2000年秋から2001年春闘にむけた闘争の経過と教訓 |
1.闘争方針で掲げた統一要求と課題 |
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自交総連は9月6、7日にひらいた第6回中央執行委員会で、「2000年秋から2001年春闘にむけた闘争方針」を次のように決めました。 (1) 深刻な危機的事態の突破をめざして「今日の情勢を端的に表現すれば、『自交労働者のくらしと雇用』、『事業のあり方と将来』、そして『労働組合の存続・維持』にとっては、まさに深刻な危機的事態といわねばなりません。」「自交総連は、すでに『タクシー破壊法成立をうけての今後の闘いについて』の方針を決定し、『台数規制の廃止を許さず、タクシー運転免許の制定、社会的地位の向上、地域に密着した安心・安全なタクシーをめざして』の闘いの前進にむけとりくみ強化をはかっていますが、ひきつづき職場・地域、中央一体となった文字通りの産業別統一闘争として全力をあげます。」 「さらに全労連が位置付けた、@労働時間の短縮、不払い残業の根絶、雇用の拡大、A医療改悪反対、介護制度の改善、最低保障年金の確立、B福祉・生活関連公共事業への転換、大増税反対、不況打開――の『3大要求』にもとづく全国的な運動推進のため、産別課題と結合させとりくみます。」 (2) 産別組織全体が、総力戦としての運動展開を@ 社会的水準の労働条件確立、権利拡大をめざして1.人件費削減・権利侵害攻撃をハネ返す反「合理化」闘争の強化 2.倒産、廃業、撤退・身売りを警戒し、未然に防止する対策の重視 3.悪質経営者の横暴に対し、産別組織全体での支援強化、社会的包囲 4.最低賃金、保障給、累進歩合の廃止など最低基準の保障措置の確立 5.供給過剰車両数の減(休)車の実現 A 必要な規制の維持・強化、事業の「あり方像」を見据えた政策要求の実現をめざして 1.9月22日までに運輸省(本部)、運輸局(ブロック)、陸運支局(地方)に文書による申し入れを行う。 10月23日〜11月16日にブロック、地方ごとに運輸局・陸運支局と詰めの交渉を実施する。 11月17日を自交総連の「全国いっせい行動」日とし、中央行動及び連動した地方ごとの行動に決起し、翌18日の国民大集会に積極的に結集する。 2.自教では、全国自教共同センターの第1回指導法全国研究集会(12月10〜11日)の成功にむけ、自教組織のない地連(本)からも代表参加できるようにとりくむ。 (3) 組織の強化・拡大、実践的幹部の育成を@ 組織の強化・拡大A 実践的幹部の育成 (4) 職場要求実現の闘いと春闘準備@ 職場要求実現の闘い10月27日まで要求提出、11月10日まで回答指定、11月中決着をめざす A 2001年春闘の準備 春闘方針は11月中に執行部原案をつくり、1月初旬から職場討議。アンケートは全組合員と未組織労働者を対象に大会前に発送する。 |
2.具体的な闘争経過と主な結果 |
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(1) 深刻な危機的事態の突破をめざし、産別組織全体が
@ 道路運送法改悪の成立、2001年秋以降の施行という事態を迎え、ハイタク経営者は危機感をもって自企業の生き残りを模索し、賃下げや権利侵害などリストラ「合理化」攻撃を強める動きもいっそう激しさを増しています。 |
3.闘いの評価 |
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(1) 深刻な危機的事態の突破をめざし、産別組織全体が総力戦として闘った運動展開について@ リストラ「合理化」や、企業の倒産 ・身売りは、ハイタク、観光バス、自教問わず全国に広がっており、そのなかで一方的な労働条件の切り下げや解雇など労働者・労働組合の権利を侵害する事例も続発しています。またタクシーでは、最低賃金以下の低賃金も広がっています。こうした深刻な危機的事態のなかで、労働者の生活と権利を守る労働組合の果たす役割はますます重要になっており、自交総連は、この役割を果たすため、秋からの闘いでも各地で奮闘しました。 倒産・身売りでは、会社の経営状態を正確に把握し、経営責任を明確にしたうえで、一定の労働条件の見直しを含めて労働組合が協力する場面もでてきます。宮城・日交タクシーで、営収アップも含め組合の協力のもとで12月に会社更生計画が認められました。今後、更生計画のもとで労働条件の改善のためにたたかっていくことにしており、会社再建闘争の教訓といえます。 悪質資本との闘いでは、依然として陰湿な組合攻撃をつづける北港・梅田 グループに対して、埼玉・千葉・東京で果敢な闘いがつづいています。刑事告訴や大阪での宣伝、厚生省交渉での社会保険ごまかしの追及など社会的に包囲する闘いが強まっていますが、今後さらに各地方の連携をはかり、共同してたたかっていくことが求められています。 