自交労働者No.550、2001年1月1日


 希望と激動の新世紀の幕開け 底上げ、拡大、政策の実現へ
 自交総連中央執行委員長 領家 光徳
 新年あけましておめでとうございます。
 世紀をまたいでの自交労働運動となりますが、とくに、自交総連は規制緩和攻撃の荒れ狂う20世紀最後の10年間、歴史と伝統を引き継いで組織をあげての「タクシー破壊法」ともいうべき悪法阻止にむけ歴史的な運動を繰り広げてまいりました。
 本年は、第二次森連立政権の見通しなき政治的行き詰まりと経済情勢のなか、苦しみの大もとである悪政を変え、景気回復と生活の先行く不安解消のため、職場でのたたかいと政治の転換を結びつけ、年はじめの北九州市議選をかわきりに、参議院選・都議選で勝利し、21世紀の幕開けにふさわしい年としていきましょう。
 国土交通省に衣がえする運輸省は昨年末の「政省令」にひき続き「運用基準」の策定にとりかかります。これに衆・参附帯決議を盛り込ませ、自由化で起こりうる弊害へどう歯止めをかけるかが重要なたたかいとなります。
 自由化への突入で経営陣は、「生き残り戦略」をかけ公共輸送機関としての社会的使命も「ルール」も放棄し、さまざまな「合理化」攻撃をかけてくることが予想されます。ハイタクに限らず教習所などにも同じことがいえます。
 自由化の入口で全国的におきている人間性をも否定する危機的状況の打開、行政の責任および法人事業者の責任と存在意義の追及とあわせ提案型の賃金・労働条件の改善と未組織労働者を視野に入れた底上げ闘争、とりもなおさず、21世紀の希求する「タクシーのあり方とその主役は誰か」を明らかにし、それにふさわしい技能・知識の習得とモラルの向上と併せ、地域に密着した政策の実現にむけた攻勢的なたたかいにうってでることが重要です。この課題の追求を通し「タクシー運転免許」への接近現実の問題解決と将来像を見据えた運動の展開で今世紀初頭をきりひらいていきたいと思います。
 また、今世紀初頭には、改正「道運法」施行でタクシー事業の行方とその帰すう、立場の違いはあれ、それぞれの言動の正否が、事実により検証されます。その結果、自交総連が、日本タクシーの歴史と欧米の「自由化」の教訓から、そのたたかいと果たしてきた歴史的役割、政策的提起の正しさがますます重みをます時代となるでしょう。
 そのためにも組織の拡大強化は、さけて通れない課題です。
 21世紀初頭のおかれている情勢は今までとは質的に異なり、私たちの奮闘如何により、新たな枠組みを創りだしていくことができる希望のもてる激動の時代だと思います。ともにがんばりましょう。

 安全破壊の現状理解を
 大阪府・市、府警に要請
 【大阪】大阪地連は12月5日に大阪市、18日に大阪府と府警本部に要請をしました。
 それぞれ、来年の10月以降「自由化」となること、タクシーの需給バランスが崩れて交通事故の増加や都市機能の阻害が社会問題になっていること、タクシー運転者の賃金が生活保護基準以下となり、安全・安心が破壊されていることなどを指摘し、行政、府・市民、労組などの入った協議会・懇談会の設置を求めました。
 大阪市は市民局勤労市民課が対応、「趣旨はよく理解できました。実務する部局がそれぞれ異なりますが、懇談会が実現するように部局ごとに調整し、後日連絡します」と回答しました。
 大阪府は府民情報課、府警は交通部総務課が対応し、みなさんの声を真摯にうけとめ今後の行政に生かしていくように努力したい、と回答しました。

