自交労働者No.545、2000年10月15日


 第23回定期大会 方針と新体制を確立
 たたかう基盤を強化
 自交総連は10月10日から12日の三日間、佐賀・唐津ロイヤルホテルで第23回定期大会をひらき、新年度運動方針を決めました。大会では、佐伯委員長、渡辺副委員長らが勇退、領家光徳委員長(新=東京)、高松幸尾(再=神奈川)、竹本文雄(新=大阪)両副委員長ら新しい執行部(任期2年)を選出、21世紀にむけてのたたかう基盤を確立しました。

 佐伯委員長あいさつ
 政府を追い詰めた闘い
佐伯委員長 領家新委員長  
 4点にふれてあいさつとします。
 第1は、この1年間は、タクシー史上最高の闘いをつくってきました。支配層の規制緩和攻撃に真正面から立ち向かい、利用者と労働者の安全と公共性を守り、タクシー運転免許の創設という抜本的な政策を提起して闘いました。それが政府を追い詰め、国会での附帯決議となりました。
 法律の実施までにはまだ時間があります。議員には決議に責任をもたせる運動をつよめ、行政の責任も追及していきます。
 第2に、私たちはタクシー開びゃく以来の困難な目にあわされています。その原因は需給のギャップであり、90年代以降の福祉切り捨て、増税などの悪政です。これを正さなければ根本的な解決になりません。
 第3は、総選挙が示すように自民党は90年代の選挙でいずれも過半数をとれず、得票率も下げています。悪政は永遠につづくものではありません。だからこそ彼らは参院選挙制度改悪の票の横流し方式を画策しています。大会の名で抗議したいと思います。
 第4に、規制緩和とも関わって企業の悪質化はさけられず、労働組合がなければ労働者は生き残れません。自交労働者の輝く星として大いに力をつくそうではありませんか。

2000年運動方針と新執行部体制を確立した自交総連第32回定期大会。=10月10〜12日、佐賀・唐津ロイヤルホテル

 スト、拡大、介護タク…豊かな実践
 多彩な経験を報告 大会討論32人が発言
 大会では2日目の一般討論27人、3日目の総括討論5人の計32人が発言、各地の貴重な経験や教訓を語り、方針を補強しました。
各地の教訓など討論を聞く参加者
組織統一に奮闘 北海道・西村純
 第一ハイヤーでは、会社の策動による組合分裂後37年目にして統一ストを成功させた。年内の組織統一をめざして奮闘している。

