2011年秋から2012年春闘にむけた闘争方針

 3月11日に発生した東日本大震災は、被災地だけではなく日本経済全体に甚大な打撃を与えた。2011年秋から2012年春闘にかけては、被災地のみならず日本経済の復旧・復興とともに、タクシー・観光バス・自教労働者の労働条件改善、権利確保をめざし運動を進めていく。

 震災に関連して、民主党は被災地対策や原発対策で混迷を深める一方、農林水産業切り捨てを進め、庶民増税につながる復興基本法を自民党などとともに強行した。増税は景気の悪化を招くだけである。秋から来春闘にむけた運動は、自交労働者の労働条件改善、3万人の組織への接近、悪政阻止の課題を結合させ全労連とともに諸要求の実現をめざし奮闘していく。

1.減車の推進、政策闘争の前進で将来展望を

 (1)運転者の労働条件改善というタクシー活性化法の趣旨に見合った適正車両数実現にとりくむ。依然として、地域協議会で合意された減車に協力しない、あるいは実行しない事業者は、宣伝行動などで告発し、世論で包囲していく。また、運輸局が地域協議会で示した適正車両数の範囲に到達していても、地域計画に定められた労働条件改善の水準に至っていない場合には、さらなる減車を求めていく。

 (2)運輸局・支局に対しては、地域計画の実行状況を把握し、減車に協力しない、実行しない事業者には、国交省通達「特定地域におけるタクシー事業者の経営状況等に関する調査・監査の実施について」(平成23・4・13付)の厳格な運用や最低賃金法違反の一掃を求めていく。

 労働局に対しては、最低労働条件確保の要請を行うなかで、法律違反を繰り返す悪質事業者について労働条件等の実態を調査し、運輸当局と連携して是正していくことを求めていく。

 (3)タクシー運転免許実現を展望して世論の構築に努力するとともに、良質な運転者確保の観点から、適正な講習と効果測定の実施など運転者登録制度の的確な運用を求める。さらに、地域協議会の機能強化、権威ある機関としての役割発揮を求めていく。

 (4)地方自治体に、タクシーを公共交通機関として位置付けさせ、タクシー問題を担当する部局を設けさせる。また、乗り場の増設やバスレーンへの乗り入れ、乗合タクシーの活用、福祉・介護政策とタクシーの役割及び労働者の関与のあり方について検討・具体化を要請する。

 (5)減車や下限割れ運賃是正などの課題は、健全な事業の発展を希望する事業者とも共通する課題となっている。一致する点については協力・共同を進め、その実現をめざす。

2.職場権利の確保、賃金底上げめざし要求の実現を

 (1)秋闘では重点要求を設定し実利・実益の獲得をめざす。要求設定では、組合員との総対話での要求討議とともに、無権利状態に置かれている定時制労働者や未組織労働者も視野に要求をまとめていく。要求提出は10月28日(金)まで、回答指定日を11月10日(木)までとし11月中決着をめざす。

 (2)地域全体での賃金底上げ、権利確保を重視し、最低賃金法違反の地域的一掃、累進歩合制度の廃止、足切りの引下げ、長時間労働の是正、割増賃金の適正かつ確実な支払い、有給休暇の不利益取り扱いの是正、労働者負担の廃止を求めていく。名義貸し等への対策については、地連(本)毎に情報収集や調査を行い、運輸局・労働局交渉等を通じて根絶をめざす。

 (3)最賃法違反の原因となっているオール歩合給賃金の改善にむけては、最低賃金を基礎とした固定給部分の制度的確立を重視したとりくみを進める。

 さらに、2車3人制から1車2人制へ≠ネど「車両における勤務形態」を地域的に改善し、労働時間の適正化と経営の効率化をはかる。

 (4)自動車教習所は、年末一時金要求をはじめ、賃下げ、パート・契約指導員の導入による人件費削減、料金値引き、営業時間の延長などの「合理化」反対、非正規社員の正規化や権利確保を重視し、職場ごとに重点要求を決めて、その実現をはかる。

 (5)観光バスは、運賃単価の切り下げ、長時間労働の押し付け、正規からアルバイト・派遣労働者への配置替えなど、安全運行に重大な影響を与える「合理化」を許さず、不当な雇い止め禁止、正社員化、有休などの権利確保、長距離運行の規制につながる改善基準告示改正の要求を掲げてたたかう。