この他、札幌・第一ハイヤー(一時金の大幅切り下げ)、宮城野観光バス(放漫経営で退職金不支給)、関西空港リムジン(組合員みせしめ不当処分、一時金ジャック)などをはじめ各地で続発する権利侵害に対しては、地連・県労 連と一体になって反撃し、労働委員会・法廷闘争も提起しています。不当行為のやり得を許さない姿勢は、労働者のなかで自交総連の権威を高めています。 自教でも、岡山の勝英自校が埼玉・神奈川と相次いで企業買収に入り、従業員全員の一旦退職、労働条件の切り下げを認めれば再雇用という、タクシーの第一交通や北港梅田グループばりのやり方を強要しようとしています。不当解雇が強行されていますが、組合員は団結をかため、両組合の交流・共同もすすめて反撃、地連(本)、弁護団の協力も得てたたかい、労働組合の存在価値を示しています。 A 政策要求実現の闘いでは、方針の提起に応えて、各地方・ブロックで、かつてない規模で陸運支局・運輸局、労働局、警察、自治体に対する要請や、交渉がとりくまれるとともに、11月17日には中央行動を成功させました。 タクシー破壊法反対闘争を全力でたたかったことが、その成果(附帯決議や国会答弁)に確信をもつことにつながり、秋からの闘いでも、決議の履行を正面から要求できる闘いにつながったと評価できます。 政・省令については、概要が公開されパブリックコメント(国民からの意見)募集がされましたが、その内容は、きわめて抽象的なものにとどまっており、自交総連の政策要求の実現は、今後の運用基準づくりの段階も含めて継続して要求していくことが必要になっています。 特徴的なのは、地方自治体に対するタクシー政策要求をまとめて交渉した地方が増えたことです。とくに宮城地連では、運輸局からも仙台市に対して懇談を呼びかけることを約束させ、市独自のタクシー需給調整の市条例も展望した運動をすすめています。 一方、自治体要請をすすめるなかで、都道府県や市町村のなかに交通政策・タクシー問題を扱う部局が存在せず、窓口でたらい回しにされる例も各地で相次いでいることから、地方議員の協力も得るなどして、責任ある対応をさせるとともに、自治体に交通政策をきちんと位置付けさせることからとりくんでいく必要があります。 事業の将来像を見据えたとりくみでは、タクシーで、ホームヘルパー資格取得のとりくみが東京・京都・大阪など大都市も含めて全国に広がりました。乗合タクシーや介護タクシー、駅舎管理、町営バスの運転など自治体の補助を受けて事業の範囲を広げる教訓もうまれています。 自教では、共同センターの第1回指導法研究集会で、教習生から喜ばれる教習を通じて教習所の社会的役割を果たしていくことを研究・交流、参加者からも好評でした。 警察庁が年末に公表した道交法改正試案では、自交総連が要求していた運転代行への二種免許義務付け、高齢者講習年齢の引き下げが盛り込まれました。 (2) 組織の強化・拡大、実践的幹部の育成について9月以降の組織拡大は、12月14日現在で4地方6組合 429人となっており、前年同期をすでに1組合 272人上回っています。特徴は、再加盟が3組合あることで、会社の工作やその他の事情により自交総連を離れていた組合が、きびしい情勢のなかで、やはり産別に結集しなければ権利が守れないとし て復帰してきたものです。 また、埼玉・京王交通では、無謀な増車によりJRに構内権を制限され、そのつけを迎車料金返上で労働者に回そうとしていることへの怒り、京都・加茂タクシーではMK進出・競争激化などへの不安、青森・弘南交通ではノルマ・残業強要への危機感から加盟してきています。 いずれも、規制緩和を狙った企業のリストラ「合理化」攻撃が、逆に労働者の自覚を高め加盟に至っているわけで、同様の立場におかれている広範な未加盟・未組織労働者へはたらきかけることの重要性を教えています。 (3) 職場要求実現の闘いと春闘準備について職場要求実現の点では、東自教の年末一時金集交では、当初の73万円という超低額回答を打ち破り77万1000円を獲得しました。24時間ストを構え越年も辞さずとの決意でたたかった結果、経営側に77万円台もやむを得ないと決断させたものです。その他、支部ごとに退職金や労災見舞金での前進をかちとっています。ハイタクでは、賃金の面で新たな成果・前進をかちとるという点はすすんでいませんが、職場で労働者の権利を守り、リストラ「合理化」に抗して労働条件を維持しているということは、今日の情勢からみて奮闘した結果だと評価することができます。 とくに、底上げという点で、最賃違反の是正、割増賃金の支払い要求などでは成果もかちとっています。 一方、組合として要求事態を提出できなかったところもありますので、地連・地本では、そうした組合への指導・援助をつよめていくことが必要です。 |
自 交 総 連