自交労働者No.535、2000年5月1日

衆院運輸委員会で採決強行
賛成は自・公・保・民・由、反対は共

 タクシー破壊の道運法「改正」法案は4月26日、衆院運輸委員会で採決が強行され可決されました。自交総連は厳しく抗議、参院での徹底審議を求め、闘争態勢を一段と強化して廃案をめざします。


 推進議員・党へは選挙で審判
 「タクシー破壊法」参院への要請強化
 緊急の全国動員で座り込みと委員会傍聴にかけつけた仲間の前で26日14時45分、採決が強行され、激しい怒りと抗議の声があがりました。タクシー破壊法に賛成したのは、自民・公明・保守の与党に加え、民主党、自由党も賛成。日本共産党は反対を貫きました。
 自交総連では直ちに今後の対策を協議、参院交通・通信委員会での徹底的な審議を求め、最後まで全力で廃案をめざす声明を出しました。
 各地方では、いつでも緊急動員に応えられる態勢を整え、参院議員への地元要請、FAX要請、宣伝、世論喚起をつづけ、とくに、悪法に賛成した政党・議員へはタクシー労働者の票は一票も入らないとの決意を示していく必要があります。
 採決前の21日の審議では、自民党の中野議員が「規制緩和の必要性は理解している」などと述べ悪法推進の姿勢をあからさまにし、日本共産党の平賀議員が、規制緩和により労働条件悪化、事故の増加、安心が失われると追及したのに対し、二階運輸相は「心配いらない」などと無責任な答弁に終始しました。(質疑は次号で詳報)

 
国会前座り込みで、団結がんばろうを行う参加者
=4月18日、東京
  議面集会で平賀議員(左)に署名を手渡す渡辺東京地連委員長=4月18日、東京・国会内


 年収格差221万円に
 タクシーと男子常用労働者全国平均で半分以下
 タクシー労働者と男子常用労働者の労働条件の格差は、年収で221万円となり、最悪の実態となっていることがわかりました。自交総連が継続して調べている労働省の毎月勤労統計調査の98年分がまとまったものです。
 全国平均で、98年のタクシー労働者の年収327万円に対し男子常用労働者(全産業の平均)は548万円。男子常用の年収も初めて6万円減少しましたが、タクシーは33万円も減り、格差は221万円と過去最悪。
 年収を年間労働時間で割った1時間当たりの賃金でも、タクシーは男子常用の48%と、全国平均で初めて半分以下となりました。地方ごとでは、宮崎・鹿児島では3分の1以下となり、まさに人間扱いされていないとしかいいようのない実態です。

●タクシー労働者と男子常用労働者の年収の推移
 

●1時間当たり賃金格差のワースト10


 新加盟のなかま(No.623) 北海道・旭川中央労組
 正社員以外も組合へ
 旭川市の旭川中央ハイヤーで3月29日、旭川中央ハイヤー従業員労働組合(五十嵐博委員長、17人)が結成され、自交総連に加盟しました。
 職場には全自交の組合がありますが、正社員以外は組合に加入できなく、嘱託者は雇用契約の一方的打ち切りや、有給休暇も取れないなどの無権利状態に置かれていました。
 自交総連旭川合同自動車労組などとの交流があり、今回の加盟となりました。

 1年ぶりに町内をバスが走った
 町営バスの運行委託を開始--山形・ハイヤーセンター支部
第一号運転手の工藤信士さんが町職員から花束を受け取る=4月10日、山形・藤島町
 【山形】山形地連ハイヤーセンター支部(自主再建中)は、藤島町の町営バス「ぽっぽ号」の運行委託業務を開始しました。
 4月10日、JR藤島駅前で出発式がおこなわれ、組合員や町関係者ら約30人が出席しました。
 小鷹栄一町長はあいさつで「1年ぶりに町内をバスが走ることになる。町民の足と利便性を確保し、安全には万全を期する」と述べました。斎藤久町議会総務常任委員長も、同じ内容のあいさつをしました。それらの趣旨は、組合が町との交渉で主張してきたことと同じものでした。
 第一号運転手となった工藤信士さんが町職員から花束を受け取りました。
 同町では、民間のバス路線が廃止となり、住民からも公共交通機関の確保を求める声が上がっていました。
 町では、4月19日にオープンする、ぽっぽの湯の利用拡大もあわせて検討して、マイクロバス(28人乗り)1台を購入し、料金は大人・高校生が200円、小中学生が100円としました。
 また、同時に、町内2か所にある児童館への送迎バス運行委託業務も開始しました。
(山形・武田幸夫)

 裁判官の「雲助」表現で質問
 参院法務委で橋本敦議員  最高裁「不適切」と答弁
 日本共産党の橋本敦議員は3月15日、参院法務委員会で、昨年京都地裁での元タクシー運転手に対する損害賠償請求訴訟の判決文の表現で、裁判官が「一般論でいえばタクシー乗務員には雲助まがいの者や、かけ事などで借財を抱えた者がまま見受けられる」などとしたことについて質問しました。
 橋本氏は「裁判官としてあまりにも不見識でタクシー労働者の人権・人格をはなはだしく侵害するものだ」として最高裁に認識をただしました。
 最高裁の金築人事局長は、「今回の件にかんしては遺憾なことであった」と認めました。また、「タクシー乗務員に差別的と受け取られる不適切な表現で、判決書の表記にあたっての配慮を欠いた」として、「裁判官にたいして注意処分をおこなった措置は、適当であった」と答弁しました。 また、臼井法相も、「特定の方々が引け目を感ずるような表現は当然のことながら避けなければならない」と答弁しました。



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