次代の担い手を 東京・米澤泰輔
 10単組70人で青年部をつくり、学習・文化活動にとりくんでいる。次代の担い手を育てていくことを展望したい。

京王交通で新加盟 埼玉・香取勝雄
 大量増車した京王交通の3営業所で200人が自交総連に結集、職場の中から改善と減車に全力をあげたい。

身売り防ぐ闘い 石川・奥護
 荏原金沢で会社再建案が提案され、組合は経営改善闘争にとりくみ、身売りを防ぎ、労働条件全面破壊を阻止した。

地域政策を要請 広島・吉岡哲郎
 破壊法反対闘争の成果をいかし、国民の移動する権利を守る地域交通政策を掲げて県内自治体に要請していく。

通した党に審判を 鹿児島・日高光義
 破壊法反対闘争では全自治体に要請し6議会で決議をかちとった。悪法を通した党・議員に参院選で審判を。

町営バスを運行 山形・小野寺裕
 地元住民とのつながりを深め、高齢者タクシー券の支給、町営バス・福祉バスの運行、JR駅舎の管理などの業務拡大をかちとった。

道交法闘争強化を 東京・柿沼勝広
 従来では考えられないような事故が増加。拡大にも役立つ道交法闘争のとりくみ強化を。

市民の共感を得て 大分・山野茂利
 ケアワーク(介護)ドライバー育成のとりくみで、自治体との関係も良好になった。市民・利用者の共感を得て協同をすすめたい。

乗合タクシー運行 山口・斎藤豊
 大島観光で乗合タクシーを運行、住民から喜ばれている。学習強化し拡大に奮闘したい。

職場とりもどす 宮城・市川善朗
 全自交が自主経営する塩釜交通で、一方的賃下げなどに抗議し、自交総連に加盟すると二人を解雇。職場をとりもどすためにたたかう。

総連加入が相次ぐ 京都・安達眞一
 京都相互タクシーで一方的な分割譲渡。同意した多数派組合への不満が高まり、総連への加入が相次いでいる。

提案し実践する 福島・山口興治
 厳しい情勢のなか、経営責任の追及とともに、会社存続のための提案・実践を行い、銀行も動かした。

総連の旗を守る 神奈川・大矢こう山
 小田急3社の相中への売却問題では、リアルタイムに組合員に情報を伝え、脱落者を出すことなく旗を守った。

アルバイト増える 長崎・酒井清則
 実車率37%、3か月契約とかアルバイトが増えている。陸運支局に厳しく申し入れ「監査に入る」と回答させた。

住民への貢献を 福岡・清水啓二
 老人ホームのおばあちゃんを公園に送迎して感謝されたことが自分の支えになっている。住民に貢献してタクシーへの理解を求めるようとりくみたい。

全日空との闘い 大阪・西古正美
 全日空の子会社関西空港リムジンのあくどい自交総連つぶしに勝利するまでたたかう。

団結がんばろう
規制緩和の危険性 高知・森木良明
 陸運支局交渉では暴力団参入の可能性も指摘された。規制緩和の危険性を示している。

生活保護以下では 和歌山・杉本孝
 公共交通を担う労働者が生活保護以下になる実態は、運輸行政の責任だとの観点で運動を。

バイト放置せずに 東京・片岡敏康
 職場内のパート・アルバイト労働者にアンケートをとったら、週30時間以上働いている人もいた。放置しないで組織化していきたい。

死力をつくした 東京・石沢治彦
 破壊法反対闘争では、座り込み、ストなど死力をつくした。ストを打てない連合の労働者にもアピールした。

バス組合の交流を 大阪・松下末宏
 バスでは廃業が相次ぎ、組合でも経営分析できる能力を身につけ企業を監視していかなくてはならない。全国のバス組合の交流を。

組合結成の動き 佐賀・松本伸隆
 佐賀の組織率は低いが、職場の権利を取り戻そうと組合結成の動きがある。早く県内3番目の旗をあげたい。

個タクも組織化を 東京・高橋信
 全国唯一の個人タクシー労組でがんばっている。地方でも組織化し、交流していきたい。

争議の勝利めざす 宮城・高橋明夫
 宮城野観光バスの刑事弾圧事件で不起訴をかちとった。塩釜、日交、秋保の争議も共同して勝利めざす。

希望もてる業界に 東京・出津善則
 私は職場にあと29年在籍できる。青年が夢をもてる、希望がある業界、組合にしたい。
幹部は一歩前に 東京・竹内信夫
 争議組合へ全国から支援できるように工夫してほしい。苦しい時こそ幹部は一歩前に出てたたかおう。

タク免許実現へ 東京・宮竹光男
 タクシー運転免許実現のため、段階を設定し、当面、大都市の交通政策を確立したい。その担保として組織拡大に全力をあげる。

2割減車を実現 福岡・広瀬早美
 直鞍地区では昨年から経営者と需給調整委員会を重ね2割減車の労使間協定を結んで実施した。月5万円近く増収になっている。

要求実現の土台を 東京・高橋徳男
 自教は7年間で29所も閉鎖されている。要求を実現するためには、その土台が必要だとして、業務の拡大・政策闘争にとりくんでいる。

道路で対話しよう 京都・石原敏雄
 1年間で7社が身売り。古知資本に買われたところでも総連の組織を守っているのは、日頃の団結の成果だ。職場である道路ですべての労働者と対話しよう。

1年で6組合拡大 大阪・林克己
 1年間で6組合を拡大、恩加島労組では、総連に加盟して企業閉鎖を撤回させた。現状を変えたいという労働者の潜在的エネルギーに確信をもとう。