 (6)東日本大震災による景気の低迷が懸念され、すでに規制緩和で疲弊しきったタクシー、観光バスなどの倒産・廃業が頻発するおそれがある。すべての地連(本)、単組・支部では、警戒心をもって、経営実態等を把握し、事前防止、経営改善対策にとりくむ。

3.格差と貧困をなくし、平和擁護・社会保障拡充を

 (1)民主党政権は東日本大震災を口実に構造改革路線の強行や庶民増税などの悪政をさらに進めようとしている。重要な国民的課題については、全労連が提起する方針にそって、署名や行動・集会参加など積極的にとりくんでいく。特に消費税増税は、タクシー労働者にとって、消費を冷やし営収低下につながるばかりか、運賃の法人・個人間の格差問題を再燃させる問題であり増税阻止にむけた宣伝・署名などの運動を重視していく。

 (2)被災地支援、原発対策、税と社会保障の一体改革、TPP(環太平洋経済連携協定)、普天間基地撤去、沖縄県内・国内への移設や比例定数削減、復興財源を口実とした公務員賃金の削減など、国民的な課題については、全労連の提起にもとづき、各地方での行動、集会などに積極的にとりくむ。

4.すべての闘いを組織拡大と結合し、3万人の組織建設を

 (1)実勢3万人の回復にむけ組織強化拡大運動を推進する。各地連(本)は、今秋ひらかれる定期大会では、必ず拡大目標を設定する。目標達成にむけ、毎月1回以上の定期的な宣伝行動の実施など具体的な計画を策定し、全組合員の意志統一をはかり拡大の実現をめざす。

 本部では各地方の宣伝計画を把握し、実践例や経験を全国に伝えていく。宣伝物は、地域実情に見合った宣伝物を独自に作成することを基本とするが、本部も適宜、宣伝ビラ(版下)を発行する。

 (2)拡大月間は全労連の設定(10〜12月)に合わせて運動を集中し、2012年1月の中央委員会までに、未加盟・未組織労働者との総対話をもとに、各地連(本)に新規加盟を1組合以上拡大することと合わせ、各職場が複数以上の組合員拡大を達成する。拡大にあたっては、個人加盟方式の「地域タクシー労働組合」設置も視野に実施する。

 (3)各地連(本)は、次代を担う幹部・活動家の育成を重視し、学習会・幹部学校等の計画を立て、教育活動を強化する。講師は、調整した上で本部三役・専従者を中心に派遣する。学習には、本部で作成した『職場権利と自交労働者』『基本政策集』などを積極的に活用する。

 (4)各地連(本)は大会時を契機に、組織・教育・財政の総合した組織点検を行い、問題点を総括し今後の方針を確立する。

5.統一行動の設定と主な日程

 (1)中央行動は、全労連が設定している11月10日に合わせて、交運共闘の仲間とともに、自交労働者の要求実現を求める行動を配置する。具体的な内容は交運共闘と調整の上、提起する。

 (2)全労連は経済危機や東日本大震災などで明らかになった労働者の深刻な状況改善をめざす中期的な要求政策と、その要求実現をめざす運動、そして運動を担う組織の強化・拡大を目的に、11月19〜21日にかけ静岡県浜松市で「全国集会2011」を計画している。全労連の提起にもとづき常執地連(本)を中心に参加する。

 (3)2012年春闘準備の前段として、春闘要求の具体的な根拠となる「はたらくみんなの要求アンケート」にとりくむ。アンケートは組合員に限らず未組織労働者とも対話しながら行い、必ず前年の回収数を上回るようにする。

 (4)春闘方針は11月中に執行部案をつくり、来年1月の第34回中央委員会で決定する。春闘方針の職場討議は1月から執行部案にもとづき行う。

(5)主な日程

11年10〜11月 地方自治体、運輸局・支局、労働局交渉
   10月17日 第7回中執
   10月18〜19日 第34回定期大会
   10月28日まで 要求提出
   11月10日まで 回答指定日
   11月10日 自交総連中央行動・全労連全国統一行動
   11月16日 秋闘要求実現、職場・地域統一行動
   11月19〜21日 全労連・全国集会2011
12年 1月24日〜25日 第34回関係弁護士交流会
    1月25日〜26日 第34回中央委員会(春闘方針決定)




自 交 総 連