自交労働者No.543、2000年9月15日



 政省令等の策定で運輸省に申し入れ
 自交総連は8月28日、運輸省に対し、「改正」道路運送法の施行にともなう政省令、運用基準策定に関する要求についての申し入れを行いました。
 申し入れには佐伯委員長、今村書記長ら5人が臨み、就任したばかりの海谷厚志自交局旅客課総括補佐官が応対。この中で同補佐官は、改正法の施行は、「来年の10月から遅くとも翌年の3月までに」とした上で、以下のような見解を明らかにしました。
 国会での政府答弁及び衆・参議院の附帯決議の完全履行を求める要望意見に対しては、運輸省として、(関係する部分は)できるが、「できないことはできない」としつつ、労働行政などその他の機関との調整の必要性を強調。とくに累進歩合制度の廃止や労働条件問題についての労働省との連携、相互通報制の有効的活用の検討を指摘しました。
 また、台数規制廃止後の安全性を担保するものとして「運転者の質」の確保が大切であるとし、アルバイト雇用の禁止を明言した他、定時制(パート)の実態を把握し違法なものはやめさせなければならぬと答えました。
 さらに、最大の焦点である緊急調整措置の判断基準、発動要件などについては、「きちんとした客観的な基準で、説得力のあるものにする」と述べ、いまは白紙状態で、これから関係者の意見など参考にし、本格的な検討に入ることを明らかにしました。

 現場の声を国会に伝えた
 国会対策連絡会総括会議 今後の共同を確認
正面左から、佐伯委員長、今村書記長、日本共産党宮本参院議員、大幡衆院議員=9月4日
 国会対策連絡会議総括会議が9月4日、東京・入谷区民館根岸分館にて自交総連本部から佐伯委員長ほか4人、日本共産党議員団運輸部会から宮本岳志参議院議員、大幡基夫衆議院議員ほか秘書4人、全運輸から田中委員長、宮垣書記長の出席でひらかれました。
 佐伯委員長から、国会闘争の到達点の評価、これからの運動にむけ共同の闘いを強め、タクシー運転免許制定に向け、さらにご奮闘をお願いしたいと、謝意と今後の共同闘争を要請しました。
 宮本議員は、直接運転手さんから現場の声を聞くことから始め、労働組合の枠を越えて生の声を聞き、生の手紙をそのままとの思いで委員会では生かせ、得難い経験をした。
 大幡議員は、運輸委員と労働委員も兼ねているので今後も奮闘したい。
 全運輸田中委員長は、タクシーの事故が増えている。身の安全が守れないんですと国民に広げるべきだ。
 など、国会答弁、附帯決議を今後どう生かすのかをふくめ、自交総連の歴史的な闘争にふさわしい総括となりました。

 新加盟のなかま 
 新免会社に総連の旗  (630)東京・京浜ボラグ労組
 乗務員の人格を認めてほしい一昨年新免認可された京浜運送の旅客部門、京浜ボラグに6月17日、労働組合(小島知己委員長)が結成され、当初の10人が今では60人にまで増えています。
 組合結成後、直ちに行われた対角線交渉では、掲示板の設置、チェックオフの確認、未払い賃金の返金、退職時の制服代天引きの中止、事故・交通違反などの社内罰の再検討など、大きな成果をあげています。

 仙台市のタクシー政策提言 宮城地連
 東北運輸局に要請 政省令の要求と合せ
 【宮城】宮城地連は8月31日、東北運輸局に対し政省令、運用基準策定に関する要求と今年7月に提案した「仙台市におけるタクシー政策への提言(案)」とを要請しました。
 組合側は、宮城のタクシー労働者が営収の落ち込みや会社からの賃金の見直しがすすんでいることで、生活保護基準以下の労働者が増えていることなどの実例をあげ、運輸局として、法違反をしている事業者に対しては適切な指導を強化するように求めました。
 局側は「法改正については具体的な通達は本省から何もきていない。まだ白紙の状態だ」と述べました。
 組合側は、いまたたかっている労働争議の進展や将来の不安から自殺者も増えている実態をそれぞれ告発し、これらの実情を見たうえで、本省にも働きかけるよう要求しました。(宮城・八島正司)

 乗務員の個人情報は破棄
 福岡労働4団体運輸局懇談 タクシー協議会なども論議
 【福岡】福岡の労働4団体(自交総連、交通労連、私鉄、全自交)は8月9日、運輸局と懇談会を行い、乗務員証発行関連業務問題、規制緩和の経緯と今後のあり方などを論議しました。
 乗務員証発行関連業務(前歴照会での就職妨害などが問題になった件)については、局の奥野旅客二課長が、プライバシー侵害に抵触するおそれがあるということで、個人情報に当たる部分は運用停止し、9月1日に行政機関立ち会いで、これまでの乗務員情報を破棄することを報告しました。
 また組合側は、国会附帯決議で書いてある協議会をどのようにやっていくのかなどを質問、課長は「バスの場合の地域協議会の意味合いは代替輸送の問題。タクシーはタクシーで別な協議会をつくらないと難しいのでは」と述べました。

 政策実現には労使共同で 東京地連
 労使政策懇談会 シンポジウムも計画
政策課題などを話し合った東京の労使懇談会
=8月24日
 【東京】東京の労使による第2回政策懇談会が8月24日、労政研・宇留野会長、川村常任顧問ら12人と東京地連・渡辺委員長ら16人でひらかれました。
 この日の懇談議題は(1)福祉に関して(2)事業の拡大について(3)労働力の確保について(4)事故防止の4点。
 労働組合側の「規制緩和が進行するなかで勝手放題のことをやっていて産業が守れるのか。介護問題を含め力を合わせ政策を実現していきたい」「労働力の確保については、賃金・労働条件を含め発想を転換する必要があるのではないか」との発言に対し、経営側からは「議論となっている課題については、すでに実行する時期に来ていると思う。労使で共同してやっていきたい」「若い労働力を確保するため知恵を出し合っていきたい」との態度が表明されています。
 「懇談会」では、今後、行政にも要請し、シンポジウムなども計画していく予定です。



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