自交労働者No.536、2000年5月15日 |
悪法推進議員は許さないぞ |
タクシー破壊の道路運送法「改正」法案は4月27日に衆院本会議で可決(日本共産党と社民党が反対)され、参議院にまわされました。自交総連は、参議院審議にむけ全国から参加した国会座り込みを継続、最後まで奮闘することを示しました。 |
タクシー破壊法に抗議 | ||||
参院で座り込み継続 | ||||
自交総連は、委員長談話で「タクシー破壊法の今回の可決に積極的に関与し、あるいは真っ向から反対してたたかおうとしなかったことで、手を貸した政党・国会議員の名は長く記憶されるべきである」と抗議、全労連も坂内事務局長が抗議談話を発表しました。 この可決には、職場でも怒りがわきおこり、可決後の4月28日、5月9、11日の座り込みには、全国から過去最大規模の人数が参加。参加者は次々とマイクを握って「悪法に賛成した党と議員には選挙でかたきをとる」「数で強行されても、規制緩和のへい害は変わらない」など、最後までの奮闘を訴えました。 全労連や交運共闘の仲間も連日応援にかけつけ、法案所管の運輸省の労組(全運輸)からも毎回座り込みに加わってもらっています。 参議院では、16、18日にも審議される可能性が高くなっていますが、衆議院につづいて自民・公明・保守・民主・自由各党が採決を強行するようなことがあれば、その責任を問う声が自交労働者のなかに一気に広がることになります。 |
参加者の声 |
4月28日の座り込み参加者の声 |
今朝7時45分発の飛行機で来た。 (国会議員に対して)議面集会室みたいな抗議する場所がもっとほしい。地方から来た場合でも、簡単に声を届けることができるような場所がもっと(国会に)あればいい。 去年の今頃はマスコミが大きく取り上げていた。今は、このような重大な法律が採決したと言うのにほとんどとりあげようとはしない(広島・切田 明さん) ◎ 政府は全然わかっていない。何を考えている。もっともっと(タクシーについての)宣伝をしなきゃいけない(山口・山本孝雄さん) ◎ 埼玉でもタクシーは供給過剰。 適正な規制は何にでも必要。規制をなくすとどうなるかを考えて法案を考えてほしい(埼玉・渡辺好雄さん) |
メーデーの参加者の声 |
バブル崩壊、規制緩和による運収低下でタクシー労働者の全国平均の年収は300万円台、東京でも400万円台です。大の大人がまともに生活していけない状況です。これ以上の規制緩和の動きには負けられない。正直者が損をする社会は許せない(東京・出津善則さん) |
森内閣にゲンコツ | |||||
|
2000年春闘 「合理化」攻撃はね返す | ||||
政策合意や減車実現も | ||||
タクシーでは、福島・大森1837円(定昇ハネ込)、静岡・掛川1225円(同)などをかちとっているほか、経営側の「合理化」攻撃をハネ返しての「現行賃金体系維持」「昨年実績維持」が大勢となっています。 賃下げ、賃金体系の変更など「合理化」攻撃が加えられているところではストも含めたきびしい闘いが展開されています。 賃下げなどの攻撃に4月28日、東京・栄が24時間スト、東京・日の丸交通、大阪・佐野南海、大同交通が2時間ストを決行、京都・淡路では昨春闘の約束を反故にした賃下げ回答に、4月27日までに40日間の24時間反復ストを決行、地労委斡旋で解決方向に向かっています。 政策課題では、京都の6社集交が規制緩和反対、京都駅乗場の改善などの政策協定を締結、福岡・直鞍地区では1月の1社につづき2社で減車の合意をかちとり、すでに減車したところでは営収が大幅アップしています。 |
規制撤廃の矛盾は明らか | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
問題点残したまま採決 衆議院運輸委員会 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
自民党の中野議員は、我が党の議員は規制緩和の必要性は理解している、と述べ、二階運輸大臣は、タクシーの将来の発展のために(規制緩和を)決断したと答えました。 民主党の今田・前原両議員は「空車が溢れ、すでに現状は緊急措置が必要。累進歩合、ノルマを廃止、日雇いの扱いを排除するには運輸省・労働省の協力が必要だ」と質問しました。大臣は「タクシーは個別輸送機関だと深く認識している。タクシーの助手席に1時間20分乗せてもらい話を聞いた。タクシーの質の向上と事業者の支援をしていきたい。運転手がすべてとも思っている。過労と事故防止、輸送の安全性のための事業者の監督・指導にあたる。労使協力して十分な対応をしてもらいたい」と答え、さらに野寺労働基準局長は「累進歩合をなくすよう指導、訴えがあれば指導・監督する」としました。 公明党の赤羽議員が増車や暴力団の参入について質問したのに、大臣は「職業の自由がある。(制限は)極めて慎重さが必要。事実が認められる場合は暴力団対策法で対処する」などと答え、また縄野自交局長は「増車意欲があっても乗務員確保できなければ増車はできない、無制限に増えること事はあり得ない」と答えました。 共産党の平賀議員は「タクシーの供給過剰は、タクシーが余っているのに増車した政策的に政府によってつくられた。営業収入は11年前に逆戻り、人身事故も増えている。この実態を運輸省は知っているのか」と追及、大臣は「安全は絶対おろそかにしてはならない、厳重に指導していく」と言いつつ「雨の日はほとんどタクシーに乗れない。ご心配になられることにはならない。業者・労働者から早く法案を通し規制緩和やってくださいと言う声の方が多かった」など無責任な答弁をくりかえしました。 自民党の実川、自由党の岩浅議員が、減車や運転代行について質問したのに対し、大臣は、国が強制的に減らすということは憲法上、財産権の侵害になり、極めて慎重に行わなければならないとし、自交局長は、(代行規制は)警察庁と協議をし、次期通常国会に法案を提出すると答えました。 数多くの問題点が出され、それが十分解明されていないにもかかわらず、26日に討論が打ち切られました。最後に共産党の平賀議員が反対討論に立ち、供給過剰の政府の責任は重大、規制緩和でいっそう深刻になる、絶対認められないと強調しました。 採決では2人の共産党議員以外の賛成多数で可決。つづいて附帯決議は全議員の賛成で可決されました。 |
自 交 総 連