自交労働者No.539、2000年7月1日 |
タクシー運転者の年収は308万円、 300万円未満が19県、 これで安全輸送が担えますか? |
タクシー運転者の昨年の年収は308万円にまで低下不況と規制緩和のダブルパンチにより、年収は前年より19万円、最高だった91年当時からは74万円も下がっていることがわかりました。 |
労働省の最新の統計(『賃金センサス』)による99年のタクシー運転者の年収は全国平均で308・35万円となりました。バブル崩壊の91年以降、96年を除き8年も低下がつづいていることになります。この年収水準は87年にまで逆戻りしたのと同じです。 1時間当たりの賃金も1227円と、前年より100円近く下がっています。 |
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沖縄は199万円 | ||
地方ごとにみると、最低の沖縄が年収200万円を割込んでいるほか、鹿児島、青森、和歌山、宮崎など18県が200万円台。 1時間当たり賃金では、宮崎の778円を最低に、青森、徳島、沖縄、鹿児島など8県が1000円未満となりました。 最高時からの減少幅が大きかったのは大阪で、91年と比べて166万円、33%減です。 |
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生活維持が困難 | ||
年収の低下は、不況で乗客が減っているのに、規制緩和で逆にタクシーが増え、異常な供給過剰状態となっているためです。 19県が年収300万円未満という現状は、すでに通常の家庭生活を維持できる水準を下回っており、このままではタクシー運転者の質の低下から、安全・安心輸送が危機にひんすることになりかねません。「タクシー活性化のため」などという規制撤廃の口実が、まやかしであることがわかります。 |
解 説 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
政策闘争で営収増が不可欠 社会的水準へどう接近するか | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1面で報じているとおり、99年のタクシー運転者の年収は308万円にまで落ち込み、社会的水準(男子常用労働者の年収)との格差はひらく一方です。 この改善のため自交総連では、政策闘争と結合した総合的な闘いを提起しています。 台数規制が不可欠 職場で経営者に「人並みの賃金を払え」と要求するのは当然の前提ですが、それだけでは社会的水準に到達することはできません。 タクシーの賃金が歩合給である以上、営収そのものを上げる方策を考えることが必要となってきます。 下の図に示されるように、賃金は、運賃単価×走行キロ×実車率(以上が営収)×賃率で決まります。 したがって、運賃単価=適切な運賃改定、走行キロ=優先通行権など交通事情の改善、実車率=台数規制による適切な実車率確保など、それぞれの項日を引き上げていくことが賃金増となります。 図では3地方の例をあげていますが、例えば大阪では、運賃単価を533円(初乗970円程度の水準)、走行キロを262キロ、実車率を54%(ともに91年頃の水準)にすれば、賃率アップとあわせて、年収655万円の水準に到達するということです。 そのためにも、現在の最大の問題である異常なタクシー供給過剰状態を改善する滅車こそが必要です。道運法改悪は強行されましたが、増車に歯止めをかけ、台数規制の必要性を引き続き訴えていくことが重要です。 タクシー運転免許 将来の展望としてはタクシー運転免許制度の確立が重要です。 タクシー運転免許は、適切な難度の試験により免許を与えることで、タクシー労働者の社会的地位の向上をはかり、台数を抑制することもできます。 このような免許のあるロンドンでは、タクシー運転者は「誇りある職業」であり、収入も平均以上、運賃は毎年改定が常識です。
注.99年の運賃単価、走行キロ、実車率は99年上期の数値 |
自公保の大幅議席減は規制撤廃・悪政への審判 | ||
総選挙の結果について | ||
2000年6月26日 自交総連中央執行委員長 佐伯 幸一 |
