自交労働者No.549、2000年12月15日


 底上げ、一律賃上げめざす 第2回中執
 集会、デモ、省庁交渉も実施
 自交総連は12月7日、8日の両日、東京・台東区金杉区民館で第2回中央執行委員会をひらき、2001年春闘方針案などを討議しました。
 提起された春闘方針案は、春闘を「許すな これ以上の状態悪化、底上げと雇用の確保」と位置付け、現実の問題解決と将来展望をかけて全力をあげるとしています。
 とくに賃上げについては、「だれでも○万円あるいは賃率○%以上」をめざし、一律上積み(賃率アップ)を求めるとともに、地域から賃率○%以下をなくすなど底上げ闘争を強化することとしています。
 将来像を見据えた運動展開では、地域に密着した公共輸送機関としての発展、タクシー運転免許制定への接近をはかる課題を提起しています。
 組織拡大では、すべての職場で1人以上の加盟推進、1地域で1組合の加盟をめざすとしています。
 討論では、秋以降の各地での闘いやいっそうきびしさを増す営業収入の落ち込み、ダンピングの横行、倒産や企業譲渡などの現状報告とともに、「仙台市に独自の需給調整の市条例をつくらせる運動をはじめた」「介護保険で移送費を認めさせる運動が必要」などの意見が出されました。
 また、第23回中央委員会は1月24〜25日に東京・家の光会館で開催。23〜24日の関係弁護士交流会も確認しました。
 なお中執の前、11月30日に大阪で第1回常執がひらかれました。

 燃料手当不支給で提訴
 企業内組合と共闘つよめ 北海道
2組合共同でひらいた総決起集会=11月25日
 【北海道】札幌の第一ハイヤーでは、会社設立以来支給してきた燃料手当(暖房代)を昨年から1円も支給しないという非常識な提案を行ってきました。
 一時金引き下げなども含めた「合理化」攻撃に、昨年12月には、37年間の分裂をのりこえて自交総連第一ハイヤー労組と企業内の第一ハイヤー新労組が統一ストライキに立ち上がるなど共闘をつよめてきました。
 依然として強硬姿勢をとりつづける会社に対し両組合では11月17日、1年越しで準備してきた請求総額1億0800万円(時間外割増賃金も含む)、原告197人の訴訟を札幌地裁に提訴、25日に原告全員の総決起集会をひらきました。
 昨年の11月には地労委から会社に不当労働行為の命令が出されており、NHKテレビニュースでも報道され、月刊誌で社長が批判されるなど、会社は社会的にも包囲されています。両組合は組織統一もめざし、全員が団結して奮闘しています。

 経営者のセミナーで講演
 規制撤廃問題では協力を 香川
 【高知】高知地連の影山委員長は、香川県乗協(経営者団体)の要請に応え11月9日、労務問題セミナーに出席、自交総連の考え方を講演。労使で新たなタクシーのあり方を話し合っていきたいと述べました。
 質疑応答では、事業者から「運賃の下限がないのでは困る」「自交総連の実績は」「共産党系ではないのか」「マナーやモラルは?」などの質問が出され、影山氏は、附帯決議履行のため事業も運動してほしい、福岡での減車の実績、政党支持を押しつけない、組合もマナー向上をめざしている、などていねいに答えました。
 最後に平井労務委員長が、自交総連に関する風評はいろいろあったが、悪質な法違反以外では事業者を攻撃しないことを体験し確認してきた、と発言。組合側は、規制撤廃問題では労使で協力できるよう要望しました。

 介護タクシーを開始
 重度認定者は町が9割負担 山形・余目タクシー(自主経営)
新たに導入したリフト付の介護タクシー専用車両=11月20日、余目町での出発式
 【山形】組合が自主経営している余目タクシーは11月20日、介護タクシーをスタートさせました。車いすやストレッチャー(寝台)に乗ったまま乗車できるリフト付専用車を導入、ホームヘルパー資格をもつ運転者が運転・介護をします。
 同社では、要介護者や家族からの「外出したいが家族に頼みにくい」「医療機関への付き添いが大変」などの要望を受け、町の要介護認定者の外出支援事業として助成をうけ、準備をすすめ、従業員14人のうち4人がホームヘルパー2級の資格を取得しました。
 料金は、通常のタクシー運賃に、車いすは1000円、ストレッチャーは2000円を加算。町の重度要介護認定者は9割を町が負担、1割を会社が負担、タクシー運賃に福祉タクシー券を利用すれば、無料となります。
 出発式には町長はじめ町の福祉関係者が出席しました。組合では、体の不自由な人が気持ちよく外出できるよう、今後も有資格者を増やすためにがんばっています。

