自交労働者No.537、2000年6月1日 |
タクシー破壊法が成立 |
新たな反撃の機会は目前 |
台数規制を廃止する道路運送法「改正」法案は5月19日の参院本会議で、日本共産党と社民党を除く与野党の賛成多数で可決、成立しました。しかし、タクシー労働者の闘いは、それで終結したわけではなく、「改正」法の来秋施行に向けた政省令策定問題での政策闘争、総選挙での審判など新たな反撃の機会が目前に迫っています。 |
とおした者の責任重大 | |||||||||||||||||||||||||||||
破壊の実行許さぬ闘いへ | |||||||||||||||||||||||||||||
タクシー破壊法は「成立」したとはいえ、施行・実施に至るには政省令や通達の策定作業で運輸省が、国会答弁や衆・参院の附帯決議で公約し、枠をはめられた問題につき、明確な担保措置をとる義務を負っています。 とくに、台数規制を廃止しても、「緊急調整措置」(新規参入及び増車の停止)の発動という非常手段をとるから、歯止めになるはずとの答弁に終始した運輸大臣、政府委員の今後の対応についてはきびしく追及していく必要があります。 また、「累進歩合やノルマの排除」について所要の措置を講ずるとした附帯決議の内容を、運輸・労働省はいかに担保していくのかなど、施行に至る問題は山積みされています。 さらに、タクシー破壊法など悪法を強引に成立させてきた自公保連立政権への国民の審判は、総選挙の結果をもって明確になるはずです。 「とおした者の責任」を断固として世論的に追及し、いまの政治の流れを変えることができれば、台数規制廃止政策の誤りやタクシー運転免許の新設、地域社会に密着した安心・安全なタクシーの実現への大きなステップとすることができます。 新たな奮起で、全力をあげるときです。 |
新加盟のなかま |
本部大会で確信 |
静岡市の不二タクシーで、不二タクシー労働組合(隠居裕二委員長、5人)が結成され、3月4日、自交総連に加盟しました。 産別組織に加盟する必要性をいつも感じていましたが、自交総連本部の定期大会にオブザーバーとして参加してその確信を深め、執行委員会で加盟を決定しました。 静岡地連三役や県評役員などの働きかけがあり、今回の加盟となりました。 (No.624)静岡・不二タクシー労組
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「合理化」に対抗 |
浜北市の外山タクシーで4月30日、外山タクシー労働組合(岡本武夫委員長、3人)が結成され、自交総連に加盟しました。 職場は、B型賃金ですが、営収45万円以下の乗務員については皆勤手当を不支給とし、3か月後には解雇する、という賃下げ「合理化」提案がなされていました。 静岡地連や地域労連へ相談することにより、今回の加盟となりました。 (No.625)静岡・外山タクシー労組
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茨城 臨界事故の補償獲得 | ||
JCOに請求 労働組合では初 | ||
【茨城】常陽勝田労組は、昨年の東海村JCO臨界事故での賃金減少分として11人分で26万円9528円の補償をかちとりました。 臨界事故では広範囲に被害がおよび、JCOが損害賠償を行っています。ところが、常陽勝田の会社が売上減少分として請求した補償金は、乗務員の賃金減少分が差し引かれて支払われていることがわかりました。 会社は「独自に請求してくれ」という態度のため、賃金の減少を証明する資料を5日がかりで作成し、JCOに提出。担当者は「労働組合からの請求は初めてだが、すべて理解します」と答えて、5月25日、示談書が届きました。組合員は労働組合のありがたさを再認識しています。 (茨城・大谷晃生)
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この成果を全国に | ||
乗務拒否を口実の解雇は無効 | ||
