後、自交総連がこれまで重視してきた政策目標(将来像への接近)は、「台数規制と運転者優位の仕組みの確立、タクシー運転免許の法制化」と、「地域に密着した公共交通機関たるタクシーの発展」の2つである。自交総連は、この目標を運動の基本に据えつつ、直面する現状の危機打開と解決策の実現にむけて全力をあげる』

 〈台数規制、運賃〉

 ○当面する最重点課題は、減車による適正な台数と上限運賃の確保である。なお、地域計画に盛り込まれた減車の実施状況及び労働条件改善への実効性等を見極めつつ、適正実車率の実現や同一地域同一運賃の担保に係る制度のあり方(道路運送法改正及びタクシー活性化法の見直し、タクシー運転免許の法制化等)について検討、政策化し、新たな段階における運動方向を提起することが求められる。

 ○地域における賃金底上げの視点を軸に最低賃金法違反の一掃、累進歩合制度の廃止(93号通達)、足切りの引下げ及び改善基準告示の遵守を重点課題としてとりくむ。また、オール歩合給賃金の改善策では、最低賃金を基礎とした固定給部分の制度的確立を重視する。

 〈運転者優位の仕組みの確立、タクシー運転免許の法制化〉

 ○違法な日雇い・アルバイトの禁止(運輸規則第36条)、名義貸しの根絶など雇用の正常化にむけての地域的運動にとりくむ。

 ○08年6月に施行された政令指定都市等13地域における運転者登録制度については、良質な運転者の確保という本来の目的に適った実効性のある仕組みとして定着させる。さらに、タクシー運転免許の法制化にむけての世論形成をはかる。

 〈地域に密着した公共交通機関たるタクシーの発展〉

 ○「地域分権の確立を基礎に、利用者・住民、事業者、タクシー運転者の声が反映する官民合同の委員会を設け、タクシーサービスのあり方や適正なタクシー台数、運賃などの重要事項の決定権を与えるようなシステムの確立をめざす」ことをふまえ、タクシー活性化法にもとづく地域協議会の機能強化、権威ある機関としての役割発揮を求める。

(4)自教・観光バスにおける提案型政策闘争の推進

 自教関係では、「自教労働者の権利と社会的地位の向上、事業の将来のために」(03年4月、第4回中執決定)にもとづきとりくみ推進をはかる。とくに、地域の交通安全教育センターとしての機能強化に関する政策提言の実現、「職務領域や業務範囲の拡大」を重視する。

 観光バス関係では、公正な取引ルールの確立、安全性と雇用・労働条件の確保のための政策要求を掲げてとりくむ。とくに、旅行会社による不当な低運賃の押し付け、運賃ダンピング・区域外営業など法違反の是正、基準が緩すぎる走行距離規制の改善など過労運転の防止措置、労働条件改善にむけての環境整備を重視する。

闘いの基本方向と組織の強化拡大

(1)学習春闘を重視し、「権利要求」の構えで

 「社会的水準の労働条件は保障されるべき」という権利要求の原則的立場を貫く。その上で、それへの接近にむけた経営責任の追及と協力・共同の模索、要求実現を妨げている職場環境の改善(政策要求の実現)の視点を重視する。また、要求面における多数派形成を重視し組織内学習の徹底をはかる他、対話と宣伝の推進をはかる。

(2)みんなで決め、みんなの力を合わせ、みんなで行動

 みんなで決めた要求提出、回答指定、統一行動に責任をもってとりくむことができるよう、産業別統一闘争の意義徹底を含め中央・地方での指導強化をはかる。統一行動については、足並みを揃え、統一的な力を集中してたたかうことの重要性を徹底する。

(3)地域を足場に、社会のあり方を変える春闘の前進を

 生活危機打開をめざす地方(地域)労連一体となった公務・民間共同の春闘推進にむけ全力をあげる。また、地域に共通して存在している総合的な交通体系のしくみや医療・福祉、介護政策のあり方、自治体サービス、住宅や環境保全、住みよい街づくり、地域経済の健全な発展に関わる要求を持ち寄っての共同を大切にし、その実現に努める。