 県民の安全を守って
 茨城県と交渉協議会の設置を要請
 【茨城】茨城地連は12月15日、県知事に対して、タクシーを公共輸送機関と位置づけて、地域協議会の設置を、など5項目の要請をしました。
 県議会の最中のため県側は広報公聴課が対応しました。知事公室山口副参事、磯主任のまじめな応対に、地連の9人の参加者は、「歯止めのない現状で自由化になれば県民の安全が破壊される」「年寄りは病院にも行けなくなる」「身障者は施しを受けたくないと考えている」「県民の命とくらしは県が守って当然」とハイヤー協会に代わる第三者機関の必要性を訴えました。
 山口副参事は、「運転手が怖い、との一般論があるが、どうしてこんなひどいタクシーになったのか」などと熱心に質問し、「ありのままを各部署に伝える」と回答しました。

 「助けてくれ」の声
 富山、能登で宣伝行動 石川
富山市内で宣伝・対話する石川地連の仲間=11月24日
 【石川】石川地連は11月24日、25日の2日間、本部宣伝カーによる富山、能登宣伝を実施しました。宣伝行動では、チラシ配布の他、2001年春闘アンケートに地域の独自項目を加えたアンケートを準備し、対話行動を行いました。
 富山駅では、「2年連続の賃下げで、もうオール歩合の45%になってしまった」「組合は何も抵抗してくれない」と怒りの声やアンケートに名前も記入して「何とか助けてくれ」という仲間もいました。比較的営収のあがっている地域でも、規制緩和を理由にした「合理化」攻撃がつよめられ、オール歩合30%台のところもあるなど深刻な実態が明らかとなっています。
 地連は、対話でわかった地域の問題を含めて、宣伝のなかみも工夫して第2次宣伝を計画しています。

 宣伝、対話に共感の声
 基地車両の違法営業追及  神奈川
米軍横須賀基地内から基地外まで乗客を乗せている基地ナンバーの車両
 【神奈川】神奈川地本は11月20〜25日、県下の主要駅頭を中心にのべ32人の参加で宣伝行動を行いました。
 今までになく真剣に耳を傾けてもらい、直接対話でも、会社の横暴がひどすぎる点で共通した声が多く寄せられました。
 また、横須賀米軍基地内では、数年に一度、入札で業者を決め、「登録番号」を付けない車に、タクシーメーターを取り付け営業しています。2000年6月頃から、この車がお客さんを基地外まで乗せて行くようになってきました。
 神奈川陸運支局に調査を求めたところ、道路運送法及び道路交通法の違法性があるとの回答を得ました。
 規制緩和をいいことに、このような業者のなし崩し的無法を拡大しないための具体的対策を要請しました。

 この成果を全国に 解雇無効の仮処分決定
 職場の民主化闘争へ前進 宮城・塩釜交通労組
解雇相当の事情はない
 自交総連労組の結成を嫌って市川委員長と西山副委員長が不当解雇されていた宮城地連塩釜交通労組は、12月8日に市川委員長について解雇無効の仮処分決定を仙台地裁よりかちとりました。西山副委員長については65歳選択定年制の解釈をめぐって保全の必要性が認められなかったため、抗告、本訴で争うことにしています。
 塩釜交通は全自交が自主経営する会社ですが、組合員の意見を聞かず一方的な賃下げを押しつけるなどしてきたため、自交総連加盟の組合が結成されました。これに対し経営側は、団交拒否、賃金差別など不当労働行為を行い、市川、西山両氏を解雇してきました。
 経営側は、市川委員長について、勤務成績不良などを申し立てていましたが、仮処分決定は、「懲戒解雇が相当であると判断できるほどの事情が存在することの疎明はない」として、市川委員長の解雇は無効とし、賃金の保全を認めています。
 同労組では、全国からの支援に感謝し「今回の勝利は、今後の塩釜交通の職場における民主化闘争に大きな意義をもつものであり、現在職場で働く当労組以外の人々は決断をする絶好のチャンスではないかと思いますし、自分たちで作った会社を自分たちで守っていこうと思います」との声明を出しました。


自 交 総 連