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今回の総選挙は、史上最悪の失業率、倒産の増加、相次ぐ社会保障の改悪、タクシー、バスの規制撤廃等々きびしい不況と将来不安の高まるなかで行われました。 自交総連は、自公保政権の悪政の実態を明らかにし、森内閣と与党勢力、規制緩和推進勢力にきびしい審判をくわえ、景気回復、福祉と暮らしを主役にした財政確立、資本主義のルールの確立といった要求が前進する政治の実現のために闘いました。 選挙の結果は、自公保の大幅議席の後退という国民の審判が下りました。私たちの規制撤廃反対闘争や悪政に対する闘いが自公保を追い詰めるうえで一定の貢献を果たしたと確信するものです。 しかし、今回の選挙を通じて絶対に容認できないのが、公正であるべき選挙を、政権与党が「ウソ」でかためた反共謀略ビラを日本列島全域で億の単位でばらまき、国民の生活改善や雇用確保などの切実な要求を押さえ込んだことです。ここには、政権にしがみつく者の醜悪な実態が浮き彫りになっています。追い詰められた連立与党とはいえ、権力をもつ者が、金力と構成員を実行部隊にして、深夜闇にまぎれて違法な謀略ビラをまきまくるという、民主主義を破壊する暴挙によって政策論争を葬ったことは、与党の一時の選挙戦術として見過ごすことはできない民主主義上の重大問題です。 選挙が終わりましたから、改定された道路運送法での政省令づくりとあわせた行政闘争にとりくむことになります。意気高い闘いに決起しましょう。 |
全自交自主管理会社で不当労働行為に反撃 | ||
宮城・塩釜労組 | ||
【宮城】全自交が自主管理している(有)塩釜交通では、全自交宮城地本委員長が会社の私物化を狙っています。これに反対し、会社の民主的運営と労働条件の改善を求める仲間が昨年11月に自交総連の組合を結成しました。 4月28日に団交拒否や、一方的賃下げ(A型からAB型へ)、定年制の一方的改悪(65歳を60歳に)などの不当労働行為に対し、地労委にあっせんを申し立てました。これに対し、会社は委員長を懲戒解雇、副委員長を懲戒休職という名の事実上の解雇、書記長は理由もなく乗務停止、という無法を行っています。 地労委あっせんは会社側(全自交宮城地本)が拒否し、現在、救済申し立てを行っています。同時に、不当解雇撤回を求め仙台地裁への仮処分申請の準備中です。 (宮城・八島正司) |
40日ストライキで「合理化」を撤回 | ||
京都・淡路労組 | ||
【京都】京都の淡路交通は昨年の春闘で、大幅な賃下げ「合理化」を余儀なくされましたが、会社は「来春闘では賃上げをする」と約束しました。 ところが今春闘に入ると約束をほごにし、さらに賃下げ回答に固執しました。 組合は、賃下げ回答の撤回を求め3月19日より24時間反復ストライキに突入しました。 会社社長宅周辺で宣伝カーによる宣伝、またビラを配布し、一方で労働委員会に団交あっせんしました。4月10日には暴風雨の中、150人の参加で支援決起集会を開催しました。 ストは40日続行し、会社は地労委のあっせん案を受け入れ、賃下げ撤回、逆に一定水揚げでは賃上げを約束し解決しました。 この勝利は、当該組合だけでなく、地連など地域の労働組合あげての闘いでの勝利でした。 (京都・藤原克東) |
一時金ジャックはねかえす | ||
大阪・空港リムジン | ||
【大阪】全日空の子会社の関西空港リムジン(株)では、98年12月から会社が別組合を育成したり、賃率引き下げを押しつけようとしました。99年冬季一時金も「別組合との合意内容であれば支払う」とし、今まで使用していた施設も使用禁止とするなど不当労働行為を行ってきました。 関空リムジン労組は、地労委に救済申し立てをし、3月に自交総連に加盟しました。5月19日には大阪労連などの支援を受け会社に要請、6月2日に支援決起集会をひらき、全日空乗員労組からも激励を受けました。 こうしたたたかいのなかで、会社側は、地労委の一時金の仮払いあっせんの要請には一部仮払いすることを約束しながら、職場では「ビラをまいたから処分する」などの攻撃をつづけているため、今後もたたかっていくことにしています。 |
自 交 総 連