 先進的教訓に学び挑戦を
 執行部答弁 11・17行動の成功めざす
 執行部答弁に立った今村書記長は、冒頭、大会討論の特徴についてふれ、「現実の危機打開と将来展望にかかわって、『新しい運動への転換』をなしうるにたる貴重な発言・報告がなされた。とくに歴史的な闘いとなったタクシー破壊法反対闘争では、『改正』法が成立したものの、敗北感がないどころか、政策を掲げた運動の前向きの姿勢がみられる」と述べました。
 加えて、「今後の闘いにとって何よりも重要なのは『先進的教訓に学ぶ』こと。道は自らつくる以外にない」とし、すべての地連(本)がそうした視点で様々な挑戦を行うよう呼びかけました。
 まとめでは、「問題解決のヒントは職場にある。組合員や多くの仲間の声に耳を傾ける姿勢が重要だ。何事もその人たちに依拠し事に当たる以外にない」と力説し、「原則性の大切さを教えてくれた大会でもあった」と述べました。
 また、今後の闘いでは、「これ以上の状態悪化を許さない」との構えで、賃金面での底上げと不安定雇用対策を重視しなければならないと強調。「改正」法施行にむけた政省令・運用基準策定に関する要求実現と結合したとりくみとしての11・17中央行動の成功をめざしていくこと。
 さらに今村書記長は、あらゆる事態に対応しうる力量の強化、産別指導部確立の必要性を指摘し、それへの努力を訴えました。

 自交総連第23回定期大会 選出役員
注、◎印は常任中央執行委員
中央執行委員長 領家 光徳 (東京) 56歳
副中央執行委員長 高松 幸尾 (神奈川) 57歳  
竹本 文雄 (大阪) 59歳
書記長兼会計 今村 天次 (山口) 49歳  
書 記 次 長 久賀 孝三 (東京) 57歳  
専従中央執行委員   中山 益則 (東京) 50歳  
菊池 和彦 (本部) 42歳  
中央執行委員 菊地 和夫 (北海道) 56歳  
  河野 勝弘 (山形) 55歳  
石垣  敦 (宮城) 44歳  
  沼倉喜久雄 (福島) 44歳  
三箇登志雄 (埼玉) 58歳  
鈴木  勇 (東京) 52歳  
岡崎 浩一 (東京) 54歳  
  小林  隆 (東京) 54歳  
石川  明 (東京) 53歳  
岩井康次郎 (東京) 57歳  
  福地  勲 (東京) 56歳
  清水 経夫 (東京) 52歳
  高木 規夫 (東京) 53歳
須田 茂夫 (神奈川) 49歳  
  森崎 昭夫 (山梨) 56歳  
  影山 信夫 (静岡) 58歳
  井上  登 (石川) 51歳  
藤原 克東 (京都) 57歳  
  上坂 幸男 (京都) 52歳  
権田 正良 (大阪) 54歳  
  堀川 卓夫 (大阪) 50歳  
  熊谷 隆昭 (大阪) 57歳  
  中谷 広夫 (広島) 50歳  
  浜村 政幸 (山口) 43歳
影山 健樹 (高知) 58歳  
緒方  満 (福岡) 48歳  
  松本 伸隆 (佐賀) 50歳
  吉田 敏雄 (長崎) 51歳  
  高野  修 (大分) 53歳  
  瀬戸山実義 (鹿児島) 45歳  
会 計 監 査   相沢 道彦 (宮城) 49歳
  早川 広之 (東京) 48歳
(地方代表者)   入沢  豊 (群馬) 51歳  
  中嶋  好 (茨城) 50歳  
  杉本  孝 (和歌山) 56歳  
  山崎 勝義 (愛媛) 53歳  
  中川 保夫 (徳島) 53歳  



 仲間と共に歩んできた
 退任あいさつ 満場から感謝の拍手
渡辺副委員長
 大会最終日に、退任する役員があいさつ。
 佐伯委員長は「身も心も組合員のところに置いて8年間つとめてきた」、渡辺副委員長は「タクシーに入って36年間、仲間を信じ、仲間と共に歩むを信条にしてきた」と長い経験をふり返りつつ今後への期待を語り、満場の拍手を浴びました。
 大会で退任・交代したのは次の方々です。
 委員長=佐伯幸一(大阪)▽副委員長=渡辺勲(東京)▽中執=石毛浩一(東京)、島野紀六(静岡)、山本孝雄(山口)▽会計監査=高橋東助(宮城)、山口正辰(東京)▽常任顧問=宇部銀哉(神奈川)。

 新加盟のなかま 
 「合理化に」対抗  (632)京都・加茂タクシー支部
 京都府南部の久御山町の加茂タクシーで働く仲間が10月4日、京自交加茂タクシー支部(鈴木達支部長、4人)を結成して自交総連に加盟しました。
 京都府南部では、MKタクシーの進出や規制緩和で競争が激化。同社には互助会しかなく、賃金・労働条件の変更が提案され、互助会では対応できないと地連に相談があり、組合を結成しました。さっそく要求を提出、組合員も増えています。


自 交 総 連