 4月10日と24日の実施が想定されている統一地方選挙では、春闘要求実現の課題と結合してとりくむ。

(4)仲間を増やし、組織の力をつけ、魅力ある自交総連の確立を

 当面する組織拡大の目標は、実勢3万人を回復させることにある。2011年春闘では、この目標の達成にむけて本部・地連(本)ともに集中した組織拡大運動にとりくむ。

 このとりくみを前進させるため、「組織拡大月間」を3〜5月に設定し、組織内未加盟者への対話と加入呼びかけ、地域単位による宣伝、職場訪問、空白県対策など集中したとりくみを行う。

 各ブロックは、「未組織宣伝還元費」を有効的に活用し、空白県の組織化及び既存地連(本)の組織拡大にむけたブロック内キャラバン行動を計画する。また、中央本部としては、東北ブロックを重点対象地域とし、本部専従役員の派遣措置等も含めて行動計画を立てる。

春闘体制、闘いの流れと統一行動 

(1)全労連・国民春闘共闘委員会の構想

 全労連は、『すべての労働者の賃上げ、雇用確保を 実現しよう、内需主導の景気回復』を春闘スローガンとし、2011年春闘をたたかおうとしている。

 実現をめざす重点課題では、(1)すべての労働者の賃金引上げと雇用の安定を (2)労働時間短縮等によるすべての労働者に働きやすい職場を (3)最賃闘争、公契約適正化運動を前進させ、「地場賃金相場」引上げを (4)「雇用守れ、仕事よこせ」の声を組織し、「安定した良質な雇用」を (5)労働者・国民要求にもとづく制度実現を (6)新たな改憲策動を許さず、平和・民主主義の前進を――を提起している。

 自交総連は、全労連が提起している2011年国民春闘方針案の構想にもとづき、春闘準備を進めていく。

 全国統一行動の主な計画は、次のとおりである。

1月7日  全国いっせい新春宣伝行動
14日  春闘闘争宣言・日本経団連包囲行動
1月中旬〜2月初旬 地域総行動
27日  春闘総決起集会
2月10日  中央行動
3月3日  春闘要求実現中央行動
4月中旬  回答引き出し、追い上げの全国統一行動

(2)中央・地連(本)闘争委員会の設置

 2011年春闘を推進するために、第33回中央委員会において中央闘争委員会(常任中執メンバーで構成)を設置する。この中央闘争委員会は全国的闘争指導に責任を持ち、中央で実施される産業別統一闘争の先頭に立つ。また、全国的闘争の戦術配置や地連(本)の指導にあたる。

 各地連(本)は、本部の春闘体制に対応するため、必ず闘争委員会を設置し、地方での具体的闘争を計画・指導する。

(3)中央・地連(本)での春闘準備、宣伝行動の実施

 第33回中央委員会は1月26〜27日、東京・全労連会館でひらき2011年春闘方針を決定する。すべての地連(本)は、春闘情勢に見合った闘争体制を確立するため、2月中に春闘討論集会や学習会をひらき基本的な意思固めを行う。

 決起集会や宣伝行動用の「のぼり旗」を作成する。また、組織内はもとより未組織労働者や未加盟組合への宣伝、ビラ配布を重視し春闘への参加を呼びかける。統一用のビラは中央本部で作成する。

(4)闘争計画の具体化と統一行動の配置

(1) 春闘スタート、実効ある規制強化を求める2・1宣伝行動

 規制緩和実施10年目を迎える2月1日に、春闘総決起の呼びかけと大幅減車の実現、最低賃金法違反の地域的一掃、労働条件の改善問題等における政府・行政、企業の社会的責任を追及する宣伝行動を実施する。

(2) 行政当局・経営者団体へのいっせい申し入れ行動

 2月14日〜3月1日のゾーンで、生活危機打開の緊急要求に関するいっせい申し入れ行動を地方(地域)ごとに実施する。これを受けて、中央では国交省・厚労省・警察庁及び全タク連への申し入れを3月3日に計画する。

(3) 要求提出とストライキ権の確立

 要求提出は3月10日までとし、集中回答日を3月○日に設定する。ストライキ権については、それぞれの単組(支部)ごとに要求決定の段階で確立する。

(4) 自交総連中央行動の計画

 中央行動は、3月3日に配置する。重点要求及び参加規模と行動形態等については、別途検討する。




自 交 総 連