自交労働者No.544、2000年10月1日 |
賃金「合理化」も一要素 | ||
事故防止・パネルディスカッション | ||
【東京】東京のハイ・タクの死亡事故が11年前(89年)と比較して67%も増加しているもと、東旅協(東京乗用旅客自動車協会)と東京タクシー・ハイヤー交通共済会の共催による第11回事故防止責任者講習会が9月11日、東京・九段会館でひらかれました。 各社の管埋者800人が参加するなか、講習会は、一ツ橋大学の山内弘隆教授、事業者から安田敏明栄自動車社長、日本交通の奈良節太郎常務、そして労働者の代表として東京地連の小林隆書記長ら4人のパネラーによる「事故防止・パネルディスカッション」形式で行われました。 「なぜ、プロドライバーであるタクシーの重大事故が増加するのか」のテーマでは、小林書記長は「67%の事故増加をどうみるかですが、11年前と比較して、乗務員の労働環境の変化をみる必要がある」として、(1)出来高払い賃金制であるAB型への移行にみられる賃金制度の「合理化」(2)賃金制度に基づく長時間労働化(3)実車率の低下が証明する需給バランスの崩壊(4)経済の低迷(5)労働者の高齢化、という五つの要素をあげ、運転者の質の向上が必要としました。 |
タクシー事故激増つづく | |||
事故は、タクシーが供給過剰となるにつれて増加しており、道運法「改正」が審議された国会でも議論になりましたが、政府・運輸省は、事故と供給過剰の関係は不明などと無責任な答弁でした。 |
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流し営業地域で顕著な増加 | |||
大都市での事故の激増は、異常な供給過剰状態がその一因であることは明白で、規制緩和政策の危険性を証明するものにほかなりません。 |
新加盟のなかま |
退職強要に怒り爆発 (631)神奈川・鎌倉自校支部 |
分裂組合との統一のためとして11年前に自交総連を脱退した鎌倉自校支部(西岡秀治支部長)は9月8日、臨時大会をひらき圧倒的多数で再加盟を決めました。 産別脱退後、会社は「合理化」攻撃をつづけ、今春闘でも赤字だとして希望退職・賃金17%カットを提案。これまで協力してきたのに退職強要かと怒りが爆発しました。神自教ではさっそく企業調査を行い、攻撃をはね返す闘いをはじめました。 |
この1年間の新加盟 賃下げ、無権利への怒りで組合結成 |
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頼れる産別組織を求め 共闘から、未組織から結集 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
怒りが背景に 第1に自交総連加盟に至る原因は概ね次のようなものです。 最も多いのが「賃下げ『合理化』反対」(6組合)で4割を占め、「『合理化』を受け入れなければ、会社を閉鎖し全員解雇すると通告された」(大阪)などが特徴です。 こうした攻撃は「産別結集の必要性」(5組合)とも深くかかわっており、「現在の苦しい情勢や将来の展望を検討するとどうしても全国組織への加盟が必要」(大阪)との結論に達したものです。 未組織職場を中心に多いのが、賃金・労働条件に関する不満であり、「ほとんどの仲間が、有休をとったことがなかったり、事故を起こして100万円も賃金を引かれることも」(埼玉)、「客待ち時間を“不就労”にして賃金カット」(大阪)、「3万円以下の水揚げでは賃率40%」(長崎)など無権利状態への怒り、職場権利の確立と労働条件の改善要求が目立っています。 「親睦会では、労働者は身分を守れず、労働条件改善と要求実現のためには、労働組合が必要であると痛感した」(大阪)、「配車差別や職場改善を求めた社長宛の手紙について、一人づつ呼び出されて追及されるなどの嫌がらせを受け、組合結成を痛感する声が高まった」(京都)などの事情を背景に、組合結成への思いを決するまでに不満が高まっていったこと、それらの事例は労働者意識をも大きく変化させたことを物語っています。 不安定雇用の組織化では、「嘱託者は、雇用契約の一方的打ち切りや有休も取れないなどの無権利状態」(北海道)のもとで、労働組合を結成し加盟するなど教訓的な例もみられました。 つながりが大切 第2は、加盟の形態ですが、いくつかの特筆すべき変化がみられます。 「共闘組合として長い間共にたたかってきた」(東京)、「系列会社組合(自交総連)と共に『合理化』反対のたたかいをすすめるなかで」(宮城)、「総連本部の定期大会にオブとして参加して確信を深め」(静岡)など、日頃からつながりのある友誼・共闘組合の加盟が相次いでいるのが、一つ目です。 二つ目は、未組織の組織化が半数を占めていることで、三つ目は「連合の組合があるが、運営に不満」(和歌山)など、たたかう労働組合への結集が不可欠なものとして認識されつつあることです。
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東讃交通の組合つぶし | ||
高松労働局に議員調査 法違反摘発を | ||
【香川】香川県内最大のタクシー会社である東讃交通で自交総連に対する組合つぶしが執拗に行われていることもあり、労基法違反摘発の徹底を求めるため、日本共産党・春名衆院議員に、議員調査権による調査を依頼したところ、高松労働局に対する調査が9月8日、実現しました。 中山監督課長は、倒産事件等で忙殺されタクシーにまで手が回らなかったことを認め、東讃交通の件について「本日申告されたことを調査(監督)し、違反事実が確認されれば厳正な措置を講じる」「他局とも連携をとり改善されるようにしたい」と確約しました。 |
自 交 総 連