大阪地裁 発熱し乗務変更依頼しただけ─大阪・大阪観光労組 大阪地連大阪観光バス労組は、組合員の田村さんの解雇撤回を求めていた裁判で4月14日、大阪地裁で解雇無効の勝利判決をかちとりました。 田村さんは99年2月、会社の指示した乗務を拒否したなどとして解雇されていました。仮処分命令をかちとり、すでに就労していましたが、今回本訴訟でも勝利したものです。 今回の判決は、会社が主張した解雇の理由について、田村さんが乗務日の前から発熱し、点滴を受け座薬を入れるなどの治療を受けていたので、泊まり勤務を外してほしい、どうしても人手が足りないのであれば日帰り乗務にしてほしいと述べて乗務変更を依頼したと認定、会社側の主張を退けました。 また、会社が「田村氏は土日の休日を自己中心的に取得している」「道を間違えた」などと主張した点についても、休日は会社の承認を得て取得しているのであるから解雇の補強事由にもならない、道を間違えたのは事実であっても懲戒の対象となることもなく解雇理由にはなりえない、として、解雇は解雇権の乱用であり無効であるとしています。 |
自交労働者と選挙 政治を変えてくらしをまもろう | |||||||||||||||||||||
タクシー破壊をすすめるのは誰か 危機の背景に自公保政治 | |||||||||||||||||||||
衆議院選挙は6月25日投票が確実といわれています。この選挙、自交労働者にとっても将来がかかる重大な選択が問われています。
タクシー破壊の実行を許すのか 第1に問われるのは、強行成立された改悪道運法に基づいて、実際にタクシー破壊の実行を許すのかということです。 これまでも政府の規制緩和政策によりタクシー、観光バス労働者の生活はどん底に落とされてきました。いまの自公保政権がつづけば、タクシー破壊はますます進行します。 しかし、政治が変われば、今後の政省令策定段階での歯止策やタクシー運転免許の展望などがひらけ、タクシー破壊の実行を止め、台数規制の重要性を再認識させる状況をつくることもできます。 規制撤廃とタクシー危機の背景 規制撤廃の背景には、自公保政権がすすめてきた政治の本質が見えています。 ひとつは、ルールなき資本主義といわれるように、ヨーロッパでは常識の解雇規制法などのルールは置き去りして企業競争(大企業が勝つのは当然)だけを優先する政治です。 もうひとつは、社会保障よりゼネコン利益の公共事業を優先する逆立ち政治です。銀行やゼネコンには税金投入・借金棒引きの優遇をしておいて、今国会でも年金の大改悪を強行しました。それが国民のふところを痛めつけて、タクシーの売り上げ低下の一因にもなっています。 制度政策要求をかなえる政治に タクシー・バス・自教労働者の労働は、運輸・警察・労働行政と密接なかかわりがあります。 政治を変えれば、企業よりの行政を労働者の方を向かせることもできます。 これらの要求実現のために、職場でも政治に関心をもつ人を増やし、大切な一票を投じましょう。 |
「助けてください」との声紹介 | ||
参議院での質疑 わずか6時間で採決 | ||
道路運送法「改正」法案が5月11日、参議院交通・情報通信委員会で主旨説明後、16、18日、二階運輸大臣はじめ運輸省、警察庁、労働省から各担当局長クラスが答弁、わずか六時間の審議で共産党、社民党を除き、自民・公明・保守・民主・参院クラブの賛成多数で可決されました。 日本共産党の宮本岳志議員は、現在のタクシーは全国的にも著しい過剰状況で行政の責任が問われている。その上、規制撤廃されれば、さらに拍車がかかるは明らかだ。あるタクシー労働者は「年収が342万円、妻の収入を合わせても500万円にもならず、妻と子供二人と生活している。1乗務20時間以上働いて休憩時間も削ってパンをかじりながら深夜4時まで働いている。寝る時には、このまま目が覚めないのではないかという不安を抱きながら眠る。規制緩和やめて、私を助けてください」とのタクシー労働者の赤裸々な窮状を訴え、「大臣、この手紙の内容をお聞きになって、どう思いますか」と質しましたが、運輸大臣はまったく意に介せずという態度に終始しました。 また、緊急調整措置にしても、「火事を見るだけで、火を消さない消防車と同じだ」と非難し、貨物は一度も発動していない、「タクシーは発動すると発言してください」と詰め寄りましたが、のらりくらりと逃げました。 すべての質疑終了後、宮本議員は、反対討論にたち、事業者がバタバタ倒産、労働者が路頭に迷う事態になっても、「緊急調整措置」が発動されないというのは明らかだ、道運法の根幹を変える重大な内容の法案にもかかわらず、わずか六時間余の審議で押し切ることにも抗議をしましたが、採決が行われました。 |
自 交 総 連