 古知資本の本拠地で宣伝
 東京・イースタン労組 分裂攻撃にも反撃
古知氏が経営する大阪貯蓄信用組合の前で宣伝するイースタン労組=12月1日
 【東京】8月からハイヤーの賃金を5〜7万円もカットするなど悪質な攻撃をつづける北港・梅田グループ(古知資本)とたたかうイースタン労組と対策会議は11月からすでに3回にわたり、大阪地連の支援も受けて大阪での抗議行動を展開しています。
 宣伝は、大阪や難波駅頭はじめ、古知一郎オーナーが理事長をしている大阪貯蓄信用組合や同氏自宅周辺で実施、「あそこの会社はひどすぎる。最近大阪ではなりを潜めていたが、東京で悪さをはじめたのか。負けないで頑張ってくれ」などの激励がよせられています。また参加していない組合員も宣伝の様子のビデオを見て勇気づけられています。
 この行動に対し、古知資本はイースタン労組の蒲田支部に対し分裂攻撃を画策してきました。組合では素早くビラで反撃、予定していた第2組合の説明会も参加していた組合員の質問攻めで失敗に終わっています。

 職場の最賃違反をチェック
 累進歩合・足切り以下の低賃率横行 各地で違反が続出
●最低賃金法違反の実例
 
  ◎足切り(40万円)未満35%のオール歩合(35%は歩合給30%、割増貸金5%とする)
 労働時間(所定174、残業22、深夜44時間)
◎運送収入36万円だったとすると、貸金は、 36万円×35%=12万6000円
◎最低賃金との比較
 歩合給の時間額=歩合給(36万円×30%)÷実働時間(174+22)=551円
 例えば青森県の地域別最低賃金額は599円(1日の 所定労働時間8時間の場合、日額4795円÷8時間) なので、差額の48円を支払わないと違反となる
 営業収入の低下に加え、極端な累進歩合制度や足切り以下の超低賃率が横行するなか、賃金が法律で定められた地域最低賃金(最賃)に達しない事例が続発しています。賃金が最賃以下なら差額が請求できます。チェックしてみましょう。
     ◎
 実際の賃金と最賃とを比較する場合は、どちらも時間額に換算して比較することになっています(最賃法施行規則)。
 【実際の賃金の時間額
 (1)まず賃金(月給)から最賃の対象とならない賃金(下記)を差し引きます。
 (2)歩合給は、賃金を月の総労働時間(残業も含む)で割ります。
 (3)固定給は、月の所定労働時間(年平均)で割ります。
 (4)固定給と歩合給が両方ある場合は、それぞれ計算して足し合わせます。
 【最賃の時間額
 都道府県ごとに定められている最賃の日額を1日の所定時間(週平均)で割ります。(隔日勤務で1勤務16時間の場合は1日8時間)
 【両者の比較
 こうして計算した実際の賃金の時間額が最賃の時間額を下回っていれば最賃法違反です。
 使用者には、最賃との差額を支払う法的義務が生じます。

2000年度地域別
最低賃金額(日額)
東 京 5559円
神奈川 5558円
大 阪 5560円
埼玉・千葉・京都 5372円
兵 庫 5353円
福 岡 5107円
北海道 5060円
宮 城 4897円
青森他 4795円
(『月報』11月号に全地方載ってます)

最低賃金の対象にならない賃金(最低貸金法第5条他)
(1)臨時に支払われる賃金
(2)1月を超える期間ごとに支払われる賃金(一時金、分離給)
(3)所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(残業手当)
(4)所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日出勤手当)
(5)午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜手当の本体部分を除く0・25の部分)
(6)家族手当、通勤手当、精皆勤手当


 新加盟のなかま
 残業強要に危機感 635)青森・弘南交通労組
 【青森】弘前市にある弘南交通労働組合(加藤龍市委員長、60人)は11月、自交総連加盟をきめました。
 同社では営収が低下するなかで、管理職がサービス残業を強要し「指示にしたがわないものは淘汰する」とまで掲示。
 危機感をもった従業員が、何とかしなければと、大会で執行部も一新し、市内の組合でつくるハイタク労連(連合加盟)を脱退して、自交総連に加盟することになりました。


自 交 総 連